滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

５：大森林観測村ＶＳガムラン町

７３２：大森林バウトのゆくえ、強化服虎型装備可能アイテム一覧

　もぐもぐもぐもぐ、ぱくぱくぱくぱく♪
　地きのこ｜（斑色まだらいろ）に落ちた根菜さまいおのはらが――沈しずんでいく。

「まてまて、奥おくは生焼けだ・・・・。腹はらぁ壊こわすだろぉが!?――ニャァ♪」
　おれは必死ひっしで虫食い穴・・・・に、手を突っ込んだ。
「痛いてっ!?　囓かじるんじゃぁねぇやぃっ!!――ニャァ♪」
　引っ張り出したら、根菜さまいおのはらが――ウギャギャと牙きばを剥いた。
　痛いたくねぇがぁったくよぉ、油断ゆだんも隙すきもねぇ！

「それに風神ふうじんたちを、放ほうって来ちまいやがって！――ニャァ♪」
　五百乃大角いおのはら御神体ごしんたいがこっち・・・に来てるってこたぁ、風神ふうじんの兜かぶとの中なかは空からだ。

「大丈夫はいひょーふわょ……もぐもぐぅ、風神ふうひんひゃんほ手綱はふはわぁ……ごくん――マルチカーソルで事こと、足りますのでぇ♡・」
　両手りょうてにつかんだ焦げ斑色きのこを、無我夢中むがむちゅうで口くちへ運はこぶ――女神めがみの現し身からだ。

　そして、画面モニタの中なかに居る小さな御神体・・・・・・――梅干し大・・・・の分け身の姿アイコンまで一緒いっしょになって、大口くちをモグモグしてやがる。
　分け身こいつさまは、こんな小ちいさな姿なりでも、〝飯めしを食うこと以外いがい〟なら大抵たいていのことが出来できる。

　画面がめんの隅すみに――『〔'_'ぽこん♪〕²』
　ふぉん♪
『イオノ２＞おまかせあれよん♪』
　新あたらしく現あらわれた小窓こまどに映うつるのは、五百乃大角いおのはら２・の丸まるい顔つら。
　大写おおうつしにしすぎたのか、像ぞうが四角しかくくギザギザに潰つぶれてる。

　現し身ごしんたいと分け身アイコンと、風神の兜の中めがみぞうのだいざの中の映像カーソル。
　三みっつの五百乃大角いおのはらが蠢うごめく様さまは、実じつに面妖めんようだがぁ――
　〝自我じがの極致きょくち〟と考かんがえりゃ……納得出来なっとくできなくないこともねぇ。

　ふぉん♪
『シガミー＞＞ふん、大丈夫というなら任せるぞ？』
　風神ふうじんを野放のばなしには出来できん、御ぎょしてもらわんと困こまる。

　猪蟹屋おれたちや姫ひめさんたちや、ニゲル青年せいねんなんかの――この現世うつつにおける埒外・・。
　そう言うのに驚おどろきを見せなくなりつつあった、初等しょとう魔導学院まどうがくいんの１年Ａ組生徒きゅうゆうたちでさえ――
　石竜子とかげの変異種へんいしゅにしか思おもえない姿形すがたかたちには、腰こしを抜かしてたからな。
　大森林だいしんりんの西の外れこのあたりに、人家じんかは無いがぁ――
　ずーっと南みなみへ下くだれば確たしか、大食らい娘ビステッカの辺境伯家いえの領地りょうちがあったはずだ。

「「（（ご心配しんぱいなく、そのためのマルチタスクですので・・））」」
　ふぉん♪
『イオノ２＞＞ご心配なく、そのためのマルチタスクですので』
　うるせぇ。
　そう、神々かみがみどもは、同時に色んな事マルチタスクをするのとやらが得意とくいだ。

「（と言う訳わけで、お前まえさまは邪魔じゃまだ！）」
　ぶぉぉんっ！
　力一杯ちからいっぱい、猫手てくびを効かせて投げ捨ててやった！

「いい加減かげん、止とどめを刺してやるとするぜっ！――ニャァ♪」
　美の女神めがみの依代よりしろである御神体ごしんたいを、粗末そまつに扱あつかうなと蜂女ルガさんにどやされそうだが――
　いい加減かげん、止とどめを刺してやるとするぜっ！

「んにゃわ～！」
　天高てんたかく放ほうり出され、何処どこかへ吹っ飛んでいく、美の根菜いおのはら。

「ヴヴヴッヴヴヴッ――!?」
　ふぉん♪
『ルガレイニア＞イオノファラーさまっ！』
　ヴォォヴォヴォォォン!!
　吹っ飛ぶ根菜いもを追いかけ――蜂はちのように、すっ飛んでいく蜂女ルガレイニア。

　おれは斑色まだらいろの地面じめんを、品定しなさだめするように――チーン♪
「しめしめうっひっひ――ニャァ♪」と上級鑑定かんていした。

　ぽこん♪
『超特選マドゥラーキノコ【区域】
　特選キノコを主食とするモクブートの背に発生する茸。
　群れの中で最大の体躯を持つボスブートの中でも、
　エリアボスと化したエリアボスブートが、広範囲にわたり発生させる。
　煮て良し焼いて良しの特選キノコの味とコクと旨みを、凝縮したおいしさ。
　極めて珍しいが、発見されたときは大量に収穫されるので、
　世代により価格差が生じ、王家から庶民に至るまで物議となりやすい。
　追加効果＞大量に収穫されるため土壌の改良に用いられることがあり、
　　　　　　その畑で収穫された作物には、何らかの能力値上昇が見込まれる。』

「長なげぇなっ！　この茸きのこの名わぁ、本当に斑茸マドゥラーキノコと言うらしいぜ！」
　しかも食材めしとしちゃ、かなり優秀うまそうだぞ♪

「そうデすね。〝モルト・トリュフリュ〟ヤ〝ラゴラゥ・マツタゲ〟のヨうな、マイナスの追加効果ついかコうかガない点てンモ素晴すバらシいかと・」

　よぉし、さっさと巨大猪エリアボスに止とどめを刺して、この旨うまい地面じめんを収穫しゅうかくするぞぉ！
「（虎型こいつが使つかえる一番いちばんでけぇ、武器かたなはどれだぁ？）」
　おれは猫拳こぶしを肉球てのひらに、ぽきゅりと打ちつけた。

　　　§

「ウカカカカッ♪　〝血縁僧ちえんそう〟を試ためせねぇのが残念ざんねんだが――ニャァ♪」
　ポポポポポポポポポポポポッ――ポポン♪
　画面モニタの中なか、並ならべられていく武器防具ぶきぼうぐアイコン。

　飯めしを食うときの小刀こがたなみたいな形かたちの、神力鋸ちえんそうも並ならんでる。
　収納されててもとにないから当然とうぜん、アイコンは暗くらくて選えらべないが。
　本体・・は今いま、多分丁度たぶんちょうど、真下の辺り・・・・・に埋もれてる筈はずだ――
　大森林だいしんりんエリアボスにして、名持ちの強敵・・・・・・。
　〝殲滅せんめつのビッグモクブート（変異種バリアント）〟と一緒いっしょに。

「虎型とラがたガ装備可能そうびかノうナ全武装ぜんブそうハ３４デす。武器ぶキが２６、防具ぼウぐガ２、道具どウぐト魔法具まホうぐガ合わせてテ６でス・」
　へーっ、武器以外ぶきいがいも結構けっこうあるなぁ。
　気になるがぁ、今いまわぁ……良ぉく切れる奴やつを一ひとつ選えらぶぞ。

　斑茸まだらきのこの上うえ、胡座あぐらをかいて座すわる、おれと旁かたわらに浮かぶ迅雷ジンライ。
　候補こうほとしちゃまず、いつもの錫杖しゃくじょうだろぉ――ピッ♪
　そして、拵こしらえが付いた日本刀わきざしとぉ――ピッ♪

「なんでお前まえさままで、装備出来る一覧つかえるものに並ならんでるんだぜ？――ニャァ♪」
　並ならぶアイコンの中なかに下膨しもぶくれの丸顔まるがお、そう、女神御神体さまいおのはらの姿すがたもあった。
　収納されててもとにないからこれも、アイコンは暗くらくて選えらべなくなってるが。
　おれは目力めぢからを込め、女神御神体めがみごしんたいの☑しるしを外したブーッ♪。
　ふぉん♪
『＞〝装備可能アイテム一覧〟から削除されました』
　よし、次つぎは何なんだぜぇ――？

「おや？　こいつぁ、まさか――轟雷ごうらいの鉄鎧からだに付いてる短刀たんとうかっ!?――ニャァ♪」
　何個なんこか並ならんだ短刀たんとうアイコンの中なかから、一ひとつを――選んだピッ♪。

　コンコロン、ガチャン、ゴトン！
　いつもの錫杖しゃくじょう｜（仕込しこみ直刀がたな）と、馴染なじんできた脇差しかたなと、更さらにもう一ひとつ。
　最後さいごの一振ひとふりは短刀たんとうのくせに、日本刀かたなより長ながかった。

　ふぉん♪
『小雨こ番
　攻撃力６５。戦術級強化鎧鬼殻〝轟雷〟の補助武器。
　形状こそサバイバルナイフだが、もはや長めのショートソード。
　重心が取れており、投擲時の安定性は抜群。
　追加効果／投擲時ＡＴＫ＋６３、命中率補正＋４８％』

「轟雷ごウらいノ鉄鎧かラだニ装着そうチゃくさレた短刀ダガーは、全部ぜンぶデ８振りデす。こ番ばント言うコとは・――」
「（鉄鎧鬼てつよろいおに――〝変異種バリアントシガミー〟が無意識下むいしきかで作成さくせいした・――）」
「〝予備よビ〟と思おモわレます・」
　うん？　えーっと、一二三四五六七八九十ひふみよいむなやこと……確たしかに、そうらしい。

　ふぉん♪
『ヒント＞全長３０inch（７６・２㎝）。刀身５５㎝。刀身幅１２・６㎝。ジンライ鋼製総重量９８０グラム』
　うーむ。手にすると、振り回まわすのにコツが居るな。
　生身なまみの童わらしの立端たっぱじゃ、金剛力ちからがあっても取り回し・・・・に不安ふあんが残のこるが――
　この虎型からだならぁ、ぴったりだぜ。

「ほぉう――こいつぁ、中々なかなかの業物わざものじゃねーか♪」
　よっこいせ――どかん！
　背負せおった金槌の重さ・・・・・で、少すこし埋まる工房長ノヴァド。
　ゴトリ――〝小雨こさめこ番ばん〟を取られた。

「うん、モクブートの解体用かいたいように打って付けさね♪」
　わいわいがやや。
　何なんだか人ひとが集あつまってきたぞ。

　まだ何本なんぼんか有るし、まあ良いか。
　脇差わきざしをニュニュー――ガチャッ！
　腰こしの毛皮けがわを引っ張って、機械腕かいなに持たせた。

　ちなみに錫杖しゃくじょうと日本刀かたなは、こんなだ。
　ふぉん♪
『仕込み錫杖｜（極太）
　攻撃力１０２。修験者が使う鉄の棍。
　内部に隠された刀身は高威力。
　追加効果／ＡＴＫ＋２７４』

　ふぉん♪
『無銘の脇差し
　攻撃力５２。日の本よりの来訪者が使う曲がった刀。
　設計制作者はシガミーガムラン。
　追加効果／ＡＧＩ＋２５』

　斑茸このじめんを切って下したへ、掘り進んでいく・・・・・・・なら――
　やっぱり錫杖しゃくじょうが長ながくて、向いてるか？

「（はい。斑茸マドゥラーキノコを掘り進すすむには、長ながさがある錫杖しゃくじょうが最適さいてきかと。但ただしおにぎりの収納魔法具しゅうのうまほうぐ箱ばこを使用出来しようできない現状げんじょうでは、幅広はばひろな〝小雨こさめこ番ばん〟も向いていると思おもわれます・）」
　ふぅーん。どーするか。
　迅雷おまえになら入れられないこともねぇが、これだけの量りょうだから――
　無理むりしてお前まえに万まんが一いちのことがあったら――
　おれと五百乃大角いおのはらわぁ、まず路頭ろとうに迷まようぜ。

「えっ!?　傾国の魔物ロットリンデちゃんに焼いて・・・もらって、村長そんちょうさんに味付け・・・してもらうと絶品ぜっぴんですってっ!?・」
　思案しあんする虎型ふ号おれの背後はいごから、そんな大声おおごえが聞こえた瞬間しゅんかん――

「ソレをお早はやく――仰おっしゃいなさいわよっ！・」
　画面のモニタはじ隅に居た、小ちいさな分け身アイコンが叫さけんだ。
　虎型おれの――ひいては迅雷ジンライの収納魔法ストレージの内訳なかみを映うつし出していた画面がめん。

「（もうっ！　魅惑的みわくてきにおいしい、お茸きのこさまに気づかないなんて――バカシガミー♪・）」
　うるせぇ！
「（お前まえさまだって、気づかなかっただろぉがぁ。飯神めしがみさまの名折なおれだぜ！）」
　振り返かえれば蜂女はちおんなに……まるで、熱々あつあつの茶ちゃを注そそがれた湯飲ゆのみのように。
　恭うやうやしく両手りょうてで持たれる、飯神めしがみで根菜こんさいで丸茸まるきのこな、逆さ鏡餅ねがみめんどの――美の女神御神体いおのはら。

　ふぉん♪
『ヒント＞めがみねんど・斧原イオノちゃん【非公式女神粘土】』
　うん、そんな名だったな。
　『イオノ』というのは五百乃大角いおのはらの本当ほんとうの名で、『斧原』というのが兄神あにがみさまと同おなじ、氏名うじなだ。

「ヴヴヴヴヴヴヴヴッ――――!?」
　蜂女ルガレイニアは太木ふときの魔法杖つえの上うえに、器用きようにも立ち上がり――
　此方おれたちを咎とがめるような目を向けている。
　こりゃぁ、さっきぶん投げた・・・・・ことを、怒おこってるんだな。

「大森林だいしんりんでわー、みーんな食べ飽きちゃってる・・・・・・・・・から、わざわざ言うことでもなーいーかーとー？」
　なんて商会長しょうかいちょうの声こえ。
　商会長しょうかいちょうは箒ほうきのような物ものに乗って、蜂女はちおんなの隣となりに浮かんでいた。

「（彼女かのじょから斑茸マドゥラーキノコの、おいしい調理法レシピを聞いたようです・）」
　らしいな。

「根菜こんさいさまは、落としたくらいじゃ割れんし壊こわれんし、傷一きずひとつ付かんだろぉがぁ？」
「必要ひつようの是非ぜひは兎も角かく、仮かりにも神かみを名乗なのる者ものに対たいする態度たいどではないことを、咎とがめられているのでは？・」
「ソレこそ、必要ひつようあるまい？」
　こんなでも五百乃大角いおのはらはもう、おれたちの家族かぞくだから――
　気兼きがねなぞ要らん。

　などとやっていた隙すきに――すてててて！
　五百乃大角いおのはらアイコンが、小地図ＭＡＰに駆け寄った。
『( ͡ᵔ ͜ʖ ͡ᵔ )ニタァリ♪¹』
　そして此方おれを見て、薄うすら笑わらいを浮かべやがる。

　おい何なんだ、その顔つらぁ――妙みょうに癇かんに障さわるな。
「（その不吉ふきつな微笑ほほえみを、止めんかぁっ！）」

『(( ͡°( ͡° ͜ʖ( ͡° ͜ʖ ͡°)ʖ ͡°) ͡°)¹)¹』
　五百乃大角アイコンが今いままで見たことのない速はやさで、震ふるえた。
　次つぎの瞬間しゅんかん、空撮映像くうさつえいぞうを覆おおい尽くしていた斑色きのこが、一瞬いっしゅんで掻き消え――
　横とこたわる、山やまのような巨大猪エリアボスを映うつしだした！

「やぃ、何なにをしやがっ――――た!?」
　遅おくれて、斑色の地面あしもとが抜け――
　おれたちは空中ちゅうに、放ほうり出された！

　これだけ広範囲こうはんいの土塊つち……いや斑茸きのこを全部ぜんぶ、詰められるのは――
　おにぎりに背負せおわせた、収納魔法具しゅうのうまほうぐ箱ばこくらいだろぉがぁぁぁぁっ!?