滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
138 / 744
2:カブキーフェスタへの道

138:龍脈の棟梁(シガミー)、きぐるみと食卓

しおりを挟む
 姫さんリカルルが、しきりにしりを向けてくる。
「なんでぇい、邪魔じゃまだな?」
 尻尾しっぽが生えてない、ねこ毛皮けがわをぺちりとたたいてやった。

「ふっぎゃっゝ@☆ん∮※#――――!!!!!!!!!!」
 うるせえ。
 仕返しかえしとばかりに飛んできた手刀しゅとうが、つくえかどに当たる。
 ――――ごばぎゃ!
 朽ちた倒木とうぼくのように、粉々こなごなくだけ散るつくえ
 安物やすものつくえだ。そりゃもろい。

 けど――――やべぇ、〝猪蟹屋ししがにやん〟は金剛力こんごうりき使つかえるんだった。
 しかも――ただ着るだけで・・・・・

 ふっとぶながはこに、必死ひっしに飛びつく。
 ぱしっ――――ずざざざざぁー!
てててっ!」
 ひめさんのおさがり――ツナギとかいう仕事着しごとぎつちほこりはいらないけど、ぶつけりゃ怪我けがをする。
 鑑定結果びーどろは見てもらえただろうから、〝猪蟹屋んふく〟をかえしてもらおう――あ。

「みゃにゃ、ふにゃにゃ!」
 立ちあがると、こしを落とした〝猪蟹屋んひめさん〟がまたしり……いや、背中せなかを向けてきた。
「そういうことか――わるい、わからなかった」
 背中せなか金具かなぐをつかんで――ジッジジジジジィーーーーーーッ!
 と引き下ろすと、すぽんと姫さんリカルルが飛び出してきた!

「っきゃっ――!?」
 むっぎゅっ♪
 どたりっ!
「痛ってぇ、ど、どいてくれ、つぶれちまうぅ~」
 ながはこはあたまのうえにかかげて、どうにか死守ししゅした。
 こわれてもスキルでなおせるけどコイツ・・・ぁ、霧の場所こことガムランちょうをつなぐ命綱いのちづなだ。
 大事だいじにしておくに、越したことはない。

「し、失礼しつれいなっ! わ、わたくしはソコまでおもくは、有りませんでしてよっ!」
 いいから、この豪華絢爛な尻ごりっぱさまをどけてくれ――!

「――もうっ!」
 しりを押さえた姫さんリカルルが、飛びのく。
 そっか、おれが脱がせてもらったときも――ひめさんの豪華ごうか胸元むなもとに、ぶち当たったっけ。

「ほら、手をかして差しあげますわっ」
 その恥じらいの表情ひょうじょう
 ニゲルなら、よろこびそうだ。

「よいしょっと――またつくえを出さないとな」
 ヴッ――――ごとん。

 つくえを出して、〝ながはこ〟をそのうえに置いた。
 おのおのたおれた椅子いすを持ってきて、正面しょうめん腰掛こしかけた。
「はぁぁぁぁーっ」
 ながいきをはく、伯爵令嬢はくしゃくれいじょう
「ふぅぅぅぃーっ」
 おなじくながいきをはく、一般市民いっぱんしみん子供こども)。

 すぅ――はぁ――すぅ――――はぁ――――すぅぅぅぅぅぅ――――――――

「――――それで、はなした相手あいては、どなた・・・だったんですの?」
「――――鑑定結果かんていけっかはみれたか? あと、なんで長い箱コイツのつかいかたがわかった?」
 からみあう視線しせん
 あせ気持きもちが、会話かいわをさまたげる。

 すぅ――はぁ――すぅ――――はぁ――――すぅぅぅぅぅぅ――――――――ふた呼吸待こきゅうまつ。

「――――妖狐ようこ……ルリーロさまと、ウチのめしかみだった」
「――――鑑定結果かんていけっかとおり、コレは〝通信機つうしんき〟ですわ」
 からみあう会話かいわ
「――――だからココがドコだとしても、たぶんなんとかなる――とおもうぜ……だよ」
「――――央都おうとのおとうさまと話をするのに、似たもの使つかっていますのよ」

「「おちついて――」」
 …………。…………。
 ひめさんが手のひらをさしだす。
 さきにしゃべれと言うことらしい。
「そ、そうだなー。めしでも食いながら――ゆっくりはなそう」
「そ、そうしましょう。さしあたって、危険きけんもないようですし」

 ひとまず〝猪蟹屋ししがにやん〟は、着ないでおく。
 めしさきだ。

 ギューッ――ばくん♪
 あたまを閉じたら、なかひとが居るみたいに〝あつみのあるひとのかたち〟になった。

「シガミー、もう一脚いっきゃく椅子いすを出せるかしら?」
「売るほどあるから、出せるけど」
 ヴッ――――ことん。

「よいしょっと――これでいーわねっ♪」
 あたらしく出した椅子いすに、姫さんリカルルが〝猪蟹屋ししがにやん〟をすわらせた。

「うふふふふふふふっ」
 猫耳頭ねこみみあたまのひたいを執拗しつようになでる、そのかおはやさしげに見える。
 根はわるやつではないのだ。ただ、戦闘狂せんとうきょうなだけで。

 ぼくも、そっと猫耳頭ねこみみあたまをなでた。

   §

 献立こんだては、収納魔法具しゅうのうまほうぐに入れて置いた〝寿司一式すしいっしき〟でつくれるものになる。
 〝魔法粥まほうがゆ〟と〝串揚くしあげ〟の材料ざいりょうもあるけど、さすがに飽きた。

「それで、イオノファラーさまたちからの連絡れんらくは、いつごろになるんですの?」
 さかな短剣ナイフでさばいていく、伯爵令嬢リカルル
 その手際てぎわ立派りっぱなもので、料理指南役リオレイニア人知ひとしれぬ苦労くろうがしのばれる。

「わからないって言ってたよ」
 五百乃大角いおのはらようにしまって置いた〝ムシュルがい〟を取りだし、貝殻から以外いがい収納魔法しゅうのうまほうで分けた。
 かまどのあみうえに乗せ――「生活魔法ひのたま」――火をつけたボウヮ!

「じゃあ念のため、この子をシガミーに着ておいてもらったほうが、安心あんしんかしら?」
 わざわざ手を――「生活魔法みずのたま」――であらって綺麗きれいにしてまで、猫耳頭シシガニヤンしたいをなでる。
 そこまで気に入ったのか。わからん。
 もっと綺麗きれいの張るものが、ひらたいしろにはゴロゴロしてたけどなー。

「ソレは大丈夫だいじょうぶらしいよ。この場所ばしょには――たぶん・・・ほかなにもいないから、安心あんしんしてって言ってた」
 いろいろな調味料ちょうみりょうがでる酒瓶さかびんから、あつめておいた――〝しょうゆ〟。
 ソイツを――たらぁり――じゅわわわわっ♪

「あら、とても良いかおり♪」
 川魚さかなあぶらで焼いてるから、ソッチからも良いにおいがしてくる。

「よーし、できたぁ!」
「こちらも、できましたわぁ!」
 こう見えて、彼女かのじょはうまいめしつくれる。
 もりおく五百乃大角いおのはら生身なまみ)が出たときや、猪蟹屋ししがにや行列ぎょうれつ人手ひとでが足りなかったときにもたすけてもらった。

「あら、この〝ショーユウ〟っておいしいわっ♪」
 口元くちもとを押さえ、そんなことを言う。

「コッチの〝さかなを揚げたヤツ〟も、すげぇうめぇ♪」
 こうして、うまいめしさえ食えてりゃ、ひめさんともたのしくやっていけそうだ。

   §

「っぶっふぉ、けほけほっ――――い、〝居るいる〟じゃねぇーかっ! 大嘘おおうそつきやがって、あの惡神わるがんみめっ!」
 そろそろ食べおわりそうなころに、ソレは起きた・・・
「っきゃぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――た、〝たぶん〟って副詞《ふくし》がついてたから、うそではありませんわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 きりなかからのっそりと、降りてきた・・・・・のは――――〝地を揺らすことなく〟あるく、巨大きょだいなんか・・・あしだった。
 そのはばは物置小屋《シガミーてい》の三倍さんばいはありそうで、踏まれたら蘇生そせい――――できないとおもう。

 最初さいしょは、とおくのほう巨大きょだいはしらが立っているのを、ひめさんがみつけた。
 食べ終わったら、行ってみようと言うことになって――きりが食卓しょくたくながれこんできて――うえを見あげたら一面いちめん天井てんじょうで――いまにいたる。

つよふくを着てるひまがねぇ――――いそいであししたから出ねぇとぉーーーー!」
 通信機ながいはこだけ持って、食卓つくえをとびだす
「け、結構けっこうおもいでぇすぅわぁーーーー!」
 ひめさんが、自分じぶんよりおおきな猫耳頭人間シシガニヤンを、大事だいじそうにかかえた。

迅雷ジンライは、なにがあってもこわれねえから放っといて良い! 〝猪蟹屋んそいつ〟は捨ててけっ!」
「だぁーめぇーでぇーすぅーわぁー、そーんなかわいそーうなことが出来できるわけがぁーありませぇーんでしてぇーよぉーぅ!?」
 迅雷ジンライがっていうんじゃねーな。
 その猫耳頭ふくのなにが、そこまで気に入ったんだよ。

 しかたねぇ――引きかえす。
 本当ほんとう金剛力こんごうりきがないと、まだまだ非力ひりきだ。
 みすなかあるいてるみたいに、からだがおもい。

 がしり――ようやく、〝強い服シシガニヤン〟にとりついた。
 ひめさんが、なんでかこしを落とした。

 ――――ズゥォォォォォォォォッ!
 ひめさんのあたまに、巨大きょだいひらたいあしうらが――さわってる。
 やべぇ、あまりにも巨大きょだいなせいか〝あし〟のはやさが、つかみづれぇ!

「はぁ、ひぃ……じ、迅雷ジンライ、おまえ――自分の足で・・・・・はしれよ!」
 兜頭あたまひらいたり、猫頭語ねこごをしゃべったりは出来できるんだから、ソレくらいしろ!

「ふにゃぁァぁごっ
 猫耳頭シシガニヤンが、ケンカしてるときのねこみたいに鳴いた。

ーーー
副詞/品詞の種類。名詞以外の、文やその内容を修飾する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...