8 / 12
8話 避けられなかった結末
しおりを挟む
給仕が得意ではないチェルシーにとって、主たちの茶の時間は常に緊張するものだった。いつも何か不備がないかとそわそわして落ち着かない。
けれど、これほどまでに恐ろしい茶の時間は初めてだ。
「チェルシー、大丈夫かい?」
「は、はい!」
勢いよく答えるも、チェルシーは俯いたまま顔を上げられなかった。
目の前の席には男爵が座っている。使用人が主と同じテーブルについている恐れ多さと、これからどうなるのかわからない恐怖で頭がいっぱいだった。
「そんなに怯えなくてもいいよ。取って食いはしないんだから」
朗らかに笑う男爵の声は澄んでいる。
油断できない人物ではあるが、少なくともこの場ではチェルシーを危険な目に合わせるつもりはないのだろう。
チェルシーは安堵のため息をついた。
そして、先ほど淹れたばかりの茶を一口飲む。
「美味しい……」
「ふふ、口に合ったようで良かったよ」
「よい茶葉ですね。初めて飲むお茶ですが、美味しいです」
男爵の友人が送ってきたという茶葉は、甘くて優しい味がした。
チェルシーは安堵する。男爵からこの茶葉を使ってほしいと頼まれた時は不安だったが、うまく淹れられたようだ。
もう一口飲む。心を安らげるような香りも好みだ。
「……君は、礼法を誰かに習ったのかい?」
「侍女長や同僚にですが……。あの、どこかおかしかったでしょうか……?」
「いや。平民の子なのに、綺麗な所作だったから……それに、彼女に少し似てる気がしてね」
「本当ですかっ!?」
勢い込んだチェルシーの言葉に、男爵は目を白黒させる。
はっとしたチェルシーは謝罪の言葉を口にして俯いた。
「実は、奥様の所作をこっそり真似してたんです。奥様、平民出だとお聞きしていたのに、生まれながらの貴族のように品があったから……」
「……そうか。ふふ、彼女の所作の美しさは社交界でも評判なんだ。最初は彼女を馬鹿にしていた夫人たちも茶会をするうちに認めてくれるようになったくらいでね」
「それはすごいですね」
「だろう? 彼女は、とても素晴らしい女性なんだ」
顔をほころばせて、男爵は語る。その表情や声音から、夫人への強い愛情が伝わってくる。
(……どうして)
男爵に問い詰めたくなる衝動をとチェルシーはテーブルの下で手のひらを握りしめてこらえた。
どうして、夫人を愛しているのに彼女の村を焼き、親しい侍女すら消してしまったのか。彼女を苦しめる道を選んでしまったのか。
チェルシーの内心の叫びをよそに、男爵の話は続く。
「とはいえ、彼女も最初はとても苦労したんだ。なにせ、茶会や礼法などと無縁の村で育ったからね。耐えきれなくて逃げだしてもおかしくはなかった。彼女には帰る場所があるからね。それでも、彼女はやりとげた。一度やると決めたら、絶対に成し遂げる人だったから。そのおかげで、どれだけ周囲に反対されても僕らは結ばれることができたんだ」
「奥様、飲まず食わずで抗議されたそうですね」
「……よく知っているね。そうだよ、身分違いの恋など幸せにはなれないとご両親も村の人たちも誰ひとり賛成してくれる人はいなくて。だから、彼女は僕と結ばれなければ不幸だと証明ししようとしたんだ」
昔を懐かしむように、男爵は目を細めた。
「……でも、本当は彼女自身の気持ちを整理するためでもあったのかもしれない」
男爵の声は風にかき消されそうなほど、小さかった。
どういう意味だろうと眉をひそめるチェルシーに、男爵は微笑んだ。
「彼女にとって、家族も村の友人たちもとても大切な存在だからね。離れることは身を裂かれるようにつらかったんだよ。体を張った抗議は、未練を断ち切るためでもあったんだと思う。それほど、彼女にとっては家族や友人は大切な存在なんだ。よく家族や友人と連絡を取っていたし、時折寂しそうに故郷の方角を見つめていたから。……それでも、彼女は僕を選んでくれた。なのに、こんなことになってしまって……」
男爵の声はかすかに震えていた。
チェルシーは男爵が泣いているのではないかと焦ったが、予想外に彼は冷静だった。淡々と胸の内を語っている。
自室に籠もっていた頃に、泣きつくして気持ちの整理ができたのかもしれない。
「寂しいけれど、彼女は僕にかわいい子を残してくれた。これからは彼女の忘れ形見を大切に育てて行くつもりなんだ。それが、彼女の願いでもあったから」
良い事だ。大切な家族を亡くしたのはつらいだろうが、残されたものは生きていかなくてはいけない。
心の支えがいたから男爵はこうして立ち直れたのだろう。
両親を失ったチェルシーが生きる希望を持てたのも、マイロがいたからだ。
「……僕ばかり語って悪いね。ほら、遠慮しないで、菓子も食べて。僕は甘いものに興味がないからわからないけれど、侍女長は滅多に手に入らない菓子だと言っていたから。美味しいと思うよ」
「はい。ありがたく、いただきます」
チェルシーは茶菓子を手に取り、目を見開いた。
「どうしたの? その菓子、あまり好きではなかった?」
「いえ! ……むしろすごく好きなお菓子です」
侍女として働き始めてから、チェルシーは落ち込むことが多かった。覚悟していたとはいえ、仕事や作法を覚えるのは難しく、失敗ばかりしていた。
そんな時、夫人はチェルシーを優しく声をかけてくれた。
『わたくしもよく失敗していたわ。前より良くなっているのだから、自信を持ちなさい』
目の前で楽しみにしていたお茶をこぼして台無しにされたのに、夫人は微笑んでこの茶菓子を差し出してくれた。
じわりと、視界が歪む。
瞬きを繰り返して、涙をこらえる。
「チェルシー?」
「……奥様との思い出があるんです。だから、懐かしくなってきてしまって……申し訳ございません」
「いや……彼女のことを偲んでくれるのは嬉しいよ」
男爵は夫人の部屋の隅に飾られた花に目を向ける。明るく黄色いその花は生前夫人が好んだ花だ。
「あの花、君が用意してくれているそうだね。掃除だけでいいはずなのに、毎日新しいものを飾ってくれていると聞いているよ」
「いえ、そんな……。ただ、あたしがしたくてしてることですから」
「それが嬉しいんだ。彼女のことを心から大切に思ってくれているんだろう? 生前もよく尽くしてくれて……おかげで、彼女も心穏やかに過ごせた」
チェルシーはなんと返せばいいのかわからなかった。
高貴な人からまっすぐに褒められて、動揺しているようだ。頭がはたらかず、言葉が出てこない。
無言のチェルシーに気を悪くすることもなく、男爵は自身のカップに手を伸ばした。淡い緑の液体がなみなみと揺れる。
チェルシーはぼんやりとそれを見ながら、淹れすぎてしまったのかと少し不安になる。だから、男爵は茶に手を付けなかったのだろうかと。
「チェルシー、君には本当に感謝しているんだ。親しい侍女を亡くして落ち込んでいた彼女を再び元気にしてくれた。……君にはずっと彼女に仕えてほしいと願っていた」
男爵の声が不鮮明になる。嘘をついている時のノイズとは違う。どこか遠くから聞こえてくるようにおぼろげだ。
体の力が抜け、テーブルの上に倒れ込む。ティーカップが床に落ちる音が聞こえた。
「彼女を死に追い詰めたのは僕だ。僕の弱さが、この結果を招いた」
懺悔なのだろうか。チェルシーにはよく理解ができない。猛烈な眠気が襲ってきたから。
「本当は僕が彼女のそばにいきたいけれど……息子を無事に育てると約束したからね。彼に爵位を譲るまでは彼女の後を追うことはできないんだ。だから――」
ゆっくりと、チェルシーの瞼が降りる。薄れていく意識の中で、はっきりとその言葉だけが響いた。
「代わりに、君が彼女のそばにいてほしい」
けれど、これほどまでに恐ろしい茶の時間は初めてだ。
「チェルシー、大丈夫かい?」
「は、はい!」
勢いよく答えるも、チェルシーは俯いたまま顔を上げられなかった。
目の前の席には男爵が座っている。使用人が主と同じテーブルについている恐れ多さと、これからどうなるのかわからない恐怖で頭がいっぱいだった。
「そんなに怯えなくてもいいよ。取って食いはしないんだから」
朗らかに笑う男爵の声は澄んでいる。
油断できない人物ではあるが、少なくともこの場ではチェルシーを危険な目に合わせるつもりはないのだろう。
チェルシーは安堵のため息をついた。
そして、先ほど淹れたばかりの茶を一口飲む。
「美味しい……」
「ふふ、口に合ったようで良かったよ」
「よい茶葉ですね。初めて飲むお茶ですが、美味しいです」
男爵の友人が送ってきたという茶葉は、甘くて優しい味がした。
チェルシーは安堵する。男爵からこの茶葉を使ってほしいと頼まれた時は不安だったが、うまく淹れられたようだ。
もう一口飲む。心を安らげるような香りも好みだ。
「……君は、礼法を誰かに習ったのかい?」
「侍女長や同僚にですが……。あの、どこかおかしかったでしょうか……?」
「いや。平民の子なのに、綺麗な所作だったから……それに、彼女に少し似てる気がしてね」
「本当ですかっ!?」
勢い込んだチェルシーの言葉に、男爵は目を白黒させる。
はっとしたチェルシーは謝罪の言葉を口にして俯いた。
「実は、奥様の所作をこっそり真似してたんです。奥様、平民出だとお聞きしていたのに、生まれながらの貴族のように品があったから……」
「……そうか。ふふ、彼女の所作の美しさは社交界でも評判なんだ。最初は彼女を馬鹿にしていた夫人たちも茶会をするうちに認めてくれるようになったくらいでね」
「それはすごいですね」
「だろう? 彼女は、とても素晴らしい女性なんだ」
顔をほころばせて、男爵は語る。その表情や声音から、夫人への強い愛情が伝わってくる。
(……どうして)
男爵に問い詰めたくなる衝動をとチェルシーはテーブルの下で手のひらを握りしめてこらえた。
どうして、夫人を愛しているのに彼女の村を焼き、親しい侍女すら消してしまったのか。彼女を苦しめる道を選んでしまったのか。
チェルシーの内心の叫びをよそに、男爵の話は続く。
「とはいえ、彼女も最初はとても苦労したんだ。なにせ、茶会や礼法などと無縁の村で育ったからね。耐えきれなくて逃げだしてもおかしくはなかった。彼女には帰る場所があるからね。それでも、彼女はやりとげた。一度やると決めたら、絶対に成し遂げる人だったから。そのおかげで、どれだけ周囲に反対されても僕らは結ばれることができたんだ」
「奥様、飲まず食わずで抗議されたそうですね」
「……よく知っているね。そうだよ、身分違いの恋など幸せにはなれないとご両親も村の人たちも誰ひとり賛成してくれる人はいなくて。だから、彼女は僕と結ばれなければ不幸だと証明ししようとしたんだ」
昔を懐かしむように、男爵は目を細めた。
「……でも、本当は彼女自身の気持ちを整理するためでもあったのかもしれない」
男爵の声は風にかき消されそうなほど、小さかった。
どういう意味だろうと眉をひそめるチェルシーに、男爵は微笑んだ。
「彼女にとって、家族も村の友人たちもとても大切な存在だからね。離れることは身を裂かれるようにつらかったんだよ。体を張った抗議は、未練を断ち切るためでもあったんだと思う。それほど、彼女にとっては家族や友人は大切な存在なんだ。よく家族や友人と連絡を取っていたし、時折寂しそうに故郷の方角を見つめていたから。……それでも、彼女は僕を選んでくれた。なのに、こんなことになってしまって……」
男爵の声はかすかに震えていた。
チェルシーは男爵が泣いているのではないかと焦ったが、予想外に彼は冷静だった。淡々と胸の内を語っている。
自室に籠もっていた頃に、泣きつくして気持ちの整理ができたのかもしれない。
「寂しいけれど、彼女は僕にかわいい子を残してくれた。これからは彼女の忘れ形見を大切に育てて行くつもりなんだ。それが、彼女の願いでもあったから」
良い事だ。大切な家族を亡くしたのはつらいだろうが、残されたものは生きていかなくてはいけない。
心の支えがいたから男爵はこうして立ち直れたのだろう。
両親を失ったチェルシーが生きる希望を持てたのも、マイロがいたからだ。
「……僕ばかり語って悪いね。ほら、遠慮しないで、菓子も食べて。僕は甘いものに興味がないからわからないけれど、侍女長は滅多に手に入らない菓子だと言っていたから。美味しいと思うよ」
「はい。ありがたく、いただきます」
チェルシーは茶菓子を手に取り、目を見開いた。
「どうしたの? その菓子、あまり好きではなかった?」
「いえ! ……むしろすごく好きなお菓子です」
侍女として働き始めてから、チェルシーは落ち込むことが多かった。覚悟していたとはいえ、仕事や作法を覚えるのは難しく、失敗ばかりしていた。
そんな時、夫人はチェルシーを優しく声をかけてくれた。
『わたくしもよく失敗していたわ。前より良くなっているのだから、自信を持ちなさい』
目の前で楽しみにしていたお茶をこぼして台無しにされたのに、夫人は微笑んでこの茶菓子を差し出してくれた。
じわりと、視界が歪む。
瞬きを繰り返して、涙をこらえる。
「チェルシー?」
「……奥様との思い出があるんです。だから、懐かしくなってきてしまって……申し訳ございません」
「いや……彼女のことを偲んでくれるのは嬉しいよ」
男爵は夫人の部屋の隅に飾られた花に目を向ける。明るく黄色いその花は生前夫人が好んだ花だ。
「あの花、君が用意してくれているそうだね。掃除だけでいいはずなのに、毎日新しいものを飾ってくれていると聞いているよ」
「いえ、そんな……。ただ、あたしがしたくてしてることですから」
「それが嬉しいんだ。彼女のことを心から大切に思ってくれているんだろう? 生前もよく尽くしてくれて……おかげで、彼女も心穏やかに過ごせた」
チェルシーはなんと返せばいいのかわからなかった。
高貴な人からまっすぐに褒められて、動揺しているようだ。頭がはたらかず、言葉が出てこない。
無言のチェルシーに気を悪くすることもなく、男爵は自身のカップに手を伸ばした。淡い緑の液体がなみなみと揺れる。
チェルシーはぼんやりとそれを見ながら、淹れすぎてしまったのかと少し不安になる。だから、男爵は茶に手を付けなかったのだろうかと。
「チェルシー、君には本当に感謝しているんだ。親しい侍女を亡くして落ち込んでいた彼女を再び元気にしてくれた。……君にはずっと彼女に仕えてほしいと願っていた」
男爵の声が不鮮明になる。嘘をついている時のノイズとは違う。どこか遠くから聞こえてくるようにおぼろげだ。
体の力が抜け、テーブルの上に倒れ込む。ティーカップが床に落ちる音が聞こえた。
「彼女を死に追い詰めたのは僕だ。僕の弱さが、この結果を招いた」
懺悔なのだろうか。チェルシーにはよく理解ができない。猛烈な眠気が襲ってきたから。
「本当は僕が彼女のそばにいきたいけれど……息子を無事に育てると約束したからね。彼に爵位を譲るまでは彼女の後を追うことはできないんだ。だから――」
ゆっくりと、チェルシーの瞼が降りる。薄れていく意識の中で、はっきりとその言葉だけが響いた。
「代わりに、君が彼女のそばにいてほしい」
1
あなたにおすすめの小説
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
わんこ系婚約者の大誤算
甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。
そんなある日…
「婚約破棄して他の男と婚約!?」
そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。
その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。
小型犬から猛犬へ矯正完了!?
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
噂の聖女と国王陛下 ―婚約破棄を願った令嬢は、溺愛される
柴田はつみ
恋愛
幼い頃から共に育った国王アランは、私にとって憧れであり、唯一の婚約者だった。
だが、最近になって「陛下は聖女殿と親しいらしい」という噂が宮廷中に広まる。
聖女は誰もが認める美しい女性で、陛下の隣に立つ姿は絵のようにお似合い――私など必要ないのではないか。
胸を締め付ける不安に耐えかねた私は、ついにアランへ婚約破棄を申し出る。
「……私では、陛下の隣に立つ資格がありません」
けれど、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「お前は俺の妻になる。誰が何と言おうと、それは変わらない」
噂の裏に隠された真実、幼馴染が密かに抱き続けていた深い愛情――
一度手放そうとした運命の絆は、より強く絡み合い、私を逃がさなくなる。
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる