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しおりを挟む『仕事をください!』
そう私の耳には聞こえたが。
この屋敷のいるか、と聞いたのは私には珍しく庇護欲のような感情が沸いたから。
いつも1人で泣いていたキョウ殿の背中が頭を過ぎった。
当時、幼い私にはどうする事もできかった恐らく贖罪の気持ちだろう。
今回の事はこちら側に非がある。
話し方や態度・視線など見た感じ頭が悪いようには見えない。
女子が仕事などせずとも楽に暮らせる事も選べるとわかったいるだろうに。
なぜ?
だったら、この世界に黒い影を落とす思考を持っての求職か?
一瞬にして先ほど抱いた庇護欲が無くなる。
穂乃香を伺う視線が鋭くなる。
「…仕事とは、どんな仕事が望みだ?」
自然と声が低くなる。
「そうですね…私が、この世界で1人で生きていけるのに充分な収入がいただける仕事、ですかね。…あなたはこの世界にいろいろなコネがありそうだから、楽な仕事も紹介してくれそうだけど、それは止めてくださいね。」
「…どうしてだ?」
楽なら楽でよいのではないか?
「だって、あなたと私の間に関わりがなくなったら…あなたに嫌われたりとか…急に私の目の前からいなくなったりとか…私みたいに…。そうなった時、急に解雇されたら、その後の生活が立ち行かなくなるじゃないですか?だったら、最初は多少キツくても、この手に仕事を覚えて、私じゃなくちゃできない事を身に付けた方がいいと思うのですよ!」
そう言い切る穂乃香の右手は握りこぶしを胸の高さに作っていた。
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