滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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4:龍撃の学院

550:央都猪蟹屋跡地、片手甲の使い方

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 色形いろかたちはロォグの持ち手甲ガントレットに似ていて――
 籠手先こてさきゆびかたち鉄板てっぱんかたちは、リカルルのあか甲冑かっちゅうみたいなこまかなつくり。
 そしてなにより、おねこさまは相当そうとう――てつを打つのがはやかった。

流石さすが魔導具妖精まどうぐようせいケットーシィさまだぜ、ふひゅぅーぃ」
 あ、今度こんどはノヴァドが落ち込んだ。

「落ち込むひまなんかねぇぞ。工房長こうぼうちょうにもつちを振るってもらうからな。折角せっかくだから、よく見といたらどうだぜ?」
 ノヴァドに持たせてみたら――ピピピピピィ♪
 とりが鳴いた。この手甲てっこうにも――
「「騒々そうぞうしく鳴くとりがぁ、棲んでやがるぜっ!」」

「ちょっとシガミィー! あたくしさまがやるって言ってるじゃないのっ
 やかましぃ。おまえさまはいつも猪蟹屋みせめしなんでも、好きなだけ食い散らかしてるじゃねぇかよっ!
 ふぉん♪
『>そういえば、そうわね』

 パァァァン――ッ、パァァァン――ッ、パパァァァン――ッ♪
「「うるせぇ――!!」」

 ヴォォォゥン♪
非適合者ひてきゴうしゃ――安全あンぜんあツかえナいもノが手にスると、警告音さイれんガ鳴りひびくよウです

 ガシャリッ――ノヴァドに突っかえされたソレを、おれは手にはめてみる。
 おれがやるしかないなら、さっさと済ませるにかぎらぁ。

   §

 あちぃ。せめぇ。
 猪蟹屋跡地ししがにやあとち……猪蟹屋予定地ししがにやよていち地下したへとつづとびらは、厳重げんじゅうに封鎖ふうさされている。
 それでも、よこたわるうえに立つと――あちぃのあつくねぇのって。

「じゃぁ、はじめるぞ――ニャァ♪」
 強化服10号改シシガニャン着込きこみ、迅雷ジンライなか涼しく・・・してもらってても――だるほどあちいぃ。
 強化服おれ猫声ねこごえは、みんなわたした耳栓みみせんとおして聞こえている。
 語尾ごびにニャァが付いちまうが、はなし出来できりゃソレで良い。

 ふぉん♪
『イオノ>もう観念なさいわよ。他に強化服を着慣れているのわ、お姫ちゃんにレイダくらいでしょお?』
 ふぉん♪
『>そうですね。あの二人に繊細なマニュピレートを期待するのは、酷という物では?』

 わかったよ。やるよ。やるけどよ。
 どのみち、あの場にいたなかで、この片手甲かたてっこう――椀飯弩わんはんど丸獲烈灯がんとれれっとうとやらをあつかえたのは――
 ロォグとミャッドと、おれだけだった。

「――「毛皮持けがわもちに、あの場所ばしょあついニャァ♪」――」
 って言い張られたしよ。

 ちなみに片手甲かたてっこうを、取り付けるために――
 毛皮けがわ厚み・・無理矢理むりやり片手甲てっこうへねじ込んだ。
 だからその部分ぶぶんだけ、強化服シシガニャン由来ゆらい金剛力こんごうりき作動さどうしないが――
 星神さまカヤノヒメ研ぎ澄ました・・・・・・、このからだが有りゃ、なんとかなるだろ。

総員退避そういんたいひニャァーッ♪」
 どがどがどが、ずどどどどぉ!
 くそうみんな大慌おおあわてで逃げて行きやがったぜ。

 おねこさまわぁ、この手甲てっこう手順・・おしえてくれるって言ってたがぁ?

 ヴォポォン♪
『▼――魔法杖の衝角腕を、目標ポイントへ突き立ててください』
 空中ちゅうに浮かび上がる文字もじ、こいつは強化服きょうかふく画面がめんじゃねぇ。
 実際ほんとうそとに浮かんでいる。お猫さまロォグ技術力うでは、神々かみがみどもに匹敵ならぶってことだ。

うでを突き立てろだぁ――ニャァ!?」
 吹き出した業火ごうかに焼かれて、お陀仏だぶつだろぅがぁ?

 いま地獄じごくかまふたうえは、相当狭そうとうせまい。
 ふたうえつくられた、頑丈がんじょうかこい。
 迅雷ジンライ鋼製こうせい土台どだい蜂女ルガさん高等魔術しゃくねつのたまで、持ち寄ったアダマンタイト鉱石こうせきを――
 伸ばしてたたいて、貼り付けた。
 ギラリとかがや土台どだいは、まるでかまどだった。

 の真んなかに――『マーカー』がクルクルまわって、『死ね』と催促さいそくしてくる。
 ヴォオゥン――『掌の形てがた』もとびら表面ひょうめんに、張り付いた。
 よし、丸焦まるごげになる予感よかんしかしねぇ。
 一端いったん、ここは引く――

 ヴォポオン♪
▼▽▽ポポピュペ♪――目標ポイントへのロックオン状態はあと10秒で自動的に解除されます』
 なんだとぉ、急かすんじゃねぇーよっ!

 おれは手甲てっこうさきの、てのひら目印めじるしに添える。
 すると手のこうから――ガッシャ、キュゥゥィン♪
 ゆっくりとせり上がり、生えてきた・・・・・のは――

亀甲紋ろっかくけいぼう――ニャァ?」
 六角棒それは、どこまでも伸びていく。
 当然とうぜんおれの手のなかから、出てきているようにしか見えねぇ!

衝角射出しょうかくしゃしゅつまで3・2・1――」
 ひとこえがする。五百乃大角いおのはらの声じゃねぇなぁ。
 キュドゴッ!
 いきおいよくぼうが消え――とびらたたき込まれた。

「――ぎゃぁっ――ニャァ!?」
 ついsけんじまったが、おれの手をくい突き抜けた感触・・・・・・・はない。
 どーなってんだ!?

 ヴォッゴゴオバッガァアァァァァァァァァァン!
 割れる、対魔王結界じごくのかまふた
 したへ降りる階段かいだんへつづく通路つうろを、ふさいでいたソレが割れた。

 ッ――――ッヒュッボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥウゥゥヮァッァァァァァ!!!!!!!!!!
 おれはほのおに巻かれた。
 強化服シシガニャンを着ていても、あしが燃えちまいそうだし――
 画面がめんそと渦巻うずまく火炎かえんで、なにも見えん。

 ガッキュゥゥゥウゥゥゥゥッ――!!
 手甲てっこうから漏れる、つよひかり
 籠手先こてさきつめひびの入ったハッチに、食い込む。

 ヴォポオン♪
『衝角腕再装填開始、シャッターノズル解放します。5・4・3・2・1』
 ――バッシャッ♪
 おれの手のこうに、あなが空いた。
 そこから――

 ポォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッォォォォ――――――――――――――――――!!!
 噴き出るほのおが、白煙はくえんに変わり――ッシュシュシュルルルッ♪
 荒れくるっていたほのおが――すべて掻き消える。

『5・4・3・2・1――』
 わわわ、またなんか――!?
 ガキィン――うわとととっ!
 どすん。
 片手甲かたてっこうとびらからはなれ、おれは尻餅しりもちをついた。

 見ればとびら籠手先こてさきが、付いたままで――「ぎゃぁぁ、おれの手がねぇっ――ニャァ!」
 手甲てっこうさき付いてる筈の・・・・・・、おれの手が無かった。
 さけんでいたら――ガッシャンガチャリ♪
 あたしい手甲てっこうさきに、り出した。

   §

「がははははははっ――――こいつぁ、すげぇぞ!」
 工房長ノヴァドすわさき
 対魔王結界たいまおうけっかいハッチに付いたてのひらから、配線はいせんが伸び――
 あしちいさな吹子ペダルを踏めば――

 ドシュゴゴゴゴゴゴバァァァァァァァアッ――――!
 噴き出すほのお
 そのいろ姫さんリカルル本気の蜂女ルガレイニアはなつような、青白い炎・・・・に変わる。
 しかもそのおおきさは、精々せいぜい20センチ程度ていど

「「こりゃ、魂消たまげたぜ!」――ニャァ♪」
 これなら本当ほんとうに、鍛冶かじにも料理りょうりにも使つかえらぁ。

 ふぅ――おれはおれの手を、わしわしとうごかす。
 ついさっきたしかに千切れた・・・・籠手先こてさき
 なのに、おれの手に繋ぎ目・・・は無ぇ。

 ふぉん♪
『>機構的なトリックが魔術的に、再現されているようです』
 なん意味いみがあるのか、わからんが――最初さいしょから最後さいごまで、おれの手は無事ぶじなんだな?
 ふぉん♪
『>はい』
 なら良い。下手へたに問いただすと、はなしながくなりそうだ。

「――おもった以上いじょうに、うまくいったニャァ♪――」
 小躍こおどりをする、お猫さまロォグ

「けれど、もうこれ……十分じゅうぶんに〝災厄さいやく〟を、御せている・・・・・のではなくて?」
 どこかあきがおの、ご令嬢れいじょう

「だよなぁ――じゃぁ、もうアダマンタイトせい武器ぶきつくらなくて、良いってことかぁ――ニャァ?」
 おれがそう言うと、「な、なんだぁとぉぅ!?」とあわてる工房長こうぼうちょう
 これだけのアダマンタイト鉱石こうせきあつかうことは、そうそう無いのだから――
 いどみたい気持きもちはわかる。

「その火を使つかつづけたら、いつか無くなってしまう・・・・・・・・のはたしかですが――」
 顧問秘書マルチヴィルうでかおかくし、対魔王結界たいまおうけっかいうえつくられたかまどを見つめる。

 おれの手首てくびだった籠手先こてさきから噴き出す、青白あおじろ強力な炎つよいほのお
 ここに居ると工房長こうぼうちょうみたいに、かおが焼けちまいそうだ。
 おれは半歩下はんぽさがった。

「――そのためにはアダマンタイトを触媒・・……つまり大量たいりょうのアダマンタイト装備そうびつくらないといけないミャー♪」
 ひげが燃えるのがこわいのか、ねこたちは戸口とぐちあたりまで下がっている。
「うーむぅ。使つかわなくても良くなったが、結局作けっきょくつくらねぇといけねぇってのか――ニャァ?」
 ガシガシと猫頭兜あたまを掻くが、おれのあたまには籠手先とどかねぇ。

「それに〝業火ごうかぎょする武器ぶき〟は、すぐ必要ひつようになるとおもいますわ――ふぅ」
 リカルルのとおい目。

「そうですね。もうひとつ見つかった巨木きょぼく果実かじつがどうなったのか。まだわかりませんし」
 奥方さまルリーロあんずる、蜂の女ルガレイニア

「じゃぁ、すぐつくろうぜ。けどそのまえに、おれよか烏天狗からすてんぐを呼んで来たほうが良くね?」
 なにしろおれは肝心かんじんの〝伝説でんせつ職人しょくにんスキル〟を、持っていない(ことになっている)。

 城塞都市オルァグラム冒険者ぼうけんしゃたちの装備修繕そうびしゅうぜんを、一人ひとり(と一本いっぽん)でこなし。
 コントゥル家央都私設軍けおうとしせつぐん装備そうび修繕しゅうぜんも、一人ひとり(と一本いっぽん二匹にひき)でこなしたっていう立派りっぱ実績じっせき
 それはやはり一目置いちもくおかれるスキル、〝伝説でんせつ職人しょくにん〟あったればこそなのだ。

 ぽっきゅぽきゅぽきゅ――♪
 おれは戸口とぐちから、そとに出た。
 あせが垂れて、うしあたまかゆくてたまらん。
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