滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

７１６：ファローモからの依頼、大森林保全組合発足

「では、ファローモが恐おそれる、〝２つあると恐こわい物もの〟の討伐依頼とうばついらいということで間違まちがいは無いでしょうか？」
　ざっと書き綴つづった受付用紙うけつけようしを、くるりと回まわして差し出す一本角いっぽんつのの受付嬢オルコトリア。

「森＠りの根源こんげんたる私わたしに恐こわい物ものなど、有りはしませんね？」
　差し出された用紙ようしを、くるりと回まわして突っ返かえす一本枝いっぽんえだの珍妙な女ファローモ。
　だから何なんだぜ、その人ごと・・・はよぉ。

「ふむふむ、なるほどーぉ？」
　ぺらぺらと、紙かみの大おおきさが区々まちまちで不格好ぶかっこうな本ほんを捲めくる、コッヘル商会長しょうかいちょう。
　口調くちょうと言い、虎の巻・・・を捲めくる様子ようすと言い――
　何処どこか学者方がくしゃかたにも通つうじる様さまが、五百乃大角いおのはらに似てきたような。

「ふぅぃ――森の主おまえさまが〝恐こわいから倒たおして〟と、言い出したんだろうが？」
　そうだろうが。
　ふぉん♪
『シガミー＞なぁ、おにぎりよ？』
　何なにが面白おもしろいのか通路部屋つうろべやの壁かべを、ペタペタポキュポキュと叩はたいて回まわる――
　黄緑色おにぎりを睨にらみつけ、一行表示ティッカーで問いただした。

「みゃにゃ。ぎゃにゃぎゃやー？・」
　首くびだけこっちに向けて、返事へんじをする黄緑色きみどりいろ。
　ふむ、間違まちがいは無いようだが――
　ふぉん♪
『おにぎり＞そうだもの。そう言ってたんだもの♪』
　うん、風神ふうじんを味方みかたにするために取ったスキルのお陰かげか――
　おにぎりの言ってることが、一行表示いちぎょうひょうじより先さきにわかった。

「恐＠わくは有りませんし、そもそもこの森もりの命運めいうんは、樹界虫きかいちゅうに任まかせるべきですね？」
　樹界虫きかいちゅうってのは〝龍脈りゅうみゃくを体からだに宿やどした〟――つまり、おれ・・のことだ。
　あれ？　おれ責められてる？
　それにまた何なにか話はなしが、ひん曲がって・・・・・・きたぞ？

　ひん曲がる……「あっ！」
　そういや、まえに瞼の裏・・・で話はなしをしたときに――
　巨木きょぼくの伐採ばっさいを依頼さたのまれてたことを、今更いまさらながら思おもい出した。

　ヴッ――ゴトン♪
　おれは受付嬢オルコたちの間あいだに、椅子いすを置いて割り込んだ。
「すっかり忘わすれてたが、まえに見せてくれた大森林だいしんりんの地図ちずを、もう一回出いっかいだせるかっ？」
　あのとき見せられた巨木きょぼくの数かずは――４、５本ほんは有ったはず。
　そして本数ほんすうも然さる事ことながら、〝流ながれる川かわを堰せき止めてた〟気がするぜ!?

「出来＠きますが、この姿・・・で樹界虫きかいちゅうを眠ねむらせるのは、大変たいへんですね？」
　パキメギョ――森の主おんなの着流きながしの袂たもとが、ボコボコと蠢うごめく！
　まてまて、それで・・・どうするつもりだ。

「やっぱり、瞼の裏・・・じゃねぇと見られんのか!?」
　目が開かなくなって、珍妙な男女ファローモが頭あたまの中なかに姿すがたを現あらわした――あの状態・・・・じゃねぇと見られんらしいぜ。
　着流きながしの袂たもとから――――ぱき、ひゅる♪
　生え伸びる若木《わかぎ》は、迅雷ジンライの機械腕並かいななみに、間合いが長い・・・・・・。

「まてまてっ!!　迅雷ジンライっ、何なんとかならんか？」
　ヴッ――ジャリィィンッ♪
　取り出した錫杖しゃくじょうの鉄輪さきに、しゅるしゅると巻き付く蔓枝つるえだ。

「さっきロットリンデが言ったけど、ファローモのご神託・・・なら〝方陣記述魔法ピクトペンマジック〟で――書き写せる・・・・・けど？」
　見れば村長そんちょうが、あぐらを掻いて床ゆかに座すわり――
　手のひらに指先ゆびさきで、何なにかを描えがいていく。
　そういや村長口調《じいさましゃべり》が、すっかり鳴りを潜ひそめちまってるぜ。
　どうでもよい話はなしだが、この定まらん感じ・・・・・・が、やはり何処どこか――
　ニゲルに通つうじるところがある。

「じゃ、大おおきく広ひろげて見せるよ？」
　立ち上がる村長ジューク。
　その足下あしもとから光ひかりの紋様もんようが湧き出して、おれが前まえに見た――
　大森林だいしんりんの地図ちずが、床ゆかに映し出された・・・・・・。

「「「「「「「なんか出た!?」」」」」」」
　古代魔術こだいまじゅつと呼ばれる、光の紋様ピクトグラムとかいうやつ。
　見慣みなれないソレ。。に、ガムラン勢ぜいが驚おどろく！
「にゃぎゃやにゃー♪・」
　壁かべを探さぐるのに飽きたらしい、おにぎりが寄ってきた。
　ちなみに黄緑色こいつは、女将おかみさんに稽古けいこを付けてもらって――
　ある程度ていどだが、光の紋様こだいまじゅつが使つかえる。

「面白おもしろい物ものを見ていますニャー？」
「これは大森林だいしんりんの地図ちず……でしょうか？」
　古代魔術まんだらに惹ひかれるように、魔導騎士団付まどうきしだんつき顧問技師こもんぎしミャッドと、その秘書ひしょマルチヴィルがやって来た。
　古代魔術こだいまじゅつは、ほんの数十年前すうじゅうねんまえまでは普通ふつうに使つかわれていたと聞いている。
　なのでこの世界最高峰せかいさいこうほうの学者方がくしゃかたでもある、彼かれらには其処そこまで珍めずしい物ものではない。

「ココが現在地点げんざいちてんですらららぁぁん♪」
　王位継承権おういけいしょうけんランキング第一位だいいちいのラプトル王女殿下おうじょでんかも、魔導工学技師まどうこうがくぎしとして――
　遙はるか高たかみに居る。つまり彼女かのじょにとっても、そう珍めずしい物ものではないはずだが――

　ヴォヴォヴォヴォヴォゥン♪
『水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水水
　岩岩岩木木木木木木木木木木木木木木木岩岩岩水岩岩岩
　岩木木木木木木木木木木③木木木木木木木水水岩岩岩岩
　岩木木木木木木木木木木木木木木木木水水木木岩岩草草
　岩木木木木木木木木木木木水水木水水木木木木岩岩草草
　岩木？木木木木木木木◎滝木木水木木木木？木岩草草山
　岩木木木木木木木木木木木木木木水木木木木木岩草山山
　岩木木木木木木木木木木木木木木木水木木木木岩山山山
　岩岩木木木木木木木木②木木木岩岩水木木木岩岩草山山
　岩岩岩木木木木木木木木木木岩岩岩岩木木岩岩岩草草山
　岩岩岩岩木木木木木木①木木木岩木木岩岩岩魔物境界線
　岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩道岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩山山山』

「なるほど、こいつぁ――おれが見たのと、同おなじ地図ちずだぜ」
　古代魔術こだいまじゅつの光の筋・・・で描えがかれては居たが――
　間違まちがいなく此奴こいつは、おれが瞼の裏のうりで見た地図ちず――
　巨木の生える場所・・・・・・・・を示しめした地図ちずと、同おなじ物ものだった。

「ふふん♪　ジュークは、やるときはやりますのよ♪」
　大申女さまロットリンデが、また肘ひじでカフカ村村長むらそんちょうを小突こづいている。
「痛いたっ、痛いたいよロットリンデ！」
　やめてやれや……口くちから血を垂らしながら村長ジュークが、回復薬ポーションを取り出した。

　がたん――そんな音おとに振り向けば――
「私わたくしが書いても宜よろしいのですけど折角せっかく、シガミーが居るのだから、お願ねがいしようかしらね？」
　悪漢ご令嬢リカルルと目が合った。
　机の上テーブルに乗せられたのは、随分ずいぶんと立派りっぱな長さの板いたきれ。

　傍かたわらから、そっと眼鏡めがねのメイドが差し出してきたのは――
　筆代ふでがわりに使つかえる、黒くろい筆ふで。

　　　§

『大森林保全組合本部詰め所』
　さらり。
　書いた側そばから、喜々ききとして奪うばわれたソレは――
　『ファローモのお宿やど｜（仮かり）』と書かれた大看板だいかんばんがある、表玄関おもてげんかんとは別べつの――
　小ちいさな勝手口かってぐちへ、勝手かってに立てかけられた。