◆妻が好きすぎてガマンできないっ★

青海

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雪山に行こう!

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 「あはっ。透ってば真っ白っ、大丈夫?」

 颯爽と滑り降りてきた泉が目の前で止まり、頭やら全身のついた雪を優しく払ってくれる。

 泉が滑り降りて来る姿はまさに冬の妖精ちゃん。

 それに引き換え……全く滑れない自分。
 
 何度も転びながらやっと初心者コースを滑り降りて、一息つく。

 もう足も腰も痛くて仕方がない。

 スノーボードを足から外してボード置き場に置く。

 「透、少し休んだらもう少し上の方に行ってみよう?」

 泉は笑いながらそんな事を言い出す。

 ……。

 「あ、いやオレは……」

 「どんどん滑らないとうまくならないぞっ★」

 泉はものすごく楽しそうだ。

 ……正直身体が限界だった。

 普段余り外に出ないせいか、運動だって泉とエッチすることぐらいしかしていない。

 ……体力つけないとな、帰ったら何か始めよう。

 そんな事を考えていたら泉が立ち上がる。

 「透、そろそろ行こうか?」

 「!!ええっ、オレもう少し休んでるからさ、泉滑っておいでよ。ね!?もう一本だけ休ませてっ?泉が滑る姿見ながら勉強するから、ねっ!?」

 「うん……良いけど」

 泉は周りを見渡すと分かったと言ってスノーボードを持って歩き始めた。

 ……スノーウェアに身を包んだ泉もまた、恐ろしくかわいい。

 泉ってばスノーボード上手いんだな。

 そんな事を考えながら足の痛みを少しでも取ろうとマッサージする。

 「透っ★」

 泉の声に顔を上げると颯爽とターンしながら泉が降りて来るところだった。

 ……ええっ!もう降りて来ちゃったの?!

 驚きながらも泉に見惚れていた。



 ★



 ホテルに戻る頃には身体はボロボロ、雪まみれになっていた。

 部屋に戻り、畳の上に倒れ込む。

 「透、大丈夫!?」

 泉は心配してくれるが……。

 

 泉のじいちゃんの紹介で新潟にあるスキー場のそばの温泉宿にお泊まりしに来ていた。

 二、三日ゆっくり泊まっておいでとじいちゃんに言われ、泉も乗り気だったので来たのは良いが……。

 

 「水野さん、温泉行こうよ。お酒飲む前にあったまろう?」

 楽しそうな浅川さんの声。

 「う~ん。もう少し休んでからにしようかな……透、動けそう?」

 泉がこちらをうかがっている。

 「んっ、今はまだ無理そう。それにオレは……泉達先に行っておいでよ。女の子は髪乾かすのに時間かかるでしょ?あ、泉ちゃんと髪乾かさなきゃダメだよ?風邪ひくから……」

 身体を動かそうとするが痛くて起き上がれそうにない。

 「俺たち後から行くから先に行ってこいよ」

 真実が2人に声をかける。

 「透…」

 心配してくれる泉を浅川さんが連れて行ってくれた。

 ホッとしながら畳に顔をくっつける。

 ……身体が痛い。

 「真実も先に行っておいでよ。オレ……後で部屋の風呂に入るから」

 何やら背後で真実が何かをしている音がするが、先に温泉に行くように勧める。

 「ほら、これ飲めよ。体力回復に良いみたいだぞ?」

 真実が茶色い瓶に入ったドリンクをくれた。

 「?……真実、ありがとう」

 何とか起き上がってドリンクを受け取る。

 身体が痛くて起きていられなかったので一気に飲んだ。

 「うわっ!何コレ!?すごい味っ!!」

 口の中に広がる甘ったるい味と刺激。

 「そんなに酷いのか?コレ、じいさんがくれたんだけど」

 「!?!?」

 真実が不思議そうな顔で紙袋から空箱を取り出す。

 ……泉のじいちゃんが!?それってまさか!?

 持っていた空き瓶を見る。

 毒々しい派手なラベルの貼られた瓶には性欲強壮の文字が見えた。

 ……やられたっ!

 畳に突っ伏していると真実が更にもう一本持ってくる。

 「ほら俺の分もあるけど飲むか?体力回復するんだろ?」

 悪気はないのか真実が瓶を渡そうとしてくる。

 「飲むかっ!!」

 ……飲んじゃったよ。

 これからどうなっちゃうんだろう。 

 って真実の分もくれたって事はこの旅行自体がもしかしたら泉の爺ちゃんの策略か!?

 早く子供作れって……事だよね。

 

 「透、今見に行ったら温泉人が居なかったから入ってこようぜ?」

 5分ほど部屋を出ていったと思ったら真実がそう言いながら戻ってきた。

 「う、そうなの?」

 真実、わざわざ見にいって来てくれたようだ。

 真実はオレの身体にできている身体の傷を知っている。

 昔よりはだいぶ目立たなくなってはいたが、それでも他人の目に入るような事は極力避けて来た。

 今回のホテルは大浴場だったので温泉は諦めていたのだが…。

 「今の時間ならまだしばらく大丈夫そうだから行こうぜ?温泉に入ってよくマッサージしておかないと明日大変だぞ?」

 そう言いながら起き上がるのを手伝ってくれた。

 「あ、明日!?」

 「そう明日、泉と明日も滑るんだろ?」

 「……!!」

 

 真実に肩を支えられながらエレベーターに乗る。

 「……あの、真実お願いが」

 「無理だな、泉楽しそうに明日のこと話してたぜ?」

 ……。

 泉が案外スパルタだったのは正直嫌いではなかった。

 でも、この体で明日もとか無理すぎる!!

 「真実っ無理だよおおおっ!!」

 思わず真実に抱きつく。

 「おいっ、離れろって!」

 真実とエレベーターの中で戯れていると途中の階でお姉さん達が乗り込んできた。

 ……騒いでた声が聞こえていたのかお姉さん達が笑いながら話しかけて来た。

 「お兄さん達何処から来たんですか?おふたりですか?」

 「……」

 びっくりして真実に抱きついたままでいると真実にそっと身体を離される。

 「お前なあ、恥ずかしいだろっ?」

 真実は当たり障りのない会話をお姉さん達として、エレベーターでの時間をやり過ごした。

 

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