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2章・攻略対象者との出会い

14話

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「ルールは自分の表面に結界を張って先に割った方が勝ち、というものにしよう。」
「分かりました。結界は各々でよろしいですか?」
「あぁ、問題ない。」

皆様ごきげんよう。ナヴィリアです。
現在世界最強なのではないかと言われている隣国の勇者、ロヴル・エヴァンズ公爵様と手合わせをすることになりました。誰か助けていただけませんか。死ぬ、確実に死ぬ。

私が顔面蒼白になっているのに気付かないのか、はたまた蒼白になってないだけか。分かりませんが、準備は着々と進みいざ開戦になりました。

始まった瞬間に細かな連続魔法と合間に極滅魔法が撃ち込まれました。死ぬ。やっぱり死ぬ。

とにかく結界を何重にも張って、極滅と拘束魔法、あとは結界解除魔法を練って放つもやっぱり弾かれました。あんなに大量の魔法放っててこちらの攻撃に対応出来るとはロヴル様は本当に人間なんでしょうか。サイボーグではなく?

でもちょこちょこと小さい魔法は当たっているので耐久戦と行きましょう。
私の魔力が無くなるのが先か、ロヴル様の結界が壊れるのが先か。



「良い試合だった。ありがとうナヴィリア嬢」
「いえ、、、ありがとうございました、、、」
「凄いな、私の魔法にあそこまで耐えられる結界を作るとは。」
「いえ、結構ギリギリでした。公爵の方があと1回でも耐えてましたら私の負けでしたから。」
「そうか、それでも君の勝ちだ。結界に関しては私もまだまだ未熟のようだな。」
「いえ、、、公爵の結界も一般的な魔術師よりは十分強度はあるかと思いますよ。」
「そうか、あとは練度か?」
「それもあるかとは思いますが、恐らく使う陣の、、、」

終わったそばから魔法談義が始まりました。
結果としては本当にギリギリ私の勝ちです。
放った小さい魔法が公爵の結界に当たって、壊れたと同時に私がふらついて。しかも私の方も結界が残り1枚だったので次当てられてたら割れてましたね。死ななくてよかった。今世こそ親より長生きするって決めてたので。よかった。

「私より強い者など初めてだ、私より歳が下など余計にありえないと思っていたが、これも貴方の言う驕り、だな。まだまだ私も青二才ということか。」
公爵から17歳の発言とは思えない言葉が出てきました。青二才って。
「ナヴィリア嬢、君は私も恐れず、そばに居てくれた。かと思えば私を勇者として、、、いや公爵として接してくれた。」
「え?公爵?あの、、、」
「ナヴィリア嬢、君は私が追い求めてきた者だ。ぜひ私の相棒として、パートナーとして我が国に嫁いでこないか?」

それはあまりにも急展開すぎません?

、、、あれ、私ロヴル公爵が攻略対象者の6人目って言いましたっけ?
、、、今言いました!はい!6人目です!
ヒロイン補正なんでしょうか、こんなに攻略対象者があっさり懐くとは。私が電波系ヒロインになってないといいんですけど。

「あの、公爵、、、そのお話は「公爵。その話は待って頂いてもいいでしょうか?」
断りの返事をしようとしたらレオンハルト様が入ってきました。よく、この練習場に居る事が分かりましたね?
、、、え?爆音や地鳴りが酷すぎて学園で大騒ぎになってる?
学園長に呼ばれてる、と。殿下、代わりに行って頂くことは、、、ダメですか。はい。

この2人を置いて行くのは本能的にダメな気がするんですけど。
笑顔のレオンハルト様が怖いので見なかったことにして私は学園長のとこに行きます。
ロヴル様、安らかに眠ってください。南無。


そして私が部屋から出ていった後の話はレオンハルト様から直接聞きました。
どう言った内容だったかと言いますと
「公爵、彼女は貴方が気に入るように強さも、人柄もとても素晴らしい人だ。」
「あぁ、、、彼女はこの学園で随分と神格化されているな?それこそ、私の勇者という肩書きと並ぶ位に。」
「えぇ、それでこそ私達の・・・ナヴィですから。」
あそこは強めに強調したんだよ、大事だからね。とレオンハルト様に言われました。私にはちょっと何言ってるか分からなかったです。

「ふっ、牽制か?私達の、と言うくらいだ。まだ後ろには何人も居るのだろうな。して、、、殿下も彼女を愛していると?」
「、、、そこまでハッキリ言われてしまうと政治的に恐ろしいのでここ以外での明言は避けて頂きたいのですが、つまりはそういう事です。」
「ふむ、まぁナヴィリア嬢ならそうであろうな。」
「否定はできませんね。彼女ですから。」
「、、、了承した。ならばナヴィリア嬢からこちらに来たいと思わせるよう、努力しよう。」
余り変わらない表情で満足そうに頷きナヴィリアの出ていった扉を眺め、レオンハルト様にそう告げたとの事。
一方のレオンハルト様は「、、、そうですか。」と一言微笑みながら黒い笑顔で返したそうです。怖い。やっぱり混ぜるな危険でした。本能間違ってなかった。

あ、黒い笑顔かどうかは尋ねたら一発ですよ。
「殿下“微笑みながら”と言っていましたが、いつも私が執務室にお邪魔する時の顔ですか?」
「そうだよ、よくわかったね?」
これです。執務室の時。すなわち私が大暴走して陛下にお呼ばれした時ですね。後ろから怒りのオーラみたいに黒くなります。怖い。それでもオタ活は止められないのでそろそろ見逃してもらいたいものなんですけど。だいぶ先の話になりそうです。

ロヴル様は大半は教室の方で授業を受け必要の無さそうなものはパス、すなわちうちで研究室でのんびり過ごす、という生活をするみたいです。ロヴル様もお友達出来るといいですね。

私は朝に顔を出してから教室へ向かうロヴル様をにこやかにお見送りしてます。約1名は黒いですけど。そしてもう約1名はしかめっ面ですけど。私は何も見てないです。なので御二方、お詫びとかそういうのも私からは無いのでデートに誘わないで頂けます?

ということがありながらも、その6さんとも繋がりが出来てしまいました。何故でしょう。自ら関わるつもりは無かったのに、いつの間にか全員と会ってました。本当になぜ?
小説通りならばこのままでは殺されるルートを爆走することになりそうなんですけど。
いえ、でも小説ヒロインを殺そうとしなければ全く問題無しのはずです。特に嫉妬もないのでいじめもする必要ないですし、そもそもヒロインとの接点無いですし。

あ、ヒロインも既に入学してますよ。同じ1年生ですね。
ちょーっと、、、いやかなり電波っぽいんですけど、一応は大人しく通ってるみたいです。ゲームではモブキャラですから。猫はだいぶ逃げ出しやすいみたいですけど。

ストーリーではありえない、攻略対象者の2人が教室にほとんど来ていない時点で気付きそうなものなんですけど、一切気づかないみたいでして。えぇ。
だからかは分かりません。今私の目の前で、、、いえ、距離はありますけど、転びまして。
「酷いですわ!アスタロン様!私の足を引っ掛けるなんて!」と叫んでおります。うーん。
大人しくしててくれなかったです。ヒロイン。

彼女は、、、後ろに、レオンハルト様がいるのには気づいてないみたいでして。
私は後ろが振り向けません。なぜかはお解りでしょうか。黒いオーラが沢山背中にビシバシと感じる為です。
ボソッと「邪魔だな」と聞こえました。怖い怖い。

はーい、ストッパーの誰かー!!ここです!ここにいまーす!このままだと殿下が暴走しちゃいまーす!

私はとっくのとうにストッパーとしては戦力外通告されてます。
え?誰にって?知り合った方全員ですね。何故なんでしょうか。
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