滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

５８８：大森林観測所への道、メイドさんの姿勢!?

「（フフッ、さすがは宮廷魔導師きゅうていまどうし、バレちゃぁ仕方しかたが有りませ――あら？　居ない!?）」
　ぼぼぼごぉぅわっ――――――――ばがぁん！

「（んわっ！　そうよ私わたくしが、かの悪名高あくみょうだかい――あら？　やっぱり居ませんわ!?」
　ぼぼぼごぉわぁっ――――――ぼぼがぁん!!

「この〝悪逆令嬢あくぎゃくれいじょうロットリンデ〟に、恐おそれをなした様ようですわねっ！」
　ぼぼっごごごごわわわわぁぁぁぁ――――どごっばがぁぁん!!!

「うへぇ――――立ち上のぼる煙けむりが、どんどん近ちかづいてきやがるぜ」
「なぁーんか、叫さけび声ごえも聞こえるわねぇん？・」
「あマり会いタくはありませんが当初とうシょの予定通よてイどおりニ、元もトノ道みチかフカフ村むラまデ案内あんナいしていただきまシょう・」
　そーだな。喧やかましさが、本当ほんとうにリカルルみたいで――

　念ねんのため――ヴッ♪
　ぱしん、小太刀こだちを取り出し――
　腰こしの革かわベルトに、ぎゅっと刺した。

　小太刀こいつもそろそろ、ちゃんとした〝拵こしらえ〟を作つくってやらんといかんか。
　今いまならスキル〝地球大百科ちきゅうだいひゃっか辞典じてん〟と、スキル〝解析指南かいせきしなん〟が有る。
　豪奢ごうしゃな物ものじゃ無けりゃ、すぐにでも――解析指南かいせきしなん。

「（日の本もとの刀かたなの拵こしらえを、作つくりてぇんだが）」
　ふぉん♪
『解析指南＞作成元の小太刀を格納後、造形エディタ内のペイントツールで、
　　　　　　＜日本刀【地球大百科事典】＞を塗布してください』
　手順やりかたも何なにもない――すぽん♪
　ヴュワワワワッ♪
　絵で板エディタが勝手かってに立ち上がり――白鞘しろさやの小太刀こだちの上うえ。
　ふぉふぉぉん♪
　重かさねられる拵こしらえが付いた小太刀こだちの画像がそう。
　大おおきさや太ふとさや曲がり具合ぐあいが――
　まるで生き物もののように蠢うごめいて、やがて止まる。

　ふぉん♪
『イオノ＞何やってんのよ？』
　ふぉん♪
『＞新たな日本刀を、作成するのですか？』
　絵で板エディタの中なかにチカチカと、一行表示ティッカーが流ながれて来やがった。

　ふぉん♪
『シガミー＞おう。邪魔だ、絵で板が見えんだろが』
　ヴユュゥゥウン♪
　邪魔じゃまにならない一番下側いちばんしたがわに引っ込む、一行表示ティッカー。

　ヴュパパパッ――♪
　画面モニタの中なかに現あらわれる、〝仮説もののつくり〟や〝法なちたち〟を表あらわす板ぺらノードとやら。
　その間あいだを、ぐんにゃりした紐えにしが伸びて、ひとりでに結むすばれていく。
　その不思議ふしぎと絡まない紐・・・・・が、最後さいごの板ぺらノードへ繋つながる。

　その小窓こまどには回転かいてんする刀かたなの姿すがたが、映うつし出された。
　のちの世で日本刀にほんとうと呼ばれた普通ふつうの刀かたなが、瞬まばたきを３回かいする間まで、出来上できあがった。

　こりゃ、やばくね？

　丸板まるいたから鍔つばが出来上できあがる様子ようすや、鞘さやに漆うるしが塗り重かさねられる様子ようす。
　目抜めぬきが打ち込まれ――しゅるるうるりゅぎゅちっ！
　柄糸つかいとが巻かれる所ところじゃ――「「「おおぉー!?」――わょ!?・」――ゥう!?・」
　と固唾かたずをのんで見入みいった。

　ふぉふぉん♪
『解析指南＞一般的な小太刀を作成しますか　Ｙ／Ｎ？』
　おう、やってくれ。

　空中ちゅうに光ひかりの升目ますめがみえ、それは光ひかりを失うしなっていく。
　顔かおを向けた先さきに、升目ますめは動うごく。
　迅雷ジンライ任まかせじゃねぇと、絵で板エディタで作つくった物もんは――こんな風ふうに出てきやがる。
　光ひかりが消えると――――ガチャン♪
　日本刀かたなが、おれの手の上うえに落ちてきた。

「へぇーっ！　立派りっぱじゃんかぁ♪・」
「はイ。独自どくジノ美うつクしサを感かンジます・」
「よせやい。銘めいもねぇ、本当ほんとうに安物やすものの刀かたなだぜ？」
　けど、いくさ場で雑兵ぞうひょうから奪うばった刀かたなの握にぎり。
　それ越しに、冷えた切っ先さきを敵てきの体からだへ差し込む感覚かんかく。
　そんなもんが思おもい出されて……どこか安心あんしんする。

「さっさと出てきなさい！　今いまなら高級菓子こうきゅうかしのひとつくらい、お付けして差し上げますわよっ！」
　ひゅぅぅうぅ－ぼぼぼごごごぅわぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!!!!
　すぐそこの茂しげみから、爆煙ばくえんが立ち上のぼった。
　こっちの居場所いばしょは、もうバレてる。

　おれは出来できたたばかりの、新あたらしい日本刀こだちを――
　ぎゅっと、腰こしに差した。
「よし、出迎でむかえるぞ」
　給仕服メイドふくに日本刀にほんとう。ちぐはぐではあるが――
　それでも、気が引き締まった。

　ふぉん♪
『＞相手は令嬢という話ですので、日本で言うところの一国の姫と同義です。リカルル嬢やラプトル姫と同じように扱うべきでは？』

　おっかねぇけど、まずは礼儀正れいぎただしく、それこそリオレイニアみたいに――
　腰こしをわずかに落とし、片足かたあしを引く。
　前掛けエプロンを一寸ちょっとつまんで、頭こうべを垂れる。

「あら、生意気なまいきね。いまのちゃんと出来できてたわよ？・」
　坊主ぼうずといやぁ、何なにはなくとも礼れいに始はじまる。
　和会通釈わえつうしゃくの心こころって訳わけだが――
「そうだろう、ウカカッカカッ♪」
　おれさまが本気ほんきを出しゃぁ、これくれぇのことわぁ出来できらぁ！

「要ようするにだ、相手あいてを慮おもんばかることに関かんしちゃ――良くも悪わるくも日の本もとの僧侶そうりょに、任まかせろて話はなしだぜ！」
　ヴッ――――ゴドンドカカカッ♪
　カチャン♪
　机テーブルに椅子いす、茶瓶ポットに茶菓子ちゃがし。
　そんなのを出して、おれは――どかりと椅子いすに座すわる。

　たまたま道幅みちはばが広ひろい、この場所ばしょ。
　狼煙のろしを放はなつ、ご令嬢れいじょうは正面まえから近ちかづいてくる。

　ここで迎むかえ撃つぞ――ずざっ。
　おれは前まえに歩あゆみ出る。
　腰こしを落とし、日本刀かたなの座すわりを、ぎゅっと直なおす。

　ふぉん♪
『イオノ＞だから蟹股に、戻すんじゃないわよ』

　がざがざがざざざっ――――――――!?
　よし来るぞ！

　おれは姿勢しせいを正ただし、前掛けエプロンに手を添えた。