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異能力がはびこるこの世界で

第1話 すべての始まり

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中学3年の冬、受験勉強に追われていた俺は日々、徹夜というものを繰り返し心身共に疲れ果てていた。
ふと、何気なしに飲み物を買いに外に出た。
外は思いのほか明るく、とても深夜を回っているとは思えないほどだった。しかし、やはり冬だけはあって肌寒いなぁ。
そんな事を思いながら近くの自販機の前に立ち飲み物を選んでいると
路地の向こう側から声が聞こえてきた。
「や・・・れ!」 
しかし上手く聞き取れず耳を済まして聞いてみる。
と、その瞬間、ドスッ、と不自然な音が聞こえた。
「誰だろう、こんな時間に」 
やはり不自然である。
ほんの興味本位に覗いて見た。
そこには人が横たわっていて何か赤い血のような物が流れている。
「...って、う、嘘だろ?」
そこには血を流し倒れている人と、ナイフを持っている人がいる。
俺は脳内を整理した。しかし、ショックのせいか頭が回らない。
「だ、誰だ!」
ナイフを持った恐らく殺人犯であろう人が叫んだ。
反射的に身を隠して考えた。
って、何を考えているんだ!逃げないと!俺は走った、とにかく前へ、殺人犯は人がいたであろうと察知したのかその存在に気ずき追いかけていた。とにかく通報だ、えーと警察は何だっただろう。 
「待ちやがれ!」
「はぁ、はぁはぁはぁ、っくそ、速い、このままだと追いつかれる!」
殺人犯はどんどん距離を縮める。
バシッ、肩を掴まれた。そのまま後ろに倒され
「へへ、やっと捕まえたぜ、お前には悪いが見ちまったもんなぁ、落とし前はしっかりと付けてもらうぜ?」
殺人犯は邪悪に笑うとナイフを振りかざして
「あばよ」
「や、やめろ!くそぉ!」
手足をじたばたさせて食い止める。
「無駄だぜ?そんなんじゃぁ俺はひるまねぇよ」
死を覚悟した。
その時
『ゴロゴロゴロゴロォォン!!』
雷がなった。
その瞬間目の前が真っ白になった。


目が覚めるととそこは自分の部屋のベッドだった。
「またか」
またあの夢だ。
ふと、時計を見ると8時12分を指していた。
「あー、もう8時かぁ...」
え?8時?
「...やばい」
急いで家を出た。
昨日が休みだったからって怠け過ぎだろ!!
そう自分に言い聞かせながらペダルを漕いだ。
あ、そうそう、あの夢とは現実の事なのである。
まぁそれからの出来事は今急いでるんでまた後でね

「1時間目から現国とかダリぃわぁー、なぁ?春臣ぃ~」
前の席でうだうだ言っているのは友人の吉宮、中学からの同級生で今は地元の翔洋谷高校の同じクラスメイトだ
「そんな事ないよ、俺結構現国好きだし」
こういった他愛も無い話をしてごく普通の高校生活を送る。
これが俺の日常なのだ........ある事を除いては。
ぶっちゃけ春臣は異能力者だ。
都市伝説なのだ。
そう言うと未知の存在っぽくてちょっとカッコイイのだが春臣は自分が異能力者であるというのに異能力の存在を否定しているのである、その理由は後ほど出てくるのでお楽しみにっ!
まあ、異能力については国が秘密裏ひみつりに研究してるとかしてないとか。
それに当然の事、春臣は周りに異能力者であることを隠している。
理由は言うまでもない。
『ガラガラガラガラ』
教室のドアが開くとそこには黒髪メガネの美人教師、百原ももはらが立っていた。
「授業が始まるぞ、早く席につけ」
淡々と言うその表情はいかにもしっかりもの感が出ていてとてもいい先生だと思う。
「やべっ、先生きた!じゃあまた後でな!」
そう言い残し吉宮退場、自分の席に戻っていった。
 
『キーンコンカーンコーン』
『コン』だけが異様に短いチャイムが鳴り、下校の時間が訪れた。
「はぁー、やっと終わったー」
大きく伸びをし下駄箱を開ける。
するとそこには1通の手紙が入っていた。
『放課後、体育館裏に来て欲しい』
「こ、これは、まさか...」
ラブレター!?ウッソぉぉ!?マジで!?てかなんで俺なんかに?女子とはあんまり喋った事ないのになぁ。
舞い上がって俺は急ぎ足で体育館裏へ向かった。
そこには一人の女の子が立っていた。
金髪赤眼せきがんツインテールのいかにも人当たりの良さそうな可愛らしい女の子。
「き、君は?」
その子は一呼吸おき。
「あなたは異能力者ですね?」
頭が真っ白になった。
「は?....い?」
背筋が凍りついた。

続く
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