滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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5:大森林観測村VSガムラン町

637:御神体修復作戦、大復活!?

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「とてつもなくたよりないですけれど――くすくす、うふふ♪」
 とはコッヘル商会しょうかい商会長しょうかいちょう
「――はい。ほかに手だてがあるわけでもないので、良しとしましょう、ププークス
 とは猪蟹屋ししがにや営利担当兼えいりたんとうけん星神ほしがみさま。

 言ってることはただしいが、やめろ。
 下卑げびつら特撃型改シシガニャンうし姿すがたを、あなが空く程見ほどみつめるんじゃねぇやい。
 なにかんがえてるのかはわからんが十中八九じゅっちゅうはっく金儲かねもうけの算段さんだんに決まってるだろうが。
 おまえさまがたつるませとくと、あとこええ気がする。
 おれはさりげなく、守銭奴二人しゅせんどふたりあいだに割り込んだ。

   §

「さて、使つかいに出して、早二日はやふつか。おれのあたまほとんもともどったわけだが――」
「そうですね、ではわたし最後さいご蜂納はちおさめを――ヴヴヴヴッヴヴヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴッ♪」
 くつかかと床板ゆかいたはげしく打ち付け、満足まんぞくした様子ようすのルガレイニア。
 こえぇ。はちかお侍女じじょ給仕服メイドふくひるがえし、くるくると華麗かれいまわりながら寄って来た。

 眼鏡めがねかたちいろが、ルガばち彷彿ほうふつとさせるソレから――ヴュゥン♪
 もと細工さいくこまやかで、上品じょうひん色味いろみ姿形かたちを変えた。

 ここ二日ふつかは、大森林だいしんりんめずしい魔物まものを狩ったり――
 村入むらいぐちの裂けた坂道さかみちの、修繕しゅうぜん手伝てつだったり――
 この近辺きんぺんで採れる、めずらしいきのこはなしくわしく聞いたり――
 本来ほんらい目的もくてきだった、商談しょうだんはなしなんかをして過ごし――
 何事なにごともなく、とても有意義ゆういぎ時間じかんを過ごした。

「おれのかみと、リオの眼鏡めがねなん関係かんけいがあるんだぜ?」
「言っていませんでしたか?」
 はちじゃなくても、彼女リオ練習用れっbしゅう魔法杖ようまほうつえという、強力きょうりょく毒針どくばりを持っている。

「聞いてねぇ……でごぜぇますわよが?」
「ふぅ、あのフカフ村特有むらとくゆうのヘアスタイルは、凶悪きょうあくです。わたくしのような、かよわものにはとても正視出来せいしできませんでした――とくにシガミーのまるあたまはもう、ぶふふふふふふふぉっ――いたっ!」
 からだを折り曲げ、ちかくのはしら頭突ずつきをくれる、我がパーティーメンバー。

「うるせぇでごぜぇますわよぜ。リオも、とてもか弱き者・・・・には、見えんだろうがよぜわ――」
 言葉遣ことばづかいを日々正ひびただされてはいるが、悪態あくたいくらいは――!
「ふぅ、その対処たいしょ眼鏡めがね遮光機能サングラスの、〝光学こうがくフィルタオプション〟というものを使用しようしていました」
 彼女リオが持つ特異技能とくいぎのう、サキラテ家の隠形おんぎょうじゅつ
 それは、こんな至近距離めとはなのさきでも効くらしい。

「いででで、ほっへはをつまむんひゃへーひゃぃ――――おれぁ、そんな仕組しくみは付けとらんぞ?」
 ふぅぃ、やっとゆびはなしてくれたぜ。
暗視モードナイトビジョンなどの使用説明しようせつめいなかに、使つかかたが書いてありましたよ? なんでもつよひかり遮蔽しゃへいするさい仕組み・・・使つかって特定とくていかたちを、くらく塗りつぶして見せてくれるとかで」

「じゃぁ、いままでおれのあたまは、塗りつぶされていたってわけか?」
 それはそれで、面白おもしれぇ気もするが――
「はい。もうほとんど消えかかってましたけど、クスクス♪」
 まだすこ毛先けさきが跳ねまくる、おれのあたまやさしく撫でられた。

「じゃあ、ロコロ村こっちに来てるフカフむら村民れんちゅうは、いまもくらく見えてるのか?」
 その手を押しのけながら、ややほころ口元くちもと見上みあげた。

「いえ、かれらにたいしては見ているうちに見慣みなれたというか、とても似合っている・・・・・・ようにかんじられて、なんとか克服出来こくふくできたので、今朝けさからは普通ふつう髪型かみがたが見えていました」

「ふぅん。じゃぁ本当ほんとうに、おれだけとく面白おもしろかったのか」
 何だか、それは……うれしくないこともないような気がしたけど。

 最強さいきょう生活魔法使せいかつまほうつかい、蜂のお化けルガレイニア退治たいじするには――
 面白おもしれかおで、かぶいたげいひとつで事足ことたりる。

 なんて、ほかやつらに知られたら――
 冒険者ぼうけんしゃパーティーシガミー御一行様ごいっこうさま猪蟹屋一味ししがにやいちみの、防衛ぼうえいかなめくずれるぞ。
 五百乃大角いおのはらなおったら、相談そうだんしねぇといけねぇかもな。

 ちなみに商談しょうだん内容ないようはと言えば、フカフ村名産品むらめいさんひん猪蟹屋製品ししがにやせいひんとの物々交換ぶつぶつこうかん
 そして女神像設置並めがみぞうせっちならびに、央都おうとへの直通ちょくつう転移扉てんいとびら設置せっちたいする報酬ほうしゅうは――
 名店めいてんロットリンテールのガムラン町支店ちょうしてん出店しゅってんというあんに、まとまりつつある。
 なんせ、あの高級店みせ菓子かしに、ウチの姫さんリカルル大層たいそう、ご執心しゅうしんだからな。

「みゃにゃぎゃにゃにゃやー
 「うるせぇな」と、こえがしたほう見上みあげたら――
「ひっひひひぃぃぃん?」
 颯爽さっそううままたがり、おおきな木のみき垂直すいちょくに駆けのぼる、おにぎり騎馬きばを――
 追いかける特撃型改シシガニャンたちが、目にはいった。

てんぷらごうが居るってこたぁ――かえってきたのかっ!?」
 おれたちは寝床代ねどこがわりに借りた集会所しゅうかいじょを、飛び出した。

   §

「あっ、ござる・・・来た! ちゃんと持ってかえってこれたよ♪」
 満面まんめんみ。かじぐせ迷子癖まいごぐせなんかは、あるものの――
 心根こころねやさしいんだとおもう。
 家族かぞくらしい、悪逆令嬢ゲスロットリンデ村長ジューク二人ふたり人柄ひとがらが……超偲ちょうしのばれるぜ。

「「ござる♪」」
 休憩所きゅうけいじょまわりは、はやくもひとだかりで一杯いっぱいだった。
「「「「「「ござるだっ♪」」」」」」
 やかましい。いつの間にか〝ござる目付めつけ〟が増えてやがるぜ。
 邪魔じゃまだから、あんまりあつまってくれるなよ。

「おう、ござる・・・じゃなくてシガミーだぞ。良くもどってきたが――随分ずいぶん時間じかんが掛かったもんだ――ぐはっ!?」
「ぎぎるにー!」
 食らいつくように、抱きつかれた!

   §

 休憩所きゅうけいじょ大机おおづくえうえにドカリと荷物にもつを置いた、特撃型改とくげきがた16ばんはしり去っていく。
 見たことのねぇ、ものすごいろをしたとりや――
 ちいさめのししや、二本角にほんつのうさぎなんかも居て――
 大机おおづくえ獲物えもの山積やまづみ。

「こりゃまた、沢山取たくさんとってきたのぉ――ふぉっふぉっふぉ♪」
 あらわれた村長ジュークが、ファロコからはなしを聞いてくれた。

「――千切ちぎれた特撃型改シシガニャンは、その場にそこしといてくれて良かったんだがな」
 毛先けさきが跳ねるうしあたまを、両手りょうれでガリガリ掻いたら――
 右手みぎてをリオレイニアに、左手ひだりてをゲスロットリンデにつかまれた。

「だめだよ。はぐれた群れの仲間なかまは、すぐに見つけてあげるんだよ!」
 おれを見るそのかおは、とても真剣しんけんだった。
「そりゃ、わるいことをしたなぁ……いや、れいを言うぜ、ありがとうよ。ウチのねこみてぇなやつらが世話せわになったぜ」
 つのを突き出してきたから、村長そんちょうを見た。

頑張がんばったみたいだから、あたまを撫でてあげてよ……撫でてやってはくれんかのぅ、ふぉっふぉっふぉ♪」
 おれはみどりがかった髪色かみいろかたかみを、わしわしと撫でてやった。
「ぎゅにりりぃ――♪」
 
 はなしに寄れば、木のえだくぼみや小川おがわなんかに引っかかるたびに、千切ちぎれたれた隊列ねこどもくっつけ直して・・・・・・、と言うのを繰りかえしていたら――二日ふつかも掛かってしまったんだそうだ。
 いや、本当ほんとうにおつかれさまだぜ。
 わしわしわしわし。

「ぎゅにりりぃ――?」
 撫でるのを止めると、じっと見つめてくるもんだから――
 わしわしわしわし。

「それで、この獲物えものやまなんなんでぇい?」
 肝心かんじん頭陀袋ずだぶくろも、見当みあたらん。

「それは、小腹こばらが空くそばから出くわした獲物えものを、無計画むけいかくに狩りまくったのですわ――まったくもう」
 よこから悪逆令嬢ゲスロットリンデの手が伸び、二股ふたまたつのをぽんぽんとやさしくたたく。
「ぎゅにりりぃ――♪」

 なるほどな。
 そして狩った魔物えものを、ウチの猫風身共ねこどもが持ちかえったってわけだ。

「ぎゅにりりぃ――?」
 わしわしわしわし?
「ぎゅにりりぃ――?」
 わしわしわしわし??

「あ、それ。いつまでも終わらないから、もう止めて良いよ……止めて良いのじゃよ」
 そうなの?
 村長そんちょうがファロコを引っぺがしてくれた。

「ではそろそろ、イオノファラーさまを取り出して差し上げては? プークスクスクス
 そうだぜ、星神ほしがみさまの言うとおりだぜ。
 肝心かんじん頭陀袋ふくろ何処どこだ?
 大机おおづくえしたのぞくも、なにもねぇ。

 かおを上げると――ぐらぐらっ!
 獲物えものやまが、かすかに揺れた。

   §

 ガタガタゴトゴト――!!
 手持てもちの収納魔法具しゅうのうまほうぐに、獲物えもの格納かくのうしたら――
 騒々そうぞうしくあばれる、頭陀袋ずだぶくろが現れた。
「ふががっが……もがががっ!?」
 なかはいってるやつらが、あばれて――なんかわめいてやがる。

たすかった、おんに着るぜ♪」
 もう一回最後いっかいさいごにファロコを撫でてやろうとしたら、ガチガチと噛みついて来やがった!
 撫でられるのには、飽きたのか……あやうくかじられるところだぜ。
 礼代れいがわりに〝阿門戸ヌガーバー〟を4個くらい、くちほうり込んでやった。

「ファロコちゃん! それはねぇ、ちゃんとつつがみを開けて、中身なかみだけを食べるんだよ」
「開けてあげる」「ぼくも」「わたしも」
 級友きゅうゆうたちと迷子娘ファロコは、いつの間にか仲良なかよくなってたらしい。
 おれに向けるきばを、ほかの子供らがきどもには向けないでくれている。

 ふぅ、たのしそうで良いやな。
 さて、此方こっちつつみを開けてみるぞ。
 頭陀袋ずだぶくろを、ひっくりかえした。

 ゴチン、ガシャン♪
いたっ!」「ァゥチ!」
 ころがり出たのは、根菜こんさいぼう
 なつかしいこえに、ほっとした。

「いよぉーぅ……しっ! かん……全大ぜんだい……復っ……かつ――ぅ♪」
 まて、おまえさまめ!
「なんだぜその、カクカクしたうごきわぁ!」
 全然ぜんぜん完全大復活かんぜんだいふっかつじゃぁねぇだろがぁ!

 一応いちおうなおったらしいが――
 うごいては止まり、止まってはうごき出すのを――繰り返してるぞ?
 なんとも落ち着かねぇ、仕上しあがりだぜ。
 けど、文句もんくをファロコに言うのもちがうやな。

迅雷ジンライ五百乃大角いおのはら調子ちょうしを見てやってくれやぁ」。
 調子ちょうしわるいときは、便利棒ジンライなぐれば立ちどころなおる。

「シガ……ミー。女……神像がみぞうフレー……ムワーク、再起さいき……どうしま……した」
 怖気おぞけはしった。なんてこった、おれの相棒あいぼうまでカクカクしてやがるぞ!?
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