◆君と一緒にいられたら…〜青海透の恋愛事情

青海

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大室山に登って

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 大室山を下から見上げる。

 まだ青々としたススキ林と青い空。

 ススキ林が風に揺られてサワサワ音をたてる。
 
 「秋になったら綺麗なススキが見れそうだね。」

 「うん。風が気持ちいいなあっ」

 泉がスカートの裾を押さえながら空を見上げた。

 「リフトに乗って山頂に行こう。」

 真実が大室山ロープウェイのパンフレットを見ている。

 「俺先に一人で乗るからお前ら一緒にリフト乗れよ。正面から写真撮ってやるから。」

 そう言って颯爽とリフトに乗りこむ。

 「泉、気をつけて乗ってね。」

 「うん。ありがとう。」

 案内人に従いリフト乗り場で待つ。



 
 リフトに乗っている所を真実が写真を撮ってくれた。

 ゆっくりと坂を登って行く二人乗りのリフト。

 「風が強いっ!」

 泉が帽子とスカートを押さえるのに忙しそうだ。

 「泉、スカート押さえなよ。俺帽子持っててあげるからっ。」

 「…ごめんっ!」

 「良いって、泉のスカート姿は可愛いよ。」

 そう言うと泉が赤くなっている。

 「お~いっ!もうすぐ着くぞ!」

 真実が教えてくれた。

 「泉…もし転びそうになったら俺支えるから。スカート引っ掛けないように気をつけてね。」

 頷く泉と前方を確認する。

 前のリフトに乗っていた真実が降りて行くのが見えた。

 もうすぐだ。

 

 
 「…スキー場のリフトと同じだとは思わなかったけど楽しかったね。」

 泉が安心したように笑った。

 「…スキー場に行った事ないからわからないけど、スリルがある乗り物なんだね。リフトって。」

 あんなに風で揺れるなんて…。

 隣に泉がいたから平気なフリしてたけど正直怖かった。

 「まああんなもんだろ。」

 真実は周りを見渡す。



 
 大室山は山頂が一周回れるようになっている。

 お鉢巡りと呼ばれてあちこちにお地蔵様がが鎮座していた。
 
 3人で話をしながらゆっくり歩く。

 「…風が強いけど景色が最高だね。」

 駿河湾が遙か遠くに青く輝く。

 「きゃっ!」

 ふっと風が強く吹き前を歩いていた泉がよろける。

 「!っと…。大丈夫?」

 泉の肩を抱きとめて支える。

 「うん…ありがとう。」

 泉が少し赤くなる。

 「大丈夫か?」

 一番前を歩いていた真実が振り返った。

 「…。」

 陽射しを受けて目を細める真実に思わず見惚れた。

 何故だろう…真実から目が離せない。

 「?…透…どうした?調子悪いのか?」

 気づいた真実が近寄って来る。

 「あ…っ」

 何故か声が出なく身体が動かなくなっている。

 「…透!?」

 肩を抱いていた泉が振り返る。

 「どうした?」

 真実に肩を掴まれる。

 …その瞬間なんとも言えない感覚と知らない記憶が頭の中を駆け巡って消えていった。

 …何だ!?

 同時に声と身体が動くようになる。

 立っていられずにその場に座り込む。

 「…透っ!?」
 
 泉が声を上げ、一緒に座り込んで顔を覗き込んでくる。

 「…あれっ…何でっ…。」

 自分でも何が起きたのか分からなかった。
 
 ものすごく…だるい。

「…貧血か?」

 真実が肩を貸してくれて少し開けている所に移動した。

 泉が泣きそうな顔で隣に座る。

 「…大丈夫だよ。どこか痛むとかじゃないから。なんかちょっとだるくなっちゃった…。」

 泉を安心させようと微笑む。

 「良いから休んどけよ。」

 真実が隣に座る。

 二人に挟まれて原っぱに座り込んでいたおかげであまり目立たずに済んだ。

 知らない人が見たら座って景色を眺めているように見えるだろう。

 さりげなく真実が風除けになってくれていた。

 「透…ちょっと横になる?」 

 「うん。」

 泉が膝枕をしてくれた。

 目を閉じるとさっきの謎の記憶の断片だろうか、少しだけ蘇った。

 


 滝の淵で男を眺めている…。

 

 …透自身には滝を見に行った記憶は無い。

 TVとかで見たことがあるくらいだったのでこんな鮮明な記憶があることはおかしい。

 …それとももっと幼い頃の記憶なのだろうか…。




 15分ほど休んでいたらすっかり体調は戻っていた。

 「…ごめん。もう大丈夫そうだから行こうか。」

 大室山のお鉢巡りを済ませてリフト乗り場に戻る。
 
 下りも真実が先にリフトに乗って先に降りる。

 透達はその後のリフトで大室山を降りた。

 「…透、もしかして今朝の夢と何か関係ある?」

 「…分かんない…。何だろうね…。」

 心配してくれる泉を安心させようと笑いかけたが、泉は不安そうだ。

 「透、大丈夫か?」

 リフト降り場で真実が待機してくれていた。

 「うん。多分立ちくらみとか、貧血とかそんな感じだと思う。もう平気だし。」

 真実にも笑いかけると安心したように微笑んでくれた。


 「次どこか行きたいところはあるかい?」

 管理人のおじさんが観光案内のパンフレットを見せてくれた。

 「俺は何処でも…お前ら行きたいところ無いのか?」

 真実はお茶を飲み始める。

 「あ!猫の博物館だって!私ここに行きたいっ!」


 泉がパンフレットを指差す。

 「あ、いいねっ!猫いるのかな…。」

 「ここならすぐそばだし、行ってみようか?」

 おじさんが車を発進させる。


 

 
 
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