愛を知らない私と僕

こむぎ

文字の大きさ
19 / 25

18

しおりを挟む
「総帥!これどこに置くんでしたっけ?!」
「それは向こうのクリアケースの横!」

「総帥!壊れた!!」
「はっ!?壊れた!?」
バッと部下の手元の展示品を見る。
「、、、あ、取れただけじゃない?焦ったー!」
「すみませんお騒がせしました」
「大丈夫よ、取れやすいってことが分かったって事だもの。これは大事な改善点よ。、、、よし、準備を進めましょうか」
展示品を部下に返して持ち場に戻る。

、、、忙しすぎじゃない?死ぬよ?
一応、予定通り進んでいるけど何が起こるかわからないし、、、

「総帥」
「、、、今度は何?」
「お客さんきた」
「お客?」
そう言われて指された方をみれば、夢達が手を振ってこちらを見ていた。しかもそこに鷹村君もいた。
「、、、少し席を外してもいいかな?」
「任せてください。」
「ありがとう、行ってくるね。」


「ここにみんなで来て、驚かせよ~って思って!」
驚いた?とワクワクした顔で言われました。
うん、まぁ、少しは、、ね?
「なにか見に来たの?」
「えぇ、コスメとか文具とか色々あるって言われたから。」
尋ねたら真子が答えてくれた。
「うんうん、結構珍しくて便利なの沢山あるからねー」
自分が企画したのを褒めてもらえるのはすっごく嬉しい。
どやってもいいよね?え?だめ?
「まぁ、会場とてつもなく広いからあまり1人で行動したりしないようにね?」
「わかった~はぐれたらここに集合でっ!」
「あ、ここに集まるの。」
「うんっ!なっちゃんここに居るよね?」
「うーん、、、企画者だしずっとあちこち周ってると思うよ?」
「そっか~忙しいよね、、、」
あのゆめさん?そんなにしょげないで?
鳴瀬さんコロって言うこと聞きたくなっちゃうからね?
「ゆめ、わがまま言わないで。いくよ」
あ、真子に引きずられてく、、、
「あ~なっちゃんまた後でね~」
「あ、うん、、、あとでね、、、」
ぽかんとしながら見送るとよしっやるか!と言って仕事に戻った。

それをあの人が見てるなんて気づかずに。


「おおかたこんなものでいいでしょう。うん、一旦終了ー!みんなお疲れ様!ちゃんと休んでねー?」
「「「総帥もね」」」
「はーい、、、」
見事な総ツッコミを貰いました。ありがとうございます。

うーん、、、休まなきゃだけど、他にも支店があるし、見回りがあるので休むふりだけしておきます。
ごめんね皆。
そう言ってその場から離れると見回りを再開した。
ついでにあの子たちも探そうかな。

そうやってあちこちの支店を見ながらキョロキョロと探していると、お目当てとは全く違う人物が会場の入口でこちらに手を振ってるのが見えた。

ビックリして駆け寄るとニコニコしながら
「久しぶりだね?鳴瀬さん、、、また背が伸びたのかな?」
と、頭を撫でながら挨拶をされた。
「お久しぶりです、、、樹さん、あの頭撫でるのやめてもらっても、、、?」
髪のセットがぐちゃぐちゃになるのでやめてー!!
と心で叫びながら笑顔でそういった。
「あぁ、ごめんね?つい、妹のように見えてしまって。」
と、申し訳なさそうに手をどける。
、、、妹みたいって、私が子供って言ってるようなもんじゃないですか!!
と、気づくもこの人は天然なのを思い出して文句を言うのを踏み止まった。

、、、彼は昔からの付き合いで、婚約者でもある。
天然で大人しいけど、素直で真っ直ぐな人。
でも、一生を添い遂げれるのかって言われるとなんだか違う気がする。
確かに優しい人だし、ずっと一緒にいてもぶつかり合いもなくここまで来てる。
けど代わりに、距離が縮まる訳でもなくて。
、、、親しい友人って辺りかな?
たまに、将来を約束してるのがこの人だって忘れしまうこともあった。
現に今久しぶりに会うまで彼を忘れていたのだし。
、、、ごめんね、樹さん。
でもでも!
彼も私の事を「妹みたい」って言うからおあいこだよね?え?それはバカにされてるだけ?、、、失礼なっ!!(泣)

なんて1人で悶々としている鳴瀬を面白そうに目を細め眺めていた樹はふと言伝を思い出して口を開く。
「そうそう、鳴瀬さん」
「?、、、なんですか?」
「やっと僕もこっちに帰ってこれたし、婚約者とご飯でも食べてこいって母に急かされてね。」
と言いながらバックをゴソゴソと漁る彼。
「、、、あった。これ、明日なんだけど、、、」
と言って渡してきたのが高級フレンチレストランの招待チケットだった。

「はっ!?明日!?」
慌てて予定を見ると、、、あ、空いて、、、る?
夕方まで仕事だが、朝早めに行ってお昼も抜けば間に合うかな。うん。
「明日なら大丈夫です。」
「そっか、、、無理して開けてないよね?」
「うっ、、、無理してないです。」
「、、、鳴瀬さん?」

、、、キャー覗き込まないでー!!近いー!!(泣)

樹は鳴瀬の目が泳いでいるのに気づき顔を近づけ、白状させる為にじっと見つめていた。

「いくら君にとって僕が他人行儀な婚約者でも、僕にとっては君が大切なんだよ?」とまで言ってくる。

「、、、仕事、少しだけ明後日にまわすことにします。」と、少し不貞腐れたように言う鳴瀬に樹は「、、、うん、いい子」といって笑顔で頭を撫でる。

「総帥ー!!」
「なぁに?どうしたの?」
「アクシデントー!!」

そのあとも会場の外で他愛ない会話をしていたが、泣きながら駆け寄ってきた部下を見てなだめながら会場に戻ろうと入口を振り返ると

、、、そこには悠斗が立っていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。 でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。 もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……? 表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。 全年齢作品です。 ベリーズカフェ公開日 2022/09/21 アルファポリス公開日 2025/06/19 作品の無断転載はご遠慮ください。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

心から信頼していた婚約者と幼馴染の親友に裏切られて失望する〜令嬢はあの世に旅立ち王太子殿下は罪の意識に悩まされる

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アイラ・ミローレンス・ファンタナルは虚弱な体質で幼い頃から体調を崩しやすく常に病室のベットの上にいる生活だった。 学園に入学してもアイラ令嬢の体は病気がちで異性とも深く付き合うことはなく寂しい思いで日々を過ごす。 そんな時、王太子ガブリエル・アレクフィナール・ワークス殿下と運命的な出会いをして一目惚れして恋に落ちる。 しかし自分の体のことを気にして後ろめたさを感じているアイラ令嬢は告白できずにいた。 出会ってから数ヶ月後、二人は付き合うことになったが、信頼していたガブリエル殿下と親友の裏切りを知って絶望する―― その後アイラ令嬢は命の炎が燃え尽きる。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

処理中です...