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第二章
犬猿の仲
しおりを挟む近づきたくねえー近づきたくねえーって思いながらそこに近づいてく
そして近づくにつれてお父様たちで隠れた人物達が姿を現した
あれは…
「お父様、お母様」
「あぁ、セツィーリア」
「少しは休めた?」
「ええ、それで、こちらの方は…」
二人の向かいにいる人に目を向ければそこにはお父様と同じ歳くらいに見える細目の男が立っていた
…うーん、なんか直感的に嫌な感じがする人だなぁ
失礼なことだって分かってはいるものの、残念なことに私のその直感は当たってしまった
「セツィーリア、こちらはこの家の当主の」
「ギーベル・ウォーレイだ。こうして話すのは初めてだな、ノワールのお姫様」
「…お初にお目にかかりますわ、ギーベル様。本日はお招きありがとうございます」
ノワールのお姫様に込められた僅かな皮肉に気づかないフリをしてにこやかな笑みを浮かべて一礼する
だけど、私が何も反応しなかったから調子に乗ったのか、ウォーレイ家当主はさらに言葉を募らせた
「ほぅ…思っていたよりもしっかりしている娘じゃないか」
「お褒めの言葉を頂けて光栄でございます」
「しかし、やはりヴァーシスに似ているせいなのか、目つきはかなり…いや、すまない、少々鋭いな」
「はい、私はお父様似なので女の子にしては凛々しい目をしているとよく言われますわ」
こんのクソオヤジ、要は私の目つきが悪いって言いたいんだろ!?
笑顔で返しながら心の中で毒づく
私はこの大人気ない大人と違ってちゃんと分別がつくのだ
だから馬鹿にされていると気づいていながらも流せるくらいには気持ちにも余裕があるつもりだ
…そう、気づいていたけどわざとその棘に気づかないフリをしていたのだ、穏便に事を済ませるつもりで!!
だけど、ある一人はそれを許さなかった
「ギーベル、先ほどから黙って聞いていれば、私の娘を侮辱しているのか?」
「ははっ、何を言ってんだヴァーシス!私がそんなことをすると思うか?それに…昔からお前の目つきの悪さが有名だったのは事実だろ?」
「確かにそうだ。だが、だからと言って貴様が私の娘をとやかく言う資格はない」
「おいおい、何怒ってるんだよ、ただのジョークだろ?」
「娘を馬鹿にされて流せるほど私も穏やかな性格をしていない。それと、貴様は相変らず人の嫌味を言うことでしか楽しめないでいるとはな、今も昔も可哀想な奴だ」
「…なんだと貴様!!」
「私が何か間違ったことを言ったか?」
バチバチと辺り一帯に散る火花
やっば、うちのお父様ガチギレやん
ってか、この二人って俗に言う
「犬猿の仲、ってやつか」
納得したように呟いた私の言葉の直後に
「お父様?」
かわいらしい声が……あれ?この声今さっき聞いたばっかのような…!
バッ!と
後ろを振り向けばそこには思ったとおり、さっきの女の子が立っていた
……おいちょっと待てよ、今この子なんつった?うちの親父と喧嘩してるオヤジのことなんつった?
「おお!アイシャ!私の宝よ!」
人が変わったように声を弾ませて女の子を抱き締めるギーベル様
「休んでいなくて大丈夫か?こんな野蛮人共の近くに来てはいけないじゃないか」
「大丈夫ですわお父様、これだって私のお役目の一つじゃありませんの」
なんかあのオヤジの口から聞き捨てならねえ言葉が出てきてたけど今はこのアイシャっていう子の方が気になる
そう言って私たちの方に向き直った彼女はかわいらしい笑みを浮かべて一礼しながら言った
「お初にお目にかかりますノワール家の皆様、私はアイシャ・ウォーレイ、身体が少々弱くあまりこういった場に出られませんが以後お見知りおきを」
ここまでは普通だ
そう、ここまではな
「ノワール家の皆様のせいで空気が悪くなってしまっていますが、どうぞ厚かましく最後までごゆるりとお過ごしください」
かわいらしい口から出てきたとは思えない言葉に私とお父様とお母様は揃って顔を引きつらせた
そしてノワール家の三人の心の声がこの瞬間揃ったと思う
この親にしてこの子ありだ!!
と
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