滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

４：龍撃の学院

４１６：初等魔導学院、上級鑑定ＶＳ伝説の職人スキル

「では、この魔法具まほうぐに、手を置いてください」
　平ひらたい角材かくざいの真ん中なかには、暗くらい色いろのビードロ……ガラスが埋め込まれている。

　あ、まてよ。
　魔法具これに手を乗せるまえに、〝魔力量まりょくりょう最大さいだい〟とか〝魔力量まりょくりょうリミットブレイク〟とか取っちまえば良いってことじゃぁねーか。
　薬草師やくそうしがいくら魔力ＭＰに乏とぼしい職業ジョブでも、好きなスキルが取れるんだぜ。
　悩なやむようなことじゃねぇ。

「（無理むりです。上級鑑定じょうきゅうかんていされたときに、現在げんざいの体力量たいりょくりょうと魔力量まりょくりょうは知られています・）」
　はぁ？　そりゃおかしーだろ。
　そうしたら、何なんのための魔法具まほうぐだ？

「（ではギルド職員しょくいんを、上級鑑定じょうきゅうかんていしてみればわかります・）」
　わけがわからねぇが、上級鑑定しめしめうっひっひ。
　言われるままに、おっさんを値踏みする・・・・・。

　チーン♪
『タウリン・ハラヘリアル　ＬＶ：２４
　楽師★★★★　／絶対音感／鉄の心臓／女神の加護
　　　追加スキル／上級鑑定／鉄の胃袋
　――所属：ラスクトール冒険者ギルド本部第二楽隊』

「（その状態じょうたいで、彼かれの頭上ずじょうを見つめ続つづけてください・）」
　ヴォゥ――♪
『ＨＰ／■■■■■■７８７
　ＭＰ／■■■■■■■■■■１１８０』
　なんか追加ついかの板ウインドウが、でやがったぞ。
　おれのと違ちがって、紫色ＭＰの方ほうが長なげぇ。

「（これが彼かれの、現在げんざいのＨＰエイチピーとＭＰエムピーです・）」
　つまり、さっきおれを上級鑑定じょうきゅうかんていした職員アイツには、おれの魔力量ＭＰがばれてるってことか。

「（はい。いまから改竄かいざんすればバレます・）」
　女神像めがみぞうなしでスキルが取れるってのも、恐おそらく……罪ざいだ。

　ふぉん♪
『イオノ＞ふふふ、美しさは罪ではありません。
　　　　　眷属である迅雷が付いているのだから、
　　　　　ソレくらいで来て当たり前だけど、
　　　　　チートが……イカサマがバレるわね』

　んぅー？　けどよぅ、スキルは偽装ぎそうしたままなんだから、イカサマも何なにもねーだろぅ？

「（スキルを偽装ぎそうしても、このタイミングで何なんらかのズルをした事実じじつを、把握はあくされます・）」
　はぁぁ？　うまくいかねぇもんだぜっ！

「上級鑑定じょうきゅうかんてい……そうだったね、君きみも上級鑑定じょうきゅうかんていを持っているのだったね。私わたしはタウリン。ギルド支部職員しぶしょくいんだ。よろしく』
　上級鑑定じょうきゅうかんていを持ってる奴やつのちかくで上級鑑定じょうきゅうかんていすると、ソイツの頭あたまに鐘の音が聞こえるのだ。

「こっちこそ、世話せわになるぜ」
　かるく頭あたまを下げたおっさんにならって、おれも頭あたまをちょっと下げた。

　ふぉん♪
『人物ＤＢ＞タウリン・ハラヘリアル
　　　　　　ラスクトール自治領冒険者ギルド支部職員』
　迅雷ジンライの新機能おぼえがきに、二人目ふたりめが登録さかきこまれた。

「その歳としで、これだけの追加ついかスキルを持つなら……魔術まじゅつの適性てきせいがなくても、気落きおちすることはありません」
　やい、とおい目をするな。
　まだ、魔法具そいつを使つかってねーだろうが！

　解析指南かいせきしなん、なんかいい手はねーか？
　女神めがみも眷属けんぞくも打開だかいできない現状げんじょうに、悔くやしまぎれの解析指南とっておき。

　ふぉふぉん♪
『解析指南＞装備による補正値も、冒険者の適性に含まれます』
　はぁ、そんなんで良いのか？

「（そうですね。装備そうびで底上そこあげすることは、皆みなやっています。装備そうびできることも適性てきせいというわけです・）」
　ふぉふぉん♪
『イオノ＞もっとも魔法を学び始めたばかりの初心者が、
　　　　　魔力量上限を上昇させるレア装備を、
　　　　　装備できるはずはないんだけど、プークス？』

　うるせぇ、ならこの場で――
　〝魔法量まほうりょうを上げる装備そうび〟を作つくって、目のまえで装備そうびしてやる。

　使つかえる素材そざいは？
「（通常つうじょうの素材そざいと、ジンライ鋼こうが使用可能しようかのうです。例れいのミノタウロース素材そざいも、加工かこうすれば使用可能しようかのうです・）」

　そうだなぁー。エディタを使つかってる暇ひまはなさそうだし――
　ジンライ式隠しきかくれ蓑みのは、作つくれるか？

「（作つくり置いた物ものが、約やく８０万平方まんへいほうメートル……ガムラン町ちょうと同程度どうていどの面積分めんせきぶんあります・）」
　んにゃ？
　そんな＜２０万人分まんにんぶん＞もの反物たんものは要らん。
　鉢巻はちまきが縫えるくれぇの、細帯ほそおびをよこせ。

　ふぉん♪
『＞シガミーの頭の大きさで、何本ご入り用ですか？』
「（一本いっぽん、いや二本寄にほんよこせ）」

　ふぉん♪
『＞色や柄は、どのように？』
「（なら、このＭＰエムピーの棒ぼうとおなじ色いろで）」

　ふぉん♪
『＞了解しました。色見本でます』
　ヴォゥン♪
『■#563779――今紫いまむらさき』
　それは、魔力量ＭＰを示しめす棒ぼうとおなじ色いろ。
　青あおみがかった、とても鮮あざやかな紫むらさきだ。

「良いじゃねーか♪」
　おれの言葉ことばを、どう受け取ったのか――
　職員おっさんが、『ギルド職員募集中』のチラシを、一枚差いちまいさし出した。
　まあ、折りたたんで懐ふところにしまっとく。

　ふぉん♪
『＞防刃帯布を二件、作成しました。
　　いつでも収納魔法から、取り出せます』

　ヴッ――ふぁぁっさぁ。
　おれは、色鮮いろあざやかな鉢巻きを・・・・、手につかんだ。
　天衣無縫てんいむほうスキルと、初級位相しょきゅういそう幾何学きかがくスキルを使つかって――
　糸いとを使つかわず袋状にした・・・・・。
　当然とうぜん、縫ぬいい目は無ぇ。

「これわぁ、ウチの神かみさんにもらった装備そうびなんだが――ィィイィィンッ♪」
　端はしを持ちスッと、指ゆびのあいだを通とおすようにして――
　一瞬いっしゅんで、強力きょうりょくな装備そうびに作つくり替える！

　黒筆スタイラスは使つかえねぇから、文字もじを書き込むことは出来できん。

　それでも伝説でんせつの職人しょくにんまかせで――
　頭部防具とうぶぼうぐ強化きょうかと、防具筋力ぼうぐきんりょく強化付与きょうかふよと、防具体力ぼうぐたいりょく強化付与きょうかふよと、防具攻撃力ぼうぐこうげきりょく強化付与きょうかふよと、防具知恵ごうぐちえ強化付与きょうかふよと、防具防御力ぼうぐぼうぎょりょく付与ふよと、幸運効果こううんこうか付与ふよと、幸運効果こううんこうか永続えいぞくと、幸運効果こううんこうか増大ぞうだいと、幸運倍化こううんばいかと、幸運こううんリミットブレイクと、防具幸運ぼうぐこううん強化付与きょうかふよと、耐性強化たいせいきょうか付与ふよと、耐性強化たいせいきょうか永続えいぞく／耐性強化たいせいきょうか／耐性倍化たいせいばいか、不壊付与ふかいふよと、自動修復じどうしゅうふく（小しょう）付与ふよを掛けた。

　破やぶけない鉢巻はちまきになった。
　下地したじは出来できたぞ。

　あとは、魔力量ＭＰに影響えいきょうを及およぼすようなスキルを――
　やりすぎねぇ程度ていどに、何か取れ・・・・――。

「（〝魔力増強まりょくぞうきょう付与ふよ〟、〝魔力増強まりょくぞうきょう効果永続こうかえいぞく〟、〝詠唱術えいしょうじゅつ〟、〝魔力枯渇まりょくこかつ耐性付与たいせいふよ〟、〝魔力枯渇まりょくこかつ耐性永続たいせいえいぞく〟を収得しゅうとくしました・）」
　ふぉん♪
『＞使用スキルポイントは２３６。
　　ＳＰ　残り１４４，４８０です』

　ふぉん♪
『響言の鉢巻き【今紫】
　防御力３０。魔力量１０（碇）。
　魔術の多重詠唱が可能になる』

　〝魔力量まりょくりょう上昇じょうしょう〟が入はいったな。
　ひとまずこれで十分じゅうぶんだろ。
　これで足りなきゃ、学院長がくいんちょうになんとかしてもらう。

「（了解りょうかいしました。髪かみは耳みみの上うえで結むすべば、よろしいですか？・）」
　やってくれ。
　カシャカシャ、カチャカチャ――細ほそくて黒くろい機械の腕プロダクトアームが、迅雷ジンライから生えた。

　シュルシュルと髪かみを梳すき――カチャカチャキャチャチャッ♪
　持ち上げられた金色きんいろの髪かみが、左右さゆうの耳みみの上うえで結むすばれていく。

　迅雷ジンライにおれの髪かみを、括くくらせてる間あいだに――
　アイテム名偽装めいぎそうも、念ねんのためしとく。

　ふぉん♪
『無縫のリボン【紫】
　防御力３０。魔力量１０。
　シワにならない魔法のリボン』
　コレで良いだろう。

「（〝響言きょうごんの鉢巻はちまき〟を装備そうびしました・）」
　おれは測定魔法具そくていまほうぐに、手を乗せた。