start...again

ガムサボール山道

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start...again

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start...again              山本 剛

  はじまり

 人は、それぞれに、戻りたいけど、
戻れない場所が、ある。
 うまくいっていない者にとって、
そこは、とても複雑で、戻りたくない場所でも、
あるのかもしれない。

 落ちつく場所を、見つけたときこそ、
人は、しあわせである。
 それは、確かだ。
 それを、一度でも、失ったことがある者は、
どんなに辛く、果てしない絶望感と、
歩いていくように、彷徨うのである。

 過去に、そのようなことがあった。

途方に暮れる。

 それは、時には、厳しいことが、
ある人生に、置いて、あることなのかも、
しれないが、避けてたいというのが、
正論だろう。

 居場所が、ない者とは、また朝を、迎えたとき、
自分のいる場所に、まず、ため息を、つくのだと、
知っている。

 彼女は、againと、呼ばれている。

 start との出会い

「やぁ again 」
「今日の天気はどうなんだい?」
「くもり…いや、晴れか?」
顔色を、伺うように、start が言う。
 今日は、真冬の、ある年の、12月23日。
外は、吹雪いている。

 軽いつまらないジョークを、
さらっと言ってしまう。
 それが、startだ。
againの機嫌を、startは、気にする。

「今日も、口をきいてくれないのかい?」
「みんな、僕をからかうんだよ~。」
「無視してる君に、
なんでそんなに、話かけるの?だって。」
「君のことが、好きなのかって。」
「まったく、困るよ~。」
「言わせてもらう。」
「…」
「それは、ちがう。」
 ストレートなことも、ズバリ言う。
そして、話を、もたないまま、喋り続ける。
 startの、よくないとこだ。

「さぁ、今日も、学校いくぞ!ありがとうな。」

 startは、againが、気になって、仕方がない。

 でも、againは、startが、言った、
ある日の、言葉を、忘れない。
 彼の言葉を、信じている。

「そのままの君が、1番だから。
居場所がないのは、僕もだ。」

 againとstartは、隣のクラスの、幼馴染。
いつも、一緒に、登校して、家まで帰る。
 帰れないわけでは、ない。家も、隣りなのだ。
 startは、優しい。でも、気が多い分、
言葉が、たまに、荒い。
 それは、againが、1番よく、知っている。
 だから、無視も、してないけど、
彼の、いつもの言葉を、確かめてから、見送る。
「ありがとうな。」
 それだけは、何故か、変わらない。
startの、良い一面。
 だから、信頼している。

 startの、気ままなところを、確認し、
againの、一日が、始まる。
 彼女の、クラスには、14人の、同級生が、いる。
 仲良しな子は、特に、いなく、
それといって、誰と、話すことも、ない。
 担当の、教師も、クラスから、孤立する、
彼女に、なにかしら、困っていた。

 彼女は、何故に、うちとけることなく、
1人、クラスで、孤立するように、
過ごすのだろうか。

 13人の生徒たちが、againのことを、
嫌っている、わけではない。
 彼女と、むしろ、仲良くなろうと、
思っているのだ。

 againには、実は、考えがあった。

 彼女は、次のステージを、見ながら、
生きている。
 ぬるま湯に、浸かるのが、嫌い。
馴れ合いや、お遊びなんか、大嫌い。
 クラスの子たちが、年下に思えて、仕方がない。
「昨日のテレビで、あれみた?」とか、
「最近、流行ってる、あの店いく?」
 いつもくだらないなぁと、感じ、
周りと、一線を、引いているのだ。
 楽しい事が、目の前に、あるのに、
周りの事に、いっさい、興味を、示さない。

 だが、本当に、そうなのか。
本当の彼女は、一体、どんな子なのだろうか。
 そして、果たして、againは、
何を、手綱に、そこまで、突き進むのだろうか。

 彼女は、乗馬を、習っている。
馬の気性や、馬を、訓練する上で、
重要な、冷静さがいる。
 不安な、気持ちのまま、馬に、乗ると、
幾度となく、振り落とされてきた。
 馬は、居心地の良さを、主に、ゆだねる。
 幼い頃から、それを、学んでいたのだ。

 本を、読むことより、
先に、馬と遊び、世話をし、
愛馬の、アレックスの、そばにいた。

 againの両親は、祖父の代から続く、牧場を、
経営していたため、そんなagainを、誇りに思い、
特に、心配は、していなかった。

両親は、安心していた。

 だからなのか…。自然に、不安になる。
彼女は、孤独と、闘っていた。
 みんなと、いる時の、こころの違和感。
1人になれば、急に、襲ってくる、孤独感。
 納得できる、答えを、問い続ける。
このように、何故なるのか。
 矛盾している。
両親からも、愛されて、育てられ、
 馬に乗ったり、勉強したり、そんな話を、
同級生に、することも、なく。

 普通じゃない。
againの、こころの中で、繰り返し、
頭の中で、抱えている言葉。
 それは、普通じゃない。

「again 、君は、どこを、目指して、
 どこに、行くつもりだい?。」

「そんなんじゃ、荷物が、多すぎて、
 疲れやしないか?。」

「少しでも、しゃべってみないか?。」
「僕なら、話をきくよ。」

 そう、最初に、声を、かけてきたのは、
startだ。

 againは、応える。

「私の何を、見ていたの?。」
「あなたには、わからない。」

「でもさ、自分の気持ちを、知るために、
 話を、したり、しゃべりあったり、
 君はしないの?。」

「遅いなんて、思わなくて、いいから、
 話して、ごらんよ。」

 何回も、このやりとりを、した後、
againが、こう、話だした。

「…。」

「…。私は…。」

「私は…。」
「私は、本当に、なにもないのよ。」
「私には、なにもないの。」
「気持ちも、こころの中も。」
「世界に、無という物が、あるなら、
 私のことよ。」

「実に、面白いことだ。」
「そんな風に、例えを、言える。」
「それは、すごいじゃないか。」
「それが、無で、ある事を、
 恥じらいを、持っていると、したら、
 それもまた、面白い。」
「君は、本当に面白い人だ。」

「私が、無だから、
 世界に、どこにも、居場所が、なく、感じて、
 残るものなんて、何もないのよ。」

「それで、クラスの子と、距離を、
 とっているの?」

「うん、それが、何より良くないの、かしら?」

「どんなに、思い出を、作ったりしても、
 戻るとこが、無なら、なにもないのよ。」

「なにもないとこに、花を咲かせる。」
「人類の歴史の、最後の課題だ。」
「それに、君は、立ち向かってるんだね。」

「ははは。」
「startって、馬鹿だと、思っていたけど、
 頭が、良い一面が、あるのね。」

 その日が、初めてだった。
ゆっくり、相手の話を、聞き、
話を、しながら、自分の想いを、伝える。
 そんな事を、早々に、
捨てて、しまっていたのかも、しれない。

 どうせ、無い。
 普通、じゃない。

 人は、それぞれ、持つものが、ちがう。
良い一面、悪い一面。
 望むもの、愛するもの、
捨てるもの、探すもの。
 すべてが、ひとつ、正解が、
用意されている、わけでもなく、
 持ち合わせるものも、それぞれが、ちがう。

 何より、わたしらしく。羽ばたくため。

 素の自分が、無なら。
何を、もっていこうか。

 その日から、againは、
よく笑うように、なった。

 彼女は、周りに、好かれることから、
逃げていたようだ。

 そんな自分と、さよならをし、
また、一歩踏み出した。
 大好きな、startと、笑いながら。

  おわり







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