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6 歩み寄りました
しおりを挟む「わしはお前に何度も言った筈だな? 本当にハミング嬢との婚約関係を解消したいのなら、まずはお前から婚約者に歩み寄れと」
「しかし! 僕の真実の愛はティアにあるのです。か弱いティアは僕が常にそばにいて守ってやらなくては! そうしないと、すぐに己の立場を勘違いした愚か者に虐められてしまうのです! そうでなくても、とてもじゃないがあんな嘘つき悪役令嬢なんかに未来の王太子妃は務まらな「ああ、もういい、まったくもって話にならん」」
「ち…父上?」
「面倒だ。彼女の方から歩み寄ってもらえばどちらが正しいかはすぐにわかる。……ハミング嬢、ここへ」
国王は座ったまま会場に顔を向けると、どこかにいるであろうハミングに声をかけた。
「はい、国王陛下。ただいま参ります」
国王から呼ばれたハミングはそう言うと、ドレスの裾を持ち、優雅に、そしてはしたなくならない程度の急ぎ足で。
ズシン、ズシン、ズシン、ズシン……
「は!?」
「な!?」
「「何だ、なんだ!??」
「「キャー!?」」
ズシン、ズシン……ズシン。まるで伝説に残るドラゴンのような足音で壇上へと昇るハミングに対し、驚きの声を上げる王太子と男爵令嬢。それと、卒業パーティーの参加者。
――が、そのような反応をしているのはパーティー参加者の中でも下位貴族と一部の生徒たちだけで、上位貴族の、しかもクラス分けが成績順で決まるトップクラスの生徒達は無反応。静観している。
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