四度の告白《おもい》は砕かれるー今更好きだと言われても

SAKADO

文字の大きさ
59 / 82

五十七話 イキリ後輩

しおりを挟む
 そんなこんなで放課後、樹《たつき》の恋人である七瀬ななせにも事情を話し、敢えて樹を放っておくことにした。変な言い方だが泳がせるって感じだ。
 ちなみにだが、樹には先に帰ると七瀬は言っているらしい。そりゃなにも言わなかったら心配するだろうし当たり前か。

 というわけで場所は校舎裏。どうやらここに呼び出されたみたいで、ソコには五人ほどの男子生徒……それも後輩がいた。
 一人を呼び出して複数で囲むなんて随分とおもむきがあるじゃねぇか……

「呼び出したのはキミたち?なんの用かな?」

 先に始めたのは樹だ。言葉自体は柔らかいが俺たちなら分かる……怒ってるな。
 そりゃこんな形で呼び出されたなら不愉快だろう、見ているだけの俺だって同じだ。

「なんてことないんスよ、ただアンタが七瀬先輩にベタベタしてなきゃいい」

「は?」

 ヘラヘラと右側にいるヤツが言った。
 ちなみにそれに反応したのは樹ではなく一緒に見に似ている七瀬だ。
 小さい声だがかなり怒っていることがよく分かる。

「当たり前っすよね?だって後輩が困ってんスから譲るのが先輩ってもんでしょ?七瀬先輩の隣……譲ってクダサイよォ……」

 ニチャアと口角を上げながらナメたこと抜かしてやがるバカに樹は返事をしない。
 徐々に距離を詰め、言い終わる頃にアイツの肩に汚い手を乗っけていやがる。

 それを見ている俺たちは当然ながらイライラしている。やられている本人なんてもっとヤバイだろうことは想像に難くない。

「おいおいw、センパイビビっちゃってんじゃんやめたれってw」

「あはは、なっさけねーw。こんなの彼氏なんて七瀬センパイって割と誰でも行けんだなぁw」

 樹が言い返してこないことに気を良くしたバカ共がヘラヘラと色々言っている。
 すると遂に樹が口を開いた。

「何バカなこと言ってんだ?お前らなんかが相手にされるわけないだろ、彼女出来たことないのか?」

 抑揚のない声で淡々と告げた内容は普通に正論だったと思う。俺も同じような気持ちだったからほんの少しスッキリした。

「なんだとテメェ……」

「先輩がそんなこと言っちゃあダメじゃないっすかァ?パワハラっすよパワハラぁ''、ぶっ殺しちゃうッスよぉ?」

 威嚇のつもりか、樹に距離を詰めながら低い声でなにやら言っているが随分と滑稽なことだ。
 それがカッコイイと思ってんなら是非 " そういう連中 " とやり合って欲しいもんだ。
 まぁそれなら今ここに晴政がいるわけだしちょうどいい。

 五人で持って詰め寄って、勝ち誇った気になっている後輩バカ共は樹を取り囲んでいる。
 内三人は……ありゃ竹刀か?なんであんなもん持ってんだよ。

「俺らって剣道やってんすわ、だからあんまり調子乗ってっと思っきし……面しちゃうッスよ?」

 ソイツはそう言って竹刀を振って威嚇している。
 というか剣道ってそういうのじゃないだろ、本気でやってる連中に失礼な三人だ。
 対する樹は引く様子を見せない、普通ならここで引くものだがアイツらは五人。
 つまり人数有利で既に勝った気になってる、俺らだってここにいますよー。

 樹含めて男四人か……若干有利すぎる気はするがまぁいいだろ、向こうが悪いんだし。
 ヤツらが引けばヨシ、そうじゃなければ……

「道具使ってイキってんのダサすぎだな。殴られる覚悟もねぇなら引っ込んでろ……臆病者」

 樹の正論にブチった面とか言ってた奴がニヤニヤとしていた顔を無くし、ギラギラとした目で樹を見据えた。
 別の二人が彼を羽交い締めにしたことでソイツは思い切り竹刀を振りおろした。

 これはまずいと思い助けに行こうとしたが、気付けば天美がソイツの竹刀を後ろから掴んでいた……早くね?

「それはやり過ぎだろ、いい加減にしとけよお前ら」

「なっ……」

 突然の闖入ちんにゅうしゃに後輩連中がどよめく。それに続いて俺たちもその場に向かった。

「えっ……壱斗、晴政?」

「おうおう、俺のダチに随分なことやってくれてんじゃんよ」

「そんなに血の気が余ってんなら俺らも相手になってやるよ、かかってこい」

 正直こんな連中に強気に出るのは情けない話だが、さすがに親友が危険だってのにプライドも何も無い。
 通すべき筋ってもんがあるだろう。

「……ックソ!離せよ!」

 天美に竹刀を掴まれていた男がソレを振り払って殴り掛かる。しかし彼は動じていなかった。
 敢えてソレを頭で受け、余裕の表情で相手に圧を与えている。いや防げよ。
 しかし竹刀だって決して軽いものじゃない、突きではないとはいえ痛いハズだ。それを食らっても涼しい顔をしているのは正直俺だって怖く感じてしまう。
 俺でさえそうなのだから、クソガキ連中はビビり散らしていた。そりゃそうだろな。
 五人は蜘蛛の子を散らすように逃げ始めたのだが、その中の一人を樹が掴む。胸ぐらを掴みあげ壁に叩きつけた。痛そうだ。

「自分がフられたからってソレはダサすぎだろ。そんなこと続けてたら一生誰にも好かれやしないしダセェままだ、二度とやるなよ……おい」

「ひっ……」

 樹はソイツの額に自分の額をぶつけドスの聞いた声で言った。血が出そうな程に鋭い目をして睨みつけている。
 一方後輩の方はガタガタと震えだし血の気が引いている。同情はしない……ってかできない。

 手を離されたソイツはひょこひょこと逃げていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...