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5:大森林観測村VSガムラン町
725:吠えろ魔銃オルタネーター、タターザ岩石スレイヤー
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ふぉん♪
『>標的の画像、遊撃班へ送信しました』
巨大猪の背中の画像が小さくなり、画面の縁から外へ出て行った。
〝大森林観測村《かんそくむら》④ファローモのお宿|(仮)〟には、女神像が設置済みだ。
画像や映像は耳栓を介して、遊撃隊の二人に見せることが出来る。
「タター、オルコトリア! 其処を、狙えるかぁ!?――ニャァ♪」
折角出来た更地だ、敵は此処で迎え撃ちたい。
岩山までの距離は――『5,332メートル』。
画面の奥。積層モニタ上に広がる地図に、おれたちが居る更地の真ん中と――
ゆっくりと近寄ってくる超巨体を結ぶ、一本線が表示されていて――
その数字は、見る間に減っていく。
ズズゥウン、ドズズゥウン!
「〝殲滅ノビッグモクブート〟の到着まデ、推定240秒!」
岩山の頭が、見え隠れしなくなった。
ゴッッバァァァァァァァッ!
あまりの標的の巨大さに言葉を無くした、皆の目の前を弾丸が横切る。
ゴッッバァァァァァァァッ!
そして更地を一周。すぐまた同じように、通り過ぎていく。
『<´皿┈┈═━〕』Σ三二二===一一一一……
弾丸に描かれた顔が見えた。
前に見た〝ユグドラゴン〟の正面からの顔を、思い出すな。
たしか……『ヽ(`曲´)ノ』、だったか。
同じ、悪い顔をしてやがるぜ。
半径400メートルの、でかい更地を縁取ること――
約7秒に1回。
「ザッ――どうだい?」
「ザザアッ――えーっと、出来まーすー……たぶん!」
ヴォヴォパパァァッ――――――――!!!
弾丸から棚引く風雲の形が、変わっていく。
ヴォヴォパパァァッ――――――――!!!
ふぉん♪
『>デバイスID#10286が〝管理者権限〟で〝射撃諸元算定|(データコンピュータ)プログラム〟を実行中』
と言うと?
ふぉん♪
『>狙撃手であるタターへ提示するため、三箇所の大岩を砕く軌道計算をしていると思われ』
ギュギュパパパパッツ、チチチチ、チィ――――
轟雷は無数の外部カメラと複合アンテナを、全方位へ向けたが――
風神の姿は、検出されなかった。
代わりに――『<´皿┈┈═━〕』、『<´皿┈┈═━〕』、『<´皿┈┈═━〕』!
悪い顔と――『◄◄◄』、『◄◄◄』、『◄◄◄』♪
動体検知が、増えた。
ガチャガチャ――ゴォズズズムン!!!
トタタタッ――スタァン!
ヒラヒラァ――パタタンッ♪
増えた弾丸に驚いた連中が、轟雷の後ろに隠れた。
「馬鹿野郎、鉄鎧を盾にするんじゃねぇやぃ!――ニャァ♪」
現在速度――『時速1275㎞』。
緑色の動体検知。
一列に並ぶ――茄子か、木の芽か、獣の爪みたいな形。
それが周囲の太木や藪を、再び――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!
怪音とともに切り開かれる、森。
弾丸の旋回半径は、約400メートル。
バキバキバキッ、メキメキメキッ、バゴンッ、ビシッ!
軌道にある大木や茂みは全て、薙ぎ倒され吹き飛んでいく。
複雑に弧を描き、やがて彼の敵へ到達する更地。
変異種の姿が、正面に見えたとき――――ゴッバァヴォヴォヴヴヴォヴォ!!!!
土砂を跳ね上げる、戦術級高極超音速弾タイフーン。
ゴォォォォォォォォォォォッ――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!
鉄丸の煌めきが空へと、一直線に登っていく!
ドズズズズズズズズズズズゥゥゥゥゥン!?
鼻先を掠められた巨大な猪が、上昇する弾丸を追いかけようと――
上を向こうとして、たぶん自重のせいで出来ず――
目の前に立つ、おれを見つめた。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
うるぅっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ――猪野郎めぇっ!
「タイフーンを撃ったのわぁ、おれじゃねぇーだろぉーがぁー!!――ニャァ♪」
鉄鎧を突き抜ける、咆哮。
ヴュザザザザッ――――ガッkギュGHHハピF☆YU&$SUf!!!!!!!!!!
積層モニタの0番から11番まで、全部が消えちまった。
残った虎型の最前面12番だけだと、轟雷を着るには心元ねぇぞぉぉっ!
§
「(おい、この軌道は何だぜ?)」
小地図に映し出されているのは、航空写真と同じ――
上から捉えた標的。
スゥゥ、ウゥゥ、キュルキュリュ、キュルルルルッキュルッ!
その巨大な縁取りの上を何度も縫うように、軌跡が描かれていく。
「(五百乃大角が算出した、魔弾タイフーンの弾道予測と思われます)」
はぁ?
随分と面倒な道筋を、通りやがるな。
『◇¹――!』
お? ロックオンカーソルが出た。
タターが魔銃で、狙ったんだな。
一発目の標的は三つある巨石の頭側、一番小さな巨石。
『◇²――!?』
二発目が、巨大な岩を通り過ぎ――
何も無ぇ所に、張り付いた。
どうなってる?
矢張りこの距離を介して狙うのは、無理があったんじゃね?
『◇³――!?!?』
そして、三発目に至っては――
どういう訳だか、おれの胸元を狙って来た!
巨木・木龍戦において止めを刺した、タターが放った弾丸。
あの時は五百乃大角が、何かの策を講じてくれて事なきを得た。
「シガミーッ!?」
ロックオンカーソルに気づいたルガレイニアが、斜めになった魔法杖に片手片足を掛け――
轟雷の目の前に、飛んで来た!
「ルガレイニア、皆も! おれから、離れろやぁ!!――ニャァ♪」
ふぉん♪
『ゴウライ>タター、何でおれを狙いやがる、危ねえだろうが!』
おれの後ろに隠れてた奴らを――
怪我をさせねぇように、そっと振り払う。
目の前に『◇³――♪』
三発目のロックオンカーソルが、浮いていた。
どうやら狙われてるのは轟雷じゃなくて、この何も無い空中らしい。
ふぉん♪
『イオノ>みんな下がってわよ!』
てめぇ、イオノ腹ぁ――何処、行ってやがったぁ!?
ぽこんと画面に現れる、小さな梅干し大。
変異種の足下から、凄ぇ勢いで駆け抜けてきたのは――
風神とソレに跨がる、第四師団長ミラカルカ。
風神の兜に一つ目が光ってるから、五百乃大角も一緒だ。
「一先ず逃げるぞ、皆おれの手に乗れやぁ!――ニャァ♪」
轟雷は工房長に女将さんに商会長を抱え――――シュッゴゴゴゴォォォォオ、ヴァァァァァッ――――!!
姿勢制御用の大筒や巡航用の大筒を、爆発させる!
太杖に乗るルガレイニアと――――ヴヴヴヴヴッヴヴヴッ♪
張り扇に乗った扇杖の炎鬼には――――ヒラヒラヒラララァァッ♪
自分の杖で飛んでもらう。
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
背後で、とんでもねぇ大爆発――ヴュパッ、パパパッ♪
復帰していく積層モニタの中、爆発霧散する〝殲滅のビッグモクブート〟。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
おいおいこりゃ、タターが放った一発の弾丸だけで、倒しちまうんじゃぁねぇのかぁ?
それなら世話がなくて、実に良いがぁ。
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
三つに増えた(みたいに見える)弾丸は、エリアボス・モクブートの背中に堆積した土砂と、強固な岩石を粉砕していく。
ふぉん♪
『イオノ>>増えたみたいに見えるのは、忍者が使う分身の術。つまり視覚のリフレッシュレートの敗北わねん♪』
透波の連中を五百乃大角は、忍者と呼ぶ。
ふぉん♪
『ヒント>リフレッシュレート/動画における静止画像更新を示す頻度数値。一秒あたりの周期Hz(ヘルツ)という数値で表される。ちなみに人間の網膜は、125Hzくらい』
ふぉん♪
『>>轟雷のメインカメラは約960Hz。強化服虎型の汎用造影グリッドの結像速度は約240Hzです』
やかましぃ。おれが125Hzなら、皆同じだろぉがぁ!
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
それは、半径400メートルの遠大で複雑な、軌道だった。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
ドッゴッゴゴゴゴガガガァァァァァァァァァァァ――――ズズズズズズズズズムンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ひっくり返る、岩山。
空中に浮いてなかったら、おれたちも煽りを喰らって上下倒になってる所だ。
「グゲッゲゲゲゲッ――――!?」
跳ね飛ばされ、揺れる太木に脚爪でしがみ付く、恐竜モドキ。
「のぉい――――!?」
風神の背から放り出され――――ヴォォォォゥゥンッ♪
自分の〝人参の切れ端のような〟魔法杖に飛び乗る、第四師団長。
「皆、無事かぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」
「(全員のバイタルに異常有りませんが、ドローン15基ならびに高高度用馬車をロスト)」
全員の脈拍と呼吸と呻き声は鉄鎧《おれ》の、外部映像と外部音声にも届いてる。
「うぇぇーい!」
「大丈夫さね!」
「わ、わたしもぉー」
「無事のれ」
「私も異常有りません」
「左に同じく」
「くきゅるるるるるぁぁっ♪」
「下に同じく♪」
ふぅぃ。
結論から言やぁ、魔弾タイフーンの弾道予測と実際の軌道には、寸分の違いもなかった。
岩山がもんどり打って、ひっくり返る所まで弾道を予測してたって訳だ。
しかも弾頭自身が起こした衝撃による軌道変更、それをも織り込み済み。
正直、魔弾と五百乃大角の組み合わせは、やべぇ。
出来ることなら、敵対したくねぇ。
飯のことで揉めるにしても精々が、小競り合い程度に治めたいもんだぜ。
『>標的の画像、遊撃班へ送信しました』
巨大猪の背中の画像が小さくなり、画面の縁から外へ出て行った。
〝大森林観測村《かんそくむら》④ファローモのお宿|(仮)〟には、女神像が設置済みだ。
画像や映像は耳栓を介して、遊撃隊の二人に見せることが出来る。
「タター、オルコトリア! 其処を、狙えるかぁ!?――ニャァ♪」
折角出来た更地だ、敵は此処で迎え撃ちたい。
岩山までの距離は――『5,332メートル』。
画面の奥。積層モニタ上に広がる地図に、おれたちが居る更地の真ん中と――
ゆっくりと近寄ってくる超巨体を結ぶ、一本線が表示されていて――
その数字は、見る間に減っていく。
ズズゥウン、ドズズゥウン!
「〝殲滅ノビッグモクブート〟の到着まデ、推定240秒!」
岩山の頭が、見え隠れしなくなった。
ゴッッバァァァァァァァッ!
あまりの標的の巨大さに言葉を無くした、皆の目の前を弾丸が横切る。
ゴッッバァァァァァァァッ!
そして更地を一周。すぐまた同じように、通り過ぎていく。
『<´皿┈┈═━〕』Σ三二二===一一一一……
弾丸に描かれた顔が見えた。
前に見た〝ユグドラゴン〟の正面からの顔を、思い出すな。
たしか……『ヽ(`曲´)ノ』、だったか。
同じ、悪い顔をしてやがるぜ。
半径400メートルの、でかい更地を縁取ること――
約7秒に1回。
「ザッ――どうだい?」
「ザザアッ――えーっと、出来まーすー……たぶん!」
ヴォヴォパパァァッ――――――――!!!
弾丸から棚引く風雲の形が、変わっていく。
ヴォヴォパパァァッ――――――――!!!
ふぉん♪
『>デバイスID#10286が〝管理者権限〟で〝射撃諸元算定|(データコンピュータ)プログラム〟を実行中』
と言うと?
ふぉん♪
『>狙撃手であるタターへ提示するため、三箇所の大岩を砕く軌道計算をしていると思われ』
ギュギュパパパパッツ、チチチチ、チィ――――
轟雷は無数の外部カメラと複合アンテナを、全方位へ向けたが――
風神の姿は、検出されなかった。
代わりに――『<´皿┈┈═━〕』、『<´皿┈┈═━〕』、『<´皿┈┈═━〕』!
悪い顔と――『◄◄◄』、『◄◄◄』、『◄◄◄』♪
動体検知が、増えた。
ガチャガチャ――ゴォズズズムン!!!
トタタタッ――スタァン!
ヒラヒラァ――パタタンッ♪
増えた弾丸に驚いた連中が、轟雷の後ろに隠れた。
「馬鹿野郎、鉄鎧を盾にするんじゃねぇやぃ!――ニャァ♪」
現在速度――『時速1275㎞』。
緑色の動体検知。
一列に並ぶ――茄子か、木の芽か、獣の爪みたいな形。
それが周囲の太木や藪を、再び――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!
怪音とともに切り開かれる、森。
弾丸の旋回半径は、約400メートル。
バキバキバキッ、メキメキメキッ、バゴンッ、ビシッ!
軌道にある大木や茂みは全て、薙ぎ倒され吹き飛んでいく。
複雑に弧を描き、やがて彼の敵へ到達する更地。
変異種の姿が、正面に見えたとき――――ゴッバァヴォヴォヴヴヴォヴォ!!!!
土砂を跳ね上げる、戦術級高極超音速弾タイフーン。
ゴォォォォォォォォォォォッ――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!
鉄丸の煌めきが空へと、一直線に登っていく!
ドズズズズズズズズズズズゥゥゥゥゥン!?
鼻先を掠められた巨大な猪が、上昇する弾丸を追いかけようと――
上を向こうとして、たぶん自重のせいで出来ず――
目の前に立つ、おれを見つめた。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
うるぅっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ――猪野郎めぇっ!
「タイフーンを撃ったのわぁ、おれじゃねぇーだろぉーがぁー!!――ニャァ♪」
鉄鎧を突き抜ける、咆哮。
ヴュザザザザッ――――ガッkギュGHHハピF☆YU&$SUf!!!!!!!!!!
積層モニタの0番から11番まで、全部が消えちまった。
残った虎型の最前面12番だけだと、轟雷を着るには心元ねぇぞぉぉっ!
§
「(おい、この軌道は何だぜ?)」
小地図に映し出されているのは、航空写真と同じ――
上から捉えた標的。
スゥゥ、ウゥゥ、キュルキュリュ、キュルルルルッキュルッ!
その巨大な縁取りの上を何度も縫うように、軌跡が描かれていく。
「(五百乃大角が算出した、魔弾タイフーンの弾道予測と思われます)」
はぁ?
随分と面倒な道筋を、通りやがるな。
『◇¹――!』
お? ロックオンカーソルが出た。
タターが魔銃で、狙ったんだな。
一発目の標的は三つある巨石の頭側、一番小さな巨石。
『◇²――!?』
二発目が、巨大な岩を通り過ぎ――
何も無ぇ所に、張り付いた。
どうなってる?
矢張りこの距離を介して狙うのは、無理があったんじゃね?
『◇³――!?!?』
そして、三発目に至っては――
どういう訳だか、おれの胸元を狙って来た!
巨木・木龍戦において止めを刺した、タターが放った弾丸。
あの時は五百乃大角が、何かの策を講じてくれて事なきを得た。
「シガミーッ!?」
ロックオンカーソルに気づいたルガレイニアが、斜めになった魔法杖に片手片足を掛け――
轟雷の目の前に、飛んで来た!
「ルガレイニア、皆も! おれから、離れろやぁ!!――ニャァ♪」
ふぉん♪
『ゴウライ>タター、何でおれを狙いやがる、危ねえだろうが!』
おれの後ろに隠れてた奴らを――
怪我をさせねぇように、そっと振り払う。
目の前に『◇³――♪』
三発目のロックオンカーソルが、浮いていた。
どうやら狙われてるのは轟雷じゃなくて、この何も無い空中らしい。
ふぉん♪
『イオノ>みんな下がってわよ!』
てめぇ、イオノ腹ぁ――何処、行ってやがったぁ!?
ぽこんと画面に現れる、小さな梅干し大。
変異種の足下から、凄ぇ勢いで駆け抜けてきたのは――
風神とソレに跨がる、第四師団長ミラカルカ。
風神の兜に一つ目が光ってるから、五百乃大角も一緒だ。
「一先ず逃げるぞ、皆おれの手に乗れやぁ!――ニャァ♪」
轟雷は工房長に女将さんに商会長を抱え――――シュッゴゴゴゴォォォォオ、ヴァァァァァッ――――!!
姿勢制御用の大筒や巡航用の大筒を、爆発させる!
太杖に乗るルガレイニアと――――ヴヴヴヴヴッヴヴヴッ♪
張り扇に乗った扇杖の炎鬼には――――ヒラヒラヒラララァァッ♪
自分の杖で飛んでもらう。
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
背後で、とんでもねぇ大爆発――ヴュパッ、パパパッ♪
復帰していく積層モニタの中、爆発霧散する〝殲滅のビッグモクブート〟。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
おいおいこりゃ、タターが放った一発の弾丸だけで、倒しちまうんじゃぁねぇのかぁ?
それなら世話がなくて、実に良いがぁ。
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
三つに増えた(みたいに見える)弾丸は、エリアボス・モクブートの背中に堆積した土砂と、強固な岩石を粉砕していく。
ふぉん♪
『イオノ>>増えたみたいに見えるのは、忍者が使う分身の術。つまり視覚のリフレッシュレートの敗北わねん♪』
透波の連中を五百乃大角は、忍者と呼ぶ。
ふぉん♪
『ヒント>リフレッシュレート/動画における静止画像更新を示す頻度数値。一秒あたりの周期Hz(ヘルツ)という数値で表される。ちなみに人間の網膜は、125Hzくらい』
ふぉん♪
『>>轟雷のメインカメラは約960Hz。強化服虎型の汎用造影グリッドの結像速度は約240Hzです』
やかましぃ。おれが125Hzなら、皆同じだろぉがぁ!
ヒュヴォッガァァァァァアッァァァァッンッ!!!
それは、半径400メートルの遠大で複雑な、軌道だった。
「ブモォォォォォォォッォォォォォォッ――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
ドッゴッゴゴゴゴガガガァァァァァァァァァァァ――――ズズズズズズズズズムンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ひっくり返る、岩山。
空中に浮いてなかったら、おれたちも煽りを喰らって上下倒になってる所だ。
「グゲッゲゲゲゲッ――――!?」
跳ね飛ばされ、揺れる太木に脚爪でしがみ付く、恐竜モドキ。
「のぉい――――!?」
風神の背から放り出され――――ヴォォォォゥゥンッ♪
自分の〝人参の切れ端のような〟魔法杖に飛び乗る、第四師団長。
「皆、無事かぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」
「(全員のバイタルに異常有りませんが、ドローン15基ならびに高高度用馬車をロスト)」
全員の脈拍と呼吸と呻き声は鉄鎧《おれ》の、外部映像と外部音声にも届いてる。
「うぇぇーい!」
「大丈夫さね!」
「わ、わたしもぉー」
「無事のれ」
「私も異常有りません」
「左に同じく」
「くきゅるるるるるぁぁっ♪」
「下に同じく♪」
ふぅぃ。
結論から言やぁ、魔弾タイフーンの弾道予測と実際の軌道には、寸分の違いもなかった。
岩山がもんどり打って、ひっくり返る所まで弾道を予測してたって訳だ。
しかも弾頭自身が起こした衝撃による軌道変更、それをも織り込み済み。
正直、魔弾と五百乃大角の組み合わせは、やべぇ。
出来ることなら、敵対したくねぇ。
飯のことで揉めるにしても精々が、小競り合い程度に治めたいもんだぜ。
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フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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