「永遠の雪原 ―遭難が紡いだ恋―」

第16章：希望の道標

　第16章：希望の道標
雪解けの山道はまだ厳しいけれど、昨日の嵐を越えた二人にはもう恐怖はなかった。
互いに支え合いながら、ゆっくりと下山を続ける。
「ねえ、美月」
亮介が言葉を切り出す。
「うん？」
「これからの人生、どうするか考えてみたんだ」
「どんな風に？」
「ちゃんと向き合って、自分の気持ちに嘘をつかないで生きてみたい」
美月は優しく微笑み、亮介の手を握る。
「それが一番大切なことだよ」
遠くに見える町の灯りが、二人の心に新たな希望の火を灯した。
「ここが僕らの新しいスタート地点だ」
亮介の言葉に、美月は小さくうなずいた。
「一緒に歩いていこう」
凍てつく山を越えた先に、二人の未来が確かに待っていた。