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4:龍撃の学院
496:ネネルド村奇譚、奇祭タコゥパ開催のはこび
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「折角のかき入れ時……もとい、たこ焼きパーティーなので、助け船を出して上げますね、うふふふ?」
計算魔法具を手にジリジリと、にじり寄られた。
§
「こむぎこぅ……込む義故ぅとは、なんぞやぁ?」
わからん。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
厨房の隅に詰まれていく、布袋。
米みてぇなもんってのわぁ、外からでもわかるがぁ。
「みゃにゃぎゃにゃぁー♪」
黄緑色の猫の魔物。
その背中の箱も同じく黄緑色で、夏毛に覆われている。
そこへ手を乗せ、おれよりもほんの少し高い鼻を――
ぴくぴくと、ひくつかせる茅の姫。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
茅の姫も収納魔法を、普段から使ってるが――
迅雷みたいに大容量で、便利な奴は持っていない。
「にゃぎゃぅー?」
なのでその辺をうろつく、強化服一号を捕まえてきては――
こうして便利に使ってる。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
どっさどさどさ、どっさどさ♪
「おい、その辺にしとけ。崩れたら死ぬ、おれが」
重さも嵩張り具合も、おれ二人分くらい。
それが何十袋も、積み上がった。
ふぉん♪
『ヒント>小麦粉/小麦を粉に挽いた物。特に段階的に粉砕することで、表皮を厳密に取り除いたもの。饂飩粉』
「なんだぜ、饂飩粉か。これで五百乃大角がやりたがってた、奇祭が出来るんだな?」
うどん……蛸のうどんか?
うまそうではあるな。
「はい。本日使う分として、これだけ卸させて頂きますわ、くーすくす?」
小商いのときのこの顔も、板について来やがったなー。
ふぉん♪
『シガミー>わかった。迅雷に書き付けといてくれ』
神域惑星で採れた物は、基本的に猪蟹屋の物だ。
それでもそれを集めたり、食えるようにしたりするのは――
中々に骨が折れる。
この饂飩粉にかけた手間と時間は、たぶんおれが思ってるより価値が高い。
そういうわけで、その価値は迅雷に伝えて残しておくことになっている。
おれがみてもわからねぇが、女神像の中にある小日記は我が猪蟹屋の〝全て〟だって話だ。
「それでは、この私が集めた小麦……饂飩粉の元になる実を、粉になるまで挽いていただけますか? うふふ♪」
おれにさせるってことは、それが細かくて丁寧で――
とんでもなく、面倒な仕事って証拠だ。
それでも、おれのスキルにかかれば、一瞬で出来ちまうんだけどな。
「では、この饂飩粉の元を――」
ひと袋抱えて――ぐるるんっ――どっさりっ♪
「小麦粉とやらに替えた物が、こちらで御座いますわぜ?」
厨房に置かれた銀色の……まるで鏡みてぇな作業台。
その上に置いた小麦粉一袋を、ぽふんと叩く。
ぼっふぁぁっ――――!!
あー、迅雷式隠れ蓑のきめを、もっと細かくしねぇと粉が吹き出すぞ?
和紙みたいな、一番きめ細かな布袋にまるごと――ぼすんと入れる。
そして目の粗い布袋を――すぽんと、収納魔法へ仕舞った。
「はいこれで、たこ焼きパーティーの準備は出来ましたわ、くすくすくす♪」
いま「は」って言ったか?
「ってこたぁ他にも何か、準備が要るのかぁ?」
蛸の下ごしらえも済んだし、霊刺秘の食材は集まっただろーが?
ふぉふぉん♪
『>奇祭タコパに関するインフォメーションが、更新されました」
五百乃大角の持つ文献を漁っていた迅雷が、ヴォヴォヴォォゥンと寄ってきた。
解析指南の調子が芳しくないから、もう一度、奇祭の概要を洗い出してもらっていたのだ。
ふぉん♪
『>カヤノヒメによる妙齢の女性、その心の機微を算出、解析しました』
おう、大体で良いぞ。
さすがに何時間も待たせるわけには、いかねぇからなぁ。
きゃはははっははっ――♪
ふふうふ、ニャァ♪
がやがや、ざわざわ♪
手伝いを買って出てくれた、いつもの連中や料理自慢の村人や学者方たちが――
集会所で待ち構えているのだ。
「言語ニ関スるスキルヲ数種収得シ、カつノヴァドに特殊ナ錐ト刷毛ノ製作ヲ追加依頼スる必要がありマす」
なんだぜ。超めんどくせーじゃんか!
「はイ。煩雑で複雑ナ経緯ガ存在すル以上、それを紐解くタめには――煩雑デ複雑な手順ガ、必要になりマす」
「わかった。それ全部やってやろうじゃんかぁ!」
「ププークス?」
§
「やい、五百乃大角! 迎えに来たぞ!」
落ちたら強化服でも、死にはぐるほどの高さだが。
鉄下駄で木の幹を、駆け上がったら――
1分もかからず到着した。
「もぐもぐもぐもぎゅぎゅりっ――ヒハヒーッ!?」
馬鹿野郎、折角、お前さまのやりたがってた奇祭を、開催してやるってのに――
「ガムラン饅頭で腹を、膨らませてるんじゃねぇーよ!」
おれはガシガシと頭を掻く。
「わ――悪かったぜ。お前さまが、日の本の言葉を書くことが苦手だなんて、思いもよらなくてよぉ!」
おれは轟雷があけた、大穴の壁に――
『Состоится вечеринка”Такояки”.』
たこ焼きパーティー、開催のお知らせ――がりがりがり、ごりごりごり♪
そう小太刀で刻みつけた。
『Дата и время проведения/』
開催日時/――がりがりごがり♪
『с сегодняшнего дня!』
本日これから!――がががりごごり♪
「お前さんの奇祭に掛ける心意気を、無下にしちまって悪かったぜっ!」
頭を下げるも――五百乃大角の口は止まらない。
『Иди сюда, Ионо.』
来てね、イオノちゃん♡――がががりーごごーり♪
「坊主……もぎゅもぎゅ、ひょうひほひはひほふぅ」
お前いい加減にせぇよ?
おれは饅頭の紙箱を、取りかえした。
「何言ってるかわからん。とにかく行くぞ! ノヴァド特製
の鋤鍋の使い方が、誰にもわからなくて難儀してんだっ!」
懐に根菜をしまい、おれは大穴から飛びおりた。
「も、もぉーしょぉがないなぁ♪ タコヤキイオノちゃんのぉー、出番ねぇー♪」
ふぅ、どうにか機嫌を直してくれたぜ。
§
「違う! これぇ、あたくしさまが知ってるタコヤキを焼く鉄板とぉ、違ぁーうぅ!」
驚愕の根菜さま。
「バカ言っちゃいけねぇぜっ! こちとら注文通りに、キッチリと仕上げたぞ! 美ぃのぉ女神さぁーまぁー(笑)よぉう!?」
やべぇ、酔った工房長が金槌を取りだした!
「そうだぜ!? 蛸の形の凹みが並んでて、ちゃんと一度に沢山焼けるだろうよ――蛸が!」
何の問題があるんだぜ!?
「タ、タコヤキをひっくり返す鉄串と、油をひく丸刷毛まで用意してあるのに――な・ん・でぇ――タコヤキ鉄板の形がぁ、蛸なのっ!?」
ふぉん♪
『イオノ>バカなのっ? 死ぬの?』
「うるせぇ! 〝たこ焼き〟を焼く鉄板が蛸の形をしてて、何が悪ぃってんだっぜ!」
ふぉん♪
『シガミー>蛸とか葱とか、投げるんじゃねぇ!』
惡神めっ!
おれが手ずから、退治してやらぁっ!
計算魔法具を手にジリジリと、にじり寄られた。
§
「こむぎこぅ……込む義故ぅとは、なんぞやぁ?」
わからん。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
厨房の隅に詰まれていく、布袋。
米みてぇなもんってのわぁ、外からでもわかるがぁ。
「みゃにゃぎゃにゃぁー♪」
黄緑色の猫の魔物。
その背中の箱も同じく黄緑色で、夏毛に覆われている。
そこへ手を乗せ、おれよりもほんの少し高い鼻を――
ぴくぴくと、ひくつかせる茅の姫。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
茅の姫も収納魔法を、普段から使ってるが――
迅雷みたいに大容量で、便利な奴は持っていない。
「にゃぎゃぅー?」
なのでその辺をうろつく、強化服一号を捕まえてきては――
こうして便利に使ってる。
どっさどさどさ、どっさどさ♪
どっさどさどさ、どっさどさ♪
「おい、その辺にしとけ。崩れたら死ぬ、おれが」
重さも嵩張り具合も、おれ二人分くらい。
それが何十袋も、積み上がった。
ふぉん♪
『ヒント>小麦粉/小麦を粉に挽いた物。特に段階的に粉砕することで、表皮を厳密に取り除いたもの。饂飩粉』
「なんだぜ、饂飩粉か。これで五百乃大角がやりたがってた、奇祭が出来るんだな?」
うどん……蛸のうどんか?
うまそうではあるな。
「はい。本日使う分として、これだけ卸させて頂きますわ、くーすくす?」
小商いのときのこの顔も、板について来やがったなー。
ふぉん♪
『シガミー>わかった。迅雷に書き付けといてくれ』
神域惑星で採れた物は、基本的に猪蟹屋の物だ。
それでもそれを集めたり、食えるようにしたりするのは――
中々に骨が折れる。
この饂飩粉にかけた手間と時間は、たぶんおれが思ってるより価値が高い。
そういうわけで、その価値は迅雷に伝えて残しておくことになっている。
おれがみてもわからねぇが、女神像の中にある小日記は我が猪蟹屋の〝全て〟だって話だ。
「それでは、この私が集めた小麦……饂飩粉の元になる実を、粉になるまで挽いていただけますか? うふふ♪」
おれにさせるってことは、それが細かくて丁寧で――
とんでもなく、面倒な仕事って証拠だ。
それでも、おれのスキルにかかれば、一瞬で出来ちまうんだけどな。
「では、この饂飩粉の元を――」
ひと袋抱えて――ぐるるんっ――どっさりっ♪
「小麦粉とやらに替えた物が、こちらで御座いますわぜ?」
厨房に置かれた銀色の……まるで鏡みてぇな作業台。
その上に置いた小麦粉一袋を、ぽふんと叩く。
ぼっふぁぁっ――――!!
あー、迅雷式隠れ蓑のきめを、もっと細かくしねぇと粉が吹き出すぞ?
和紙みたいな、一番きめ細かな布袋にまるごと――ぼすんと入れる。
そして目の粗い布袋を――すぽんと、収納魔法へ仕舞った。
「はいこれで、たこ焼きパーティーの準備は出来ましたわ、くすくすくす♪」
いま「は」って言ったか?
「ってこたぁ他にも何か、準備が要るのかぁ?」
蛸の下ごしらえも済んだし、霊刺秘の食材は集まっただろーが?
ふぉふぉん♪
『>奇祭タコパに関するインフォメーションが、更新されました」
五百乃大角の持つ文献を漁っていた迅雷が、ヴォヴォヴォォゥンと寄ってきた。
解析指南の調子が芳しくないから、もう一度、奇祭の概要を洗い出してもらっていたのだ。
ふぉん♪
『>カヤノヒメによる妙齢の女性、その心の機微を算出、解析しました』
おう、大体で良いぞ。
さすがに何時間も待たせるわけには、いかねぇからなぁ。
きゃはははっははっ――♪
ふふうふ、ニャァ♪
がやがや、ざわざわ♪
手伝いを買って出てくれた、いつもの連中や料理自慢の村人や学者方たちが――
集会所で待ち構えているのだ。
「言語ニ関スるスキルヲ数種収得シ、カつノヴァドに特殊ナ錐ト刷毛ノ製作ヲ追加依頼スる必要がありマす」
なんだぜ。超めんどくせーじゃんか!
「はイ。煩雑で複雑ナ経緯ガ存在すル以上、それを紐解くタめには――煩雑デ複雑な手順ガ、必要になりマす」
「わかった。それ全部やってやろうじゃんかぁ!」
「ププークス?」
§
「やい、五百乃大角! 迎えに来たぞ!」
落ちたら強化服でも、死にはぐるほどの高さだが。
鉄下駄で木の幹を、駆け上がったら――
1分もかからず到着した。
「もぐもぐもぐもぎゅぎゅりっ――ヒハヒーッ!?」
馬鹿野郎、折角、お前さまのやりたがってた奇祭を、開催してやるってのに――
「ガムラン饅頭で腹を、膨らませてるんじゃねぇーよ!」
おれはガシガシと頭を掻く。
「わ――悪かったぜ。お前さまが、日の本の言葉を書くことが苦手だなんて、思いもよらなくてよぉ!」
おれは轟雷があけた、大穴の壁に――
『Состоится вечеринка”Такояки”.』
たこ焼きパーティー、開催のお知らせ――がりがりがり、ごりごりごり♪
そう小太刀で刻みつけた。
『Дата и время проведения/』
開催日時/――がりがりごがり♪
『с сегодняшнего дня!』
本日これから!――がががりごごり♪
「お前さんの奇祭に掛ける心意気を、無下にしちまって悪かったぜっ!」
頭を下げるも――五百乃大角の口は止まらない。
『Иди сюда, Ионо.』
来てね、イオノちゃん♡――がががりーごごーり♪
「坊主……もぎゅもぎゅ、ひょうひほひはひほふぅ」
お前いい加減にせぇよ?
おれは饅頭の紙箱を、取りかえした。
「何言ってるかわからん。とにかく行くぞ! ノヴァド特製
の鋤鍋の使い方が、誰にもわからなくて難儀してんだっ!」
懐に根菜をしまい、おれは大穴から飛びおりた。
「も、もぉーしょぉがないなぁ♪ タコヤキイオノちゃんのぉー、出番ねぇー♪」
ふぅ、どうにか機嫌を直してくれたぜ。
§
「違う! これぇ、あたくしさまが知ってるタコヤキを焼く鉄板とぉ、違ぁーうぅ!」
驚愕の根菜さま。
「バカ言っちゃいけねぇぜっ! こちとら注文通りに、キッチリと仕上げたぞ! 美ぃのぉ女神さぁーまぁー(笑)よぉう!?」
やべぇ、酔った工房長が金槌を取りだした!
「そうだぜ!? 蛸の形の凹みが並んでて、ちゃんと一度に沢山焼けるだろうよ――蛸が!」
何の問題があるんだぜ!?
「タ、タコヤキをひっくり返す鉄串と、油をひく丸刷毛まで用意してあるのに――な・ん・でぇ――タコヤキ鉄板の形がぁ、蛸なのっ!?」
ふぉん♪
『イオノ>バカなのっ? 死ぬの?』
「うるせぇ! 〝たこ焼き〟を焼く鉄板が蛸の形をしてて、何が悪ぃってんだっぜ!」
ふぉん♪
『シガミー>蛸とか葱とか、投げるんじゃねぇ!』
惡神めっ!
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