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4:龍撃の学院
516:央都へようこそ、オルコトリア
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「まったく、何をなさっているのですか、オルコトリアさん」
蜂のような顔の白い魔神が頬に手を添え、そんなことを言う。
おれやレイダに小言を言うときと、まるで同じ仕草。
「面目ない。けど央都に着いてから、変に血が騒ぐのよねー?」
すっかり縮んで大柄な人程度に戻った、一本角の鬼娘。
肩をつかんでグリグリと、腕を回している。
すると角が一瞬、ぱちりと放電した。
「血が騒ぐ? それ何か、まえにも聞いたな?」
おれも轟雷を脱ぎ、子供の体に戻った。
轟雷を仕舞おうとしたら、「もうちょっと見せてよ」とニゲルにねだられたから――
演習場の真ん中に片膝を突いた状態で、置いてやった。
すると――
わわわわいわわい、がややややいがややい♪
どやどやどやどや、ガガガガーン、ガガリガリガリ♪
わらわらとあつまる、学者方たち。
あの鎧はちょっとやそっとじゃ壊れねぇけど――
学者方は、すぐに壊そうとしやがるよな。
ふぉん♪
『>背部ハッチや搬出口やコンテナはロックしましたので、音速を超える慣性質量による攻撃でもされなければ、破壊されることはありません』
その攻撃を出来る奴が、一番近くに居るけどなー。
「ちょっとちょっと、何してるのさっ! 壊しちゃったらもったいないじゃんか!」
あ、魔法杖を取りだした学者を、ニゲルが止めてくれた。
「壊すばかりが能じゃないだろ! みてよこのプラモとは思えない、関節の自由度ぉ♪」
ロックしちまったから動かせねぇし、麩羅猛でもねぇが――
「「「「「「「「「「なるほどっ! これは興味深いっ♪」」」」」」」」」」
「だっろーぅ♪ それとこっちの大剣のさぁ――」
ぞろぞろぞろぞろ、がやどややほほほぉう♪
ふぉん♪
『>外から見るだけでも、轟雷の甲冑としての出来の良さは、伝わるようですね』
轟雷は青年に任せとこうぜ。
問題はこっちだ。
「っていうかリオレイニア。それ凄く似合ってるわよ……ルガ蜂みたいだけど、べぇー♪」
自分の目元を指さす、鬼の受付嬢。
鬼の顔は今日も端正だったが、威嚇のつもりか舌を出した。
「ありがとうございます。ヴヴヴヴヴッ♪」
肩をすくめ蜂のように震えてみせる、蜂の魔神。
靴底が床に跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!
まるで本当の蜂が、威嚇してるみてぇ。
〝魔眼殺しVer2〟は正常に機能している。
それでも気品や、しゃらあしゃらと感じるのは――
リオレイニアの素の美しさなんだろう。
ふぉん♪
『ルガーサイト【銀相】
防御力80。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
装備した者の眼光を抑制すると同時に、
魔術構文の概算化による詠唱時間短縮』
そんな名前になったのか。
「レ、レーニアおばさんが、冗談を言うなんて……あの鬼族のお姉さんとは、よっぽど仲良し……なのかな?」
戸惑いの表情を見せる、蜂女の姪。
「ヴィヴィー、今のは嫌味とか軽口っていうんだよ?」
心の機微を是正する、生意気な子供。
「そーだなー。仲良いってわけじゃねぇしなぁ」
おれも本当のところを言ってやる。
「あら、心外ですね。私たちは、仲が悪いわけではありませんよ」
威嚇するのを止めて、こっちを振り向く所作は完璧だ。
完璧すぎて居合いの間合いに、うっかり踏み込んじまったような――気まずさにとらわれる。
「そうだね。お互い姫さん相手に、苦労させられてる仲間みたいなもんだしねぇー」
威嚇するのを止めて、こっちを振り向く所作は実に力強い。
金剛力を使っていなくても、服の上から筋肉の動きがわかるし――その流れは背中の大剣に、必ず繋がっていた。
「苦労とは、聞き捨てなりませんでしてよっ♪」
陰口を叩かれていた、お嬢さまご本人さまの登場だ。
……なんで、嬉しそうなんだよ。
「苦労以外の何ものでもないでしょ? この子たちの様子を見にいく度に、しばらく戻ってこないじゃないのっ!」
ガシーンと腕を組む鬼族は、なかなかに迫力がある。
「ふふふ、コレだからオルコトリアさんは、まったく。当家のお嬢さまは担当しているお仕事を、全て終わらせてから央都へいらしていますので――」
コツリ♪
一歩まえへ踏み出し、主人を守る盾となる蜂の魔神。
元聖剣切りの閃光にして、元コントゥル家侍女長にして――
そういやぁ、詠唱魔法具はどうするかな。
いまの蜂っぽい絵柄のも……一応作っておくか?
「すべて――終わらせたぁ?」
身を屈め、やや派手なドレス姿の同僚へ目線を合わせる――鬼。
ヴァリ、パリリィ――!
放電が収まらない。
「まさかっ!? お嬢さまぁ――!?」
ルガ蜂の目が、吊り上がっていく。
ガムラン町ギルド支部の、リカルルの机。
菓子をくれるというので、レイダと一緒に何度か赴いたことがある。
考えるまでもねぇだろうが――
その机はいつも、やりかけの仕事で埋もれていたぞ。
「央都のいざこざが解決したら、しばらく泊まり込んで仕事をしてもらうから・ね?」
ごきり――ばきりっ!
腕に血が集まり、その太さが倍化する。
一本角の稲光も、光を増していく。
「お嬢さまぁ! 旦那さまからもあれほど、注意されたばかりではありませんかっ!!!」
ルガ蜂が小さな杖を取りだし、攻撃態勢を取った、
蜂のような顔の白い魔神が頬に手を添え、そんなことを言う。
おれやレイダに小言を言うときと、まるで同じ仕草。
「面目ない。けど央都に着いてから、変に血が騒ぐのよねー?」
すっかり縮んで大柄な人程度に戻った、一本角の鬼娘。
肩をつかんでグリグリと、腕を回している。
すると角が一瞬、ぱちりと放電した。
「血が騒ぐ? それ何か、まえにも聞いたな?」
おれも轟雷を脱ぎ、子供の体に戻った。
轟雷を仕舞おうとしたら、「もうちょっと見せてよ」とニゲルにねだられたから――
演習場の真ん中に片膝を突いた状態で、置いてやった。
すると――
わわわわいわわい、がややややいがややい♪
どやどやどやどや、ガガガガーン、ガガリガリガリ♪
わらわらとあつまる、学者方たち。
あの鎧はちょっとやそっとじゃ壊れねぇけど――
学者方は、すぐに壊そうとしやがるよな。
ふぉん♪
『>背部ハッチや搬出口やコンテナはロックしましたので、音速を超える慣性質量による攻撃でもされなければ、破壊されることはありません』
その攻撃を出来る奴が、一番近くに居るけどなー。
「ちょっとちょっと、何してるのさっ! 壊しちゃったらもったいないじゃんか!」
あ、魔法杖を取りだした学者を、ニゲルが止めてくれた。
「壊すばかりが能じゃないだろ! みてよこのプラモとは思えない、関節の自由度ぉ♪」
ロックしちまったから動かせねぇし、麩羅猛でもねぇが――
「「「「「「「「「「なるほどっ! これは興味深いっ♪」」」」」」」」」」
「だっろーぅ♪ それとこっちの大剣のさぁ――」
ぞろぞろぞろぞろ、がやどややほほほぉう♪
ふぉん♪
『>外から見るだけでも、轟雷の甲冑としての出来の良さは、伝わるようですね』
轟雷は青年に任せとこうぜ。
問題はこっちだ。
「っていうかリオレイニア。それ凄く似合ってるわよ……ルガ蜂みたいだけど、べぇー♪」
自分の目元を指さす、鬼の受付嬢。
鬼の顔は今日も端正だったが、威嚇のつもりか舌を出した。
「ありがとうございます。ヴヴヴヴヴッ♪」
肩をすくめ蜂のように震えてみせる、蜂の魔神。
靴底が床に跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!
まるで本当の蜂が、威嚇してるみてぇ。
〝魔眼殺しVer2〟は正常に機能している。
それでも気品や、しゃらあしゃらと感じるのは――
リオレイニアの素の美しさなんだろう。
ふぉん♪
『ルガーサイト【銀相】
防御力80。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。
装備した者の眼光を抑制すると同時に、
魔術構文の概算化による詠唱時間短縮』
そんな名前になったのか。
「レ、レーニアおばさんが、冗談を言うなんて……あの鬼族のお姉さんとは、よっぽど仲良し……なのかな?」
戸惑いの表情を見せる、蜂女の姪。
「ヴィヴィー、今のは嫌味とか軽口っていうんだよ?」
心の機微を是正する、生意気な子供。
「そーだなー。仲良いってわけじゃねぇしなぁ」
おれも本当のところを言ってやる。
「あら、心外ですね。私たちは、仲が悪いわけではありませんよ」
威嚇するのを止めて、こっちを振り向く所作は完璧だ。
完璧すぎて居合いの間合いに、うっかり踏み込んじまったような――気まずさにとらわれる。
「そうだね。お互い姫さん相手に、苦労させられてる仲間みたいなもんだしねぇー」
威嚇するのを止めて、こっちを振り向く所作は実に力強い。
金剛力を使っていなくても、服の上から筋肉の動きがわかるし――その流れは背中の大剣に、必ず繋がっていた。
「苦労とは、聞き捨てなりませんでしてよっ♪」
陰口を叩かれていた、お嬢さまご本人さまの登場だ。
……なんで、嬉しそうなんだよ。
「苦労以外の何ものでもないでしょ? この子たちの様子を見にいく度に、しばらく戻ってこないじゃないのっ!」
ガシーンと腕を組む鬼族は、なかなかに迫力がある。
「ふふふ、コレだからオルコトリアさんは、まったく。当家のお嬢さまは担当しているお仕事を、全て終わらせてから央都へいらしていますので――」
コツリ♪
一歩まえへ踏み出し、主人を守る盾となる蜂の魔神。
元聖剣切りの閃光にして、元コントゥル家侍女長にして――
そういやぁ、詠唱魔法具はどうするかな。
いまの蜂っぽい絵柄のも……一応作っておくか?
「すべて――終わらせたぁ?」
身を屈め、やや派手なドレス姿の同僚へ目線を合わせる――鬼。
ヴァリ、パリリィ――!
放電が収まらない。
「まさかっ!? お嬢さまぁ――!?」
ルガ蜂の目が、吊り上がっていく。
ガムラン町ギルド支部の、リカルルの机。
菓子をくれるというので、レイダと一緒に何度か赴いたことがある。
考えるまでもねぇだろうが――
その机はいつも、やりかけの仕事で埋もれていたぞ。
「央都のいざこざが解決したら、しばらく泊まり込んで仕事をしてもらうから・ね?」
ごきり――ばきりっ!
腕に血が集まり、その太さが倍化する。
一本角の稲光も、光を増していく。
「お嬢さまぁ! 旦那さまからもあれほど、注意されたばかりではありませんかっ!!!」
ルガ蜂が小さな杖を取りだし、攻撃態勢を取った、
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