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クリスside
14 明かされる真実
しおりを挟む向こうで恋に落ち純潔を失ったこと。
ヴィーナに頼み失った純潔をケガとして聖女の力で治してもらったこと。
脅しが効いたのかリリーは僕に全てを話した。
「でも、今、私が愛しているのは貴方だけなの……っ!」そう叫ぶリリーの言葉に水晶は反応しない。だからそれは真実なのだろう。しかし、それはもうどうでもいいことのように思われた。
なんということだ。ヴィーナは、僕を裏切ってはいなかったのだ。
あの男を抱えるヴィーナに我を忘れて置いてきてしまったが、あの時点では確実にヴィーナは、ヴィーナだけは僕を裏切っていなかった。なのに、僕はリリーの言葉にまんまと乗せられて。
動揺と怒りで体が震える。少し落ち着こうとリリーをその場に放って自室に戻ると、吸い寄せられるように小さな箱が目に入った。
震える手でそれを手に取ると、うまく持てなくて、中身が床にぶちまけられた。
ヴィーナが、折々に、僕に贈ってくれた刺繡入りのハンカチだ。
拙い刺繍。少し上手になった刺繍。見事な刺繍。
それを一枚ずつ拾い上げ手に取る度に、彼女との思い出がよみがえる。
そうして最後に手に取ったのは、ヴィーナを異世界に追放したあの日にお土産として渡されたハンカチ。見るからに品質の良い、高そうな、けれど僕が足蹴にして踏みつけてしまったために少し汚れてしまったハンカチ。
何となくの習慣で帰った後にこの箱に入れておいた物だが、それにも見事な刺繍が入っている。もらったときはそれを見ても何も感じなかったのに。改めてそれを見ると、胸が締め付けられるようだった。
一針一針丁寧に。まるで芸術品のように飾り立てられて僕の名前が刺繍されている。仕上げるのにどれだけの時間がかかったのだろう。
遠く離れた異世界で。リリーが僕を裏切っている間も、ヴィーナは僕をちゃんと思ってくれていたのだ。
小さい頃からヴィーナは僕を大切にしてくれていた。ケガを治してくれたし、決して他の男に目を向けることもなかった。大きくなって、僕だけではなく、国や民のことに目を向けるようになったけれど、それだって突き詰めれば僕のためだ。
僕と二人、この国を継いでいく未来のため。
そうだ。彼女と結婚していれば、こんなことにはならなかった。
討伐を不自然に焦ることなどなく。
計画通りに終わらせて国は豊かになって。
なんの憂いもなく、心から愛しいと思える子供に恵まれて。
そう思ったら、もうリリーに愛情は持てなかった。子供達に愛情は残っていたけれど、息子の顔は見るのもつらい。
だから隣国から打診があったのをいいことに、まだ幼い息子を隣国へと追いやった。第一王女の王配としてだ。まだ事情を知らない息子は泣いて嫌がったが、息子はこのまま国に残しても、王家の血が入っていない以上跡継ぎにはできない。
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