双子のスパダリ旦那が今日も甘い

ユーリ

文字の大きさ
1 / 5

第一話「三人一緒」

「で? 俺たちどっちと付き合うんだ?」
全く同じ顔の二人に迫られ、向井柚月(むかい・ゆづき)は小さくなった。
「そ、そう言われても…だってあゆちゃんものんちゃんも好きだもん…」
素直な気持ちを吐露すると双子は…住田歩(すみだ・あゆむ)と住田希(すみだ・のぞむ)は顔を見合わせた。
「聞いたか?」
「聞いた」
「つまりどっちも選べねえと」
「そういうわけだろ、柚月?」
両隣から顔を覗き込まれ、こくこくこく、と柚月は真っ赤な顔で頷いた。
そっか、と歩と希は頷き、にっこり笑った。
「じゃあ三人で付き合うということで」
「へ?」
思わず変な声が出たなあと恥ずかしくなっていると、両隣の歩と希から頬にキスされた。



「柚月ー。ゆーづーきー、朝だぞ、起きろ」
「んう…」
「ほら起きろー。早く起きねえと俺が食っちまうぞ」
べろりと頬を舐められ「ひゃあっ」とびっくりしながら目を開けると歩がいた。
にっこり笑いながら頭を撫でられる。
「起きたか?」
「起きました…」
「すげー髪の毛になってんな。さあ綺麗にしてやろうな」
ひょいと抱っこされ洗面所へ連行される。こっくりこっくり船を漕ぐ間にも歩に髪の毛を丁寧にセットされた。
「ほら起きろ柚月。今日はここんところを編み込みにしたんだ」
「わー、あゆちゃん器用! すごい!」
右のこめかみ部分が編み込まれている。しかも爆発していただろう髪の毛も綺麗に整えられていた。
「ありがと、あゆちゃん」
「どういたしまして」
頬を撫でられくすぐったさに目を細めるとその頬にキスをされた。
るんるん気分でリビングへ向かうと、キッチンでは双子の片割れの希が朝ごはんを作ってくれていた。
「おはよ、のんちゃん」
「はよ、柚月。お、髪の毛かわいいじゃん」
「えへへー、あゆちゃんにしてもらったんだー。かっこいい?」
「かわいい」
そう言って頬にキスされるも、むー、と柚月は頬を膨らませた。
「僕はかっこいいがいいの」
「しょうがねえだろ、柚月はかわいいんだから」
「はいはい、かわいいかっこいい論争はそこまでにして朝メシにしようぜ。学校遅れるぞ」
希が作ってくれた朝食を囲み、三人で「いただきます」。
大好きなチーズオムレツを食べながら、ちらりと目の前に座る双子を見た。
(…なんか不思議な光景)
ひょんなことから八歳差の幼馴染の双子と関係を持ってしまい、どっちと付き合うのか迫られ最終的に冒頭のような出来事となってしまった。
それが今年の八月の終わりだった。柚月高校二年生、双子二十五歳の夏である。
そしてなぜか九月の初めから三人で住むことになってしまった。
(あゆちゃんものんちゃんもどうやって説得したんだろ…)
いくら三人が思い合っても柚月は高校生である、どうやって両親を説得したのかがわからない。どんなに聞いてもふたりは教えてくれないのだ。
ごちそうさまと手を合わせて急いで準備をして玄関へ行くと、双子が待ってくれていた。
「今日は俺が送ってく」
「俺は先に仕事始めとくな。いってこい、柚月。気をつけるんだぞ」
歩に額にキスをされ、柚月は希とマンションを出る。双子は大学時代に起業したらしく、二人とも在宅ワーカーなのだ。
助手席に座ってちらりと希を見上げた。
「あのー、別に毎日送ってもらわなくても大丈夫だけど」
「学校まで遠いだろ」
「バス乗れるけど…」
「痴漢に遭う可能性だってあるし、まず満員バスに柚月を乗せたくねえよ。どうせ俺たち二人とも家に居るんだから」
「あゆちゃんものんちゃんも僕に甘いと思う…」
「ほらよく言うだろ? かわいい子には何もさせるな、って」
「言わないよー…むう」
運転席から伸びた大きな手のひらで頬を、むにむにむに、といじられる。
「俺たちはなー、お前を甘やかしたいんだよ、柚月」
「…僕ダメな子になるじゃん」
「なっとけなっとけ。世話のし甲斐があるってもんだ」
「…」
むう、と唇を尖らせながら助手席に沈み込んだ。
ーー学校が終わる頃には今度は歩が車で迎えに来てくれていた。
「のんちゃんにも言ったけどさ、僕ちゃんとひとりで帰れるよ?」
助手席に乗り込みながらそう言うと頭を撫でられる。
「俺たちが送り迎えしたいんだよ」
だからふたりは僕に甘すぎるんだよ、と言うと笑われた。
家に帰るとめずらしくお出迎えがなく歩を見ると「仕事が立て込んでるんだろうな」とのことで静かに入り自分の部屋へ行き着替える。
そしてローテーブルの前に座る歩の膝の上に座った。
ぎゅむ、と背後から抱きしめられてハッとする。
「しまった! 僕当たり前のようにココ座ってる!」
「ははっ、ナチュラルに甘えるようになってきたなー。さ、宿題終わらせるか」
「あゆちゃんお仕事大丈夫?」
「お前が心配することはねえよ」
カバンの中からゴソゴソと課題を引っ張り出すと歩が丁寧に教えてくれる。
「なー、柚月。前から言ってるけどさー、お前学校辞める気ねえの?」
「だから僕は高校はちゃんと卒業したいの」
「いいじゃん今すぐ退学しようぜー。俺たち在宅ワーカーだからさー、家に柚月いてほしいんだけど」
ちゅ、と頬にキスされるも唇を尖らせた。
「だーめっ。高校ぐらい卒業させてください」
「えー」
「えーじゃないよ。もー」
たびたび双子に言われるのだ、高校辞めろと。
「そうだそうだ、今すぐ退学しろ」
そう言って希が三人分のコーヒーを手に入ってきた。
「のんちゃんお仕事大丈夫?」
「お前が心配することはねえよ。今度は俺が抱っこな。んー、柚月いい匂い」
今度は希の膝の上に座った。
「二人とも同じこと言ってる。やっぱり双子だねえ」
「じゃあ声を揃えて言ってやろう」
「学校辞めろ」
「学校辞めろ」
「…じゃあ聞くけどさ、学校辞めたところで僕は何をするの?」
「柚月にはちゃんとした仕事があるんだぜ? 俺たちの邪魔」
「へ?」
「仕事する俺らの邪魔をすればいい。ほら、よく動画で見るだろ? 飼い主が仕事しようとして猫がパソコンのキーボードにでーんと乗ってるアレ」
「ああいうのが柚月の仕事だ」
「……絶対僕のことからかってるでしょ」
むう、と頬を膨らませると二人からキスをされた。
「お前にはそれぐらいでちょうどいいんだよ」
二人に見つめられるのが恥ずかしくてコーヒーのマグカップを手にしようとすると、なぜか遠ざけられた。
その手を取り、恭しく歩が口付ける。
ちゅ、と指先にキスを落とし、舌先で人差し指をなぶる。ちゅくちゅくと自分の指が赤い舌にまとわりつかれるのを見て、柚月の背筋がゾクリと震えた。
「ん…」
後ろから抱きしめてくる希に服を捲られ、背中をべろりと舐められた。服を脱がされそのまま舌は上がり肩を舐められ食まれ噛まれる。
「いたっ…」
少し強く噛まれ、思わず声を上げると「悪い」と言いながら噛み跡をぺろりと舐められた。
「おーおー、結構な噛み跡じゃねえか。俺もこっちに付ける」
そう言って歩が反対側の肩に噛み付いた。一瞬の痛みの後に唇を離し、満足そうに笑った。
「柚月は俺たちのだな」
「そうだな」
柚月の目がとろんと落ちる。二人の低い声と大きな手のひらに包まれて夢見心地だ。
「ほら、柚月。言ってみろ」
「お前は誰のだ?」
「僕は…あゆちゃんとのんちゃんのです」
真っ赤な顔で小さな声でそう言うと、よくできましたと言わんばかりに目の前にいる歩にキスをされた。
小さく唇を開けると歩の舌が入ってくる。そのまま柚月の舌に絡め柔らかく吸われる。
「ん、ん…」
たくさんの唾液を注がれ喉を鳴らして飲み込むも、唇の端からこぼれてしまう。
「は…あ…」
唇を離すと透明な糸で繋がれた歩の唇をつい目で追ってしまった。それに気付いて歩に笑われ「気持ち良かったか?」と聞かれてこくりと頷いた。
「柚月、俺ともキスしような」
背後の希に頬に手を添えられ後ろを向かされる。キスをして舌を差し出すと希の口内に招かれ、ちゅ、ちゅ、と吸ってみた。
「んっ、んっ」
今度は希に唾液を注がれる。ごくごくと喉を動かして飲むも溺れてしまいそうで慌てて唇を離すとぺろりと舐められた。
「ぼ、僕、おぼれる…」
「キスで溺れるとはかわいいな。…柚月」
二人の手がさらに伸びた時だった。ピピピとスマホのアラーム音が部屋に鳴り響き、チッ、と舌打ちをした希がスマホを取り出し切った。
「そろそろ仕事に戻らねえとだな」
「じゃあ俺も仕事しますか。あー、せっかくいい雰囲気だったのに」
「あーエロいことしてー。大体だな柚月、お前が学校さえ辞めりゃいつだってエロいことできんだよ」
「そうだそうだ。いい加減学校は退学しなさい」
最後に、と二人同時にガブリと腕を噛まれて出て行った。
ひとり部屋に残った柚月は、真っ赤な顔で脱がされた服を手に小さくなった。
「…もうっ」



「学校退学しろー」
「そうだそうだー。俺たちの相手をしろー」
「もー…言っとくけどね、僕は大学にも行くつもりです」
「お前が?」
「勉強得意じゃないくせに」
「うっ」
「まあそれぐらいの金はいくらでも出すけどなー」
「でも特に理由がないなら反対だな。高校だって辞めて欲しいんだぞこっちは。俺たちを構え」
「…ちょっと待って。え、あれ? なんで大学のお金あゆちゃんとのんちゃんが出す前提なの?」
「あ、しまった」
「バレたな」
「え!? なんで!? ちょっと待ってよ! お父さんとお母さんとどんな話になってるの!? ねえってば!」
「ははは」
「ははは」
「笑ってないで教えてよー!」

あなたにおすすめの小説

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

隻腕の少年は柊兄弟に甘やかされる

ユーリ
BL
事故に巻き込まれたひよりは片腕を失い、幼馴染の柊兄弟に甘やかされた生活を送っていた。しかしこのままじゃいけないとひよりは自立を試みるものの、結局は甘やかされて…?? 「ひよりの短い腕かわいいな」「ひよ兄はそのままでいいんだよ」歳の差兄弟×隻腕の少年「僕は自立したい!」ーー少年は過保護な兄弟に甘やかされる!

初体験

nano ひにゃ
BL
23才性体験ゼロの好一朗が、友人のすすめで年上で優しい男と付き合い始める。

俺は完璧な君の唯一の欠点

一寸光陰
BL
進藤海斗は完璧だ。端正な顔立ち、優秀な頭脳、抜群の運動神経。皆から好かれ、敬わられている彼は性格も真っ直ぐだ。 そんな彼にも、唯一の欠点がある。 それは、平凡な俺に依存している事。 平凡な受けがスパダリ攻めに囲われて逃げられなくなっちゃうお話です。

冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。

丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。 イケメン青年×オッサン。 リクエストをくださった棗様に捧げます! 【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。 楽しいリクエストをありがとうございました! ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

義兄は双子の義弟に三つの隠し事

ユーリ
BL
「兄さんは絶対あげねえからな」「兄さんは俺らのだからな」 魔法省専属モデルを務める双子を義弟に持つ伊央は、この双子の義弟に三つの隠し事をしていた。なんとかして双子はそれらを暴こうとするけれど、伊央と謎の関係性を持つカメラマンの邪魔が入ったりでなかなか上手くいかなくて…?? 「兄さん大好き!」「大好き兄さん!」モデルの双子の義弟×十二歳年上の義兄「二人いっぺんは無理です」ーー今日も三人は仲良しです。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。番外編をちょこちょこ追加しています。

天使二人は悪魔を幸せにしたい

ユーリ
BL
エラーミスで生まれた悪魔のアイリスはその体の弱さから悪魔の住む地界には住めず、天使たちのいる世界である天界で二人の天使、ダリアとボタンと共に過ごしていた。ふと「バカンスに行きたい…」と言ったセリフから三人でバカンスに行くことになりーー悪魔は小さな幸せも大きな幸せも、噛み締める。