滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
546 / 744
4:龍撃の学院

546:央都猪蟹屋跡地、里芋と蛸の煮物

しおりを挟む
「ふっふっふ。こんなこともあろうかと、神域惑星しんいきからうまそうな野菜やさい見繕みつくろって来ておいてたすかったぜ」
 この世界せかいもっとも食べられているとおもわれるいもは、〝羽根芋はねいも〟だ。

 ふぉん♪
『羽根芋/
 羽根のように大きな葉を持つ芋。
 肉料理に最適な、辛みのある野菜。
 肉を巻いて焼くだけでも、香辛料がわりになる。
 芋の部分は、煮崩れするので料理にはむかない。』

 とは言ってもからみのある葉の部分ぶぶん使つかうのが、おも使つかかただ。
 おれはこめの代わりにして、寿司すしつくったりはしたが――
 此奴こいつ上手うまいこと、煮物にものにはなってくれない。
 肉料理にくりょうり薬味やくみには、最適さいてきなんだがな。

 ふぉん♪
『里芋/
 里芋科の根菜。塊茎や大きな葉や茎を食用とする。
 実の内部は真っ白く、もっちりとした食感と共に好まれている。
 煮崩れしにくく、煮物に向いている。』

 そこで此奴こいつの、出番でばんってわけだぜ。
 生前ぜんせでこのいももっぱら、煮染にしめたくきばかりを食わされたが――
 煮物にものにすりゃ、まるでもちみてぇな歯ごたえでよ。
 ただ料理りょうりをすると、手が痒くなったりする・・・・・・・・・・のが、厄介やっかいだったなー。

 だがいまのおれには、100を超えるスキルがある。
 そのなかには〝調理術ちょうりじゅつ〟や〝高速調理こうそくちょうり〟というスキルもあった。
 もう一瞬いっしゅんつくるぞ――略式りゃくしきの〝超料理術ちょうりょうりじゅつ〟スキルで。

 ざるに盛った里芋いも木篦きべらひとつ取り、まないたに置く。
 ヴッ――包丁ほうちょうを取り出し、ストン♪
 包丁ほうちょうかるたたくだけで――つるん。
 かわを剥かれ面取めんとりりまでされた真っしろな身が、コロリところがり落ちていく。
 木箱きばこうえに置いたおおきなどんぶりに――ストン、ストトトトン♪
 つるん、つるるん、コロコロッ、どさどさどさささっ!
 すぐに山積やまづみになる里芋さといも

 だがじつは、この世界せかいに〝超料理術ちょうちょうりじゅつ〟というスキルは無い。
 無いのに、冒険者ぼうけんしゃカードの追加ついかスキルらんに書かれている。
 これはおれシガミーの膨大ぼうだいなスキルの、帳尻あわせに偽装した・・・・・・・・・・もので――
 言ってみりゃ物作りクラフトけいの〝伝説の職人さいこうほう〟にならぶ、料理版りょうりばんうそ)だ。

「よし出来できたぁ。つぎたこしたごしらえを――」
 おおきなはちに真っしろ里芋さといもを、どぼぼぼぼぼっぱぁん♪
 くるりと振り向くと、そこには――

「お見事みごとですね、シガミー。ですが学院がくいん勉強べんきょう央都猪蟹屋おうとししがにや準備じゅんびに、明け暮れていたのに――」
 やたらと格好かっこうの良い眼鏡めがねを掛けた、おんあが立っていた。

「お野菜やさいを、まとめて収穫しゅうかくするような、そんなひまが良くありましたね――ヴヴッ?」
 やたらと格好かっこうの良いおんなが、まるではちのようにふるえた。

 ヴヴヴヴヴッ――?
 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ――?
 みぎからひだりから、おれの顔色かおいろうかが給仕服きゅうじふくおんな
 まるではち威嚇いかくしてるようで、見ているぶんには面白おもしろかったんだが――

「ヴヴヴヴヴッ――ギチギチギチッ♪」
 とうとうくちから、普段ふだんひとはっしないおとがし出した。
 フッカのこわがる理由りゆうを、ギチギチとかんじる。

「まさかまた深夜しんやまちそと色々いろいろ採取作業さいしゅさぎょうを、つづけていたのではないでしょうね?」
 ゴガガガガガッ――――「ひぃっ!?」
 おれのこえが漏れたのかとおもったがちがう。
 いまのはフッカのこえだった。
 どこかとおくから、蜂女はちおんな動向どうこううかがっているのだろう。

「だ、大丈夫だいじょうぶだ。深夜しんや一人ひとりまちそとに、採取さいしゅになんて行ってないぜっ!」
「本当――でしょうね?」
 ギラリとかがやく、はちかおのような眼鏡めがね
 そのくら鏡面きょうめんに、おびえた子供こどもかおうつり込んでいる。

「ほ、本当ほんとうだぜ! 迅雷ジンライとおにぎりたちに、里芋掘いもほりをたのんだからなっ!」
 うそは言ってない。もっとも、そのときにはおれも、その場に居たんだが。

 カァン――「ひみのずたのまたぁまぁ♪」
 なべかまどに乗せ火をおこし、みずそそぐ。
 干した小魚こざかなを――(迅雷ジンライあたまはらわたしゅうのう納してくれ)――入れる。

 ふぉん♪
『>シガミー。頭と腸は、どう処理しますか?』
 んぁ? そのまま取っとけ。
 五百乃大角いおのはらの、おやつにでも使つかうから。

 湯通ゆどおししたたこを――薄く切るストトン♪
 なべいもを入れ、小魚こざかな出汁だし五分ごふん――煮たものが、高速調理こちらにございます
 そのあと砂糖ざらめを入れて、やっぱり五分――煮たものが(りゃく)。
 さら醤油しょうゆを入れあじが染みたころ、切ったたこを入れる。
 里芋さといもいろが付いたら――

「ぃよぉぅしっ、出来できたぜー!」
 さらに盛ったら生産数最大でおおすぎて大皿3枚分おおざらさんまいぶんにもなっちまったが完成かんせい

所要時間しょヨうじかん、1プん49ビょう――正規せイき手順てジゅん場合ばアいクらべ、ヤく時間ジかん30ぷン時間短縮じかんタんしゅく達成たっせイ
 ヴォヴォヴォゥン♪
 小皿こざらへ取り分ける迅雷ジンライと、給仕服の蜂女ルガレイニア
 ぼんに乗せ蛸串たこくしを食えないおねこさまたちへ、配膳はいぜんしようと振りかえると――

「みーたーわーよぉぅ、ソレさぁー? 超々ちょうちょう超絶ちょうぜつ美味おいしそうじゃんねぇーっ
 衝立ついたてうえに乗る、五百乃大角いおのはらお猫さまロォグ
 五百乃大角いおのはらはわかるが、どうしたおねこさままで?

「なんだぜ。ロォグは腹減はらへってたのか?」
「――おいしい――予感よかん――多重詠唱たじゅうえいしょう――栄養補給えいようほきゅうニャァ♪――――」
「みゃぎゃにゃぁ――(りゃく
 衝立ついたてよこから半分顔はんぶんかおを出す、おにぎり。
 ぱたん――
『「お腹も減ってるけど、多重詠唱の使い手を見つけたんだもの♪」って言ってるんだもの』

「だから〝だもの〟は言ってねぇだろ」
 多重詠唱たじゅうえいしょうのことを、ロォグさまは知ってるようだな。
 あとくわしく聞いときてぇが――

「とりあえず、おまえさまたちわぁ、はやく降りて来ーい!」
 折角せっかく煮物おやつが、冷めちまうだろ。

「うみゃぁ♪」――スタァン!
 おねこさまが直接ちょくせつうえから落ちてきた。
 うわっぷっ!?
 かおに飛びつかれた。

 手からぼんがすっぽ抜け――ガッチャンガチャガチャッ!
「ふぅ、詰めがあまいですね、シガミーは」
 それをはちメイドさんが、華麗かれいに受け止めてくれた。

わりぃ。たすかった!」

   §

「どうしたぁ? たこは抜いたが、あじ中々なかなかだぞ?」
 おねこさまが、小皿こざらくちを付けてくれない。
 どうしたもんかと思ってたら――

「あのぉーうぅ……こそこそ……シガミーちゃぁん」
 ああ? 木箱きばこかげから、こえがしたぞ?。
 見ればフッカが真剣しんけんつらで、隠れてやがる・・・・・・

 なにからかくれてるって、そりゃ蜂女はちおんなからだろうなぁ。

「ケットーシィちゃんは……ひそひそ……さっきわたしたおさらじゃないと、ごはんを食べないそうですよぉ?」
 あ、そういやあずかったな。
 あの水盆すいぼんは、茶碗代ちゃわんがわりだったのか。

 ヴッ――ことん。
「どうぞ、召し上がれやぁ♪」

「みゃにゃぁーん♪」
 お猫さまロォグはとても気に入ったようで、おかわりをしてくれた。
「こっちも、おかわりぃー! ねぇちょっと聞いてんのねぇ? おかわりって言ってんの! おかわり?」
「みゃにゃぎゃぁー
「ひひひぃぃぃんっ?」

「あら、シガミー。とても美味おいしそうですわね?」
 わいわいわいわい、がやがやがやがや。
 みんなが来るとはおもってたから、そこそこ沢山たくさんつくったし――
 薬草師やくそうしのスキルで煮物おやつが、増えちまったんだが。
 それでもすこし足りなくて、おれはもう一回いっかい――

こちらに調かんせいしたものがよういしてございます」する羽目はめになった。
 所要時間しょようじかんは、1ぷんを切った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...