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名前考えるの時間かかった

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4畳ほどの部屋がカーテンから漏れた日差しで照らされ、眩い光で起床し、辺りを見回す

最近になって同じ夢を見ることが多くなった。
大きい木の下で、私が書いた絵を女性に見せようとし、女性がこちらへ振り向こうとした瞬間、目がさめる。女性は誰なのか、場所はどこなのか、私には全く分からない。身に覚えもない。しかし、その夢の景色はただひたすらに懐かしく思えた。


私、雪色彩芽ゆきいろあやめゆきいろあやめは感情と呼べるものが一切無い。嬉しさ、悲しさ、面白さ。感情と言えるもの全てが無くなっている。感性が曲がっているだとか、人間的にそうなってるだとかではなく、病的と言えるほど感情が無い。

4月17日土曜日。私が休日にすることは決まっている。映画を観てから、本を買い、帰る。映画と本のジャンルは感動する物。だが感動を得たことはこれまで一度も無い。感情は無い。しかし、感情が欲しいという欲求だけはあった。

そして、感情が無い事と、もう1つ私には人間とは思えない部分がある。

まるで"化物"のような人とは違う部分が。


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4月22日土曜日。目的地の映画館を目指し歩道を歩く。休日だというのに、人がほとんどいない。そのせいか信号が青になり、横断歩道を歩く際、左右を全く見ていなかった。曲がり角から迫るバイクに気付けなかった。いや、気付いても間に合わなかっただろう。

「っ...........!!!」

鈍い音がし、激痛が走る。声にならない悲鳴をあげ、意識が途絶えそうになる。

「.......ぃ!   だ....じょ.......ぅ....か......!!」

誰かが声をかけてくるのがうっすら聞こえた。そこで意識が完全に無くなっていた。

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4月に入り、伊月瞬いつきしゅんは高校二年生に上がった。始業式を終え一週間がたち、新しい学校生活にも慣れたと言いたいところではあるが、前の教室に間違えて行くくらいにはまだ慣れてないのかもしれない。

しかし、教室が変わった時に、ここは元の教室ではない、と空気で感じる違和感が無くなった程度には慣れたといってもいいのかもしれない。

放課後の廊下を歩き部室を目指す。
相談部。それが僕の入っている部活。勧誘をしなかったり、部室が人気のない廊下の奥にあることが相まって、相談部の知名度はかなり低い。

部員も自分含め二名しかいない。そもそも、二名だと部活として認められないが、全く使われない部屋を部室として使ってるだけで、誰にも害を与えてないことから情で存在していられている部活だ。

部活と言っても、活動があるわけではない。僕があいつに、情報をもらうための、場所を作るために部活を作ったからだ。

部活の扉を開け、中にも人がいることを確認し、声をかける。

「浅間、聞きたいことがある」

「今日はどんな話を聞かせてくれるんだい?」

と、薄気味悪く言ってきた。

「4月22日土曜日。僕が休日、外出していたときの話だ」
と、話を切り出す




---------------------



4月22日土曜日。休日は外に出たくないが、今日は珍しく外出をする。どうしても見たい映画があった。

映画館を目指し歩道を歩く。休日だというのに、人がほとんどいない。あまりの静けさに少し驚きつつ、歩いていると。

「っ............!!」

バイクと人との激しい衝突と同時に、重い痛みの伝わる悲鳴があがった。バイクに衝突した同年代と思われる女性は、足が押し潰され、足が千切れそうなほどの重症を負っていた。
バイクに乗っていた人は、軽傷程度だったが、人とぶつかった恐怖からか、バイクに乗り、逃げていった。

バイク衝突した女性に慌てて近寄る。

「おい!!   大丈夫か!!!」

携帯を探し、救急車を呼ぼうとするが携帯を忘れたことに気付く。
こんな時に! と苛立ちが昇る。
回りに人はいなく、助けも呼べない。自分で女性を運び、人を探し助けを呼んでもらうしかないと、思い女性を持ち上げようとした瞬間、人間とは思えない、異常な現象が起きていた。

「足が.......治っている.....?」

いや、治っているというよりも傷が無くなっていると言うべきか。足を見ると傷跡1つも残っていなかった。その異常な光景に驚ている時、女性の意識が戻り始めた。

「すい......ません......」

と女性がまだ少し朦朧とした意識で謝罪をしてきた。

「それより、怪我は大丈夫......ですか?」

「恐らく、大丈夫......です」

そう言いまるで、何事も無かったように女性は立ち上がった。

この人は、だ。

「あなたは......」




僕は、人間ではない"怪異"について、過去に関わりがあった。それが要因で、人間ではない"化物"の抱えている問題を解決する部活を作った。それが相談部だ。

部屋に案内され、お互いが正面に向くように座る。
やはり、傷が一瞬で治ったことを話すのだろう。

「私には感情がありません」

と、予想外の話を切り出した。

「それと、もう1つ、あなたもお気づきでしょう。私は不死身なんです」

不死身、それだけであれば、大体の予想はついたが、感情が無い、それにより具体的な化物の種類までは分からなかった。

こればかりは、あの男に聞くしかないように思えた。



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「っていうことがあったんだ」

外出した時の話を終え、浅間の意見を伺う。

「感情が無い、ねぇ? それと不死身。正直見当もつかない。いや、可能性としてある物はあるが、何とも言えない」

珍しく悩み顔で、浅間が言う。

「お前でも分からない怪異があるのか?」

「もちろん、分からない物だってあるさ。それに今回の奴は、何とも言えないなぁ。推測は出来るが根拠がほぼ無い、ちなみに、その女性の名前はなんだい?」

「雪色彩芽。話していた時にそう言っていた。ああ、それと雪色彩芽は内の学校の一年生だ。」

「雪色彩芽......どっかで聞き覚えがある気はするんだよねぇ。伊月、俺の推測を言ってもいいんだが、少しお願いしてもいいかな。雪色彩芽の過去を調べてくれないか? 小学校や中学校の同級生にでもきいてきてくれ」

「分かったよ、とりあえず、時雨《しぐれ》にでも聞いてくる」



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「いじめられていたんだよ」

時雨に雪色の事を聞きながら帰宅をする。

「いつからだったかな、確か、小学1年生の頃。彩芽ちゃんのお母さんが病気で亡くなったんだよ。それから人が変わったように、笑ったり、泣いたり、表情というより、感情が無くなったかのように表情を出さなくなったんだよね。元々元気で明るかったと思うんだけど、やっぱりお母さんが亡くなったっていうのは小学一年生に重すぎたんだと思う。だけど、彩芽ちゃん、それからいくら月日がたとうと、笑ったり、泣いたりしないんだよ。それが不気味で、中学の時にいじめられていたんだよ。中学の同級生のほとんどが、彩芽ちゃんの事情を知らなかったからね」

「それと彩芽ちゃん、体育とか一回も出てなかったんだよね。今でも理由は分からないけど、でも毎日学校は来てたし、病気があるっていうようにも見えないんだよね」

多分、体育を休んでいたのは、不死身を隠すためだろう。体育で怪我をして、一瞬で怪我が治ってしまえば、明らかに普通の人間とは思われなくなる

「ありがとう、時雨。助かった」

「うん。でもなんで彩芽ちゃんのこと聞くの?」

「事情があるんだよ、気にしないでくれ」

「まぁ、いいけどさ」

こういう時の時雨の、話から引く姿勢は素直に助かる。

しかし、かなりの情報を知ることが出来た。だが母の死があそこまで持続的に、感情を無くす事は出来ないように思える。

一旦、浅間に聞くしかないようだった。



------------------


「不死鳥」

浅間は嫌な笑みで言った。

時雨から聞いた、雪色の過去を伝えると浅間はすべてが分かったようだった。

だが、不死鳥と言われても納得できない部分があった。不死身、これだけであれば不死鳥と言われても納得が行った。だが雪色には感情が無い。その疑問が残った。

「雪色彩芽。彼女は不死鳥だよ」

そう言う浅間に疑問を呈する。

「だが浅間。感情が無いのは不死鳥とは関係が無いだろう?」

「まぁ、不死鳥と感情に直接的に関係は無いよ。そうだね、感情が無いのは二次被害みたいなもんだよ」

じゃ、今から全部説明するね、と言い浅間は椅子に腰掛け、口を開く。

「まず、不死鳥っていうのを説明をしよう。不死鳥は君が知ってるように不死だ。どんなに大怪我があろうと、どんな大病を患っても、一瞬で治る。雪色彩芽、彼女は小学1年生の頃、母を病気で失った。その時、彼女は当然、悲しむだろう。つまり彼女は母を失うことで深刻なまでの  を患ったんだ。ここが重要なんだ。精神病、今の時代、精神病は病気の1つとして認められていて、精神病によって最悪、自殺まで追い込まれる事もある。だから。だが治すといっても、それは病気の解決ではなく、解消にすぎなかった。不死鳥は母に関する記憶を全て消したんだ。そうすることによって、精神病を解決はしなくとも解消はした」

そこまでは納得したが、感情が無い、という疑問はまだ残っている。

「母の記憶が消されたのは分かった。だが感情が無いことはどう関係するんだ?」

疑問を呈した後、浅間は、全部説明するから焦んないでよ、と続きを言う。

「君は自転車の乗り方を忘れたことはあるかい?」

「自転車? 何が関係あるんだ?」

「まぁまぁ、とりあえず、答えてよ」

「そりゃあ、忘れることは無いが」 

「記憶には大きく分けて二つある、『陳述記憶』と『非陳述記憶』だ。自転車の乗り方は非陳述記憶に含まれ、半永久的に忘れない物なんだ。よく体が覚えてる、と言うがあれは脳が記憶しているんだ。つまり、自転車の記憶が無くなれば、自転車に乗れなくなるんだよ。これは感情にも同じ事が言える。感情というのは1歳から6歳の幼児期に最も成長するんだ。つまり、そこで感情の感じかたっていうのを覚える。だが彼女は小学一年生の時、母親の記憶が全て無くなっている。1歳から6歳の子供は大抵、母に育てられ、大半の時間を一緒に過ごしているだろう。その記憶が全て無くなる、つまり感情の感じかたを忘れたんだ」

全てを話し終え、納得したかと言わんばかりの表情で浅間がこちらを見る

「母の記憶が無くなるといっても、雪色はその後どうなったんだ、別の人に引き取られたとしても、母親がいないというのは、雪色はどう認識したんだ?」

「そこまでは分からないよ。でも母親がいない、という違和感さえ、不死鳥は忘れさせ、引き取った人を親として認識させたのかもしれない。それに人間は記憶の違和感を勝手に解消するものだ。目の錯覚だって、脳が勘違いして起こるものだ。それに幼いというのも相まって、その違和感を無くしたってことも十分あるだろう」

「それで、どうすればいいんだよ」

全てを知り、母親、そして感情が無い雪色の運命の酷さに、同情し、怒りのような感情がでて、語気を荒げて浅間に聞く。

「どうするって言われても? 何をどうするんだい」

「分かってんだろ! どうすれば雪色の母親の記憶と感情は戻るんだ!」

「君は、彼女の記憶を戻す事の大きさをわかってるのかい? 亡くなった母親への思い、それまで忘れていたという事実の重さを。今彼女にそれを背負わせる辛さを」

「そんな事、分かってる......。だが、それでも僕は雪色に母親を思い出して欲しい、母親をこの先忘れたままなのは、あまりにも残酷すぎる.....」

「まぁ、君がそう思うならそうすればいい。僕はその件にはもう関与しないよ」

「で、どうすればいいんだ。教えてくれ」

分かったよ、と言い浅間はまたしても嫌な笑みを浮かべ言うのだった。
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