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第二章 繋がる命
王子
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柚葉はちらちらとアリスの横顔を見上げていた。なんとなく、いつもより固い顔。不機嫌とは少し違う、だが機嫌はよくなさそうだ。
「アリスさん?なんか怒ってます?」
「あ?」
昨夜、柚葉がアリスの警戒心を弄ぶようなことをしてしまったからだろうか。あの時は注意はされたが、特に柚葉自身に怒っている感じではなかった。もしかして今朝も起こしてくれたアリスに対してアッパーカットをくらわせようとしたからだろうか。アリスも学習したので、軽く受け流されたが。
「ここ、皺寄ってますよ」
真似するように眉間に皺を寄せ、人差し指で押さえる。アリスはそれを見てか、さらに深く皺を寄せたあと、すぐに緩めた。
「別に、怒ってはない。少し考え事をしていただけだ」
「考え事?」
「お前には関係ないから気にするな」
説明されたところで、一国の王子の考え事は柚葉には理解できると思わないし、関係ないと言われたら深入りはできない。柚葉はふーん、とだけ頷いて、それ以上は追求しなかった。
「それより、着いたぞ」
「あ」
アリスの顔ばかり見て歩いていたので気が付かなかった。言われて顔を上げる前に向けると、テントのような家が密集した、村が広がっていた。老人から子どもまで様々な年齢の村人がいるが、どの人も疲れているように見えた。
「大丈夫なんですか?この人達・・・」
「ここはアステリアの中でも特に貧困でな。国から融資したりしても一向に改善しない」
それは、土地柄だそうだ。栄養価が低い土や水の為、作物が育たず、常に外部から仕入れなければならない。弱っていく人々は医療費もかさばり、身体も心もやせ細っていく。ここから出ていこうにも、出ていくだけの体力もない者ばかりで、今もこうして、ギリギリの状態で暮らしているそうだ。
「今年は特に滅びの年で、その影響がすでに出始めている」
「・・・なんか、どうにかしてあげたいですね・・・」
歩きながら右、左と見るが、笑顔の人があまりにも少ない。以前見た城下町と同じ国だとは思えない。
それでも、アリスの姿を見かけた村人は、目を剥いて感動したり、お辞儀をして何度も感謝するように手を合わせたり。アリスが神様かのように扱われていた。
「どうにかできるんなら、今頃ここはこんなんじゃない」
恐らく、国としてもあらゆる手を尽くしているのだろう。それでもどうにもならない歯痒さが、アリスの顔に表れていた。先程までの怒ったような表情は、ここのことを考えていたからのだと分かった。
「・・・アリスさんって、意外に国のこと、すごく考えてますよね」
「そりゃ仕事だから仕方ないだろ」
「そうですか?でも、仕方なく考えてる顔じゃないですけど」
思った通り、アリスに煩わしそうな顔を向けられたが、柚葉は格段気にしていない。多分、当たっているから。
仕事だと割り切ってやっているような表情だとは、柚葉には思えなかった。国が、人々が大事で、そのために為すべきこと、責任、期待、重圧。アリスは一国の王子としてではなく、一人の人間として動いているように思えた。
「あなたは人として、何が出来るか。せっかく与えられた立場を、どううまく使っていけるか。王子のだからやってるわけじゃなくて、王子という立場を利用して、国を、人を想っているように思えます」
「・・・・・・」
柚葉の言葉は何のよどみも無く、風のように通り過ぎるようだった。
「・・・考えすぎだ」
「そうですかね」
***
村の奥の方には、周りに比べたら少しだけ立派な建物が建っていた。だが、他の町に比べたらそれでも質素だ。アリスに連れられるままそこへ入ったが、ここがいったい何処なのかは教えられていない。
「ここ、なんですか?軍服みたいなの着た人がいっぱい」
「軍服だからな。ここはこの村を管理してる駐屯所のようなものだ。国から派遣して、物資や村の治安を監視してる」
「だからさっきから敬礼されるんですね!」
「し返さなくていいからな」
なんとなく条件反射で敬礼をし返していたら、してきた方が妙な顔をしていた。なんか手の角度とかおかしかっただろうか。
柚葉が手の角度を研究しているうちに、一つのドアの前で止まると、アリスは軽くノックをする。
「俺です。入りますよ」
詐欺のような名乗りでも、中からはどうぞと聞こえてきた。声色からして男性だろう。
キィ、とドアが開かれると、三十代くらいの精悍な顔付きの男が奥の方から現れた。
「よくおいで下さいました、アリス=ルヴィン=アステリア第二王子。このような場所で拝謁賜りますこと、至極恐悦と存じます」
「・・・・・・・・・やめて下さい、近衛騎士団第三隊ラウズガード隊長」
アリスの疲れたため息を聞いた、ラウズガードと呼ばれる男は、見本のような敬礼を解くと、ニヒッと笑った。先程の格式ばった挨拶には似つかない顔だ。
「いやいや、第二王子にお会いしたのだから、当たり前の対応でしょう」
「だから、それをやめて下さいと言ってるんです。あなたは俺にとって上官なのは変わらないんです」
「ははっ、相変わらずですね、アリス坊ちゃん」
「坊ちゃんもやめて下さい」
「アリス坊」
「殴りますよ」
何やら親しげな雰囲気なのは分かったが、柚葉は二人のやり取りに口も挟めずぽかんとしているしかなかった。アリスは王子のはずで、その上の立場とは、第一王子や王様ぐらいしかいないはずだが。
「で、この子が今回の?」
「ええ。この村にいる間はここに匿ってもらえますか?」
「そりゃあ王子の命令とあらば!」
「命令じゃなく、お願いです」
どうやらラウズガードはアリスの反応を楽しんでいるようだった。彼が喋る度にアリスの表情が疲れていく。
「あ、の・・・」
「ああ、自己紹介がまだだったな、生贄ちゃん。俺はラウズガード=パルマザー。近衛騎士団第三隊隊長をしている」
よろしく、と人の良さそうな笑顔を見せて、柚葉の方へ無骨な手を差し出してきた。古傷がいくつもある、騎士らしい手を柚葉は、びくびくと握り返した。
「ミノリユズハです・・・ラウズガード=ハルマキさん」
「パルマザーな」
「ハルマキーさん」
「お前もう喋るな」
アリスに制止されなければ無礼だと斬られていただろうか。アリスが上官だという人間だ。偉い人だろうに。
「えっと、あの・・・アリスさんの上官さん?」
「え?あー、違う違う!それはコイツがそう言ってるだけで、実際上官なのは王子に決まってるでしょ」
その割には王子をコイツ呼ばわり。いや、かつてアリスに犬のような扱いをしてしまった柚葉には何も言えないのだが。
「じゃあ何で」
「ラウズガード隊長は俺が隊に入ってた時の小隊長。この人の下で訓練を受けていた」
「ああ、それで・・・」
隊を抜けて、今や王子の仕事を真っ当しているアリスはもうラウズガードの従うべき相手になったのだが、昔からの縮図は変えられないのか、二人は親戚のおじさんと子どものようだった。ラウズガードもかろうじて敬語は使っているが、あまり敬意は感じられないし、アリスも部下だと思っているようではない。
「もう俺の上司になったんだから態度も畏まるなって言ってんだけどな。どうも坊ちゃんは頭が堅い」
「ほっといてください」
「じゃあラウズガード?さんは、アリスさんの小さい頃を知ってるんですね!」
「ああ、ラウズでいいよ。そりゃ知ってるよ。あんなことやこんなことまで!」
「ほわあ!聞きたい!」
「隊長、やめて下さい。これは命令です」
「アリスさんずるい!」
こんなところで上司権限使うなんて!
グレンから聞き出せなかったことを聞こうとした考えは甘かったか。
「アリスさん?なんか怒ってます?」
「あ?」
昨夜、柚葉がアリスの警戒心を弄ぶようなことをしてしまったからだろうか。あの時は注意はされたが、特に柚葉自身に怒っている感じではなかった。もしかして今朝も起こしてくれたアリスに対してアッパーカットをくらわせようとしたからだろうか。アリスも学習したので、軽く受け流されたが。
「ここ、皺寄ってますよ」
真似するように眉間に皺を寄せ、人差し指で押さえる。アリスはそれを見てか、さらに深く皺を寄せたあと、すぐに緩めた。
「別に、怒ってはない。少し考え事をしていただけだ」
「考え事?」
「お前には関係ないから気にするな」
説明されたところで、一国の王子の考え事は柚葉には理解できると思わないし、関係ないと言われたら深入りはできない。柚葉はふーん、とだけ頷いて、それ以上は追求しなかった。
「それより、着いたぞ」
「あ」
アリスの顔ばかり見て歩いていたので気が付かなかった。言われて顔を上げる前に向けると、テントのような家が密集した、村が広がっていた。老人から子どもまで様々な年齢の村人がいるが、どの人も疲れているように見えた。
「大丈夫なんですか?この人達・・・」
「ここはアステリアの中でも特に貧困でな。国から融資したりしても一向に改善しない」
それは、土地柄だそうだ。栄養価が低い土や水の為、作物が育たず、常に外部から仕入れなければならない。弱っていく人々は医療費もかさばり、身体も心もやせ細っていく。ここから出ていこうにも、出ていくだけの体力もない者ばかりで、今もこうして、ギリギリの状態で暮らしているそうだ。
「今年は特に滅びの年で、その影響がすでに出始めている」
「・・・なんか、どうにかしてあげたいですね・・・」
歩きながら右、左と見るが、笑顔の人があまりにも少ない。以前見た城下町と同じ国だとは思えない。
それでも、アリスの姿を見かけた村人は、目を剥いて感動したり、お辞儀をして何度も感謝するように手を合わせたり。アリスが神様かのように扱われていた。
「どうにかできるんなら、今頃ここはこんなんじゃない」
恐らく、国としてもあらゆる手を尽くしているのだろう。それでもどうにもならない歯痒さが、アリスの顔に表れていた。先程までの怒ったような表情は、ここのことを考えていたからのだと分かった。
「・・・アリスさんって、意外に国のこと、すごく考えてますよね」
「そりゃ仕事だから仕方ないだろ」
「そうですか?でも、仕方なく考えてる顔じゃないですけど」
思った通り、アリスに煩わしそうな顔を向けられたが、柚葉は格段気にしていない。多分、当たっているから。
仕事だと割り切ってやっているような表情だとは、柚葉には思えなかった。国が、人々が大事で、そのために為すべきこと、責任、期待、重圧。アリスは一国の王子としてではなく、一人の人間として動いているように思えた。
「あなたは人として、何が出来るか。せっかく与えられた立場を、どううまく使っていけるか。王子のだからやってるわけじゃなくて、王子という立場を利用して、国を、人を想っているように思えます」
「・・・・・・」
柚葉の言葉は何のよどみも無く、風のように通り過ぎるようだった。
「・・・考えすぎだ」
「そうですかね」
***
村の奥の方には、周りに比べたら少しだけ立派な建物が建っていた。だが、他の町に比べたらそれでも質素だ。アリスに連れられるままそこへ入ったが、ここがいったい何処なのかは教えられていない。
「ここ、なんですか?軍服みたいなの着た人がいっぱい」
「軍服だからな。ここはこの村を管理してる駐屯所のようなものだ。国から派遣して、物資や村の治安を監視してる」
「だからさっきから敬礼されるんですね!」
「し返さなくていいからな」
なんとなく条件反射で敬礼をし返していたら、してきた方が妙な顔をしていた。なんか手の角度とかおかしかっただろうか。
柚葉が手の角度を研究しているうちに、一つのドアの前で止まると、アリスは軽くノックをする。
「俺です。入りますよ」
詐欺のような名乗りでも、中からはどうぞと聞こえてきた。声色からして男性だろう。
キィ、とドアが開かれると、三十代くらいの精悍な顔付きの男が奥の方から現れた。
「よくおいで下さいました、アリス=ルヴィン=アステリア第二王子。このような場所で拝謁賜りますこと、至極恐悦と存じます」
「・・・・・・・・・やめて下さい、近衛騎士団第三隊ラウズガード隊長」
アリスの疲れたため息を聞いた、ラウズガードと呼ばれる男は、見本のような敬礼を解くと、ニヒッと笑った。先程の格式ばった挨拶には似つかない顔だ。
「いやいや、第二王子にお会いしたのだから、当たり前の対応でしょう」
「だから、それをやめて下さいと言ってるんです。あなたは俺にとって上官なのは変わらないんです」
「ははっ、相変わらずですね、アリス坊ちゃん」
「坊ちゃんもやめて下さい」
「アリス坊」
「殴りますよ」
何やら親しげな雰囲気なのは分かったが、柚葉は二人のやり取りに口も挟めずぽかんとしているしかなかった。アリスは王子のはずで、その上の立場とは、第一王子や王様ぐらいしかいないはずだが。
「で、この子が今回の?」
「ええ。この村にいる間はここに匿ってもらえますか?」
「そりゃあ王子の命令とあらば!」
「命令じゃなく、お願いです」
どうやらラウズガードはアリスの反応を楽しんでいるようだった。彼が喋る度にアリスの表情が疲れていく。
「あ、の・・・」
「ああ、自己紹介がまだだったな、生贄ちゃん。俺はラウズガード=パルマザー。近衛騎士団第三隊隊長をしている」
よろしく、と人の良さそうな笑顔を見せて、柚葉の方へ無骨な手を差し出してきた。古傷がいくつもある、騎士らしい手を柚葉は、びくびくと握り返した。
「ミノリユズハです・・・ラウズガード=ハルマキさん」
「パルマザーな」
「ハルマキーさん」
「お前もう喋るな」
アリスに制止されなければ無礼だと斬られていただろうか。アリスが上官だという人間だ。偉い人だろうに。
「えっと、あの・・・アリスさんの上官さん?」
「え?あー、違う違う!それはコイツがそう言ってるだけで、実際上官なのは王子に決まってるでしょ」
その割には王子をコイツ呼ばわり。いや、かつてアリスに犬のような扱いをしてしまった柚葉には何も言えないのだが。
「じゃあ何で」
「ラウズガード隊長は俺が隊に入ってた時の小隊長。この人の下で訓練を受けていた」
「ああ、それで・・・」
隊を抜けて、今や王子の仕事を真っ当しているアリスはもうラウズガードの従うべき相手になったのだが、昔からの縮図は変えられないのか、二人は親戚のおじさんと子どものようだった。ラウズガードもかろうじて敬語は使っているが、あまり敬意は感じられないし、アリスも部下だと思っているようではない。
「もう俺の上司になったんだから態度も畏まるなって言ってんだけどな。どうも坊ちゃんは頭が堅い」
「ほっといてください」
「じゃあラウズガード?さんは、アリスさんの小さい頃を知ってるんですね!」
「ああ、ラウズでいいよ。そりゃ知ってるよ。あんなことやこんなことまで!」
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