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19 運命の番(アンスタンside)
しおりを挟むだからラジョーネが運命の番と判明したときはすごく嬉しかったし、すべての謎が解けた気がした。
どうしてあんなにも地味な彼女が気になったのか。明らかに好みから外れる紛い物にここまで執着してしまうのか。すべてはこれが答えだったのだ。
それに運命の番ならば両親だって反対はしない。まあ、多少――外見的な問題について何か言ってくるかもしれないけれど、それこそ紛い物の耳や尻尾で誤魔化す方法はいくらでもある。何と言ってもすべての獣人の憧れである運命の番なのだ。
彼女の番として、僕は最大限ラジョーネの味方をしてあげるつもりだった。
こうなったら結婚は決まったようなものだし、もう我慢をする必要はない。これでようやくラジョーネと肌を合わせることが出来る。今まで外見だけはタイプの女の子達と身体を重ねてきたけれど、彼女たちこそが運命の番の紛い物だったのだ。
これからはラジョーネさえいればいい。
紛い物だろうが番ならば構わない。
何も問題はない。
そう思って遊び相手とは手を切ったのに――ラジョーネは僕の思いを拒絶したのだ。
信じられなかった。獣人が運命の番を拒絶するなんて。所詮紛い物は紛い物でしかなかったのかと怒りでどうにかなりそうだった。あんな紛い物を愛せるのは番の僕しかいないのに。
後で後悔して僕に泣きついてくればいい。
そう思って冷たく突き放したのに、まさか、僕たちだけでなくラジョーネの両親やラジョーネの祖父母まで運命の番だったなんて思いもしなかった。
それならばもう外見すら関係ない。獣人至上主義の両親だって諸手を挙げて賛成するに決まっている。番の血筋を持つ者は、例え番でなくとも高位貴族に望まれたっておかしくはない立場なのだ。急がないと誰かに奪われてしまう。
ラジョーネから衝撃的な告白を受けた僕は関係を修復するため、何度も何度も彼女の家を訪れた。
なのに――ラジョーネに会わせてもらえないどころか、家にも上げてもらえない。
仕方なく必死にドアを叩きながら、声を張り上げて僕の思いを彼女に届けようとしたのだけれど。
「確かに適当に遊び相手で発散させてはいたけれど、僕はずっとラジョーネに惹かれていたんだ! そ、そうだ、ラジョーネさえ受け入れてくれていれば僕は浮気なんて……」
ガチャ…。
「ラジョーネ! やっと僕の話を聞いてくれる気に……」
「――で、お前は運命の番じゃなかったらウチの大切な娘をもて遊ぶだけもて遊んで、冷たく突き放して捨てる気だったんだろう? 冗談じゃない」
「!? …あ……ラ、ラジョーネのお父さん。いや、あの、でも実際に僕たちは運命の番で……だから問題は何も」
「そんなのは結果論だろう。ハッ! 運命の番が何だ。行動が伴わない口だけの番にうちの娘は絶対にやらん。帰れっ! 二度と来るな!!」
代わりに家から出てきた彼女の父親は相当に怒っているらしく、取り付く島もない。紛い物の獣人ハーフといえど狼獣人の迫力は凄まじく、僕はすごすごと尻尾を巻いて逃げ帰るしかなかった。
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