異世界に転生した者達の成り上がり物語

オレンジソーダ

文字の大きさ
5 / 6

彼らは今..(前編)

しおりを挟む
二人を捕らえたゴブリンは、

自分達の住処、城へと到着していた。


奴等は、死が迫っているのか、少し足を震わせ

王に報告する。


「オーガ様、見たことない種族を持ってきました。

これで、私達は『救われ』になれるでしょうか?」


救われ、それは上の方々から貰い受けた、身分制度という伝統。

救われない者は、要らぬ者として扱われるのだ。そして..


恐れを誤魔化すかのように、少し笑みを浮かべる。

だが、現実は甘くない。

 まだだ! と怒鳴り散らしながら。



「この者の能力を見る。連れてこい。」


ゴブリンの一人が代表して運んで行く。

しかし、彼に近づくと、膝をついてしまった。


オーガは、チッと舌打ちをした後、

怯える者にこう告げる。



「何をしている、小物が。

早くこちらに持ってこい。」


はい。と頷き、立ち上がり、また膝をつく。


代表者は、怖いから怯えているのではない。

自分とは明らかに違う魔力の量。

その威圧に、思わず押し潰されそうになっているのだ。


この瞬間を、『捕らわれ』は見逃さない。

王は今、ゴブリンを見ている。

こちらに注意はいっていないはず。


包帯のような物でぐるぐる巻きになっているが、

それを利用して転がる。

 見事後ろのゴブリン達に激突した。


オーガと距離が空いた。

さらに代表ゴブリンは、あの位置から動くことが出来ない。

よって、少しの間は暴れられる。


その後、歯と顎を使ってそれを引き裂く。

声を出せるようになった。




口は出せたが、肝心なそれ以外が動かせない。

今の彼は単なるうるさいミイラだ。

そこで、思いっきり力を加える。


瞬間、何が起こったか。

体を縛っていたものが弾け去った。


さすがの王も、驚きを隠せない。

おぉ..と関心し、


「面白い、雑魚だと思っていたが。

将来的には我すらも凌駕する力を持っている。」


目を光らせて言った。

そのとき、彼はもう一人の人質も解放した。


「おい、勝負の続きだ。

今度はどっちが先にあいつを倒すか..だな。」


一人の女性にそう告げた。

彼女は笑って立ち上がり、"えぇ"と呟く。


「どうした、オーガ様?

二対一でビビってんのか?」



彼の煽りは効いたが逆効果だ。

..ほう。と言って、とうとう椅子から立ちあがってしまった。


その出来事に、馬鹿! と言って頬をひっぱたく。


「何で強そうな奴に挑発すんの!?

負けるに決まってるじゃない!」


その通りである。

だが、時すでに遅し。

強者との戦闘が始まった。



「武器を持たぬお前らに、

何ができる。これを見よ!」


王は自分の武器を見せつける。

重そうな鉱石でできた金色の棍棒。

それを地面に打ち付けると、大地が悲鳴を上げた。



二人は目の前で見ていたが、

彼は冷静に作戦を考えていた。


「へぇ、面白い武器だね。

でもそれって持ち上げるの一苦労でしょ。手伝ってあげようか?」



また煽る。煽り続ける。

だが、これは彼なりの作戦。



「お前ら..殺す!!」


"ら" どうやら彼女は巻き沿いを食らうらしい。


オーガの筋肉が震えながら、持ち上げようとする。

その瞬間を見逃さず、"能力"で奴の武器を奪おうとする。



「何をしている、やめろ!!」


その手を振り払ったが、これも計算通り。

ニヤッと口を広げ、


「いっただきー。」


武器ではなく、彼の懐に入っていた紙の道具を奪った。

ただの紙ではない、と馬鹿でもわかる。

青い文字が、照明のように輝いている。



王は大声で、卑怯だぞ! と言って、続ける。


「そ..それは我の大事な魔法アイテム。や..やめろ! 触れるな!」


今度は彼が震えた。


魔法..さらにニヤついた。

さっきのように思い切り力を入れる。


しかし、そんな簡単に倒せる相手では無かった。

オーガは、少し口角を上げる。


元から、そんな大事な物など持ち歩くはずがない。

さっきの震えは嘘。

瞬間、大爆発が起こった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...