お腹を空かせた双子の怪獣との春夏秋冬

ユーリ

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エピローグ

「おかえりなさーい!」
パタパタと玄関へ向かうと、双子が一緒に帰宅していた。
「シキくんトキくん一緒だったんだ、めずらしいね」
「さっきそこで会った」
「あー疲れた。風華、癒せ」
そう言って靴さえ脱がず時にハグを求められ、くすくす笑いながらぎゅっと抱きしめてあげた。
「ずりい、俺も」
もちろん色も抱きしめてあげる。
「つか風華、やっぱ弁当の量少ないわ」
「俺も俺も。弁当の中身を増やすかおやつに何か欲しい」
「あー…ちょっと少なかったかあ。さすがに高校生のときみたいに早弁用のお弁当持って行くのもあれだし、おやつにつまめるもの作ってあげる」
「サンドイッチ希望」
「ホットドッグ希望」
リビングに向かいながら「一度には無理かなあ…」と苦笑する。
「風華、今日は一緒に風呂に入るぞ」
「は? 俺と入るんだよ」
「俺だろうが」
「俺だろ」
「…さすがに三人一緒じゃ無理なので、僕が二回入ります」
いくら背が低く華奢な風華でも、大柄な成人男性二人と入るには風呂は小さかった。
「で? 今日の晩メシはなに作ってくれたんだ?」
「今日はねー、ハンバーグです!」
「お! いいな!」
「ひとり何個だ!?」
「ふっふっふっ…それすらわかんないぐらい大量に作っております!」
ドヤ顔で言うと双子から拍手が湧き起こる。二十歳を超えたというのに相変わらずの食欲で、風華は思わず笑った。
ーー現在三人は二十五歳。双子の色と時は父親の跡を継ぐため大学卒業に経営に関わり、風華は昔と変わらず二人の世話をしていた。
部屋着に着替えた双子がいそいそと二階から降りてくる。風華は茶碗に白米をてんこ盛りにした。
そして三人手を合わせ「いただきます!」。
「こっちが普通のハンバーグで、こっちが煮込みハンバーグで…」
「おかわり」
「おかわり」
「あ、でも今日は食後のデザートも用意してて…」
「おかわり」
「おかわり」
再びてんこ盛りにすると二人は勢いよく食べ進めた。
「デザートって何があるんだ?」
もぐもぐと口を動かしながら色が聞いてくる。
「今日はねえ、みたらし団子作ったよ」
「みたらし団子!?」
「みたらし団子って作れんのか!?」
「意外と簡単なんだよ」
あははと笑って冷蔵庫から取り出してみせると「へえ」と二人が感心する。
「なんかもう店だな…」
「ああ…。そういや昔も団子作ってくれたな。初めて三色団子作ってくれたときは驚いた」
「その次の年はちゃんと花見しながら団子食えたな」
「あれから何年だ…十年!?」
「もうそんなに経つか」
「ふふ、僕たち三人で過ごしてもう十年経つんだねえ」
「その年だっけか? 親父たちが再婚したのは」
「それで同じ苗字になったもんな」
「色々あったねえ…」
あれやこれやを思い出し風華が遠い目をしていると、いつの間にかごはんを食べ終わった双子が早くもみたらし団子に手を伸ばしていた。
ーー風呂にも入り(風華は二回入った…)、大きなベッドに横になると双子も倒れるようにベッドへ上がってきた。
「疲れたー…」
「疲れたー…」
広げた風華の両腕に頭を乗せてぐりぐりと押し付けてくるので、わしゃわしゃと撫でてあげた。
「シキくんもトキくんも、お仕事お疲れ様です」
「風華もお疲れ」
「いつも家のことありがとな」
ちゅ、と左右からキスをされくすぐったくて目を細めた。
「そういえばお父さん元気? 最近全然見てないけど」
「知らん」
「お袋と仲良くやってんじゃねえの? …そういや風華お前、結局高校卒業の資格って貰ったのか?」
風華は高校全滅したため、双子の世話と引き換えに学校を経営する双子の父親から高校卒業資格を貰うはずだった。
双子に見つめられ、風華はハッとする。
「そういえば貰ってないかも…」
「じゃあ中卒だな。まあいいじゃん、俺らが一生養ってくんだから」
「ま、平たく言えばお前は一生俺らから逃げられねえってわけだ」
二人声を揃えて「覚悟しろよ?」と言われて風華は笑った。
「逃げる気なんて全くありません」
「よーしそれでいい」
「えらいぞ風華」
三人でわちゃわちゃしていると、急に双子にじっと見つめられた。
ん? なんだろう?
最初は首を傾いだものの、あ、とすぐに顔を赤くして風華は気付き、おずおずと服の裾を捲ってみせた。
ピンク色の乳首が、ふるんと揺れる。
「疲れてるんだったら、その…ぼ、僕の、……おっぱい吸う?」
双子がにんまり笑った。
「この十年でだいぶ上手くなったよなー」
「それでも及第点ってとこだな」
「…嫌なら結構ですー」
ゴソゴソ仕舞おうとする手を制され、双子に恭しくキスされた。
「吸うに決まってんだろ」
「こっちは疲れてんだから」
ちゅ、ちゅ、と額に頬にキスをされればとろんと目が落ちてしまう。再び風華は服の裾を捲った。
ーー三人での関係で、ましてや義兄弟となってしまった今ではさらに変な関係かもしれないけれど。
でも、二人が僕のことを好きで、僕だって二人のことが大好きで。
結局、十年前から…いや、幼馴染だからもっとそれより前から三人でのこの関係を望んでいたんだと思う。
いつもお腹を空かせた怪獣二人。歳を重ね怪獣っぽさはなりを潜めたけれど、それでも大好きな二人。
風華はおずおずと手を伸ばして、二人に抱きついた。
「どうぞ…僕を召し上がれ」
怪獣二人がにんまり笑って、風華に噛みついた。

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