滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

487:ネネルド村奇譚、夕闇と桟橋

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 魚の卵タコさまを救援キャッチしたのは――

「イオノファラーさま、迅雷ジンライたすけなくては!」
 美の権化イオレイニアにして、魔神の再来リオレイニア
 ヴッ――――ゴコン♪
 取り出されたのは、普段使ふだんづかいのちいさな魔法杖つえではなく――
 大型おおがた魔法杖まほうつえ

「この美の女神めがみであらせられるぅ、あーたーくーしーさーまーとぉー見間違える・・・・・ってぇー、どー言うことなのぉーよぉー……じゅるりっ
 エプロンのポケットから、かおのぞかせる――
 軟体動物門なんたいどうぶつもん頭足綱鞘形とうそくこうしょうけい亜綱あこう八腕形上目はちわんがたじょうもくタコもくの、女神御神体めがみごしんたいはとても憤慨ふんがいしていた。
 そしてその口元くちもとを、ぐいとぬぐうのであった。

   §

 ドボッパァァァンッ――――♪
 グワラランッ――――♪
「きゃぁぁぁっ――――魔法杖つえが浮かない、ごぼがば!?」
「ぎゃっ、みずうみがしょっぱい? まさかあのたこさんが吐いてるのってぇ、お塩ぉー・・・・、がばぼが!?」
 おぼれる魔法杖繰まほうつえくりの天才てんさいと、蛸似メガミ

しおってことわぁ、うみ一緒いっしょニャァ!?」
「はい、湖面上こめんじょう魔法杖まほうつえ飛ぶことは出来ません・・・・・・・・・・
「「「そーなのぉう?」」ですか?」
 たずねる子供こどもたち。

「いまだ原因げんいんは、解明かいめいされていませんが」
塩水しおみずうえ魔法杖まほうつえで飛ぶと、落っこちる・・・・・ニャァ♪」
 魔法まほう魔法具まほうぐ専門家せんもんかたばねる顧問こもん秘書ひしょ
 その見解けんかいに、間違まちがいは無いだろう。

「リオレイニアッ――つかまってください!」
 精悍せいかんかお大柄おおがら男性だんせい桟橋さんばしはしらに巻かれたロープを、ほうり投げた。
「ごぼがは、さ、さきにイオノファラーさまを――落としたら大変たいへんで――えいっ!」
 なかばおぼれつつも、蛸似メガミ男性エクレアへ向かって投げる給仕服姿リオレイニア

「うにょひょわぁー!?」
 奇声きせいはっした女神御神体たこのようなものは、しっかりと回収かいしゅうされ――

「リオレイニア、つかまれぇー!」
 ふんぬぉりゃぁぁぁっ――!
 いかつい髭面ひげづら小柄こがら男性だんせいがロープをつかんで、一気いっきに引き上げた!
「っきゃぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁっ――――!?」
 巨木きょぼくけずり、切りひらかれた空間くうかん
 その天井てんじょうにぶつかりそうになり――「つえよっ!」
 上下逆じょうげさかさまにつえを踏みつけ、乾燥の魔法・・・・・瞬時しゅんじ使つかい――
 ながいスカートのすそを押さえた。

「あれ? 塩水しおみずに漬かったのに、魔法杖つえで飛んでる?」
 余計よけいなことによく気づく少女しょうじょレイダが、くびをかしげ。
「ふぅっ、塩水しおみずに塗れただけなら、普通ふつうに飛べますよ」
 フワリと着地ちゃくちする、魔法杖の天才・・・・・・

「ガハハハッ! わりぃ、リオレイニア。いきおいがつよすぎたぜ!」
「気をつけてください。でもありがとう、おぼれずに済みました」
 片足かたあしを引きこしを落とす、それだけの所作しょさ
 村人むらびとたちから、溜息ためいきが漏れた。

 どぼっぱぁぁぁぁぁんっ!
 ぶっぎゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ!
「シ、シガミー、救援きゅうエんモと……
 ヴァヴァヴァリリッ!

「「「「「ひぃやぁっはぁぁぁぁぁぁっ――――!!!!!」」」」」
 村人むらびとによる無数むすう長槍ながやりは――ぶぎゅりゅりゅるっ!!!!!!!!
 たこ太腕ふとうで軽々かるがると、はじかえされた。

 見えている胴体あたまだけでも、大柄おおがらなエクレアほどのおおきさなのだ。
 水面下すいめんかうごめ太腕ふとうで全貌ぜんぼうは、はかり知れない。

仕方しかたがありませんね。シガミーさん、おやすみの所申ところもうわけないのですが――ちょっとだけ、お貸しいただけますか・・・・・・・・・・
 んぁ? カヤノヒメが、おれのからだを揺さぶりやがる。
 貸せって、小太刀こだちをかぁ――むにゃぁ?
 そらぁ、かまわねぇが――――――{>Logon__rpon__Connect>対話型セッション開始 ⚡ 龍脈言語server01.net}
 つぎ瞬間しゅんかん、おれのからだがクルリとひるがえった。

   §

 目のまえで、不敵ふてき仁王立におうだちち。
 金糸きんしのようなかみかぜに吹かれて、キラキラキラキラァ♪
 なんでぇい、ただのおれ・・じゃねーか。
 さっきのゆめ続き・・かぁ?
 よぅし今度こんどこそ、あの蛸野郎たこやろう酢蛸すだこにしてや――――すやぁ♪
 なんだかからだ重いぜ・・・――すやぁ♪

   §

工房長こうぼうちょうさん。このぼんもう一枚・・・・つくっていただけませんでしょうか
 茅野姫カヤノヒメ長椅子ながいすに寝かせたシガミーが、あおきらめく丸盆トレーを取り出す。

「やっぱりシガミーの中身なかみが、こう上品じょうひんだと……気色悪きしょくわりぃなぁ」
 丸盆それを受け取った工房長ノヴァドが、かおをしかめた。

「それで、どうなのですか、くーすくす
 なにかをしていないと手持ても無沙汰ぶさたなのか、シガミーインザ茅野姫カヤノヒメが――
 手近てぢか雑巾ぞうきんで、塩濡しおぬれの女神御神体めがみごしんたい磨きだしたキュキュキュ

なん使つかうのか知らんが、焦げた木製もくせい甲冑人形かっちゅうにんぎょうを、おれ金槌かなづちたたけば良いだけだ――レイダァ!」
 子供レイダを呼ぶ、いかつい鍛冶職人かじしょくにん

「焦げた甲冑人形かっちゅうにんぎょうって、どこ仕舞しまったっけ?」
 キュキュキュとみがき上げられていく御神体メガミが、桟橋さんばしを見つめ口元くちもとををモニュモニュすると――

「にゃみゃぎゃぁー♪」
 むら子供こどもたちを大量たいりょうに引きつれ、女神の御使いねこのまものがとんできた。
「おにぎりのなかはいってれば、すぐに出せるけど――ない
わねぇ――ん、なんか有った!?
 茅野姫カヤノヒメの手のひらのうえから、猫の魔物おにぎりへ向かって彷徨さまよわせていた手が、ピタリと止まった。

 ヴッ――ゴガッチャリリンッ♪
 ヴッ――ごどごどん。
 茅野姫かやのひめ足下あしもとに、出てきたのは――
 おおきな革袋かわぶくろと、紫色むらさきいろ人型ひとがた大根だいこん

なにこの大金たいきんと、マンドラゴーラ!? どこからひろって来たのよっ!?
「みゃにゃぎゃぎゃやーぁ
 こぶしをむぎゅっと、無いあごに押し当てる着ぐるみ。

「イオノファラーさま。いま迅雷ジンライさんをたすけるために、かるくて丈夫じょうぶななおぼんがもう一枚必要いちまいひつようなんです。ご協力きょうりょくを、くすくす
 にらまれた御神体ごしんたいかまどへ向かって、ちいさな手をへちり・・・と鳴らす。

「じゃぁ、これでどぉ?」
 ゴトン!
 ムシュルがいを焼いていた大網おおあみうえならべられたのは――
 輪切わぎりりの丸太まるたみっつ。乾燥かんそうもされていない、ほぼ生木なまき

「呼んだぁー、工房長こうぼうちょうさん?」
 リオレイニアを引きつれ、レイダがやってきた。
「呼んだぞ。あの魔物まものをどうにかするのに、このトレーがもう一枚必要いちまいひつようらしくてな。手を貸せ」
 リオレイニアとレイダが、猪蟹屋ししがにや関係者かんけいしゃを見わたし――
「「なにをすれば良いの?」ですか?」
 事態じたいもわからないまま、作業さぎょう開始かいしした。

   §

「では、使つかわせていただきますねー、うふふ ・
 二枚にまいぼんかかえた、金糸きんしのようなかみ子供カヤノヒメが駆けていく。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「あぶなっ――――――――!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 ついさっきおなじように桟橋さんばしを駆けていった人物じんぶつは、ざぶんとみずうみにのみ込まれた。

 だがしかし、とたたたとたたん、ぱちゃぱちゃぱちゃ――――♪
 子供カヤノヒメ桟橋さんばしから水面すいめんへと進入しんにゅうし、そのまま大蛸おおだこへと向かっていく。
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