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13 虐げられた可哀想な女の子は王子様のキスに気付かない
しおりを挟む触れるだけの口づけはほんの短い時間だったけれど、すごく幸せだった。絶対にこの幸せを手放したくない、と思ってしまうくらいに。
「……ふふ。大好きな『王子様』と初めてのキスをしちゃったわ」
と、照れ隠しに言ったら何故か柔らかな王子様の目が泳ぐ。
何か、ひどくばつが悪そうだ。
ん……? と私は首を傾げた。
王子様のその表情は、彼が猫だった頃。私と一緒に洗濯物を取り込もうとして、洗い立ての枕カバーに見事な肉球模様を付けた時の顔と似ている……。
何か妙な予感がして、布団から出て王子様が目を逸らした方向へと回り込み、その目を下から覗き込む。
「……王子様?」
「…あ、いやその……別に初めてではないかもなぁー……なんて」
「は!?」
驚いて私が声を上げると、にゃあにゃあと鳴き声が聞こえてきそうな顔で半ばやけくそ気味に王子様が叫ぶ。
「だ……だってだって! 毎日一緒に水浴びしたり同じベッドで寝たりしていたんだぞ!? 毎日キスの一回や二回くらいっ」
「一回や二回!? しかも毎日!?!?」
「責任! 一刻も早く責任取るから!! べ、勉強頑張ろう! なっ!? …………なー…ごめんって……。勝手に何回もキスしたことは謝るよ。だからそんな風に布団に潜ってないで、僕にちゃんと可愛い顔を見せてくれよぉ……」
どうやら可愛い王子様は、私が寝ている隙にとんでもないイタズラをしまくっていたらしい。つい布団に潜ってしまったが……恥ずかしさからなので別に怒っているわけではない。
ただ一刻も早く絶対に責任は取ってもらおう……と、それだけは心の底から決意した。
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