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20 大変よくできました
しおりを挟む「な……何よっ! 貴族の女性が傷を負わされたら責任取って娶ってもらうのが当たり前でしょう!?」
「そ……そうだそうだ! 娘の言う通りだ! 嫁入り前の大事な娘の身体を傷つけられたのだ。責任を取ってもらわなくては!! さあ、殿下こちらへ」
欲望丸出しの妹に父親までもが加勢する。これを逃すと後がない――と思っているのだろう。が、既に詰んでいることに何故気が付かないのだろうか。
「……それなんですけど、本当にその猫は殿下でしたか? 猫違いではなくて?」
「はあ!? アンタ今さら何を言ってんのよ! さっき、アスク様が御自分で「本当に? だって……」」
「貴女は猫に刃物を向けて追い回していたじゃないの。もし本当にそれが殿下だった場合、不敬罪で打ち首にされても文句は言えないわよ?」
「「!!!!!!!!」」
「ううん、それどころか思いっきり殺そうとしていたわ。つまりは王族への暗殺未遂となる訳で……うわぁ大変! 伯爵家もこれで終わりね! 当然、命も――だけど」
「「!?!?!?!?」」
私の言葉にみるみる顔色が青……を通り越して白くなっていく二人。
まあ、実際には王妃様との取引で表沙汰にできない以上、ただのハッタリでしかないんだけどね。この二人はそんな事情知らないし。
「あ…や……、よく見たら違う…かも……」
「…そ、そうだな。色艶がまったく……あ、いやあのお猫様も美しくはあった……が、うん」
「まあ! それは良かったですわ。元家族とはいえ、頭と胴体が分かれてしまっては私も寝覚めが悪いもの。殿下の気が変わらないうちにご帰宅された方がよろしいのではなくて? 先ほど殿下も口に出していらっしゃいましたけど、でないとあまりに不敬」
「「ひ……っ! 失礼しますっっ!!!」」
私の腕の中で。
挨拶もそこそこに退出する二人を見送りながら、王子様はゴロゴロと機嫌よく喉を鳴らしていた。
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