577 / 744
4:龍撃の学院
577:龍撃の学院、魔導騎士団総大将と一年A組特別報奨金
しおりを挟む
奇祭タコゥパから、翌々日。
事態は思いも寄らないことに、なってやがるぞ。
〝謁見の間〟に並ぶのは、おれたち猪蟹屋一味と一年A組の級友たちだ。
「面を上げよ」
頭を垂れる皆の頭上へ掛けられる、静かな声。
「はっ! みんなぁー、顔を上げて良いぞー」
あまり、やる気は感じられない声。
男性教師が、そう号令を掛けると――
もたもたと一糸揃わずに、顔を上げるおれたち。
正面に立つのは、現ラスクトール王。
隣に、たぶん王妃。
その隣には、サウルース王子とラプトル姫が並んでいた。
横目で右を見りゃ――
ガムランの親方さまであるコントゥル辺境伯と奥方さまや、他の上級貴族たち。
さらに現王族とは政敵であるはずの連中も、澄ました顔で参列してやがる。
その顔にはもはや、不平や不満はなさそうだが。
そして反対側に並ぶのは、どこか場都合が悪そうな魔導騎士団師団長たちだ。
そこそこあった揉め事の殆どを、おれたちが解決しちまったからな。
第一師団団長ケッピンの目が、どこか泳いでる。
その上手に顧問氏が居て、顧問秘書に抱えられるお猫さまが居て――
その最後尾には、モコモコ髪に巻き角の頭突き女たちも居た。
顧問氏よりも、上手に立つ男性。
たぶん彼が、騎士団総長とやらなのだろう。
その威風堂々とした佇まいは、さすがはLV70とも噂される強者だった。
ココまでは良い、わかる。
左列は魔導騎士団から学者方までの纏め役が、勢揃いしてるらしい。
なんの不思議も不自然もねぇ。
ふぉん♪
『>元魔導騎士団総大将はコントゥル辺境伯名代、つまりルリーロ・イナリィ・コントゥルと聞いていましたが』
そう、元魔導騎士団総大将さまは、妖弧ルリーロその人だ……子細知らんがそうらしい。
なら、現魔導騎士団総大将は――すっぽこん♪
おれの頭の上に、てちりと降り立つ五百乃大角御神体。
「あれっ? 女将さんじゃんか、なんでそっちに居るのぉん? ウケルー♪」
ばかやろう! この場の殆ど全員が、同じことを考えとるわい!
ソレが彼女の正装なのだろう。
鉄鍋のような鉢金に、簡素な胸当てに、ちょっと厳つい手甲と甲懸。
ふぉん♪
『>あの防具一式は97%の確率で、アダマンタイト製です』
姿形はニゲルの革鎧一式と変わらんが、性能は段違いなんだろう。
それでも、仮にも現魔導騎士団総大将が装備するような物には見えねぇが。
ふぉん♪
『>あの頭の鍋も、アダマンタイト製です』
ふぉん♪
『ヒント>両手鍋/持ち手が二つ付いた中型の調理鍋。
胸甲・手甲・足甲/ブレストプレート、ガントレット、グリーブと呼ばれる部位甲冑』
ふぉん♪
『シガミー>やっぱり鍋か?』
けどよく見りゃ、魔導騎士団の紋章が入ってるな。
「あはっははははははっ♪ 何を隠そう、このトゥナ・コッヘルが魔導騎士団総大将さねっ!」
ざわつく謁見の間。
ざっと目を走らせた所、驚いていないのは――
王様と王兄殿下、騎士団総長に辺境伯。
そして前任魔導騎士団総大将さまと、魔導騎士団魔術研究所ギ術開発部顧問技師くらいだった。
奥方さまに、ミャッドめ。
サッ――――ガシャッ!
掌を突き出し、場を鎮める総大将。
「いろいろな経緯で、あたしが魔導騎士団総大将ってことは、ずっと隠されてたんだけどさ――」
何故か〝木さじ(超特大)〟を、背中から抜く魔導騎士団総大将にして――
木さじ食堂の女将兼、コッヘル商会関係者。
おいあの木さじも実わぁ、アダマンタイトとか言い出すなよ!?
ふぉん♪
『>いえ、あれは堅木の削り出しのようです。魔導伝導率は多少、高いようですが』
「亡国の憂いがなくなった今、こんな取って付けた身分を――隠す必要は、なくなったってわけさねっ♪」
ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅん――――ガガァァン!
継ぎ目一つ無い、大女神像の間と同じ硬い石床に、罅が入った!
ふぉん♪
『>〝文句がある奴ぁ掛かってこい〟という、意思表示と思われ』
そうだな……木さじには、罅一つ入ってねぇ。
リカルルもニゲルもリオレイニアも――
騎士団師団長たちも、列席の学院長に教師陣も――
全員、息を止めてやがる。
「っはひゅ――!!!」
ヴッ――――錫杖を取り出した、おれは――――
くるっるっ、すぽん――――ゴゴォン、じゃっりじゃらららっ♪
得物をつかみそこね、無様にも床に落とした。
§
「ふふふっ、ふぁぁーっはっはっはっはぁ♪ とても良い余興であったぞ♪」
王様が場を、緩めてくれたが。
腕に覚えがある奴が全員、肩で息をしてやがるぜ。
「特に、そこの魔導学院生徒よ。本気を出した魔導アーツ継承者相手に、よくぞ刃向かえたもんじゃなぁ――――――――?」
王様の視線を感じる。
おれは拾った錫杖で、体を起こす。
「シ、シガミー・ガムリャンだですわ、ぜ。へへはぁーっ!」
必死に返事をし、呼吸を整える。
「ぷぷぷー♪ ガムリャンだって!」
ばかやろう根菜、マジ黙ってろ!
「うむ、その名。覚えておくぞ。では本題に入るとする」
そんな王様の言葉で始まった謁見は、30分程でお開きになり――
ガチャガチャガチャガチャガチャチャリン♪
一人頭、100パケタ。
巨木・木龍討伐に対する、特別報奨金である。
タターとオルコトリアには追加で300パケタ。
「なおこの報奨金は、ギルド経由ではなく――第63代ラスクトール王、トリケラート・メガロム・ラスクトールより与えるものとする」
ざわわわっ――がやややっ!?
これには女将さんの発を食らっても、じっとしていた連中も響めいた。
「大義であったタター・ネネルド並びに、オルコトリア・ダブルグレイブよ!」
ようやく終わりか……つ、疲れた。
「じゃぁ、王様ー! まったねぇーん♪」
根菜、お前ぇー!
頭の上の揺れ具合で、小さな手を振ってるのがわかる。
「うむ、イオノファラーさま。また酒でも酌み交わそうぞ♪」
えっ、どういうこと?
根菜さまは王様と、面識があったのかよ!?
§
タターには上級鑑定お見舞い金として、更に500パケタ。
こっちも例の上級鑑定料金から即日、支払われた。
タターの開いた口は三日ほど閉じなかったから、その間、口に菓子を皆から放り込まれてた。
大講堂へ戻った一年A組は、蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。
ざわざわざわざわわっ――♪
きゃいきゃきゃきゃい――♪
お貴族さまの子息子女とはいっても、子供が自由に使える金を持っているわけじゃ無い――のだろう。
当然、喧騒も大きくなろうというものだが――
皆の関心は、ギルド支部職員が黒板横に張り出した――
一枚の紙切れに、向けられている。
『~治外法権領<大森林観測所>との、交易締結クエスト~
支度金として500パケタ。帰還時に一人につき、
250パケタ支払われます。
なお交易締結の暁には、フカフ村周辺区域の下賜もあり。
――央都ラスクトール自治領ギルド本部』
まったくなんてクエストを依頼しやがる、王様ェ。
「ププププププププププププププークスゥフフウフフゥププーッ♪」
「ニャッフフフフフフフフフフフウフフフフフフフフフフフフッ♪」
猪蟹屋の守銭奴と、喫茶店の守銭奴が、はしゃいじまって手が付けられん。
「ウッケケケッケケケケケケケケッケケッウケッケケケケケケッ♪」
いや、お前さまは別に。はしゃぐ必要ねーだろ?
ふぉん♪
『>大森林エリアの記述に〝食材の宝庫〟と有ります』
あー、そういうことか。
けど出発は来年の春みたいだから、ソレまでおれは羽根を伸ばすとするぜ。
ふぉん♪
『>はい。王都へ来る前も来てからも、一息つく暇もありませんでしたから、ゆっくりと体と心を休めましょう』
おうょ、よぉく見とけやぁ。全身全霊で渾っ身っの力一杯――
非の打ち所しかない程、だらけきってやるからなぁーっ♪
事態は思いも寄らないことに、なってやがるぞ。
〝謁見の間〟に並ぶのは、おれたち猪蟹屋一味と一年A組の級友たちだ。
「面を上げよ」
頭を垂れる皆の頭上へ掛けられる、静かな声。
「はっ! みんなぁー、顔を上げて良いぞー」
あまり、やる気は感じられない声。
男性教師が、そう号令を掛けると――
もたもたと一糸揃わずに、顔を上げるおれたち。
正面に立つのは、現ラスクトール王。
隣に、たぶん王妃。
その隣には、サウルース王子とラプトル姫が並んでいた。
横目で右を見りゃ――
ガムランの親方さまであるコントゥル辺境伯と奥方さまや、他の上級貴族たち。
さらに現王族とは政敵であるはずの連中も、澄ました顔で参列してやがる。
その顔にはもはや、不平や不満はなさそうだが。
そして反対側に並ぶのは、どこか場都合が悪そうな魔導騎士団師団長たちだ。
そこそこあった揉め事の殆どを、おれたちが解決しちまったからな。
第一師団団長ケッピンの目が、どこか泳いでる。
その上手に顧問氏が居て、顧問秘書に抱えられるお猫さまが居て――
その最後尾には、モコモコ髪に巻き角の頭突き女たちも居た。
顧問氏よりも、上手に立つ男性。
たぶん彼が、騎士団総長とやらなのだろう。
その威風堂々とした佇まいは、さすがはLV70とも噂される強者だった。
ココまでは良い、わかる。
左列は魔導騎士団から学者方までの纏め役が、勢揃いしてるらしい。
なんの不思議も不自然もねぇ。
ふぉん♪
『>元魔導騎士団総大将はコントゥル辺境伯名代、つまりルリーロ・イナリィ・コントゥルと聞いていましたが』
そう、元魔導騎士団総大将さまは、妖弧ルリーロその人だ……子細知らんがそうらしい。
なら、現魔導騎士団総大将は――すっぽこん♪
おれの頭の上に、てちりと降り立つ五百乃大角御神体。
「あれっ? 女将さんじゃんか、なんでそっちに居るのぉん? ウケルー♪」
ばかやろう! この場の殆ど全員が、同じことを考えとるわい!
ソレが彼女の正装なのだろう。
鉄鍋のような鉢金に、簡素な胸当てに、ちょっと厳つい手甲と甲懸。
ふぉん♪
『>あの防具一式は97%の確率で、アダマンタイト製です』
姿形はニゲルの革鎧一式と変わらんが、性能は段違いなんだろう。
それでも、仮にも現魔導騎士団総大将が装備するような物には見えねぇが。
ふぉん♪
『>あの頭の鍋も、アダマンタイト製です』
ふぉん♪
『ヒント>両手鍋/持ち手が二つ付いた中型の調理鍋。
胸甲・手甲・足甲/ブレストプレート、ガントレット、グリーブと呼ばれる部位甲冑』
ふぉん♪
『シガミー>やっぱり鍋か?』
けどよく見りゃ、魔導騎士団の紋章が入ってるな。
「あはっははははははっ♪ 何を隠そう、このトゥナ・コッヘルが魔導騎士団総大将さねっ!」
ざわつく謁見の間。
ざっと目を走らせた所、驚いていないのは――
王様と王兄殿下、騎士団総長に辺境伯。
そして前任魔導騎士団総大将さまと、魔導騎士団魔術研究所ギ術開発部顧問技師くらいだった。
奥方さまに、ミャッドめ。
サッ――――ガシャッ!
掌を突き出し、場を鎮める総大将。
「いろいろな経緯で、あたしが魔導騎士団総大将ってことは、ずっと隠されてたんだけどさ――」
何故か〝木さじ(超特大)〟を、背中から抜く魔導騎士団総大将にして――
木さじ食堂の女将兼、コッヘル商会関係者。
おいあの木さじも実わぁ、アダマンタイトとか言い出すなよ!?
ふぉん♪
『>いえ、あれは堅木の削り出しのようです。魔導伝導率は多少、高いようですが』
「亡国の憂いがなくなった今、こんな取って付けた身分を――隠す必要は、なくなったってわけさねっ♪」
ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅん――――ガガァァン!
継ぎ目一つ無い、大女神像の間と同じ硬い石床に、罅が入った!
ふぉん♪
『>〝文句がある奴ぁ掛かってこい〟という、意思表示と思われ』
そうだな……木さじには、罅一つ入ってねぇ。
リカルルもニゲルもリオレイニアも――
騎士団師団長たちも、列席の学院長に教師陣も――
全員、息を止めてやがる。
「っはひゅ――!!!」
ヴッ――――錫杖を取り出した、おれは――――
くるっるっ、すぽん――――ゴゴォン、じゃっりじゃらららっ♪
得物をつかみそこね、無様にも床に落とした。
§
「ふふふっ、ふぁぁーっはっはっはっはぁ♪ とても良い余興であったぞ♪」
王様が場を、緩めてくれたが。
腕に覚えがある奴が全員、肩で息をしてやがるぜ。
「特に、そこの魔導学院生徒よ。本気を出した魔導アーツ継承者相手に、よくぞ刃向かえたもんじゃなぁ――――――――?」
王様の視線を感じる。
おれは拾った錫杖で、体を起こす。
「シ、シガミー・ガムリャンだですわ、ぜ。へへはぁーっ!」
必死に返事をし、呼吸を整える。
「ぷぷぷー♪ ガムリャンだって!」
ばかやろう根菜、マジ黙ってろ!
「うむ、その名。覚えておくぞ。では本題に入るとする」
そんな王様の言葉で始まった謁見は、30分程でお開きになり――
ガチャガチャガチャガチャガチャチャリン♪
一人頭、100パケタ。
巨木・木龍討伐に対する、特別報奨金である。
タターとオルコトリアには追加で300パケタ。
「なおこの報奨金は、ギルド経由ではなく――第63代ラスクトール王、トリケラート・メガロム・ラスクトールより与えるものとする」
ざわわわっ――がやややっ!?
これには女将さんの発を食らっても、じっとしていた連中も響めいた。
「大義であったタター・ネネルド並びに、オルコトリア・ダブルグレイブよ!」
ようやく終わりか……つ、疲れた。
「じゃぁ、王様ー! まったねぇーん♪」
根菜、お前ぇー!
頭の上の揺れ具合で、小さな手を振ってるのがわかる。
「うむ、イオノファラーさま。また酒でも酌み交わそうぞ♪」
えっ、どういうこと?
根菜さまは王様と、面識があったのかよ!?
§
タターには上級鑑定お見舞い金として、更に500パケタ。
こっちも例の上級鑑定料金から即日、支払われた。
タターの開いた口は三日ほど閉じなかったから、その間、口に菓子を皆から放り込まれてた。
大講堂へ戻った一年A組は、蜂の巣を突いたような騒ぎとなった。
ざわざわざわざわわっ――♪
きゃいきゃきゃきゃい――♪
お貴族さまの子息子女とはいっても、子供が自由に使える金を持っているわけじゃ無い――のだろう。
当然、喧騒も大きくなろうというものだが――
皆の関心は、ギルド支部職員が黒板横に張り出した――
一枚の紙切れに、向けられている。
『~治外法権領<大森林観測所>との、交易締結クエスト~
支度金として500パケタ。帰還時に一人につき、
250パケタ支払われます。
なお交易締結の暁には、フカフ村周辺区域の下賜もあり。
――央都ラスクトール自治領ギルド本部』
まったくなんてクエストを依頼しやがる、王様ェ。
「ププププププププププププププークスゥフフウフフゥププーッ♪」
「ニャッフフフフフフフフフフフウフフフフフフフフフフフフッ♪」
猪蟹屋の守銭奴と、喫茶店の守銭奴が、はしゃいじまって手が付けられん。
「ウッケケケッケケケケケケケケッケケッウケッケケケケケケッ♪」
いや、お前さまは別に。はしゃぐ必要ねーだろ?
ふぉん♪
『>大森林エリアの記述に〝食材の宝庫〟と有ります』
あー、そういうことか。
けど出発は来年の春みたいだから、ソレまでおれは羽根を伸ばすとするぜ。
ふぉん♪
『>はい。王都へ来る前も来てからも、一息つく暇もありませんでしたから、ゆっくりと体と心を休めましょう』
おうょ、よぉく見とけやぁ。全身全霊で渾っ身っの力一杯――
非の打ち所しかない程、だらけきってやるからなぁーっ♪
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました
月神世一
ファンタジー
「命を捨てて勝つな。生きて勝て」
50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する!
海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。
再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は――
「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」
途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。
子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。
規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。
「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」
坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。
呼び出すのは、自衛隊の補給物資。
高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。
魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。
これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる