【完結】悪役令嬢と自称ヒロインが召喚されてきたけど自称ヒロインの評判がとんでもなく悪い

堀 和三盆

文字の大きさ
7 / 64
本編

7 卒業式での大惨事

しおりを挟む
 あっという間に卒業の日がやってきた。

 空は晴れて、日差しが気持ちいい。ただ、時折強い風が吹いていて、少し気味が悪かった。

 卒業生挨拶。元生徒会長の俺は、用意してきた文章を読み上げながら、学校生活を振り返っていた。

 オカルト研究会がやらかして。自称ヒロインや悪役令嬢と過ごした一年と五カ月。

 何か、色々ありえないし面倒くさかったが、忘れたくても忘れられないくらいの良い思い出になったと思う。彼女達にとってもそうであればと願う。流石に今日はサボりがちだった自称ヒロインも出席している。悪役令嬢も式の雰囲気にあてられたのか、ハンカチを目に当てていた。良い卒業式だ。後は明日、二人を元の世界に帰すだけだ。

 そう思っていた。

 事件は卒業式が終わった直後に起こった。卒業式終了後、保護者や参列者とにこやかに記念写真を撮る卒業生達で講堂の外はあふれていた。

 そこに、突然の突風が起こり、受付の為に設営していたテントや看板が凶器と化した。

 未来への希望あふれる卒業式は一転地獄となった。上がる悲鳴、助けを呼ぶ声。血と呻き声が辺りを支配した。

 こんな筈じゃなかったのに。
 ちょっと前まで希望にあふれていたのに。

 どうすることもできなくて立ちすくむ俺の耳に、聞き慣れた、凛とした声が響いた。

『あるべき姿に戻れ。癒しの光よ……』

 信じられない光景だった。悪役令嬢から放たれた淡い、暖かい光が辺りを包み込み、突風でひしゃげたテントが、看板が、何事もなかったかのように元の位置に戻り、血まみれで倒れていた人達が、何事かと元気に起き上がる。一目で重傷と知れるほどの大ケガをしていた者も、何の痕跡もなく元に戻っている。

「よかっ……た……」

 再びの聞き覚えのある声に振り向けば、うっすらと笑った悪役令嬢が、力尽きたように倒れ込むのが見えて、俺は慌てて駆け寄った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

十二回の死を繰り返した悪役令嬢、破滅回避は諦めました。世界のバグである司書と手を組み、女神の狂ったシナリオをぶっ壊します

黒崎隼人
ファンタジー
十二回の死を繰り返した公爵令嬢オフィーリア。十三回目の人生で彼女が選んだのは、破滅の回避ではなく、世界の破壊だった。 「この世界は、女神の描いた三文芝居に過ぎない」 ループする度に歪む日常、完璧な仮面の下に狂気を隠した婚約者や聖女。全てが残酷な神の「物語」の駒でしかないとしたら? これは、筋書きを押し付けられた悪役令嬢が、同じく運命に抗う謎の司書と「共犯者」となり、狂った世界のシステムに反逆する物語。断罪の先に待つのは救済か、それとも完全な無か。真実が世界を壊すダークミステリーファンタジー、開幕。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆

白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』 女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。 それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、 愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ! 彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます! 異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆  《完結しました》

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

無能な悪役令嬢は静かに暮らしたいだけなのに、超有能な側近たちの勘違いで救国の聖女になってしまいました

黒崎隼人
ファンタジー
乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生した私の夢は、破滅フラグを回避して「悠々自適なニート生活」を送ること!そのために王太子との婚約を破棄しようとしただけなのに…「疲れたわ」と呟けば政敵が消え、「甘いものが食べたい」と言えば新商品が国を潤し、「虫が嫌」と漏らせば魔物の巣が消滅!? 私は何もしていないのに、超有能な側近たちの暴走(という名の忠誠心)が止まらない!やめて!私は聖女でも策略家でもない、ただの無能な怠け者なのよ!本人の意思とは裏腹に、勘違いで国を救ってしまう悪役令嬢の、全力で何もしない救国ファンタジー、ここに開幕!

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

処理中です...