愛を知らない私と僕

こむぎ

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9(悠斗視点)

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『お前なんか産まなきゃ良かったのよ』
『目障りよ!どっかいって頂戴!!!』
『この出来損ない!!こんなことも出来ないの!?』
『、、、お前なんか死んでしまえ』

「っは、、、はぁはぁ」
、、、最悪だ。あの時の夢を見るなんて。
正直今でも辛い。
、、、あの時は、母親がとんでもないぐらい酔っ払ってた。
機嫌がいい時じゃないと会話してくれない母。
、、、母の日のプレゼントを渡そうとしてたんだっけ。
んで、いざ渡してみたら激怒され、あの言葉、、、物凄いショックだった。
少しぐらいは愛してもらえてると思ってた自分を呪いたかった。
“自分は邪魔者”そのレッテルが付いた。
学校でも“陰気臭い” “地味” “邪魔”
そう言われ続けてた。

どこにも居場所がなくて、辛くて、苦しくて

だから、居場所を作ろうと思った。
それが外での俺。
、、、チャラくて馬鹿そうな俺。
本当の俺は臆病で、寂しがり屋で。
、、、頭は良い方かな?多分。

化けるようになってから、居場所ができた。
輪の中心になって笑ってるようになった。
、、、嘘の笑顔で、周りと合わせてて。
やっぱり辛くて。でも、今までよりはマシかなって考える程には感覚が麻痺してたかもな

あー、、、涙出てきた。
泣いてる姿見られたくないし、リビング行こ

そう言って立ち上がった悠斗は寝てる3人を起こさないようにそっとリビングへ向かった。
リビングに向かってみると、ルナとトワが出迎えてくれた。
可愛くてずっと撫でてたら、じわじわと涙が溢れてきた。

、、、この子達みたいに素直になれたらいいのに

そう、思ってしまった。

何だかやるせない気持ちになって、ぼーっと2匹を撫でていた。
そしたら「鷹村君だっけ、、、?」
と、声をかけられた。
、、、まずい、泣き顔を見られた。
びっくりして振り向き、俺の顔を見た優希ちゃんのお姉さんの驚いた顔で我に返る。
、、、どうやって誤魔化そうか、、
でもでてきた声は言葉にならず嗚咽として零れた。
、、、恥ずかしい。
よりにもよって初めて会った人に、、、
なんて、思ってたのに、、、
「鷹村君コーヒ飲める?」といつの間にキッチンへ移動していたお姉さんに笑顔で問いかけられ「カフェオレなら」と答える。
すると部屋中にコーヒーのいい匂いが漂ってきた。
、、、なんか少し落ち着いてきた。
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