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才倉しづと水垣聖
しおりを挟む────大輔は逃げる櫻子の腕を掴んだ。
「離して!」と櫻子はこちらに顔を向けることはなく、大輔を突き放す。しかし大輔には表情が分からなくとも声だけで櫻子は今にも泣きそうなのが分かる。大輔は櫻子を引き寄せて、強く抱き締めていた。
>自分の力じゃ到底敵わない力で引き寄せられ、抱きしめられた。櫻子は大輔の腕の中で、泣き虫だった頃の大輔を思い出していた。昔は自分よりも小さくて、泥団子が上手く作れないと泣いていた大輔。それがいつの間にか私の背を越して、見上げないといけないくらいになって。知らないうちに力も強くなって、骨ばった男の人の身体になっていて。大輔が小さいあの頃の彼ではなく異性としての存在になっていたことに驚いた。ずっと一緒にいたのに気づかなかった。……気づいてしまえば意識してしまう。大輔の心臓の音と私の心臓の音がドクン、ドクンと交わる。
。
「来海先生、今回もとっっっっても良いですねェ!」
担当の津田さんがタブレットを机に置いて、にやけ顔でいう。
「大輔と櫻子の体格差の表現!そして心臓の音で伝わるお互いの体温。いやーーーー、何がとは言いませんが今回もエッッッッチですねェ~~~~!!!!!!!」
「あ、ありがとうございます?」
私はやや興奮気味な津田さんに合ってるか分からないお礼を言う。
私の名前は才倉しづ。ペンネーム来海みるくで携帯小説として活動している。
目の前にいる津田さんとは4年前からお仕事でのお付き合いをさせて頂いてる。津田さんはティーン向けの携帯小説「めろんぱるふぇ」の書籍化担当編集者さんだ。4年前、趣味でめろんぱるふぇに投稿してた恋愛小説がひょんなことから一定層にウケたようで、ランキングにちょいちょい入るようになった。それを見つけた津田さんに声をかけられたのが始まりだ。
4年前といったら私はもうすぐ大学4年になる…という時期で。就活の説明会やらでリクルートスーツに慣れないパンプスで歩いては働ける気がしないと絶望していたときでもあった。
なので私は津田さんの甘ーい誘惑にのって恋愛小説家になったのだった。
>それから4年。
まぁ小説の方は正直に言うと概ね順調。
すごく売れるなんてことはないけれど、この4年間書籍化をさせてもらえているし、一定数の読者もいる。
不安定な職ではあるけれど、今のところは同年代より給与も多く貰えている…と思う。
でも小説家なんて才能と運の仕事。
私は運が良かっただけで文才もなーんもない、就活したくなかっただけの女。才能と運の2つのうち1個しか持ってない。つまり運が尽きればゲームオーバー。だからこそ今のうちに稼げるだけ稼がなくては。
……というわけで。
津田さんが需要があると前々から話していたやや助平なティーン向けの小説も書くようにもなったんだけど、これがめっっっっちゃ評判がいい。
ティーン向けだから触れるか触れないかくらいの、ちょっと体がそわそわするような甘いものから、やや強引だけど致すことまではないものまで。年齢指定がつかない助平な話。これがまーじでそこそこ売れる。女の子はムッツリだと給与明細が教えてくれる。
「来海先生の純愛小説もムズムズしてキュンキュンしてそれが堪らなく良いですけど、ちょっとエッッッッなのはニヤニヤ笑っちゃうくらい良いですねェ。」
津田さんは上機嫌にタブレットをスクロールした。
津田さん曰く、来海先生はちょっと助平な話を書いたら今よりも人気になるとのこと。そして実際にそうだったわけで。
まぁ私も学生の頃に恋に恋して純愛からちょっとエッッッッなものまで漫画や小説、ドラマも観てたし嫌いじゃない。むしろ好き…みたいなところもあったりして。最初は読むんじゃなくて書く側になったことに抵抗感はあったものの、書き始めればスラスラかけてしまい…。今では純愛からエッッッッまで2本同時進行で将来の為に稼がせてもらっている。
。
「で!ですね、先生。先生にお仕事の依頼が来ています。」
津田さんはさっきまでのニヤニヤモードからコホンと咳払いをし、お仕事モードに切り替える。
「仕事?小説の審査員とかですか?」
夏頃になると年に1度行われる携帯小説のコンテスト。2年くらい前にも声をかけてもらい、審査員として参加した事ことがある。
仕事と同時並行でめっっちゃ読まなくちゃいけないから割と大変なんだよなぁ。勿論応募されたのを全て読む訳ではないのだけれど。最終選考に残った数本でも全文読むとなるとなかなかの労力だったりする。それに私より若い子たちの文才とセンスに圧倒されて落ち込む。
「いえ、今回は違います。勿体ぶるのもあれなんで言いますけど、コミカドるる実先生の作画で来海先生の小説をコミカライズしませんか、というオファーが来ています。」
「……こ、コミカドるる実先生!?!?!?!?!?」
コミカライズという言葉にも驚きが大きかったが、それよりなによりコミカドるる実というパワーネームに思わず大声になる。
コミカドるる実先生と言えば、イラストレーターでコミカライズ作家のめっっっっちゃ人気の先生である。
コミカド先生の描いたラノベのキャラは想像してたイメージとぴったりだし、すっごく可愛い。挿絵だって表情とか最高過ぎて、その挿絵をみたいが為に買う層までいるとかいないとか。だからコミカド先生に描いて貰えたらアニメ化間違いなし!とまで謳われるあの売れっ子、コミカド先生!?可愛い萌え系から繊細な芸術的タッチまで描けるあのコミカドるる実先生???
「……ティーン向け携帯小説人気ランキング7位の私になぜその様なお話が??他の人と間違えてません?」
あまりにも現実離れした話に他の作家と間違えてるのでは?と思わずにはいられない。しかも挿絵ではなくコミカライズ。
「いやー、正直私も編集長から話聞いた時はそう思ったんですけど~。」
津田さんはヘラヘラしながら言った。
……思ったんたい。分かるけど言わないでぇ。自分が言うのとはまた別だから!傷つくじゃん。
「編集長曰く、なんと!コミカド先生が来海先生の小説の読者だったらしく、是非コミカライズしたいと直談判したようでェ。」
「えっえっえっ」
どどどどどど読者!?!?!?!?
コミカドるる実先生が私の小説を読んでいる!?!?
いつまでも私の小説を読んでる人がいるって実感が湧かないけど、コミカドるる実先生が自分の書いた話を読んでいるとか想像すらもできない。
「それでですねェ、うちの会社としても今大人気のコミカド先生との仕事なんて絶対に逃したくないわけです。なのでこの話、もちろん進めていいですよねェ?」
「え、あ、はい、こんなチャンスもうないかもしれないですし…。」
「じゃあ、今度コミカド先生との顔合わせをセッティングしますねェ。」
「よ、よろしくお願いします!」
その後、軽く今後の展開の打ち合わせをして私たちは解散した。
。
帰り道、足取りは軽い。夢みたいに軽い。
いつもはビビる東京の街並みと人の量すら気にならないくらい。
コミカライズ
コミカライズ
コミカライズ!!
コミカライズーー!!!!!!
正直、小説家をやっていたら1度くらいは夢見ること。
ドラマCD、アニメ化、ドラマ化、そしてコミカライズ!!!!
いつかなんかの弾みでいい感じに良いように作用して偶然コミカライズとか1回くらいしてみたいなぁ~~と内心では思っていた。絶対口には出さないけど。
しかも担当してるのはあの大人気イラストレーターのコミカドるる実先生。
コミカド先生のコミカライズした漫画、何冊も持ってる。
どれも絵が綺麗で、小説の雰囲気を理解し、大切にしつつこういう視点もあったのか…とおもわせてくれる大胆で繊細なタッチ。コミカド先生にコミカライズしてもらいたいと思う作家は山ほどいるだろう。
その中で私が。本当に運だけはいいなぁ。
運気爆上がり過ぎて数日後に爆下がりしそうでこわーーーーーーい。
そして私のこの一抹の不安は現実になる─────。
コミカドるる実先生との初顔合わせの日。
「初めまして、コミカドるる実です。」
コミカドるる実を名乗るその人は知ってる顔の男だった。
。
「タイム」
「えっ」
私は挨拶をする見知った顔の男に両手でTの字を作ってタイムを要求した。
そのまま津田さんを引っ張ってブースの端っこに連れていく。
「津田さん、津田さん。コミカド先生が男の人って聞いてないんですけど。」コショコショ
「あるれェ、言ってなかったでしたっけェ?」コショコショ
津田さんは「はてぇ」と笑って誤魔化した。
この女、ワザと言わなかったな!?私が男の人が苦手と分かっていて敢えて!!!!!!!!!!
私がわざと言わなかったことに気づいているのを表現で分かったらしい津田さんは申し訳なさそうな顔で言った。
「編集長がこの一世一代の大儲けチャンスを逃すなって五月蝿くですねェ、断られるわけにはいかなかったんですよ~、すみません」コショコショ。
…………まぁ、確かに。
私が給与をもらってるのは津田さんの会社、果実社であって。果実社だって仕事が無ければお給料は渡せないのである。
そして目の前にいるこのコミカドるる実先生は今めちゃ注目株のコミカライズ作家さんで。私の好き嫌いで選り好みしていいわけじゃないということだ。
「……分かりました。お仕事なのでしっかりやらせて頂きます。」コショコショ
「く、来海てんてー!」
津田さんは小動物のように可愛らしく嬉しそうな顔をした。かわいいな、おい。
。
「タイム終了です。失礼しました。改めまして、水野くんシリーズを執筆してる来海みるくです。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いしますね。もしかしてだけど、男が来たから驚いちゃった感じですかね?驚かせちゃったならすみません。」
「あっ、いえ、あ、まぁ、びっくりはしました…。」
……知ってる顔だし。
「るる実なんて名前だからよく間違えられるんですよ、HAHAHA」
コミカドるる実は笑う。
ベージュのパンツに白のワイシャツ。羽織に黒のカーディガン。直毛な黒髪は整えられていて清潔感がある。
イメージとしては線の細いホワホワお姉さんだったけど、それはこっちの勝手な想像だ。
「……コミカド先生、お話はそれくらいで。そろそろ本題に入りましょう。」
笑うコミカドるる実を遮って、コミカドサイドに座る女性が話し始めた。
私たちは4人席に2人ずつ向き合う形で座っている。私の目の前はコミカド先生で、隣は私の担当の津田さん。そして、私の斜め前にいるのがコミカド先生サイドの知らない女性だ。
「初めまして来海先生。私は果実社のコミック担当編集、前園と申します。」
「あ、これはご丁寧にどうも…。」
渡された名刺には
[前園 碧李]
まえぞのあおりとあった。
「今回のコミカライズの担当編集をやらせて頂くこととなりますのでよろしくお願いします。」
た ん と う へ ん し ゅ う?
「え、津田さんじゃないんですか?」
「津田さん、話していないんですか?」
「フツーに忘れてました。」
津田さんはエヘエヘと笑う。
担当は1年に1度担当替えという時期があって、その際に担当編集が代わることがある。
私の場合はコミュ障とかそういうとこも含まれてか、この4年津田さんで継続だった。
……もしかして津田さん、今回は徹底して都合悪いことを話さないで進める算段なのでは?
私が訝しい目で津田さんを見つめると、津田さんはたはーと言いながら口を開いた。
「私は小説の担当編集で、漫画は正直専門じゃないので難しいんですよ。だからこのコミカライズでは主に前園さんが担当になりますねェ。」
「……そうなんですか。」
確かに普通に考えれば小説と漫画じゃ異なるよね。
「あ、勿論来海先生の担当としてサブという形で参加はしますよ。」と津田さんは付け足した。
…………コミカライズ。
いつかはしてみたいと思っていたけれど、思ったよりも大勢の人と関わったりと大変なことなのかもしれないと今更気づく。
私の書いた小説を漫画にしてもらうだけのイメージだったけど、担当さんが増えたり、こうやって打ち合わせが増えたりするのか…。ちょっと先が思いやられる。というか不安。これが…社会…なのか…。
心の中で大きなため息をつく。
そんな私の憂鬱な気持ちを知ってか知らずか、前園さんの隣でニコニコしていたコミカドるる実が「まぁ、今日は初日の顔合わせなので、そんなに緊張せずにお茶会感覚でやりましょ!」と、カバンから綺麗な包装紙に包まれた四角い箱を取り出した。
「じゃーーーん!!」
箱の中身は焼き菓子だった。
。
──────水垣くんはもの静かな男の子だった。
読書が好きなようで休み時間や自由時間はよく本を読んでいるような男の子だった。
中学校という小さい箱庭で私は彼の他男子とは異なる大人っぽさに惹かれていたのかもしれない。
「水垣くんはお菓子なら何が好き?」
「急になに?」
「いやぁ~?別に理由は無いけど。」
嘘である。来月のバレンタインに向けた調査である。
「逆にキミはどんなお菓子が好きなの?」
「うーーん、私はマドレーヌとかかなぁ。」
。
コミカドるる実が持ってきた箱の中には紅茶・抹茶・チョコ・プレーンなどの色とりどりのマドレーヌが入っていた。デパ地下のオシャレなマドレーヌらしく、包装まで凝っている。
「来海先生は何味食べます?あ、全種類いっちゃいます?」
わざわざ私側の席まで回ってきたコミカドるる実は回ってきたので、声が頭上で聞こえる。というか、右側に立っている。
「せんせ?」
「え、?あ、はい。」
「まだ抹茶苦手ですか?」
「……!!」
「まだ…?」
津田さんが不思議そうに首を傾げる。
…………こやつ、私が抹茶苦手なこと覚えて……?
「全種類!!頂きます!!!!」
「はーーい。」
ニッコリと笑うコミカドるる実から私はマドレーヌを全種類貰った。
>今日は顔合わせという名目の打ち合わせだが、打ち合わせは作家によって様々な種類がある。
今日のように出版社もしくは喫茶店などに集まり、顔を合わせて打ち合わせをするタイプ又はパソコンなどの機器でオンラインでの打ち合わせや電話の場合もあるとかないとか。
普段、私と津田さんは主に出版社での打ち合わせ。
津田さんが紙コップに入った飲み物を差し出してくれて、それを飲みつつ30~1時間ほど話し合う。
なので初めて打ち合わせに茶菓子?が出てきて少し嬉しい。甘いもの、大好きです。
コミカド先生が「食べながら話しましょ~」と手を揺らし、どうぞどうぞと奨めてくれるので私はまずはノーマルのマドレーヌに手をつける。
まぁ?貰ったものに手をつけないのも失礼かもだし???
「頂きます」
マドレーヌを口に運ぶ。
「!!!!!!」
さすがデパ地下のお高いマドレーヌ!!!!!
バターがじゅんわり染み出て、生地もじゅわじゅわのシミシミでうんまい…。
そして!!!!ここで紅茶なんて飲んだ日には…
最高~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!
牛乳でも100パー美味いなぁこれ。わかる。食べなくても分かる。
前園さんが話してるのもそこそこに私はマドレーヌの美味しさに感動して思わずニヤける。
そんな私を見てコミカド先生は腕で口を隠し、声を出さずめちゃくちゃ笑っていた。
。
私がマドレーヌを頬張って、津田さんも「おいしいですねェ」と食べている中、コミカド先生は顔を隠して震えながら笑っていたし、前園さんは持ってきた資料らしきものを読みながら少し休息をした。
私たちがマドレーヌを食べ終えると、そろそろ頃合かとでも言うように前園さんは資料から顔を上げて「今回のコミカライズですが、来海先生が過去に執筆したものでは無く、新作でコミカライズをしたいと考えております。」そう言った。
「えっ…新作ですか?」
「新作です。」
思わず2つ目のマドレーヌを持つ手が止まる。
……いや、薄々そうかもしれないとは思っていた。
コミカドるる実がコミカライズするなら既存ではなくて新作なのではないかと。新作の方が話題にもなるし。
「そして今回は水野くんシリーズの水野くん編をコミカライズにしたいと思っています。」
「えっっっ、水野くんですか…?」
来海みるくの恋愛小説は今までで全8作品ある。
その全てが水野くんシリーズと呼ばれており、毎回作品ごとに「さく」がつくヒロインと「水野くん」という名前の男の子が登場する。
最初はヒロインが水野くんに片思いするところから全て始まる。しかし失恋や他の男性キャラからの告白、転校など様々な理由で「さく」は水野くんとは結ばれることなく別の男性キャラと結ばれる。
来海みるくの読者の中には水野くんファンも一定数いて、水野くんがメイン回になるのを心待ちにしている層も多い。
「水野くんのメイン回となれば小説から読んでいる人も新規の人もどちらも取り込めると私たちは考えています。」
「……いやーでもー……」
前園の意見に来海は歯切れの悪い返事をする。
なぜなら来海は水野メインの小説を書かないのでは無い。書けないのである。
毎回水野をメインヒーローにする気で執筆は始める。しかし、来海には水野がヒロインを好きになるイメージが出来ない。つまり結ばれるイメージができない。
それは何故かと言えば、水野というキャラクターにはモチーフがいて、中学の時に来海が好きだった同級生なのだ。来海は彼が好きだったが、結局上手くいかずに中学を卒業。その後は連絡を取ることもなく、何も無かった。だからこそ携帯小説の中でくらい両思いになりたいと思い、水野を軸に執筆を開始した。
でも、読書が好きで真面目で頭の良い水野くんが、万年赤点ギリギリでだらしがなくて適当な私(さく)を好きになるなんて妄想ですら考えられない。
だから小説の中でも両思いになることはできなかった。
「津田さんから水野くんメイン回が書けないという話は伺っています。ですが今回は男性側の視点ということでここにコミカド先生もいます。」
「コミカドるる実デース。」
コミカドはひょいっと手を挙げた。
さっきまで笑ってたくせに。ケロっとした顔をしてる。
「おふたりには今後も打ち合わせをしつつ、年明けの1月号に1話を掲載できるよう、遅くても8月には1話を仕上げて頂きたいです。」
「今は3月末…。4ヶ月後ってことですか。」
「そうですね、そういうことになります。できそうですか?」
前園さんはジッと私を見た。人見知りだからちゃんと顔みてなかったけど、前園さんも津田さんに負けないくらい整った顔してるなぁ…。
「……ぜ、善処致します……。」
整った顔に見つめられ、私の知らないうちに内々で話も進められ、ここで出来ないなんて言えるわけがなかった。
その後、前園さんは次の打ち合わせがあるらしく今日のところは一先ず解散ということになった。
次回までにかるーくプロットとかがあると嬉しいってやんわーーり言われたけど…。
「いつも通り書いたら、いつも通りに水野くんは消滅するのよなぁ。」
モブの如く出てこなくなる。
「そうならない為の僕でしょ。」
「うわ!?」
「あ、ごめん。驚かせた?」
「み、水垣聖……」
後ろを振り向くと、コミカドるる実こと中学の時の同級生、水垣聖がいた。
「良かった、来海先生も覚えてくれてたみたいで。打ち合わせ終わったし才倉って呼んだ方がいい?」
水垣聖はニコリとも微笑まず言った。さっきまであんなに笑ってたのに。
水垣聖。中学の同級生で水野くんのモチーフ。そして私が好きだった男である。
「才倉、この後時間ある?ちょっとプロットのことで話しない?」
そう、そうなのだ。
つまり私は、
学生の頃好きだった彼をテーマにした恋愛小説を彼と共にコミカライズにするということである。
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