滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
156 / 744
2:カブキーフェスタへの道

156:龍脈の棟梁(シガミー)、わるだくみとネコチャーン

しおりを挟む
 ふぉふぉん♪
『FATS>バイタルデータへのアクセスには<上位権限>が必要です』
 わからん。

 ふぉん♪
『>プレイヤー〝オノハラレン〟の初回デジタイズ時に身体的特徴項目は追記されておりませんでした』
 うん、それで?

 ふぉん♪
『>中肉中背であることが確定しました。イオノファラーの個人ライブラリを横断検索した限りにおいては、温厚篤実かつ一意専心な人物のようです』

「(なに!? したぱらが出てねぇだとっ?)」
 五百乃大角いおのはらみたいな大食おおぐらいじゃねぇのか。
 それなら、信頼しんらいあたいする……気がしないでもない。

 ふぉふぉん♪
『>〝名称未設定ワールド〟を作成後、〝オノハラレン〟は一度もログインしていません』
 かみなのに路銀ろぎんがねぇ?
 まあ、あんな大食おおぐらいのいもうとさまがいたら、さぞかし食費しょくひこまってただろうが。
 兄神あにがみさまの苦労くろうしのばれた。
 もっとも、いまその苦労くろうをおれと迅雷ジンライが――肩代かたがわりしてるわけだが。

「シガミー!? 聞いていますのっ!?」
 ひざかかえてすわり込み、床穴ゆかあな尻尾しっぽを差し込む猫耳頭シシガニヤン
 そんなひく位置いちに居るおれに、謝罪しゃざい姿勢しせいをさらにかたむけるひめさん。
 ながかみが、おれのおおきな兜頭あたまに垂れた。
 ビードロのなかから見上みあげれば、あかみがかった金糸きんしがとぐろを巻いてる。

「まあでも――にゃ。ウチの五百乃大角かみさんめずしく頑張がんばってくれたのもあって――にゃ、こうして無事ぶじかえってこられたんだし――にゃ、そこまであやらなくても――――」

「いーえっ! ソレだけではありませんのよ――」
 さらにかおをよせるひめさん。
 まつげがながくて、目がでけぇ。
 猫耳頭おれの、でかいマヌケがおがよく見える。
 そしてやたらと、はだがキメこまけぇ。
 あたまから突きでた狐耳みみすら、とてもこのましくおもえてきた。
 前世ぜんせ猪蟹おれだったら、いろんな意味いみでイチコロだったんじゃねーか。

 それと猫耳族の猫頭ミャなんとか――なでなでなでなで――よこからおれの兜頭あたま執拗しつようになでるんじゃねぇよ、邪魔じゃますぎんだろぉ!

「これはココだけのおはなしにして、いただきたいのですけれど――――」
 いいのか? スグとなりに猫耳族ひといるけど?

「――――どうやらギルド再建さいけんにあたり……イオノファラーさま密約みつやくをかわしたそうなんですのよ――そちらのくわしいことは、まだわからないのですけれど……」

「(おい、ちょっとまて、なんだその〝密約みつやく〟ってぇのわぁ?)」
 おれぁ、聞いてねえぞ?
 五百乃大角いおのはら姿すがたが、また見えねえとおもったら――逃げたか、あの野郎やろう
 ウチの大飯おおめしぐらいもかかわってるなら、ますますひめさん……そして、コントゥル家を責めるわけにはいかねぇ。

「さっぱりわからんが、わかった――にゃ。もう気にしなくて良い――にゃ。どーせ五百乃大角いおのはらが、そそのかしたに決まってる――にゃ。むしろ、腑に落ちねぇのわぁ、さっきの神官モサモサどものほうだぜ……わよ――にゃ」
 だってなー、伯爵とのさんが待ち構えてたってことわぁ――ガムランちょうから連絡れんらくが行ってたってことだろ?

 ふぉん♪
『>はい、通信機を使用したと思われます』
 だよなー。だからおれが五百乃大角いおのはら関係者かんけいしゃだってことは、とっくにバレてたわけで。
 魔物まものおもわれて、おそわれたわけじゃねぇんだから――そりゃ当然とうぜん故意にわざとだ。

 ピクリとふるえる、あかみがかった金糸かみ
「そ、そそそそそ、ソレにつきましても、あ、あやらなければなりませんのよっ!」
 リカルルがなにかを、差しだした。

 こしのうしろ、ふと革帯かわおびから取りはずされたのは、長い箱・・・だった。
 ふぉん♪
『>すこし形は違いますが、通信機のようです』
 ああたぶん彼女ひめさんいえ央都ここはなしをするのに、普段ふだんから使つかってるやつだろう。

 神域しんいきで見つけたやつは、どこやったっけ?
 ふぉん♪
『>神域に設置した大イオノファラー像の、背中の箱の中です』
 そっか。

「ザザザザッ――――もしもしぃー? シガミィーちゃぁぁん? あのねぇー、じつわねぇー。言いづらいんだけぇどぉさぁー、ほんとぉわねぇー、ええっとねぇーーーー」
 聞こえてきたしたっ足らずなこえは――超煮ちょうにえ切らなかった。
 奥方おくがたさまけん牝狐めぎつねであらせられる――ルリーロだ。

「――よこに有るおおきなボタンを押すと、コチラの会話こえが向こうにつたわります――」
 ガッキン♪
さっぱりにゃわからねえけどみゃにゃー言ってみてくれふーにゃみゃ――怒らねぇからにゃみゃにゃ

「「ザザザザッ――――ネコチャンだぁー♪ ネコチャーン?」」
 いけね、猫語ねこごだった。
 あと、やっぱり五百乃大角いおのはらが向こうに……ガムランちょうにいやがる。
 もとから居たけど、こっちに来てたひらたくてちいさいほう(向こうのもけっしておおきくはねえけど)が逃げた。
 もーこれ、ややこしすぎるだろ。

 開けろ迅雷ジンライ――いや自分じぶんでやらねぇと、いけねえのか。
温泉おんせん入浴にゅうりょく八町分はっちょうぶん――だったか――みゃ?」

 ぷぴぽぽーん♪
『>〝頭部防具:シシガニャン・へっど〟を装備から外しました。
 ぷっしゅしゅしゅぅぅぅぅっ――――ごっぱぁ♪
 目のまえがひらけ、怒鳴どなごえが聞こえてきた。

可憐かれん少女しょうじょが、魔物まものに食べられてるっにゃ!? いまたすけるみゃっ!!!」
 それ、またやんのかよ。いまいままで、あたまをなでたりしてただろ。

 きゅきゅきゅ――ガシンッ♪
 しろ椅子馬いすうまが、目のまえに陣取じんどり――〝ミャんとか〟が背中せなかかかえてた大筒おおづつを乗せた!
 やべぇ撃つ気だ!

「いまぁーたぁーすぅけぇーまぁすぅーわぁー!!」
 ご令嬢おまえも――けんに手を伸ばすんじゃねー!
 もうまえに何回なんかも、やっただろーがよ!

   §

「まったく、いまおれぁうごけねぇんだから、よけいな手間てまを掛けさせるんじゃねぇ……ないよねぇー」
 すっかりもどっちまってたけど、知らないやつのまえでじじい……おっさんみたいなしゃべりかたをすると、悪目わるめだちすんだよな。
 城塞都市となりまちですら、不馴ふなれなニゲル語をつかっちまったときに、二度見にどみられることがあったし。

 ふぉん♪
『>央都なら、なおさらです』
 わるかった。いまさらだけど、気を付ける……よわぜ。

 錫杖しゃくじょう鉄輪てつわしばりつけた〝迅雷ジンライ式隠しきかく蓑製みのせい〟の〝やたらとつよつな〟と、〝使用済しようず避雷針ひらいしん〟。
 そんなので、暴漢二人こいつらをがんじがらめにした。
 尻尾しっぽが抜けないギリギリで、つなを巻き付けるのに――――〝投げ縄〟、〝ロープワーク〟、〝捕縛術〟の三つのスキルを収得とった

 ふぉん♪
『>使用した、SPは13ポイントです』
 もう必要ひつようなスキルわぁ、どんどん取ってかまわぁね……かまわないよ。
 いのちあっての物種ものだねだ。

 ふぉん♪
『>了解しました、では100P以上のSPを消費する場合にのみ、確認することにします』

 ながはこよこおおきな牡丹ボタンをつよく押した。
「ルリーロかぁ? きこえてるかぁ? おれたちわぁ同郷どうきょうだし、もうなんどかかたなまじえたなかだろぉ。おこらねぇからはなしてみてくれっ」
 聞こえてんのかわからんけど、ちゃんとはなせたぞ。
 牡丹ボタンをカチャリと、はなした。

「ザザザザッ――――じゃあ、いうわぁねぇー。魔物まもののぉー姿すがたをしたぁー〝手練てだれ〟が行くからぁー、最新さいしんのぉー〝身代みがわりふだ〟のぉーテ・ス・トをぉーしてぇーねって、〝ギ術開発部ぎじゅつかいはつぶ顧問こもんにぃー、おねぇがぁいぃーしたのぉよぉぉぅ。ごぉめぇんーねぇー?」
 手酢都てすと? 央都ここちかくには、またべつまちがあんのか?

 ふぉん♪
『>テストというのは、〝試し斬り〟です」
 なんだと。
 ちょっとおだやかじゃ、無くなってきたなぁ。

「じつわ、ぼくが――その開発部かいはつぶ顧問こもんだにゃ♪」
 キュキキュィン♪
 猫耳族ねこみみぞく猫頭ねこあたま。そいつを乗せた〝しろ馬椅子うまいす〟が、颯爽さっそうと立ち上が――

「――たい、たいにゃっ!」
 〝迅雷ジンライ式隠しきかくつな〟は簡単かんたんには切れないし、おぼえたばかりの〝捕縛術ほばくじゅつ〟でがんじがらめにしてある。
 …………はなしのながれじゃコイツは、あたまが良いはずじゃなかったのか?
 そしてかくつな二人ふたりあいだわたしてあるから、片方かたほうが引っ張られりゃ、もう片方かたほうも引っ張られる。

「ちょっと、引っぱらないでちょうだい! ったいでぇしょぉぉがぁぁー!」
 きみたちうるさいよ、ちょっとしずかにしててくれる?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...