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13 後がない二人(オディオ視点)
しおりを挟む新たな婚約は認められたが、ルシクラージュの妃教育はお世辞にも上手くいっているとは言えなかった。
公爵家で高度な教育を受けさせてもらっていただけあってルシクラージュもそれなりに優秀ではあるのだが、勉強をやりたくて自分からやっていたクアリフィカと、嫌々やらされているルシクラージュとでは、得られる成果が大きく違うのだ。
それでも時間さえかければ知識面は何とかなるだろう。それよりも、これまで両親から甘やかされてきたルシクラージュにとっては日常的なマナーの方が壊滅的だった。
なにせ、クアリフィカがオディオとの婚約時に出来ていたことすら、ルシクラージュは出来ていないのだから。
マナーが間違っていてもポロポロと食べ物を零していても、これまではルシクラージュの境遇に同情していたし彼女の言うことを盲目的に信じてきたが、それがただの誇張と言い訳に過ぎないことを今のオディオは知っている。
「し、仕方がないじゃない。私はお姉様と同じ教育を受けてこられなかったのだから」
「君がアートルム公爵家に引き取られたのは3歳の頃だろう。それ以降はしっかりと家庭教師がついていたと聞いている。勉強もマナーもそこから始めれば十分だったはずだ。……前公爵夫人の死後、一度も家庭教師をつけてもらえなかったクアリフィカと違って」
「そ、それは……家庭教師がいなくても、王家の教育を受けてきたお姉様の方が私よりも優れているのは当たり前で……」
「既に確認したが、アートルム公爵は愛する君の為にと、王族教育も行っているような優秀な家庭教師を雇っていたそうだ。僕でも名前を知っているくらいのベテラン揃いだから君のその言い訳は通用しない。何より、君はそういった下地がある上で妃教育を受けているのだから、クアリフィカよりもずっと条件はいいはずだ」
「で、でも私は「ルシクラージュ!」」
「いい加減に覚悟を決めるんだ。苦手だからと逃げ回っていても何も解決しない。初めてお茶会で見たクアリフィカは君のように家庭教師はついていなかったが、それでもキチンとマナーを守っていたよ。亡くなった前公爵夫人から教わったことをしっかりと覚えていたのだろうね。母上から聞いたが、他にも公爵家に勤める使用人達に頼んで教えてもらったりもしていたらしい。たどたどしいところもあったが、僕との婚約後に学ぶ機会を得てからはそれもみるみる上達して――そんな彼女を追い落として婚約者としての地位を得たのだから、逃げることは許されない。僕たちの結婚が遅くなれば、その分次代を得るチャンスが減るし、そうなれば困るのは君だ。頑張るしかないんだ……僕も君も。『あの時』の彼女のようになりたくなければな」
「……ヒッ…」
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