クールで一途な白雪さん

SAKADO

文字の大きさ
55 / 103

五十四話 お披露目

しおりを挟む
 夏休みに海へと一泊二日の小旅行にやってきた俺たち七人は、荷物をロッカーに預けて水着に着替えた。更衣室の前で茂と二人で待っていると、告美たち三人が先に出てきた。
 そこまで間を置かずに繭奈と冬夏とうかも出てきて、水着姿を見ることができた。繭奈は先週にショッピングモールで買ったものだから知っているが、冬夏の水着を見るのは初めてだ。

 彼女の水着は黒色のビキニだ。装飾の少ないシンプルなデザインだが、それが大人っぽさを演出しよりセクシーに見える。
 元々スタイルが良いのもあって、その魅力を存分に発揮している。おかげで周囲の男からの視線も凄い。

「どう?結構自信あるんだけど」

 冬夏は腰に右手を当て、まるでモデルのようにポーズを決めた。彼女のフランクな態度を見た繭奈を除く四人は、ギョッとした顔でこちらを見ている。

「冬夏は元々スタイルが良いからな、充分すごく似合ってるよ。はっきり言ってエロいと思う」

「さすが龍彦、見る目あんじゃん♪」

「そりゃどーも」

 俺のコメントに喜んでウインクで返す冬夏だが、他の四人は絶句している。そりゃあ、褒めるにしたってエロいだなんて言うのは普通に考えれば非常識だ。
 しかし、それは関係性が進んでいなければの話。俺と冬夏の関係性なら、それくらいハッキリ魅力を伝えた方が良いのだ。
 要は、俺たちなりのコミュニケーションってことだな。

「ねっねぇ龍彦くん?ちょーっとストレート過ぎない?しかもそれってその……せっセクハラなんじゃ──」

「まぁまぁ、春波ちゃんもそんな堅いこと言わなくていーじゃん!アタシは龍彦にそう言って貰えて嬉しいから♪」

 思い切り動揺している告美に対し、当の本人たる冬夏がそう笑った。本人がそう言っているのだから、他のメンバーも特に何も言うことはなかった。
 なんなら繭奈も涼し気な表情かおをしている。

「私はどうかしら?ねぇ龍彦くん」

 顔を赤くして喜んでいる冬夏を遮るように、繭奈が前に出た。彼女が着ているのは、先週買った水色と白色の、リボンの付いた可愛らしいビキニだ。だが、試着室で見るのと砂浜で見るのでは、圧倒的に魅力が違う。

「ハッキリ言うぞ、一番可愛い」

「っしゃああ!」

 繭奈の魅力が俺の冷静さを破壊し、沸騰してしまった俺の頭が端的に告げた。確かに他の四人も可愛いよ、それは間違いない。
 ただ、自分の恋人が一番可愛く見えてしまうのは、仕方のないことではないかと思う。俺は彼女の様々な姿を見ているし、それこそ内面も知っている。
 関わっている時間の密度が圧倒的に違うのだ、そりゃ一番にもなるだろう。

 そんな俺の答えに、繭奈は両手で拳を作りながらガッツポーズをして喜んだ。面影ぶち壊しである。
 なので、冬夏以外の四人は完全にフリーズしている。まるで理解できないものを見てしまったような感じ。
 いやまぁ、間違ってないけど。

「一番ね、一番♪さすが龍彦くん、冬夏の言う通り見る目あるじゃない♪」

「そりゃどーも」

 先ほどのガッツポーズがまるで幻であったかのように、繭奈が髪をかきあげて言った。頬は朱に染まっており、纏う雰囲気はベッドインする直前のようだ。要するにエロいことする時のソレ。

「そうまで言われたらアレね、せっかくだし二人きりの時間を用意したいわね♪ご褒美にね♪」

「それはまたおいおいな。今日は皆で来てるし、タイミングあったらね……って皆大丈夫?」

「龍彦くんって意外と精神強いのね……」

 完全に固まってしまった皆に向けて尋ねると、麗凪が震えた声でそう言った。そういえば、彼女と告美は俺たちが付き合っていることを知らないんだったな。まだ明かす気はないが、いつか言わないといけないな。

「まぁアタシは繭奈の友達だからアレだけど、春波ちゃんも山襞ちゃんも、そっちの二人も知らないもんね。繭奈って心開くと結構おもしれーっしょ」

「おもしれーとは失礼ね、ノリが良いって言いなさい」

「まぁおもしれーのは間違ってないけどな」

「龍彦くん?」

 付き合ってからというもの、過去の繭奈に対する認識がバグっていくばかりだ。もっと真面目でお堅いと思っていたものだが、実際はかなりノリが良いし面白い。

「とりあえず、せっかくだし泳ごうぜ。暑くてかなわねぇって」

「茂に賛成だ。色々と気になるかもだけど、繭奈くらいぶっ壊れてないと楽しめないからな。見習っていこう」

「龍彦くん?」

 茂に便乗してそう言うと、繭奈がジト目でこちらを見る。まぁ元々ジト目っぽいんだけど、最近は違いがよく分かるようになった。
 今はしっかり睨んできている、後でちゃんと埋め合わせしよう。

 俺の言葉に皆も そうだねと頷いて、皆で海に向かった。今日は楽しむぞ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...