滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
582 / 744
5:大森林観測村VSガムラン町

582:大森林観測所への道、盗賊とエンカウント

しおりを挟む
 先行せんこうしていたオルコトリアとタターが、立ち止まっている。
 渋滞じゅうたいし、だま・・になる特撃型とくげきがたたち。
 混雑こんざつした山道やまみちを、おれは――

 スタァン――ぽぎゅむっ――ドッドン、タタァァン♪
 特撃型とくげきがた『17』ばんかたを借り、木々きぎみきえだへ飛び乗る!
「きゃっ、シガミー!?」
 17ばんはリオレイニアを、はこんでいるやつだったか。
わりい、さきに行く!」
「「「「「「「「「「「「「シガミーちゃん!?」」」」」」」」」」」」」
 ぽぎゅぎゅむっ――スタタタタァン――ぽっぎゅむ♪
 何番だれだかわからんが、たぶん王族関係者おうぞくかんけいしゃ央都おうとのお貴族きぞくさまの特撃型シシガニャンあたまを踏みつけ――
 一息ひといきに飛ぶ!
 くるくるくるるん、スタン♪

「どーした? うしろがつっかえちまってるぞ?」
 オルコトリア――鬼族オーガむすめそばに降りた。

「しっ!」
 口元くちもとゆびを立てて見せる鬼の娘オルコ
 片手かたてかかえられた少女タターが、小高こだかおかうえしげみを長銃ひなわで指ししめした。

「(小頭こがしらぁ、ねこ魔物まものにとっつかまった間抜まぬけな連中れんちゅうが、こっちに来――ぎゃっ!?)」
 しげみが、わさわさと揺れる。
「(ばかやろう! 大声おおごえを出すんじゃぁ無いよっ、かんづかれちまうだろうが――それとだれ小頭こがしらだい! あたいは親衛隊長しんえいたいちょうさまだぞ、ゴラァ――)」
 はなごえが、盛大せいだいに聞こえてくる。

盗賊とうぞくたぐいだろう、ちょっと絞めて・・・くるよ」
 タターを地面じめんにそっと下ろし、オルコトリアが跳んだ・・・

   §

「はい、そこまで。なにをやってるんだい、あんたたちはもう――」
 なわしばられた盗賊たち・・・・が、女将おかみさんの姿すがたを見るなり――

「「「「おじょう――――――――!?」」」――でさぁ!?」
 驚愕きょうがく表情ひょうじょうを見せた。

「その呼びかたは、お止めっ! いまのあたしゃ、食堂しょくどう女将おかみさんさね♪」
 うでを組み、仁王立におうだち。なわqを解いてやる気は無ぇらしい。

食堂しょくどう?」「まさか!?」「でさぁ?」
「ヴィフテーキ食堂しょくどうですかい?」
 ふぉん♪
『イオノ>いま、聞き捨てならない単語が、飛び出さなかった?』
 知らん、やかましぃ。

 ふぉん♪
『ヒント>ビフテキ/ビーフステーキ。牛の厚切り肉を鉄板で焼いた料理。好みで焼き加減を選べる』
 知らん、うるせぇ。

店名てんめいちがうが、そんなようなものさね」
 まるでわけがわからんが盗賊こいつらは、女将おかみさんの知り合いのようだった。
 流石さすが渡世人とせいにんだぜ、ちとこえぇ。

「「「「おめでとうございます、お嬢・・!」」」」
 木にしばり付けられた……随分ずいぶんと、おとしを召した盗賊とうぞくたちが――
 女将おかみさんの、〝木さじ食堂しょくどう開店かいてんいわってやがるぜ。

「だから、もうわかくないんだから、おじょうはお止め!」
 おおきな木さじで、がんごんががんと小突こづかれる盗賊とうぞくたち。

 ぎゅぎゅむっ、ぽぎゅぎゅむっ♪
 ぎゅうぎゅう詰めの、おれたちは――
 なり行きを見守みまもる。

 ふぉん♪
『イオノ>えーと。女将さんのお店って、いつからあるの?』
 食えるものが無いかと周囲しゅうい見渡みわた根菜こんさいさまが、一行表示ティッカーたずねてきた。
 おれは知らん。
 ふぉん♪
『リオレイニア>少なくともお嬢様さまと私が初めてガムラン町を訪れた、10年前には既にありました』

 となると、女将おかみさんはすくなくとも10年近ねんちかく、里帰さとがえりしてないんじゃねぇのか?
 この盗賊とうぞくたち……女将おかみさんの知り合いらしい連中れんちゅうは、〝木さじ食堂しょくどう〟のことを知らなかったんだからよ。

 ふぉん♪
『>ここから央都までの帰り道は、相当に険しい道行きですので、致し方ないのでは?』
 まぁ、そーなんだろーけどな。
 これまで転移陣てんいじん使つかえるのは央都おうとの、〝大女神像だいめがみぞうだけ・・だったわけだしょぉぅ。

   §

「あんたたちも、もう良いとしだろう? その格好かっこうは、お止めっ!」
 冒険者ぼうけんしゃ装備そうびに、口元くちもとかく覆面ふくめん
 あやしいことこの上ないが、それでも天狗わし烏天狗ぼくよりは、かおが出てるか。

 そして棘付とげつきの肩当かたあてや、物騒ぶっそうつめが生えたくつも――
 リカルルの甲冑かっちゅうほどには、刺刺とげとげしていない。
 つまり此奴こやつらは、半端者はんぱものだ。

「けどいまだに一攫千金いっかくせんきんねら冒険者ぼうけんしゃが、はいってこようとするんですぜ――」
 体格がたいは良くてもはらが出た、面白おもしろかおやつ
「せめておれらの格好かっこうを見て、引き返せ・・・・っつー――」
 ひょろながくて猫背ねこぜな、みょういかついかおやつ

「あっしらの親切しんせつなんでさぁ――」
 奇っかいけんをもつ、毛の無いやつ
 なんだ、あの面白おもしれけんは?
 日のもとかたなみてぇに、ってるってんじゃなくて――ねじれた鞘《さや》に、おさまってやがるぜ。

「というわけで昔着むかしきてた装備そうびを持ち出さないと、アタイらの身が持たないんっすよぉ?」
 派手はで化粧けしょうに、胸元むなもとが開いた胸当むなあて。
 あんな装備そうびてき攻撃こうげきを、本当ほんとうふせげるのかぁ?

「ふーぅ。あんたたちは、ほんとうよわいからねぇ」
「「「「へっへへへへっ♪」」」――あっしもでさぁ♪」
 しばられたまま、器用きように身をよじる盗賊とうぞくたち。

 ふぉん♪
『シガミー>あの冒険者たちのLVはわかるか?』
 リオレイニアがちかくに居るから、上級鑑定じょうきゅうかんてい使つかえねぇ。
 かねをさせたら、おこられる。

 ふぉん♪
『>シガミーの上級鑑定スキルが使えないため、正式な数値は参照出来ませんが。冒険者カードの組成から、LV40は超えていると思われます』
 レベル40超えてても、〝よわい〟と言われちまうのか。
 ちと、かわいそうだな。
 ふぉん♪
『>コッヘル夫人以外にも、相当な手練れが居ることを示唆しているのでは?』
 だな。うちのひめさんたちを、置いてきてたすかったぜ。

「みゃにゃぁごぉー
 ぽぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅgむぎゅぽぽぷむぅん♪
「ひひひひひぃぃんっ!?」
 ぽぎゅぎゅぎゅむんっ――――ずざざざざぁ!

 騒々そうぞうしいおとに振り替えれば、おにぎり騎馬たちが――
 うしろから押し寄せる、特撃型シシガニャンたちに押され、すっころんだ。

「よっ、はっ、とりゃ、ぼこごこぉぉぉん、ずどごっがぁぁん♪」
 そして、ころげまくる特撃型とくげきがたあたまを踏んで――
 針刺し男おっさんせまってきた!

「あーもー、うるせぇ! さきに行くぞぉ、女将おかみさぁーん!」
 おっさんをさきに、行かすわけにはいかねぇ。
 もしものことがあったら、フッカやフッカははもうわけが立たん。
 おれは――――スッタタァァン♪
 おっさんのまえおどり出た。

「あっ、じょうちゃん!」
「そっちは、あぶねぇですぜっ!」
 なんだぁ、盗賊とうぞくたちがさわぎ出した。

偽物にせものぉー、なんでさぁ!」
 スタタァァン――――偽物にせものだぁ?

本当ほんとうみちはぁー、こっちよぉーっ!」
 盗賊とうぞくかしららしいおんなが、自分じぶん肩越かたごしに――
 小高こだかおかに埋まる、大岩おおいわを見た。

 なんだぁ?
 盗賊たちあいつらが出てきたしげみごと、大岩おおいわが割れ――
 その向こうに、みち出来できた。
 じゃぁ、此方こっち偽物にせみちってのは――?

 すたり――ぶにょぉん?
 ひらたいいしざつに敷き詰めた、山道やまみち
 その地面じめんが揺らいだとおもったら――「ぬぅおぉぅわぁぁぁっ――――!?」
 地面じめんが抜けた。

 フッと姿すがたを消す、女将おかみさんや盗賊とうぞくたち。
 子供こどもかかえたまま、すっころんでいたシシガニャンたちも消えた。

「んのっひょろぉうわぁぁぁぁひゃっ――――!?」
 うるせぇ、おっさん。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――!?」
 うるせぇ、神官女性しんかんおんな

 すたん、どざどざぷぎゅるりゅ♪
 おれと、おっさんと神官女性うるさいふたりが――
 山道やまみちの真んなかに、取りのこされた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

『悪魔クロとやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は秘密の力で人間の頂点を狙う』

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました

月神世一
ファンタジー
​「命を捨てて勝つな。生きて勝て」 50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する! ​海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。 再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は―― 「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」 ​途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。 子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。 規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。 ​「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」 ​坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。 呼び出すのは、自衛隊の補給物資。 高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。 ​魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。 これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...