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14 アンスタンの選択
しおりを挟む「ああ、ジュリア! 僕はなんて幸せなのだろう! 生徒会で公私共に僕を支えてくれていた君こそが僕の『真実の番』だったんだ! 今まで紛い物なんかに騙されていた僕が馬鹿だったよ! どうか許してくれ」
「うふふ。いいのよ、愛しいアンスタン。こうして貴方が自分の間違いに気が付いて、私のもとへと戻ってきてくれたのだもの。愛する貴方が私の番で本当に良かったわ。これからは二人で末永~く、真実の愛を育んでいきましょうね!」
「ジュリア!」
「アンスタン……♡」
ひしっ!(チラチラ)
……と、今日も教室にアンスタンと副会長の、甘ったるい愛の声が響く。
――あれから。
二度と話しかけるなと言ったのに、アンスタンはそれはもう、何度も何度も家に押しかけて来ては私に復縁を迫ってきた。その度に失言を重ね、私の家族から叩き出されていた。
そしていよいよ私からも私の家族からも受け入れられないことを悟ると、
『僕はラジョーネに騙されていた! 貴族で、獣人で、どこに出しても恥ずかしくない副会長のジュリアこそが僕の『真実の番』だ! 愛しいジュリア、どうか僕と結婚してほしい』
と、学園内で堂々と副会長にプロポーズをしたのだ。
副会長は大喜びでアンスタンからのプロポーズを受け入れた。そしてそれ以来、毎日この教室を舞台にして二人の愛の劇場を繰り広げている――私に見せつけるように。
「ジュジュマンさん。その……大丈夫か?」
「私? ええ、もう見慣れたし」
昼休み。一緒に昼食を摂っていたパーティング君が私を気遣うように声をかけてきた。
そんな彼に笑顔で返す私。
当初。クラスメイトたちはバカップル代表だった二人の破局を面白おかしく取り上げていた。当たり前だ。これまでアンスタンと私は『運命の番』であると公言していたのだから。
私から拒絶されたことで、アンスタンは自分がそれまで蔑み馬鹿にしていた『せっかく見つかった番に捨てられるような哀れな間抜けヤロー』となってしまった。
プライドの高い彼はそれが許せなかったのだろう。アンスタンはあれだけハッキリと拒絶した副会長に恥も外聞もなく擦り寄った。
散々復縁を迫った私に、
『番と嘘をついて恋人を騙した獣人モドキの紛い物』
のレッテルを張ってまで。
「…ああ……うん、それも、だけどさ。その――元恋人にあんなことまで言われて」
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私が『紛い物』と言われたことを気にしているのだろうか。
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