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中編
しおりを挟む妹の中では王太子妃教育まで習い事に入るらしい。流石に両親もこれには驚いて待ったをかけたけど、今まで成果を出してきた妹は諦めない。習って身に付けた社交能力で王妃様や王太子殿下の関心を惹きつけ、姉妹だし、機密教育までいってないし、まだ正式には発表していないから――ということで、同席を許す、という形で妹もちゃっかり王太子妃教育に参加することになった。
そしてこうなってしまってはもう止まらない。元々、妹は興味があることにはトコトンのめり込むタイプだ。そして、彼女が興味をそそられるのは「姉と同じ習い事」。妹は王太子妃教育でメキメキ頭角を現し、教師たちを唸らせた。
私が3年かかったことを1年かからず身に付けて、しかも完成度も私より上。既に追い越される勢いだ。両親や王妃様、教師たちにも褒められてキラキラ輝く妹は姉の私の目から見ても美しく、王太子殿下が妹の方に魅かれるまでに大した時間はかからなかった。
お茶会をして、交流をして、それなりに信頼関係は築けていたと思っていたんだけど。私の数倍優秀な妹は、王太子殿下から数倍のスピードで気に入られて、結局いつもの通りの結果となる。
「悪いが……君より君の妹の方が王太子妃として優秀だ。君との婚約は破棄して、妹の方と婚約したい」
「ごめんなさい、お姉様! でも、王太子殿下も私を選んでくださったの」
そんなこんなであっという間に私は追い越されて、王太子殿下の婚約者は妹へと変更になった。優秀な妹を逃すまいと正式に婚約は発表され、立場はもう動かないようだ。
あーあ。だから私には無理だって言ったのにな。こうなる予感はしてたのよ。
家としては婚約者が姉から妹へと変わっただけだし、両親は気にせず喜んでいる。よくやった、お前は優秀だ、自慢の娘だ。そうやっていつも通り妹を褒めまくる両親。それを見てなんだかな、と思う。
妹ほどではないけれど。私も凝り性だから、それなりに頑張っていたのに。ことごとく努力と結果を持っていかれて気が滅入りそうになる――が、こうなることを予想していた私は手を打っていた。
婚約者として王太子妃教育を受ける代わりに、もし、妹が今までみたいに成果をもぎ取っていったら、私は籍を抜いて自由に生きていいと一筆書いてもらったのだ。当時は何が何でもあの話を受けたかった両親は何の警戒もなく言われるがままに書いてくれた。
それでも両親は今になって反対したけれど、そうなることも予想していたので私はちゃんと神殿に正式な契約として書類を届けておいた。私はもう成人しているし、これで強行することだってできるのだ。
そして私は思う。
ああ、ギリギリ間に合った――と。
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