【完結】悪役令嬢と自称ヒロインが召喚されてきたけど自称ヒロインの評判がとんでもなく悪い

堀 和三盆

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本編

3 悪役令嬢と学食。一方、その頃自称ヒロインは……

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 悪役令嬢が召喚されてきてから二カ月。世話係の俺は毎日彼女と学食で昼食をとるのだが……。あることに気が付いた。

 彼女はいつも200円の「素うどん」しか食べない。

 自称ヒロインと悪役令嬢には毎月、学校からある程度の生活費が支給されている。昼食代も一日千円出ている筈だ。お金に困っているということはないと思うのだが。不思議に思って聞いてみれば、

「その……私たちの生活費は領民からの税金でしょう? 毎日寮で変わったおいしいお料理を食べさせていただいておりますし、あまり贅沢をするのはよろしくないかと思いまして」

「いやいや、金出してるのは理事長だから。領民とか関係ないし。好きで食べているのならいいけど、栄養バランスもあるから色々食べた方がいいと思うよ。食も文化だしね。文化交流的な意味でも」

「文化交流!!」

 彼女は大きな薄紫色の目を見開いて、珍しく食い気味に言葉をかぶせてきた。

「そ、そうですわよね。予定外ではありましたけど、せっかくの他国との交流の機会ですもの。しっかりとこの国の文化を体験しなくては」

 それからはメニューの端から端まで、毎日日替わりで楽しんでいた。あまり好き嫌いがないらしく、好奇心も旺盛で食べている姿は一番素が出ているかもしれない。そんな彼女を見てしみじみ思うのは。

「箸使い奇麗になったよなあ」
「い……言わないでくださいませ」

 慣れない箸で麺類は難しかっただろうに、彼女は最初から一番安い素うどんを食べ続けていた。その頃見かねて、大人用のしつけ箸をプレゼントしたのだ。それからたった一週間でマスターしてきたのは流石だと思った。彼女と同室の生徒に聞いてみれば、寮でも使って練習していたらしい。贈った甲斐もあるというものだ。

 メニューを一巡した後、結局彼女はうどんに落ち着いた。なんだかんだ好きだったのかもしれない。たまにたぬきうどんとかきつねうどんとか食べることもあるし、好きで食べているなら問題はない。よっぽど好きなんだなと思い聞いてみれば、「思い出の……」とかなんとかごにょごにょ言っていた。やはり、一番最初に食べた物が一番印象深いのかもしれない。

 ちなみに自称ヒロインはメニューの中から一番高い物だけを選んで食べている。箸は最初から慣れているようだが、あまり上手ではないようだ。


 そんな中、自称ヒロインが「お茶会イベントができなくなったのだから責任をとれ」と、定期的にお茶会を開くことを要求してきた。

 そんな費用はないし、理由もなく生徒のためのケーキバイキングなんてやっていられない。とはいえ加害者はこちらなので、とりあえず「マナー講習会」として、それらしいものを開催することになった。

 ケーキ代だけで完全に予算オーバーだ。

 講師役をどうしようかと頭を悩ませていたら、なんと悪役令嬢が引き受けてくれた。

 悪役令嬢のマナーは完璧で、教え方も丁寧。講習会に参加した生徒からの評価も高かった。

 しかし、自称ヒロインが「私の企画したイベントなのに手柄を横取りして!! 虐めるなんてひどいっ」と騒いだのでそちらの評価は下がるばかりだ。

 ちなみに自称ヒロインは、ケーキの食べ方もあまり上手ではないようだった。



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