滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

545:央都猪蟹屋跡地、猫たちとアダマンタイト運用審議会

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 ちいさいねこねこ手甲ガントレットほうり出し、「ふにゃぁー♪」と落ちていく。
 ぽふん♪
 ねこ女将おかみさんのボバボーン・・・・・胸元むなもとで、やんわりと受け止められた。

はじめまして、伝説でんせつ魔導工学技師まどうこうがくぎしさま。あたしはトゥナ・コッヘル。辺境へんきょうまち食堂しょくどういとなんでおります♪」
 そういや女将おかみさんはむかし央都こっち宮廷魔道士きゅうていまどうしだか料理人りょうりにんだかをやってたってはなしだったか。

なにが、どうなってやがるんだぜ?」
「わ、わからないよ?」
「わ、わたくしもですららぁん!?」
 大穴おおあなのぞき込み狼狽うろたえる、おれたち。

 そのよこへ、どかどかどかどかっと駆け込んでくるおとこたち。
 かれ魔導騎士団まどうきしだん団員だんいんらによってはこび込まれたのは、長持ながもち……アダマンタイトがはいっていた宝箱たからばこだった。

「ごくろうさまニャァ♪」
「「「「はっ! ソレでは失礼しつれいいたします!」」」」
 鳩尾みぞおちこぶしを当ててから、はしり去っていく団員おとこたち。
 こういうのを見ると顧問技師こもんぎしミャッド・グリゴリー氏が、魔導騎士団まどうきしだんのお偉方えらがただったことをおもい出すぜ。

「だれでも良いけど、それをはこ仕舞しまってくれるニャ?」
 そう言われたおれたちは、おそおそ棒鉄アダマンタイトをつかみ上げ、はこもどした。

   §

「にゃふぅーん♪」
気色きしょくわるこえを、出すなってんだぜ」
 顧問技師こもんぎしミャッドとおれは、長持たからばこうえ胡座あぐらをかいてすわっていた。

「いやね、さっきためした実地検証じっちけんしょうおもっていたとおりだったからうれしくてニャ♪」
 コンと長持ながもちたたく、顧問氏こもんし
あばれるアダマンタイトと、お猫さまロォグを引き剥がしたら、大人しくなった・・・・・・・ってやつか?」
 おれは目のまえの、ねこあたまをぐりぐりと撫でた。

「――止めルにゃっ! そシてオマエ、投げるなンてヒどいニャ!――」
 そしておれたちのあいだには、おねこさまもすわってる。

「そうは言うけど、自分じぶんで飛び込んだんじゃニャいか?」
 さっと毳毳けばけばの付いた長草ながくさを取り出す、顧問氏ミャッド

「――むアにゃぎゃ――期限きゲん――にャ――よけル、錯綜さくソう――」
 あれ? またきゅうわけわからん。

「みゃぁー。やっぱり、込みったはなしになると、ふる時代じだい言葉ことばつうじなくなるにゃぁ――♪」
「じゃあ、おにぎりを呼ぶか」
 ふぉん♪
『シガミー>おにぎり、居るか?』
 見物人けんぶつにん遠巻とおまきに、垣根かきねつくってるから見渡みわたせん。
 一行表示ティッカーで呼びつける。
 ひまなら飛んでくるだろ。

 ぽっきゅらぽっきゅらら――「ひっひひぃぃぃぃん♪」
「きゃぁぁぁぁああぁぁっ――――!」
「みゃにゃぎゃやー
 騒々そうぞうしいのが、見物人かきね蹴散けちらし――
 おにぎり騎馬きばが、やってきたが――
 またか。
 これはげいと言って、良いんじゃね?

 黄緑色きみどりいろねこ……黄緑色きみどりいろ猫風味ねこふうみやつかかえられているのは――
 少女しょうじょメイド・タターだ。

 彼女かのじょ巨木被災地きょぼくひさいち、ネネルド村出身むらしゅっしんだ。
 どういうわけか、あのむら連中れんちゅうは――
 この子馬型こうまがたゴーレム、〝てんぷらごう〟の餌食・・になる。

「あはははっはははっ、面白おもしろいニャ♪」
「にゃにゃにゃぎゃにゃにゃぎゃ♪」
「みゃにゃやぎゃぁー、みゃにゃっぎゃぁー
 わらい出すねこども。

「やめろ、かわいそうじゃねぇーかよ!」
 ぐすんとなみだぐむ少女しょうじょタターは、しりをこちらに向け――
 子馬てんぷらごうの尾に噛まれた・・・・かたそで袖を、真っぐ伸ばしてる。
 この姿勢しせいは、地味じみつらそうだ。

「シガミーちゃぁん!?」
 ジタバタするタター。
 マジ・・で、かわいそうだった。

 おれはぐに、ほどいてやったが――
「これなぁ、どーにかしてやりてーがぁ――てんぷらごう尻尾しっぽ切っちまう・・・・・わけにもいかんだろぉ?」
 いかんよなぁ?

当然とうぜんですららぁぁーん!」
 杓子しゃくしを振りまわしやってきた王女殿下ラプトルひめもなぜか、半べそ・・・だった。

 名残惜なごりおしそうに、彼女かのじょが振りかえ視線しせんさき――
 一直線いっちょくせんに巻き上がる土煙つちけむり

「(――ッチィィィィィィェェェェェェェエッェッィイイィィッ――――――――――――!!)」
 かすかに聞こえてくるのは、ニゲル青年せいねん渾身こんしんはつだ。
 あー、また・・逃げられたのか。
 そんな様子ようすを見ていた、お猫さまロォグが――

「――にゃぁーん――猫缶――新春特番――希少鉱石――ニャ♪――」
 また古代猫語こだいねこごはなし、突然とつぜん、ぺちりと柏手かしわでを打った。

「みゃにゃぁーん、みゃにゃぎゃにゃぎゃぁー、――――
 おにぎりが、ぱたんと取り出した木のいたには――
『「閃いた♪ このアダマンタイトは、この面白い娘たちに使わせるのが一番効率よくなるよ」って言ってるんだもの』
 そんな言葉ことばつむがれた。

「はぁ? よりにもよって、この二人ふたりかぁ?」
 なんでまた、この二人ふたりなんだぜ。
 両方りょうほうとも見た目にはんして、出来できの良いあたまをしちゃいるが――
 如何いかんせん荒事あらごとには、微塵みじんも向いてねぇ。

「にゃぁ――(略)♪」
「ぎゃにゃぁ――(略)
 ぱたん――
『「武器と防具どっちが良いんだい? 小さい娘ならとんでもない威力の武器が扱えそうだよ。大きな娘なら絶対に死なない防具が扱えそうだよ♪」って言ってるもの』

あつかえるてなぁなんなんだぜ? まさかひと選ぶ・・ってのか?」
当然とうぜんだニャァ♪ さっきたしかめたのは、ソレも・・・有るんだニャァ♪」
 ミャッド氏の言ってることは、まるでわからん。
 この二人ふたりに、そんなものすげぇー装備そうびを持たせるのわぁ、危ねぇ・・・が過ぎらぁ。

   §

 宝箱ながもちまわりに、長椅子ながいす長机テーブル設置せっち
 その外周そとを、簡単かんたん衝立ついたてかこった。
 派手はでなドレスのおんなが――ガタン♪
『アダマンタイト運用審議会会場』
 なんて立ていた衝立ついたてに立てかけ、えつっている。

絶対死ぜったいしなんってのわぁ、蘇生薬エリクサーがあるだろ?」
 〝反魂はんごんじゅつ〟そのもの、みたいなものだし――
 日の本ぜんせじゃ、到底とうていあり得なかったもの普通ふつうにある。

「そうですわね、はは……名代みょうだいミケ服・・・というのは、追憶のノット……〝死なないひも〟で出来できていると聞いたことがありますわ……ひそひそ」
 おれの耳元みみもとで、こえひそめるご令嬢リカルル
 奥方さまルリーロから、「おおっぴらに言うな」とでも言われてるんだろう。

「ミケ? そりゃたぶん、巫女服みこふくだぜ……ひそ」
「そんな名前なまえだったかも、しれませんわね……ひそそ」
 派手はでなドレス姿すがたのリカルルじょうが、おれのとなりすわる。
 宝箱たからばこねこどもと、おれたちで満員まんいんになった。

わたくしわぁ、魔導工学まどうこうがく始祖しそケットーシィさまのお、知恵ちから一端いったんでも垣間見かいまみられればソレで、本望ほんもうですわ!」
 おい、「ららぁん」が抜けてるぞ王女殿下ラプトルひめ

 がやががややややっ、わいわいわわわわいっ!
 学者方がくしゃかたどもが、むらがって来やがった。
 衝立ついたて意味いみが、まるでねぇ。

「まったく、どこから聞きつけてきたんだか」
 せめて此処ここ茅野姫ほしがみが居なくて、良かったぜ。
 ふぉん♪
『>はい。見料を徴収しかねません』

 すっぽこ――こぉん♪
 てちり。頭上あたまに降り立つ感触かんしょく
 なんだぜ、丸茸さまいおのはら

おそかったみたいよ? もぎゅもぎゅもぎゅぎゅぎゅ
 おい、おまえさま。
 ふぉん♪
『イオノ>なんわよ?』

「それ、たこあしか?」
 そのうまそうなかおりには、おぼえがあるぞ。
「そうわよ。あっちの木陰こかげ一串ひとくし1キーヌで売ってるわよん

「おだいわぁー、見てのぉーおかえりでぇーす! ププークスクスクスッス
 そんなこえが聞こえてきた。
 べつかまわんが――

 ふぉん♪
『シガミー>おい、茅野姫。見料はなしだからな』
 ふぉん♪
『ホシガミー>ププークスクス、冗談ですわ。神域惑星に戻ったら、蛸之助さんからの供物が届いていましたので、つい?』
 蛸之助あいつまたなんか、欲しいものでもあるのか?
 こっちが片付かたづいたら、ネネルドむらにもかおを出さないと。

 わいわいわいわい、がやがやがやがや。
「そちらの審議会傍聴しんぎかいぼうちょうにわぁ、おだいわ要りませんがー。とっても美味おいしい串焼くしやきわぁ、いかがですかー♪」
 一本いっぽんくれー。こっちは三本さんぼんちょうだい。
 売れてやがる。

「なあ、ミャッドとロォグよぉ」
「どうしたニャァ?」
「――どウしたニャ?――」

見世物みせものみたいになっちまってるが、かまわんのか?」
 衝立ついたてによじのぼ学者方がくしゃかたかずは、増える一方いっぽうだ。
 駄目だめなら、神域惑星しんいきにでも行こう。

「まったく問題もんだいないニャァ♪」
「にゃぁ――(略)♪」
「ぎゃにゃぁ――(略)
 ぱたん――
『「観察し発案し思考し発表する。そして議論を重ね、再び観察し発案し思考し発表するのが、魔導工学技士の本分だもの♪」っていってるんだもの♪』
 おねこさまわぁ〝だもの〟たぁ、言わんだろうが――
 まあ良いってんなら、良いか。

迅雷ジンライ、おれたちのぶんもらってきてくれ。なんかうまそうだ♪」
 あ、けど人前ひとまえでは、ちゃんとかねはらってもらってこいよ。
 ふぉん♪
『>購買者心理の向上メソッドですね。了解しました』

「だめよ! ネコチャンには消化しょうかわるかったりするから、たこはあげられませんよ!」
 ならせめてはなれて、食っててくれりゃ良いものを。

 おねこさまたちは三匹さんびきともはらを鳴らし、はなをヒクヒクさせている。

「それじゃ、かわいそうだろうが。せめてたこ一緒いっしょに炊いたいもでも出してやるか」
 おれは衝立ついたてを、飛び越え――
 テーブルと椅子いすと、かまどを出した。
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