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4:龍撃の学院
528:旧パラベラム冒険者専用訓練ダンジョン、VSジャイアント・ゴーレム
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「へひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあぁあぅぉぉぉぉぉおぉおぉぉぉ!? か、壁を走ってくる人が居るーぅ!? まさか、救助隊ですかぁあ!? ここです、ここに居ます! 冒険者さまもおれっちも、ここです! 命からがら逃げ延びて、今なお健在、ご存命です! 生きておりますぅよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
だめだぜ。
やかましいにも程があらぁ。
まったく、さっきまでの飄々とした儚さは、どこに置いてきたんだ!
「チィェェエエエエエエエエエエエエエエッ――――!!」
最速で行く!
スッタタタタタッ――おれは壁を駆け上がる。
ゴガガガッガガガガガガガガガギュギィィィィィッ――――!!
振り向く巨体。土塊がぱらぱらと舞い、巨大な拳がこっちへ向かってくる。
ド――ゴ――ガ――ゴ――ォ――ォ――ゥ――ン――!
壁を粉砕する拳!
スタタッタタ――――トッタタタン!
天井へ逃げたおれを見失う、ジャイアントなんたら(土塊)。
一直線に迅雷を打ち込む、七の型は使えねぇが。
頭に突き込めば、あの図体にも効き目くらいあるだろ。
天井に張り付き、頭上を狙い定め――――
「救援に来てくださったぁ、救助隊さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ここです、ここに居ます! 冒険者さまもおれっちも、こ・こ・でぇぇーす! 生きていますよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! きゃっほぉぅぃ!!!」
だから阿呆か。穴から飛び出して、ご丁寧に上へ手を振るんじゃねぇやい!
「こら、黙らないか! せっかくの奇襲が、台無しではないかっ!」
そんな凜とした声も聞こえてくる。
冒険者というのは、女性らしかった。
けどなぁ、お前さんも声がでけぇ。
スタタッ――ゴカッ!
やべぇ!
おっさんと冒険者に気を取られて、天井の氷柱石に蹴躓いた!
靴だと鉄下駄のようには地をつかめねぇから、仕方がねぇ。
足を伸ばしたが――スカッ!
この小せぇ童の姿じゃ、届かなかった。
ひゅーっと、落ちていくおれ。
ド――ゴ――ガ――ゴ――ォ――ォ――ゥ――ン――!
こっちを見もせずに、巨大な土塊が飛び上がってくる。
こりゃぁ拳か。あまりの大きさに、間合いがつかみ辛ぇ!
首が上を向かなくても、おっさんの顔の向きから――
おれの位置を割り出し――
反響して届く、おれの声で位置を補正。
この土塊、かなり頭が良いぞぉ――!?
オォ――オォ――ォォォ――ゥゥゥン!
迫る拳が――高所から落ちてるような気にさせやがる。
さっき見た長い腕は、余裕で天井に届く。
このままだと、天井に挟まれて――潰される。
「(迅雷迅雷ぃ――どうするっ!?)」
死んでも生き返る、魔法のひもは――おれには利かねぇし。
死んだ後で黄泉路を連れ帰るのは――この間やったばかりで、この地に棲まう全ての生き物に対して、申し訳がたたん。
そして蘇生薬を使うには、服用後の一呼吸が必要になる。
ちっ、腕時計で強化服を、いやいっそのこと――
轟雷を着りゃぁ、立端がいくらかぁ揃うだろっ!
おれは腕時計のカバーを開け――
キュキュン――――ヴァリッ♪
「ぶわっちっぃ!?」
突然、迅雷が爆ぜやがった!
ふぉん♪
『>プロダクトアーム接続部に、フライバックトランス回路を形成。神力を15mAに昇圧、放電しました』
黒腕の先端に神力を漲らせる、女神の眷属。
オォ――オォ――ォォォ――ゥゥゥン!
畜生めっ!
おれは弾かれたときに、ヴッ――ぱしん♪
小太刀を出しちまった。
普段の刹那と、いくさ場の刹那には。
一呼吸する時間よりも、長大な隔たりがある。
腕時計は鞘を持つ側に、巻いておきゃよかったぜ。
つまり、服を着替える余裕がなくなった。
何より恐ろしくて――目を閉じられん!
「(シガミー、危険ですので離れてください――)」
なんだと……いやしかし。もうおれぁ地に落ちる。
そうだなこの際、お前だけでも生き延びてくれ。
靴先が巨大な拳に当たる。
「(シガミー、危険ですので離れてください――)」
ぎゅるっ。
おれは体をねじり、刀が鞘の中をすべる隙間を空け――
巨拳を袈裟懸けに捉えた。
斜めに斬れば、おっさんたちは当たらない。
「食い道楽の面倒わぁ、頼んだからなぁぁぁぁっ!」
ガチリッ――おれは小太刀を開けた。
§
キィン――――――――ドッゴゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴゴゴッズッズズズズズズズズズズズズゥゥゥゥゥウゥゥゥウウゥゥウウゥゥゥゥゥゥンッ!!!!
砕かれた巨拳が、土砂になって落ちていく。
殴られる瞬間、渾身の居合いを放ったはずだが――ぁ?
形をとどめた拳には、小さな切れ込み。
滅の太刀を放つつもりで、斬ってやったんだが。
けど生きてる、生きてたぞ。
潰されても、岩にめり込んでもいねぇ。
よし、強化服を着る。
ギュッ――目を閉じ腕時計のカバーを開き、中のボタンを押す。
シュボッ、カシカシカシ♪
瞼越しでも見える光の奔流――
刹那で着替えが――チキピピッ♪
完了した――ヴュパパパパッ♪
目を開ければ、強化服10号改の中。
「戦術級砲弾《ホウダン》ノ射出ニ成功。プレイヤーハ直チニ射撃評価ヲ行ッテクダサイ」
そんな金属質な声をみた。
バッチバチバチヴァチチッ――――ボフン!
それは雷光を迸らせる、巨大な棒だった。
ノヴァドの金槌よりも大きな、円筒から――ガチャンパリィン、パララッラッ!
なんかの部品が、次々と剥がれ落ちていく。
何だその大きさ?
まるで大仏さまの独鈷杵だ。
ゴヴォッヒュゥゥゥゥゥゥウゥ――――――ィン!
渦を巻く急流が如き、漆黒の本流。
飲み込まれていく、ジャイアントゴーレムとやら。
それが――ギュパ!
縮んで――消えた!?
尚もばらばらと崩れ落ちていく、轟雷でも持て余すほどの大きさの独鈷杵。
ドッゴッシャァァァァンッツ――パッキャァン!
おれを助けるため――崩れ落ちた独鈷杵迅雷。
そうだこいつは迅雷だ。
本来壊れるはずのねぇ、その身を挺して――?
まて、お前はアーティファクトだろうが?
ぽっきゅむぅぅん――♪
おれは丸く窪んだ地面に降り立つ。
ぽっきゅぽっきゅ――ぽきゅぅーん♪
瓦礫の山に突き刺さった、白金の棒を靴先で蹴り飛ばしてやる。
「チチピッ――再起動しマしタ。おハよウごザいマす~、シガミー」
ヴッ――――ふわぁ。
「なんだぜ、いまの大筒わぁ?」
生き返った迅雷をひっつかむ。
あんな大技があるなら、今までにも使えただろうが!
「私が自立砲台であルことを、今まで失念してイました」
ふぉん♪
『>先ほど使用したのは、戦術級砲弾〝非カー解由来空間崩壊〟です』
わからんが、こいつめ!
おれは相棒の角を力一杯、ぽきゅぽむんと叩いてやった!
ーーー
カー解/カー計量。重力由来による空間崩壊。俗に言うブラックホール。2222年現在、該当天体は存在しない。それは過去の観測データや宇宙モデルの精度の問題ではなく、人が内在するエラーである説が有力。
力一杯/持てうる限りの力を出すこと。
だめだぜ。
やかましいにも程があらぁ。
まったく、さっきまでの飄々とした儚さは、どこに置いてきたんだ!
「チィェェエエエエエエエエエエエエエエッ――――!!」
最速で行く!
スッタタタタタッ――おれは壁を駆け上がる。
ゴガガガッガガガガガガガガガギュギィィィィィッ――――!!
振り向く巨体。土塊がぱらぱらと舞い、巨大な拳がこっちへ向かってくる。
ド――ゴ――ガ――ゴ――ォ――ォ――ゥ――ン――!
壁を粉砕する拳!
スタタッタタ――――トッタタタン!
天井へ逃げたおれを見失う、ジャイアントなんたら(土塊)。
一直線に迅雷を打ち込む、七の型は使えねぇが。
頭に突き込めば、あの図体にも効き目くらいあるだろ。
天井に張り付き、頭上を狙い定め――――
「救援に来てくださったぁ、救助隊さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ! ここです、ここに居ます! 冒険者さまもおれっちも、こ・こ・でぇぇーす! 生きていますよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! きゃっほぉぅぃ!!!」
だから阿呆か。穴から飛び出して、ご丁寧に上へ手を振るんじゃねぇやい!
「こら、黙らないか! せっかくの奇襲が、台無しではないかっ!」
そんな凜とした声も聞こえてくる。
冒険者というのは、女性らしかった。
けどなぁ、お前さんも声がでけぇ。
スタタッ――ゴカッ!
やべぇ!
おっさんと冒険者に気を取られて、天井の氷柱石に蹴躓いた!
靴だと鉄下駄のようには地をつかめねぇから、仕方がねぇ。
足を伸ばしたが――スカッ!
この小せぇ童の姿じゃ、届かなかった。
ひゅーっと、落ちていくおれ。
ド――ゴ――ガ――ゴ――ォ――ォ――ゥ――ン――!
こっちを見もせずに、巨大な土塊が飛び上がってくる。
こりゃぁ拳か。あまりの大きさに、間合いがつかみ辛ぇ!
首が上を向かなくても、おっさんの顔の向きから――
おれの位置を割り出し――
反響して届く、おれの声で位置を補正。
この土塊、かなり頭が良いぞぉ――!?
オォ――オォ――ォォォ――ゥゥゥン!
迫る拳が――高所から落ちてるような気にさせやがる。
さっき見た長い腕は、余裕で天井に届く。
このままだと、天井に挟まれて――潰される。
「(迅雷迅雷ぃ――どうするっ!?)」
死んでも生き返る、魔法のひもは――おれには利かねぇし。
死んだ後で黄泉路を連れ帰るのは――この間やったばかりで、この地に棲まう全ての生き物に対して、申し訳がたたん。
そして蘇生薬を使うには、服用後の一呼吸が必要になる。
ちっ、腕時計で強化服を、いやいっそのこと――
轟雷を着りゃぁ、立端がいくらかぁ揃うだろっ!
おれは腕時計のカバーを開け――
キュキュン――――ヴァリッ♪
「ぶわっちっぃ!?」
突然、迅雷が爆ぜやがった!
ふぉん♪
『>プロダクトアーム接続部に、フライバックトランス回路を形成。神力を15mAに昇圧、放電しました』
黒腕の先端に神力を漲らせる、女神の眷属。
オォ――オォ――ォォォ――ゥゥゥン!
畜生めっ!
おれは弾かれたときに、ヴッ――ぱしん♪
小太刀を出しちまった。
普段の刹那と、いくさ場の刹那には。
一呼吸する時間よりも、長大な隔たりがある。
腕時計は鞘を持つ側に、巻いておきゃよかったぜ。
つまり、服を着替える余裕がなくなった。
何より恐ろしくて――目を閉じられん!
「(シガミー、危険ですので離れてください――)」
なんだと……いやしかし。もうおれぁ地に落ちる。
そうだなこの際、お前だけでも生き延びてくれ。
靴先が巨大な拳に当たる。
「(シガミー、危険ですので離れてください――)」
ぎゅるっ。
おれは体をねじり、刀が鞘の中をすべる隙間を空け――
巨拳を袈裟懸けに捉えた。
斜めに斬れば、おっさんたちは当たらない。
「食い道楽の面倒わぁ、頼んだからなぁぁぁぁっ!」
ガチリッ――おれは小太刀を開けた。
§
キィン――――――――ドッゴゴゴゴゴゴオゴゴゴゴゴゴゴッズッズズズズズズズズズズズズゥゥゥゥゥウゥゥゥウウゥゥウウゥゥゥゥゥゥンッ!!!!
砕かれた巨拳が、土砂になって落ちていく。
殴られる瞬間、渾身の居合いを放ったはずだが――ぁ?
形をとどめた拳には、小さな切れ込み。
滅の太刀を放つつもりで、斬ってやったんだが。
けど生きてる、生きてたぞ。
潰されても、岩にめり込んでもいねぇ。
よし、強化服を着る。
ギュッ――目を閉じ腕時計のカバーを開き、中のボタンを押す。
シュボッ、カシカシカシ♪
瞼越しでも見える光の奔流――
刹那で着替えが――チキピピッ♪
完了した――ヴュパパパパッ♪
目を開ければ、強化服10号改の中。
「戦術級砲弾《ホウダン》ノ射出ニ成功。プレイヤーハ直チニ射撃評価ヲ行ッテクダサイ」
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バッチバチバチヴァチチッ――――ボフン!
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ノヴァドの金槌よりも大きな、円筒から――ガチャンパリィン、パララッラッ!
なんかの部品が、次々と剥がれ落ちていく。
何だその大きさ?
まるで大仏さまの独鈷杵だ。
ゴヴォッヒュゥゥゥゥゥゥウゥ――――――ィン!
渦を巻く急流が如き、漆黒の本流。
飲み込まれていく、ジャイアントゴーレムとやら。
それが――ギュパ!
縮んで――消えた!?
尚もばらばらと崩れ落ちていく、轟雷でも持て余すほどの大きさの独鈷杵。
ドッゴッシャァァァァンッツ――パッキャァン!
おれを助けるため――崩れ落ちた独鈷杵迅雷。
そうだこいつは迅雷だ。
本来壊れるはずのねぇ、その身を挺して――?
まて、お前はアーティファクトだろうが?
ぽっきゅむぅぅん――♪
おれは丸く窪んだ地面に降り立つ。
ぽっきゅぽっきゅ――ぽきゅぅーん♪
瓦礫の山に突き刺さった、白金の棒を靴先で蹴り飛ばしてやる。
「チチピッ――再起動しマしタ。おハよウごザいマす~、シガミー」
ヴッ――――ふわぁ。
「なんだぜ、いまの大筒わぁ?」
生き返った迅雷をひっつかむ。
あんな大技があるなら、今までにも使えただろうが!
「私が自立砲台であルことを、今まで失念してイました」
ふぉん♪
『>先ほど使用したのは、戦術級砲弾〝非カー解由来空間崩壊〟です』
わからんが、こいつめ!
おれは相棒の角を力一杯、ぽきゅぽむんと叩いてやった!
ーーー
カー解/カー計量。重力由来による空間崩壊。俗に言うブラックホール。2222年現在、該当天体は存在しない。それは過去の観測データや宇宙モデルの精度の問題ではなく、人が内在するエラーである説が有力。
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