滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

３：ダンジョンクローラーになろう

３９８：美の女神の料理番（シガミー）、温泉と下剋上その２

「このへんで良いか」
　瓦礫置がれきおき場になってる、村むらはずれにやってきた。
　ぽこぽきゅむん♪
　仕舞しまっておいた、〝特撃型１０号改シシガニャン〟を取り出す。

　ごそごそ。
　開ひらいた背中せなかから中なかに、潜もぐり込むと――むぎゅ、ジィィッ――ガチャ！
　お？　ひとりでに背中せなかが閉じたぞ？

　カヒュゥーイ――がちん♪
　兜頭あたまは付けっぱなしだったけど、そっちもひとりでに――
　よりしっかりと閉じられた。

　ふぉん♪
『＞ひとりでも着用できるように、バージョンアップされています』
　そいつぁー良いぜ。誰だれの仕事しごとかわからんがでかした。

　ぷぴぽぽーん♪
「ハッチ閉鎖へいさを確認かくにん、ハッチ閉鎖へいさを確認かくにん――気密保持開始きみつほじかいしします」
　五百乃大角いおのはらの声こえがして一瞬いっしゅんの暗闇くらやみ――――ヴュパパパパッ♪
　大おおきな画面モニタ一面いちめんに、冒険者ぼうけんしゃカードと同おなじ紋章もんしょうが出た。

　チチチピピッ♪。
　小鳥の鳴き声きどうおんがして――「無駄むだにかわいいのよねぇぇん・」――外そとの音おとが、よく聞こえるようになった。

　よぉし、コイツを着りゃぁ、画面がめんもエディタも広く・・使つかえるし――
　何なにより、いくらか頓知とんちの足しになるだろ。

　ふぉぉん♪
『＞はい。私の演算効率を１００とした場合、現在のシガミーの演算効率は８です』
　ああ、それで良いぜ。
　どうして強化服シシガニャンを着るだけで、〝頭あたまが冴え渡わたるのか〟わぁ――あとで聞く。
　説明せつめーを聞いた所ところで、おれにはわからねぇかもしれんが。

　ぽふぽふん、ぽふぽふふん♪
　人数分にんずうぶんの座布団ざぶとんを、横倒よこだおしになった大壁おおかべの上うえに並ならべた。
　よっこらせっと、座すわると――
　茅の姫ホシガミーと、御神体いおのはらと、棒ぼうがそれぞれ、座布団ざぶとんにに乗った。

「（さて考かんがえるがぁ星神ほしがみよぉ、五百乃大角いおのはらの神格しんかくを奪う・・ってなぁ、どんな了見りょうけんだぜ？・）」
　猫共用語ねこきょうようごになっちまうから、おれは念話ねんわで話はなしをする。

「（ただ今いま、イオノファラーさまのスキルポイントが補充ほじゅうされることは、ありませんよね？・）」
　おれの四、五年後ねんごの姿すがた。
　星神ホシガミーが核心かくしんらしいことを、念話ねんわで聞――!?

　ィィイィンッ――――！
　一瞬いっしゅん、瓦礫がれきの隙間すきまから、研ぎ澄まされた殺気さっきが飛んできた。
　立ちあがり、ソッチを見るも、誰だれもいない。
　けど、リカルルかルリーロの、癇かんに障さわったらしいのは確たしかだ、

「（ふう――一応いちおう、念話ねんわはひかえてくれやぁ）」
　ぽきゅりと腰こしをおろす。

　ふぉん♪
『ホシガミー＞失礼いたしました』
　シシガニャンの大おおきな画面モニタの隅すみを、一言表示ティッカーが流ながれていく。

　ふぉふぉん♪
『イオノ＞ＦＡＴＳからサーバーへのアクセスは、
　　　　　一切出来ないから基本的にＭＳＰの補充は、
　　　　　今後一切、ないわねぇん♪」
　おい飯めしの神かみ、なんで威張いばってる？
　お前まえさんの、生き死ににも関わる話・・・・・・・・・・だろうがぁ？

「なルほど、逆ぎャくニ茅野姫かヤのヒめハ、ＨホシガミＳＰスキルポイントノ補充ほジゅうが可能かノうトいうことデすね？・」
　まて迅雷ジンライ、神かみどものスキルポイントわぁ、たしかに大事だいじだがぁ――
　それと五百乃大角いおのはらの神格アカウントが乗っ取られちまう・・・・・・・・って話はなしは、別べつの話はなしだろぉ？

「ＨホシガミＳＰスキルポイント……も載ってない……ぺらぺらら」
　攻略本とらのまきにも書かれてねぇとなると――
「本格的ほんかくてきにーＦＡＴＳシステムの調子ちょうしがぁー、悪わるくなってるのかしらぁ？・」
　神々の船ＦＡＴＳとやらが、神々かみがみの世界せかいとの行き来を出来できなくたって――
　いままで、船それを道具として・・・・・便利べんりに使つかえていた。

『ホシガミー＞私の星神の力は惑星ヒースを流れる、
　　　　　　　龍脈そのものから発生しています』
　うん。たしかにその体からだは、龍脈りゅうみゃくから神力かみなりを生み出すことが出来できた。

「よいっ――しょっ！」
　急きゅうに星神ほしがみは、ちかくに生えてた雑草ざっそうを引き抜いた。
　非力ひりきだって言ってたが、なかなか力ちからがありやがるな。
「（あ、そっちの体からだでも、また・・スキルを取りやがったのか!?・）」

　ふぉん♪
『ホシガミー＞はい。そういうことです。この雑草と同じで、
　　　　　　　管理されなければ、すぐに環境は劣化します』
「（劣化れっかなぁ……そいつぁ、どれくらいで起きるんだぁ？・）」

　ふぉふぉん♪
『ホシガミー＞推測になりますが、猶予は約７９時間ほどです」

「（それって五百乃大角いおのはらに、すげ変わる・・・・・までの時間じかんだったのか!?）」
　たしかに、ちょっと前まえに８０時間じかんだって言ってたが――随分ずいぶんとと急きゅうだぜ。

「（すげ変わると、どうなるんでぇい？）」
　ふぉふぉん♪
『ホシガミー＞神格が失われるのでシガミーさん同様に、
　　　　　　　肉体を持つことが可能になります』

「（なんだと!?　そいつぁ――聞き捨てならねぇな？）」
　生身なまみの体からだだとぉ――？

　ふぉん♪
『＞イオノファラーが肉体を得た場合、
　　ＭＳＰの減少は起こりますか？』

　ふぉふぉん♪
『ホシガミー＞それは、わかりませんが、
　　　　　　　私がアドミニストレーターを継承しても、
　　　　　　　現状が悪化するようなことはありません』

「（はぁ？　…………じゃぁあとは、何なにが困こまるって言うんだぁ？・）」
　ふぉん♪
『ホシガミー＞神としての立場です』

　ふぉふぉん♪
『イオノ＞それだけなら、そーねぇん。
　　　　　軍門に降るのもぉ、やぶさかではないわねぇん」
　やい惡神わるがみめ、覇気はきの無ぇことを言いやがって――
　そもそも五百乃大角おまえさまの世話せわを、かいがいしくしてるのはだなぁ――
　腹はらが減ったと言って、癇癪かんしゃくを起こさせねぇためであってだなぁ！

「（じゃぁ、ホシガミーに下剋上げこくじょうしてもらった方ほうが――よっぽど世のため人ひとのためになるってもんだ……ぜ？・）」
　あれ？　けど、この世が終わっちまわねぇため・・・・・・・・・・には――その方ほうが良いだろ。

　ふぉふぉん♪
『＞そういう見方も出来ます。どう考えますかイオノファラー？』
　ふぉふぉん♪
『イオノ＞良いわよぉう。だって、あんたたちが、
　　　　　三食昼寝とおやつ、あとお夜食付きで、
　　　　　養ってくれることに変わりはないでしょう？』

　この世を滅ほろぼす気、満々まんまんだったころから考かんがえたら――
　五百乃大角いおのはらめ、随分ずいぶんと打ち解けたもんだ。

　なんとか話はなしもまとまりそうだし、良かった良かった。

　じろ――じろり。
　画面がめんの各種表示かくしゅひょうじを、隅すみから隅すみまで確認かくにんする。
　動体検知てきえいなし。

　現在時刻げんざいじこくは『１６：２３』。
　さらに日が傾かたむいて、いくらかうす暗くらくなってきた。

　まるで音沙汰おとさたがねぇが、おにぎりとニゲルは――
　どこまで行ったんだぜ？