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5:大森林観測村VSガムラン町
582:大森林観測所への道、盗賊とエンカウント
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先行していたオルコトリアとタターが、立ち止まっている。
渋滞し、だまになる特撃型たち。
混雑した山道を、おれは――
スタァン――ぽぎゅむっ――ドッドン、タタァァン♪
特撃型『17』番の肩を借り、木々の幹や枝へ飛び乗る!
「きゃっ、シガミー!?」
17番はリオレイニアを、運んでいる奴だったか。
「悪い、先に行く!」
「「「「「「「「「「「「「シガミーちゃん!?」」」」」」」」」」」」」
ぽぎゅぎゅむっ――スタタタタァン――ぽっぎゅむ♪
何番だかわからんが、たぶん王族関係者や央都のお貴族さまの特撃型の頭を踏みつけ――
一息に飛ぶ!
くるくるくるるん、スタン♪
「どーした? うしろが支えちまってるぞ?」
オルコトリア――鬼族の娘の側に降りた。
「しっ!」
口元に指を立てて見せる鬼の娘。
片手で抱えられた少女が、小高い丘の上の茂みを長銃で指し示した。
「(小頭ぁ、猫の魔物にとっ捕まった間抜けな連中が、こっちに来――ぎゃっ!?)」
茂みが、わさわさと揺れる。
「(ばかやろう! 大声を出すんじゃぁ無いよっ、感づかれちまうだろうが――それと誰が小頭だい! あたいは親衛隊長さまだぞ、ゴラァ――)」
話し声が、盛大に聞こえてくる。
「盗賊の類いだろう、ちょっと絞めてくるよ」
タターを地面にそっと下ろし、オルコトリアが跳んだ。
§
「はい、そこまで。何をやってるんだい、あんたたちはもう――」
縄で縛られた盗賊たちが、女将さんの姿を見るなり――
「「「「お嬢――――――――!?」」」――でさぁ!?」
驚愕の表情を見せた。
「その呼び方は、お止めっ! 今のあたしゃ、食堂の女将さんさね♪」
腕を組み、仁王立ち。縄を解いてやる気は無ぇらしい。
「食堂?」「まさか!?」「でさぁ?」
「ヴィフテーキ食堂ですかい?」
ふぉん♪
『イオノ>いま、聞き捨てならない単語が、飛び出さなかった?』
知らん、やかましぃ。
ふぉん♪
『ヒント>ビフテキ/ビーフステーキ。牛の厚切り肉を鉄板で焼いた料理。好みで焼き加減を選べる』
知らん、うるせぇ。
「店名は違うが、そんなようなものさね」
まるで訳がわからんが盗賊は、女将さんの知り合いのようだった。
流石は渡世人だぜ、ちと怖ぇ。
「「「「おめでとうございます、お嬢!」」」」
木に縛り付けられた……随分と、お年を召した盗賊たちが――
女将さんの、〝木さじ食堂〟開店を祝ってやがるぜ。
「だから、もう若くないんだから、お嬢はお止め!」
大きな木さじで、がんごんががんと小突かれる盗賊たち。
ぎゅぎゅむっ、ぽぎゅぎゅむっ♪
ぎゅうぎゅう詰めの、おれたちは――
なり行きを見守る。
ふぉん♪
『イオノ>えーと。女将さんのお店って、いつからあるの?』
食える物が無いかと周囲を見渡す根菜さまが、一行表示で尋ねてきた。
おれは知らん。
ふぉん♪
『リオレイニア>少なくともお嬢様さまと私が初めてガムラン町を訪れた、10年前には既にありました』
となると、女将さんは少なくとも10年近く、里帰りしてないんじゃねぇのか?
この盗賊たち……女将さんの知り合いらしい連中は、〝木さじ食堂〟のことを知らなかったんだからよ。
ふぉん♪
『>ここから央都までの帰り道は、相当に険しい道行きですので、致し方ないのでは?』
まぁ、そーなんだろーけどな。
これまで転移陣が使えるのは央都の、〝大女神像〟だけだったわけだしょぉぅ。
§
「あんたたちも、もう良い年だろう? その格好は、お止めっ!」
冒険者の装備に、口元を隠す覆面。
怪しいことこの上ないが、それでも天狗や烏天狗よりは、顔が出てるか。
そして棘付きの肩当てや、物騒な爪が生えた靴も――
リカルルの甲冑ほどには、刺刺していない。
つまり此奴らは、半端者だ。
「けど未だに一攫千金を狙う冒険者が、入ってこようとするんですぜ――」
体格は良くても腹が出た、面白い顔の奴。
「せめて俺らの格好を見て、引き返せっつー――」
ひょろ長くて猫背な、妙に厳つい顔の奴。
「あっしらの親切なんでさぁ――」
奇っ怪な剣をもつ、毛の無い奴。
何だ、あの面白ぇ剣は?
日の本の刀みてぇに、反ってるってんじゃなくて――捻れた鞘《さや》に、収まってやがるぜ。
「というわけで昔着てた装備を持ち出さないと、アタイらの身が持たないんっすよぉ?」
派手な化粧に、胸元が開いた胸当て。
あんな装備で敵の攻撃を、本当に防げるのかぁ?
「ふーぅ。あんたたちは、本っ当に弱いからねぇ」
「「「「へっへへへへっ♪」」」――あっしもでさぁ♪」
縛られたまま、器用に身をよじる盗賊たち。
ふぉん♪
『シガミー>あの冒険者たちのLVはわかるか?』
リオレイニアが近くに居るから、上級鑑定は使えねぇ。
鐘の音をさせたら、怒られる。
ふぉん♪
『>シガミーの上級鑑定スキルが使えないため、正式な数値は参照出来ませんが。冒険者カードの組成から、LV40は超えていると思われます』
レベル40超えてても、〝弱い〟と言われちまうのか。
ちと、かわいそうだな。
ふぉん♪
『>コッヘル夫人以外にも、相当な手練れが居ることを示唆しているのでは?』
だな。うちの姫さんたちを、置いてきて助かったぜ。
「みゃにゃぁごぉー?」
ぽぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅgむぎゅぽぽぷむぅん♪
「ひひひひひぃぃんっ!?」
ぽぎゅぎゅぎゅむんっ――――ずざざざざぁ!
騒々しい音に振り替えれば、おにぎり騎馬が――
うしろから押し寄せる、特撃型たちに押され、すっ転んだ。
「よっ、はっ、とりゃ、ぼこごこぉぉぉん、ずどごっがぁぁん♪」
そして、転げまくる特撃型の頭を踏んで――
針刺し男が迫ってきた!
「あーもー、うるせぇ! 先に行くぞぉ、女将さぁーん!」
おっさんを先に、行かすわけにはいかねぇ。
もしもの事があったら、フッカやフッカ母に申し訳が立たん。
おれは――――スッタタァァン♪
おっさんの前に躍り出た。
「あっ、嬢ちゃん!」
「そっちは、危ねぇですぜっ!」
なんだぁ、盗賊たちが騒ぎ出した。
「偽物ぉー、なんでさぁ!」
スタタァァン――――偽物だぁ?
「本当の道はぁー、こっちよぉーっ!」
盗賊の頭らしい女が、自分の肩越しに――
小高い丘に埋まる、大岩を見た。
なんだぁ?
盗賊たちが出てきた茂みごと、大岩が割れ――
その向こうに、道が出来た。
じゃぁ、此方の偽物の道ってのは――?
すたり――ぶにょぉん?
平たい石を雑に敷き詰めた、山道。
その地面が揺らいだと思ったら――「ぬぅおぉぅわぁぁぁっ――――!?」
地面が抜けた。
フッと姿を消す、女将さんや盗賊たち。
子供を抱えたまま、すっ転んでいたシシガニャンたちも消えた。
「んのっひょろぉうわぁぁぁぁひゃっ――――!?」
うるせぇ、おっさん。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――!?」
うるせぇ、神官女性。
すたん、どざどざぷぎゅるりゅ♪
おれと、おっさんと神官女性が――
山道の真ん中に、取り残された。
渋滞し、だまになる特撃型たち。
混雑した山道を、おれは――
スタァン――ぽぎゅむっ――ドッドン、タタァァン♪
特撃型『17』番の肩を借り、木々の幹や枝へ飛び乗る!
「きゃっ、シガミー!?」
17番はリオレイニアを、運んでいる奴だったか。
「悪い、先に行く!」
「「「「「「「「「「「「「シガミーちゃん!?」」」」」」」」」」」」」
ぽぎゅぎゅむっ――スタタタタァン――ぽっぎゅむ♪
何番だかわからんが、たぶん王族関係者や央都のお貴族さまの特撃型の頭を踏みつけ――
一息に飛ぶ!
くるくるくるるん、スタン♪
「どーした? うしろが支えちまってるぞ?」
オルコトリア――鬼族の娘の側に降りた。
「しっ!」
口元に指を立てて見せる鬼の娘。
片手で抱えられた少女が、小高い丘の上の茂みを長銃で指し示した。
「(小頭ぁ、猫の魔物にとっ捕まった間抜けな連中が、こっちに来――ぎゃっ!?)」
茂みが、わさわさと揺れる。
「(ばかやろう! 大声を出すんじゃぁ無いよっ、感づかれちまうだろうが――それと誰が小頭だい! あたいは親衛隊長さまだぞ、ゴラァ――)」
話し声が、盛大に聞こえてくる。
「盗賊の類いだろう、ちょっと絞めてくるよ」
タターを地面にそっと下ろし、オルコトリアが跳んだ。
§
「はい、そこまで。何をやってるんだい、あんたたちはもう――」
縄で縛られた盗賊たちが、女将さんの姿を見るなり――
「「「「お嬢――――――――!?」」」――でさぁ!?」
驚愕の表情を見せた。
「その呼び方は、お止めっ! 今のあたしゃ、食堂の女将さんさね♪」
腕を組み、仁王立ち。縄を解いてやる気は無ぇらしい。
「食堂?」「まさか!?」「でさぁ?」
「ヴィフテーキ食堂ですかい?」
ふぉん♪
『イオノ>いま、聞き捨てならない単語が、飛び出さなかった?』
知らん、やかましぃ。
ふぉん♪
『ヒント>ビフテキ/ビーフステーキ。牛の厚切り肉を鉄板で焼いた料理。好みで焼き加減を選べる』
知らん、うるせぇ。
「店名は違うが、そんなようなものさね」
まるで訳がわからんが盗賊は、女将さんの知り合いのようだった。
流石は渡世人だぜ、ちと怖ぇ。
「「「「おめでとうございます、お嬢!」」」」
木に縛り付けられた……随分と、お年を召した盗賊たちが――
女将さんの、〝木さじ食堂〟開店を祝ってやがるぜ。
「だから、もう若くないんだから、お嬢はお止め!」
大きな木さじで、がんごんががんと小突かれる盗賊たち。
ぎゅぎゅむっ、ぽぎゅぎゅむっ♪
ぎゅうぎゅう詰めの、おれたちは――
なり行きを見守る。
ふぉん♪
『イオノ>えーと。女将さんのお店って、いつからあるの?』
食える物が無いかと周囲を見渡す根菜さまが、一行表示で尋ねてきた。
おれは知らん。
ふぉん♪
『リオレイニア>少なくともお嬢様さまと私が初めてガムラン町を訪れた、10年前には既にありました』
となると、女将さんは少なくとも10年近く、里帰りしてないんじゃねぇのか?
この盗賊たち……女将さんの知り合いらしい連中は、〝木さじ食堂〟のことを知らなかったんだからよ。
ふぉん♪
『>ここから央都までの帰り道は、相当に険しい道行きですので、致し方ないのでは?』
まぁ、そーなんだろーけどな。
これまで転移陣が使えるのは央都の、〝大女神像〟だけだったわけだしょぉぅ。
§
「あんたたちも、もう良い年だろう? その格好は、お止めっ!」
冒険者の装備に、口元を隠す覆面。
怪しいことこの上ないが、それでも天狗や烏天狗よりは、顔が出てるか。
そして棘付きの肩当てや、物騒な爪が生えた靴も――
リカルルの甲冑ほどには、刺刺していない。
つまり此奴らは、半端者だ。
「けど未だに一攫千金を狙う冒険者が、入ってこようとするんですぜ――」
体格は良くても腹が出た、面白い顔の奴。
「せめて俺らの格好を見て、引き返せっつー――」
ひょろ長くて猫背な、妙に厳つい顔の奴。
「あっしらの親切なんでさぁ――」
奇っ怪な剣をもつ、毛の無い奴。
何だ、あの面白ぇ剣は?
日の本の刀みてぇに、反ってるってんじゃなくて――捻れた鞘《さや》に、収まってやがるぜ。
「というわけで昔着てた装備を持ち出さないと、アタイらの身が持たないんっすよぉ?」
派手な化粧に、胸元が開いた胸当て。
あんな装備で敵の攻撃を、本当に防げるのかぁ?
「ふーぅ。あんたたちは、本っ当に弱いからねぇ」
「「「「へっへへへへっ♪」」」――あっしもでさぁ♪」
縛られたまま、器用に身をよじる盗賊たち。
ふぉん♪
『シガミー>あの冒険者たちのLVはわかるか?』
リオレイニアが近くに居るから、上級鑑定は使えねぇ。
鐘の音をさせたら、怒られる。
ふぉん♪
『>シガミーの上級鑑定スキルが使えないため、正式な数値は参照出来ませんが。冒険者カードの組成から、LV40は超えていると思われます』
レベル40超えてても、〝弱い〟と言われちまうのか。
ちと、かわいそうだな。
ふぉん♪
『>コッヘル夫人以外にも、相当な手練れが居ることを示唆しているのでは?』
だな。うちの姫さんたちを、置いてきて助かったぜ。
「みゃにゃぁごぉー?」
ぽぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅgむぎゅぽぽぷむぅん♪
「ひひひひひぃぃんっ!?」
ぽぎゅぎゅぎゅむんっ――――ずざざざざぁ!
騒々しい音に振り替えれば、おにぎり騎馬が――
うしろから押し寄せる、特撃型たちに押され、すっ転んだ。
「よっ、はっ、とりゃ、ぼこごこぉぉぉん、ずどごっがぁぁん♪」
そして、転げまくる特撃型の頭を踏んで――
針刺し男が迫ってきた!
「あーもー、うるせぇ! 先に行くぞぉ、女将さぁーん!」
おっさんを先に、行かすわけにはいかねぇ。
もしもの事があったら、フッカやフッカ母に申し訳が立たん。
おれは――――スッタタァァン♪
おっさんの前に躍り出た。
「あっ、嬢ちゃん!」
「そっちは、危ねぇですぜっ!」
なんだぁ、盗賊たちが騒ぎ出した。
「偽物ぉー、なんでさぁ!」
スタタァァン――――偽物だぁ?
「本当の道はぁー、こっちよぉーっ!」
盗賊の頭らしい女が、自分の肩越しに――
小高い丘に埋まる、大岩を見た。
なんだぁ?
盗賊たちが出てきた茂みごと、大岩が割れ――
その向こうに、道が出来た。
じゃぁ、此方の偽物の道ってのは――?
すたり――ぶにょぉん?
平たい石を雑に敷き詰めた、山道。
その地面が揺らいだと思ったら――「ぬぅおぉぅわぁぁぁっ――――!?」
地面が抜けた。
フッと姿を消す、女将さんや盗賊たち。
子供を抱えたまま、すっ転んでいたシシガニャンたちも消えた。
「んのっひょろぉうわぁぁぁぁひゃっ――――!?」
うるせぇ、おっさん。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――!?」
うるせぇ、神官女性。
すたん、どざどざぷぎゅるりゅ♪
おれと、おっさんと神官女性が――
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