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5:大森林観測村VSガムラン町
597:悪逆令嬢ロットリンデ、迅雷迅雷五百乃大角
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「こぉらぁーーーーーーーーーーっ! ぅおっ待ちなっさぁいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーっ!!」
だれが待つかぃ。
どこか浮世離れした風体だと思ったがぁ――
どうやらマジで、ご令嬢らしいぜ。
ズザッ――スタタタタァァン――――♪
おれが全力で、一本道を進むと――
すぐに敵、御簾路頭・厘手が、霞の向こうに消えた。
「むわぁてぇーーーーーーーーい!」
声だけは、聞こえるが、遠くなっていく。
スタタッタァン――――♪
「(小猿ー!)」
うるせぇ、まだ聞こえやがるぜ。
誰が、小猿か。
「しかし、迅雷も五百乃大角も使えねぇんじゃ……やれることが限られるな」
人の名前を覚えるのすら、迅雷任せで苦手になっちまったしよぉ。
「ナぜ、使えナいのですか?」
「そうわよっ、使える物は何でも使うのがぁ、我がイオノフ教の教義ですよぅ?」
はぁ、そりゃ初耳だし、おれぁ料理番で教徒じゃねぇーぜ?
それに〝食える物は、何でも食う〟の、間違いだろぅがぁ。
ヴュパァァッ――ヴォヴォゥン♪
寂しかった画面の表示が、一気に元に戻った。
『巡航モード:87㎞/h』
隅の速さを表す数字が、どこまでも増えていく。
ふぉん♪
『>現在時速87㎞。一時間、半時で22里を走れる速度です』
22里てぇと、甲州街道を半分!?
「じゃなくって――――ばっなっ、貴様らぁ、何をいままで――現を抜かしてやがった!?」
壊れたんじゃ無くてぇ、良かったがぁ!
ふぉん♪
『>現を抜かしていた?』
ふぉん♪
『イオノ>そういえば、ロットリンデさんって方がぁ近づいてきてなかった?』
ふぉん♪
『シガミー>近づいてきたっていうか、出くわして一戦交えちまった!』
「えっ!? これから商売しようって相手と喧嘩って、ばかわの? シガミーはおばかさんわのぅ?」
素っ頓狂なこの声も、聞けるだけありがてぇ。
「へいへい、おれも、そう思うんだがよ。向こうが宮廷料理人とおれを、間違えて飛びかかって来たんだからぁ、仕方があるめぇ?」
「宮廷料理人? 何ノ恨みがアるんでしょうか?」
ヴヴヴッ――相棒が勝手に震えて、革ベルトから飛び出した。
擽ってぇなっ、知るか!
「へいは1回。「女将さんのつてで来た」って言えば、よかったじゃんかよぉ?」
根菜は仕舞っても自分で出てきそうだから、頭の上に乗せてやる。
「言ったが、女将さんのことを「知らねぇ」って言われてよぉ――」
「もー、ホントに使えないわねぇん?」
てちてちてちてちり。
痛くはねぇが、超うぜぇ。
「止めんかぁ! それでも一度わぁ、おれが参ったをして、話をするところまで持ち込んだんだぜ!」
おれにしちゃぁ、上出来だろが。
「まあ良いわぁん。それでその大森林の女王さまは、どこにいるのぉん?」
「此処には居らん。また斬り合いになったから……逃げてきた」
「「なんで!?」――ですか?」
「知らんがぁ、そいつが妙に、お前さま……御神体の〝ねがみめんど〟さまに、ご執心でよ!」
非売品だって言っても、まるで聞きゃぁしなくてな。
「ん? どぅしたぁ?」
まただんまりだぜ。ガシャララッ――何だぜ!?
迅雷がうしろに落ち――五百乃大角が上から落ちてきた。
ズザザザァァッ――――立ち止まり、慌てて落ちた相棒を――
「――追いつきましたわぁ♪」
心の臓が、跳びはねた。
ガシリと後ろから、凄い力で抱きつかれた。
何この、金剛力?
此奴わぁ、角が生えてねぇ――鬼族かぁ?
「迅雷迅雷五百乃大角、解析指南にヒントでもいいからぁ、助けろやぁ!」
身動きが、まるでとれんぞ!?
「うふふ、くすくす♪ あら、助けを呼びますの? では、私も♪」
すぅぅうと息を吸う、薄い胸の平らな感覚。
「ジュークゥ――出てき来なさぁーいぃ!」
くそう、こっちは誰も助けを、呼べてねぇだろうが!
こんな分からず屋がぁ、もう一人増えたら堪ったもんじゃねぇ!
「なぁんだぁーい、ぼくのトリデさぁん――?」
間の抜けた、弱々しい声が――地の底から、聞こえてきた。
だれが待つかぃ。
どこか浮世離れした風体だと思ったがぁ――
どうやらマジで、ご令嬢らしいぜ。
ズザッ――スタタタタァァン――――♪
おれが全力で、一本道を進むと――
すぐに敵、御簾路頭・厘手が、霞の向こうに消えた。
「むわぁてぇーーーーーーーーい!」
声だけは、聞こえるが、遠くなっていく。
スタタッタァン――――♪
「(小猿ー!)」
うるせぇ、まだ聞こえやがるぜ。
誰が、小猿か。
「しかし、迅雷も五百乃大角も使えねぇんじゃ……やれることが限られるな」
人の名前を覚えるのすら、迅雷任せで苦手になっちまったしよぉ。
「ナぜ、使えナいのですか?」
「そうわよっ、使える物は何でも使うのがぁ、我がイオノフ教の教義ですよぅ?」
はぁ、そりゃ初耳だし、おれぁ料理番で教徒じゃねぇーぜ?
それに〝食える物は、何でも食う〟の、間違いだろぅがぁ。
ヴュパァァッ――ヴォヴォゥン♪
寂しかった画面の表示が、一気に元に戻った。
『巡航モード:87㎞/h』
隅の速さを表す数字が、どこまでも増えていく。
ふぉん♪
『>現在時速87㎞。一時間、半時で22里を走れる速度です』
22里てぇと、甲州街道を半分!?
「じゃなくって――――ばっなっ、貴様らぁ、何をいままで――現を抜かしてやがった!?」
壊れたんじゃ無くてぇ、良かったがぁ!
ふぉん♪
『>現を抜かしていた?』
ふぉん♪
『イオノ>そういえば、ロットリンデさんって方がぁ近づいてきてなかった?』
ふぉん♪
『シガミー>近づいてきたっていうか、出くわして一戦交えちまった!』
「えっ!? これから商売しようって相手と喧嘩って、ばかわの? シガミーはおばかさんわのぅ?」
素っ頓狂なこの声も、聞けるだけありがてぇ。
「へいへい、おれも、そう思うんだがよ。向こうが宮廷料理人とおれを、間違えて飛びかかって来たんだからぁ、仕方があるめぇ?」
「宮廷料理人? 何ノ恨みがアるんでしょうか?」
ヴヴヴッ――相棒が勝手に震えて、革ベルトから飛び出した。
擽ってぇなっ、知るか!
「へいは1回。「女将さんのつてで来た」って言えば、よかったじゃんかよぉ?」
根菜は仕舞っても自分で出てきそうだから、頭の上に乗せてやる。
「言ったが、女将さんのことを「知らねぇ」って言われてよぉ――」
「もー、ホントに使えないわねぇん?」
てちてちてちてちり。
痛くはねぇが、超うぜぇ。
「止めんかぁ! それでも一度わぁ、おれが参ったをして、話をするところまで持ち込んだんだぜ!」
おれにしちゃぁ、上出来だろが。
「まあ良いわぁん。それでその大森林の女王さまは、どこにいるのぉん?」
「此処には居らん。また斬り合いになったから……逃げてきた」
「「なんで!?」――ですか?」
「知らんがぁ、そいつが妙に、お前さま……御神体の〝ねがみめんど〟さまに、ご執心でよ!」
非売品だって言っても、まるで聞きゃぁしなくてな。
「ん? どぅしたぁ?」
まただんまりだぜ。ガシャララッ――何だぜ!?
迅雷がうしろに落ち――五百乃大角が上から落ちてきた。
ズザザザァァッ――――立ち止まり、慌てて落ちた相棒を――
「――追いつきましたわぁ♪」
心の臓が、跳びはねた。
ガシリと後ろから、凄い力で抱きつかれた。
何この、金剛力?
此奴わぁ、角が生えてねぇ――鬼族かぁ?
「迅雷迅雷五百乃大角、解析指南にヒントでもいいからぁ、助けろやぁ!」
身動きが、まるでとれんぞ!?
「うふふ、くすくす♪ あら、助けを呼びますの? では、私も♪」
すぅぅうと息を吸う、薄い胸の平らな感覚。
「ジュークゥ――出てき来なさぁーいぃ!」
くそう、こっちは誰も助けを、呼べてねぇだろうが!
こんな分からず屋がぁ、もう一人増えたら堪ったもんじゃねぇ!
「なぁんだぁーい、ぼくのトリデさぁん――?」
間の抜けた、弱々しい声が――地の底から、聞こえてきた。
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