滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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6:拡張DLCと、栽培バグ

740:大女神像の間にて、アリゲッタ辺境伯ってどんな人?

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「それで、結局けっきょくところ……ビステッカの姉上あねうえさまてのわぁ、どんな御仁ごじんなんだぜ?」
 なだすかせた巻き毛のわらし、ビステッカにたずねた。

 こと辺境伯自身へんきょうはくじしんかんするはなし場合ばあいに依っちゃ、物の聞き方・・・・・に気をつけなきゃならんところだがぁ――
 折角せっかく辺境伯へんきょうはくじつ妹君いもうとぎみあらせられるのだ、直接聞ちょくせつきくにかぎる。

 辺境伯へんきょうはくさまや参謀殿さんぼうどのや、オルァグラムギルドちょうたちがすわる、ちゃぶだい
 そのとなりに置いたあたらしいちゃぶだいと、ペラペラの座布団ざぶとん
 車座くるまざになったおれたちは、ようやく件の人物・・・・核心かくしんせまっている。

「お、おねぇさまわぁ――オ、オリハルコン鉱石こうせきたてに積み上げるような、ご立派りっぱかたですわっ――ぐすん」
 まだかたふるわせる、お貴族さまおおめしぐらいの巻き毛が揺れた。
 ふぉん♪
『人物DB>ビステッカ・アリゲッタ
      初等魔導学院1年A組生徒
      出席番号5』

「わきゃっ!? くすぐったい♪」
 ワサワサッ、ビョビョ~ン♪
 気遣きづかい寄り添う連中れんちゅうほほを、巻き毛が撫でた。

 向かってみぎに、サキラテ家令嬢けれいじょうビビビー。
 矢鱈やたら手足てあしほそくて、リオレイニアの血筋ちすじかんじるわらしだ。
 その見た目にはんして、じつきもが据わってる。
 ふぉん♪
『人物DB>ヴィヴィエラ・R・サキラテ
      初等魔導学院1年A組生徒
      出席番号7』

「うふふ、くすくすくす♪」
 ひだり眼鏡太郎めがねたろう……じゃなくて町民ちょうみんレトラじょう
 気弱きよわだが人当ひとあたりが良く、とても気が利くわらしだ。
 大森林だいしんりんでは色々いろいろ大変たいへんな目に遭わせちまったからな。
 この後、どういうはなしになろうとも、好きなように取りはからってやろうとおもう。
 たぶん行くことになるであろうアリゲッタ辺境伯領へんきょうはくりょうへの行軍こうぐんに、付いてきたいなら連れて行くし、王都ここのこりたいなら置いていく。
 ふぉん♪
『人物DB/レトラベラ・ルリミット
      初等魔導学院1年A組生徒
      出席番号13』

「にゃぎゃぁーん
 そしてなんでかビステッカの真後まうしろに、おにぎり(だい)が陣取じんどってやがる。
 ふぉん♪
『ヒント>強化服自律型おにぎり一号/猪蟹屋強化兵装試作第一号。
     惑星地球において〝着ぐるみ〟と称される個人兵装の一形態に、〝自律機構〟を搭載したモノ。
     その正式名称は〝極所作業用汎用強化服シシガニャン自律型/試作個体名おにぎり一号〟。
     強化服群の中で最長の動作時間を誇り、破損時には卵型のセーブデータを残』

 おにぎりの説明ヒントなんぞ、要らんわぃ。
 消せ消せっ――フッ。一行表示ティッカーが消えた。

 最近さいきんでは町民ちょうみんたちから「ね、ねこ魔物まもの!?」とおそれられることも無くなってきた――
 猪蟹屋うちのみせ丁稚でっち……というにわぁ、図体ずうたいがでけぇし――彼奴ヤツぁ、なんだぜ?
 〝たたかれたら相手あいてだれであろうと、かならずやりかえす〟ってぇ、悪癖くせがあるから――
 〝ねこ魔物風まものふう〟てのが一番正いちばんただしく、言いあらわせてるとおもうが。
 けっして〝美の女神いおのはら御使みつかいさま〟や、〝猫の魔物ケットーシィ〟ではない。

 ふぉん♪
『>>強化服は備品ですが自律行動可能なおにぎりだけは軽車両扱いとなるため、記載名は〝運搬用アーティファクトおにぎり/ID#I05001〟となります』
 うん、わからんが、そういうことでもねぇんだよ。

 ふぉん♪
『ヒント>オリハルコンを縦に積む/加工の難しい歪な物を、縦に積み上げられるほどの才覚。ひいてはその能力に裏付けされた、頑固さを表す慣用句』
 妹君さまビステッカによる、辺境伯さまポテリュチカ人柄ひとがら
 その説明ヒントが出たぞ。

「ふむん? 〝曲がった杓子しゃくし定規あてぎにしちまう〟ような――やつってことかぁ?」
 方向性としてひととなり猪蟹屋番頭リオレイニアとか、ガムランギルド長レムゾーみたいな……やつってことだろぉ?

 ふぉん♪
『シガミー>>おい迅雷。そんな奴が、どうしてまた〝おにぎり〟なんかに、領地の全てを賭けたりしたんだ?』
 ふぉん♪
『>>現在の情報では分かりかねます。では別の意見も聞いてみましょう。
 >リオレイニア。アリゲッタ辺境伯というのは、
  とても真面目な人物と言うことでしたが』

 ふぉん♪
『リオレイニア>はい、そう聞き及んでいます』
 辺境伯とのさんたちへちゃを入れながら、白金の眼鏡ルガーサイトふち指先ゆびさきで持ち上げてみせる――
 絶世ぜっせい美女びじょリオレイニア。

 ふぉん♪
『>そのような人物が、猫の魔物と間違われる風体の〝おにぎり〟へ、
  資産の全てを全額賭けるとは、到底思えません』
 ヴォヴォヴォゥゥン――空飛ぶ独鈷杵アーティファクトが、ぐるんと回転かいてん

 迅雷ぼうに釣られておれも、いもが詰まった木箱きばこ腰掛こしかける――
 まるで仕事しごと合間あいま休憩きゅうけいする、おっさんのような風体・・・・・・・・・・目が合った・・・・・
「にゃぎゃぁ
 化け猫おにぎりめ、おれぁ「揚げいも?」じゃぁねぇやい。

 ふぉん♪
『リオレイニア>はい。賭け事に参加すること自体が、まず考えられませんね』
 かんがえられなくてもげんに、賭ーけーとーるーだーろぉーがぁー?
 おれがくび力一杯傾ちからいっぱいかたむけると――――ヴュパパパッパパァーン♪
 うぬぅ?
 ひざかかえた女神像めがみぞうよこから、騒々そうぞうしい物音ものおとがしやがった。

 迅雷ジンライおとのしたほうへ飛んでいく――ヴォヴォゥン♪
 ソレはちゃぶ台横だいよこ設置せっちした信楽焼しがらきやきのタ……じゃなくて、太木ふときを彫ったねこぞうのようなかたち
 猫型魔法具ジュークボックスから生えた尻尾しっぽは、大女神像だいめがみぞうつながっている。
 アレ・・村長箱そんちょうばこおなじ名だが、こっちのは基本的きほんてきには五百乃大角いおのはら奇抜きばつ……陽気ようき歌声うたごえが出るだけのもので、木さじ食堂しょくどうにも置かれているものだ。

 そのおおきなかおから画面表示がめんひょうじが飛び出した。
 ちゃぶ台一だいひとつを飛び越し、おれたちのあたまうえ空中ちゅうに浮かんだソレ・・は――
迅雷ジンライなんだぜこの画面がめんわぁ……トッカータ大陸たいりく地図ちずのようだがぁ?」

「なんだなんだ?」「どうしたどうした?」
 ガッチャガチャガチャッ、ドカドカドカッ!
大陸たいりく地図ちずだぜ」「おまえらぁ、こいつを見ろ!」
 ガヤガヤガヤガヤワイワイワイワイ!

 ふたならんだちゃぶだい
 車座くるまざのおれたちを、大勢おおぜい冒険者ぼうけんしゃ私兵しへいたちたちが、取りかこんだ。
 辺境伯とのさん遠慮えんりょして遠巻とおまきにしていた連中れんちゅうが、地図ちずを見るなり無遠慮むえんりょに寄ってきやがったのだ。

 ゆっくりと回転かいてんする地図ちずにポツポツと、あらわれていくのはあおちいさなまる
 ソレは〝大森林だいしんりん〟や〝ガムランちょう〟や〝王都おうとあたり〟で、チカチカとひかりはなはじめた。

「シュトレンさま、これは変異種バリアント出没予想地図しゅつぼつよそうちずではっ!?」
 参謀さんぼう耳打みみちする、角付きギルドちょう
たしかに、各地かくち領主邸宅りょうしゅていたく設置せっちされた警報魔法具けいほうまほうぐに似ていますが――おやかたさま?」
 辺境伯ラウラルさまへ耳打みみうちちする、参謀殿さんぼうどの
「いや警報けいほうが鳴っていないところを見るに――変異種へんいしゅではあるまい?」
 目をおよがせた辺境伯さまとのさんと、目が合った!

「そ、そうでごぜぇますわぜっ!?」
 突然話とつぜんはなしを振られたら、おれだってあせらぁなっ!
 えーっと、地図こいつがぁあらわしてるのわぁ、殿とのさんの見立みたどおり――
 変異種バリアントじゃねぇ……とおもう。

 あれだけの大物おおもの二匹にひきたおしたばかりだし、いま王都ココに――
 あんなやばそうな・・・・・魔物《ヤツ》は、見当みあたらん。

「なぁ、リオレイニ――ぁ?」
 おれがとなりのちゃぶだいの、番頭リオたずねると――

「こちらは女神像めがみぞうサービスアシスタントです。押して押して
「では、行きますよ?」
 かくれモテおんなにしてもと聖剣切りの閃光ヴォルトカッター構成員メンバーリオレイニアが、おにぎり(しょう)が生えた青板スマホを――ペコン!
 平手ひらていきおいよくたたくように、押したりしてやがる。

 ヴォヴォシュギャギャギャッ♪
 となりのちゃぶだいから、ぴょーん!
 座布団二枚分ざぶとんにまいぶん距離きょりを飛び越え――――ズギャギャギャギャァッ!
 女神像めがみぞう中身なかみが、こっちのちゃぶだいに乗ってきた。

   §

『  ■■――――ポテリュチカ・アリゲッタ
  ■■■■
 ■■■■■■
  ■■■■
   ■■』

 黄緑色きみどりいろねこ魔物まものである〝おにぎり〟に、資産しさんすべてを賭けたビステッカの姉上あねうえ
 人類じんるいほこ二大実力派にだいじつりょくは辺境伯爵へんきょうはくしゃくの、〝いもほう〟。
 その彼女かのじょの名をかんするあかまるが、ズモモモモとひろがっていく。

「やい、中身さま・・・・よぉ。そいつ・・・ぁ、何度なんども見ただろうが?」
 ちゃぶだいうえまるふちに沿って――シャギャヴォヴォヴォヒュゥーン♪
 軽快けいかいすべ青板スマホを、ガシリとつかまえた。
 このあかいのわぁ、あらわかたこそちがうが、おにぎりに賭けて擦っちまった・・・・・・――
 たか天井てんじょうにまでとどきそうだった、とんでもねぇ金額パケタだろ――ぉ?

 ボォゥボォボォゥボォボォォォォゥウン!
「いやまて、こいつぁ――――!?」
 あかまるひとつではなく、其処其処大そこそこおおきなまちのある、すべての地域ちいきあらわれていく。

 斑点はんてんのように浮き出た、ソレを見て――
「ひぃぃぃぃっ!?」
 レトラが逃げ出し、おにぎりのひざに飛びついた。
 たしかに増えていく赤●アレは、ちと気色きしょくわりぃ。

「ふぅ、やはりこうなって・・・・・しましましたね」
「うむ、そのようだな・・・・・・
 番頭ばんとうリオレイニアとコントゥル辺境伯へんきょうはくが、かお見合みあわせ――
「おやかたさま、いかがなさいますか?」
 辺境伯参謀へんきょうはくさんぼうが、にじり寄り――おうかがいを立てた。

「どーいうことか説明せつめいしろゃ……御座ございますわぜ、リオレイニア!」
 おれは青板あおいのを持ったまま、番頭リオに駆け寄る!
 辺境伯とのさん手前てまえ礼儀れいぎわきまえつつなぁ。
 ふぉん♪
『シガミー>何がこうなったんだぜ? まるで、わからんわい』

「ふぅ、簡単かんたんはなしですよ。アリゲッタ辺境伯へんきょうはくが〝おにぎり〟に全額張ぜんがくはったことを知れば、彼女かのじょ堅実さ・・・を知る人物じんぶつなら、その賭けに便乗すること・・・・・・が、容易ようい想像出来そうぞうできます』
 あー、最初さいしょに見た番頭リオ辺境伯さまとのさんたちのしぶかおは、そう言う意味いみだったか。

「なるほど。此奴こいつらわぁ全部ぜんぶ辺境伯へんきょうはくさま……アリゲッタ辺境伯へんきょうはくさまが張ったもうばなしに、乗った連中れんちゅうってわけだな?」
 おれたちはあかく染まっていく地図ちずを、しばながめた。

 おおきくふくれ上がった〝あかまる〟――ガチャリッ♪。
 その辺境伯へんきょうはくの名に、錠前の印・・・・が付いた。

「おい、中身さま・・・・よ、この錠前じょうまえなんだぜ?』
 『(I_I)』『(>_<)』
 青板スマホを持ち上げると、目をぱちくりとさせる青い奴・・・
 こいつぁ女神像めがみぞう中身なかみで、この大森林だいしんりんバウトの賭けが原因げんいん調子ちょうしくずしている。

「おこたえします。引き出し限度額げんどがくを超えた課金かきんによる、アクセス制限状態せいげんじょうたいあらわしていま
『(I_I)』『(>_<)』
 ふぉん♪
『>>俗に言う〝垢BAN〟状態と思われ』
 ふぉん♪
『シガミー>わからん、何だそいつは?』

「そうでスね、冒険者ぼうケんしゃカードノ使用シよう禁止きンしさレま
 んぅ? 冒険者ぼうけんしゃカードは身のあかしになるだけじゃなくて、金の出し入れ・・・・・・にも要るだろぉが?
「そりゃ、一大事いちだいじだろぉが!?」

 ボォゥボォボォゥボォボォォォォゥウン!
 ボォゥボォボォゥボォボォォォォゥウン!
 ズモモモモモモモモモモモッモモモモモッ!
 あかてんは増えつづけ、何処どこまでもひろがっていく。

 やがてその全部ぜんぶの名に、ガチャリッ♪。
 ガチャガチャガチャチャチャガッチャリィィン♪
 かぎが付いた。

「ぐすんぐすん。おねぇさまは、一体何いったいなにかんがえて――」
 あおかおをした巻き毛の童ビステッカが、上等じょうとう革袋サイフを引っくりかえした。
 チャリン――バララララッ♪
 ちゃぶだいうえに、ぶちまけられる金貨パケタ――コロコロロッツ、チャリィン♪

 小気味こきみよいおとはすぐおさまり、辺境伯家アリゲッタ縁者こどもとしては、多少たしょうささやかな全財産ぜんざいさん
 仕舞しまいにはふところから、かみつつんだ揚げいもらしきものや――
 まだ試作段階しさくだんかいの〝蜂蜜饅頭はちみつまんじゅう〟も何個なんこか、差し出された。

 五百乃大角いおのはらに次いで大食おおぐらいであるこの童ビステッカからしたら、取って置きの中の・・・・・・・・取って置き・・・・・
 大事だいじ大事だいじな〝おやつ〟であろうことは「ぐきゅりゅりゅぅ♪」という、はらむしを聞くまでもなく分かる。

 あかく染まった地図ちず、ひいては領地りょうちかたむくほどの、とんでもない金額きんがくあたりにすりゃ――気が動転どうてんするのも道理どうりだ。

「泣かないで、ビステッカさん!」
 レトラが巻き毛の背中せなかを、やさしくさすってやっている。
「みゃぎゃにゃやぁー
 レトラの背を何故なぜかさする、おにぎり(だい)。

魔導学院まどうがくいんには、まだあと一年近いちねんちか在籍ざいせきすることになるんだから、卒業そつぎょうするころにはきっとすべてが上手うまくいくわよっ――ねっ、レーニアおばさん!?」
「みゃぎゃにゃやぁー
 今度こんど何故なぜかビビビーの背をさする、おにぎり(だい)。

「えっ!? え、ええ、そう! そのとおりですよ、なに心配しんぱいすることはありません!」
「みゃぎゃにゃやぁー
 今度こんど何故なぜレーニアおばさんリオレイニアの背をさする、おにぎり(だい)。

「そぅだぜっ! いつまでも、そんなつらをしてるんじゃぁねぇやぃ!」
 おれは背後はいごしのび寄る黄緑色きみどりいろの、でかいあたま片手かたてで押さえた。

「だぁってぇぇぇぇ――ジガビーぢゃーん!」
 最早もはや「ぐぐぐぐぐきゅるるるるゅぅ♪」という、はらむしかく余裕よゆうもないようだぜ。

「だぁれがぁ、ジガビーぢゃーんかっ!」
 ええい、こんなとき生意気な子供レイダ・クェーサーだろぉがぁ――何処行どこいった!?
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