月の国

ホムラ

文字の大きさ
30 / 127

㉚薬草部

しおりを挟む
「母さん。俺、大学行かなくてもいいかな?」

意を決してセダムは、南の魔女王に聞いてみた。

「ダメに決まっているだろう。
 もう、金は払っているし、寮の部屋も押さえたし。
 学部も全部こちらで決めてあるから、セダムは、ちゃんと通ってくれたら、それでいいから。」

え?そんなことあります?

「学部も決めた?」

「ああ、薬草部へ行ってもらうぞ。
 しっかり勉強してきなさい。
 鬼門の魔女王に推薦書いて貰って提出づみだから、テストは無しにしてもらったからな。
 安心して学んでくるように」

俺の意思は?

そんなことってあります?

母の部屋を出て、茫然とした記憶を思い出す。

普通、子供の意思を尊重してとかあるよね。
ちょっとくらい俺の意思を確認してくれてもよくない?

いくら、魔女王でもさ
誰も逆らえないからってさ
ひどくない?

兄さんも姉さんもこんな感じだったの?
たぶん違うよね?
あの人達は、何でも出来すぎて、どこの学部に入るのか、すごく悩んでいたもんね。
だからって、俺だけ扱い違くない?
ひどくない?

セダムは、きこりの一族の子供だから、子供の頃から、薬草は、目にするだけで、だいたい種類が分かった。
きのこの種類も見分けられるのだ。
そこの部分だけ覚えていて、母は、勝手に大学を決めたのだろう。
たぶん、それ以外で俺には何にもないからなぁ。
てか、こんなの勉強しなくても、だいたい分かるんだけど。
わざわざ大学入らなくてもいいのに。
訳が分からなかった。


「あの、ここが薬草部でしょうか?」

部屋で一人で待っていたら、女性が入ってきた。

「ああ、ここで間違いないですよ」

「ああ、よかった。ちゃんと到着したわ。
 私、フィオルドって言います。
 今日から、お世話になります」

「俺は、セダムです。
 これからよろしく。よかったら、ここ座れば?」

隣の席をポンポンと叩いた。

「はい。」

女性は、隣に座った。スレンダーな女性だけど感じのいい人だった。

ん?
この匂い
なんだっけ?
この匂い

きこりの息子は、鼻がいい。
どこかで嗅いだことある匂いだ。

ああ。東の魔女王国の宰相ガーディアンの匂いだ。
月の人間の匂いだ。

月の出身だろうか・・・。

まぁ、それは、自分から言うだろうし、俺から聞くのは変かな。

初対面なのに色々聞くのはおかしいし、慣れ慣れしいよな。

黙っておこう。

そう思っていたら、あと数名が部屋に入ってきた。

部屋は、騒がしくなり、匂いはいつの間にか消えて、そのことも、なぜか忘れてしまっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

ジルの身の丈

ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。 身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。 ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。 同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。 そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で─── ※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

王都一番の魔導修理屋

あめとおと
ファンタジー
魔法と魔導具が当たり前の世界。 だが、それらを扱えるのはほとんどが貴族だけだった。 王都の片隅で暮らす平民の青年 リクト は、魔力量が少なく魔法もろくに使えない。 そのせいで魔導学院を落第し、いまは貧乏な魔導具店の雑用係。 だがリクトには、誰も気づいていない才能があった。 それは―― 「魔導具の構造が、なぜか全部わかる」 壊れた魔導具を直し、 効率を上げ、 誰も作れなかった道具を作る。 やがてその技術は、王都の貴族社会や魔導師団を巻き込み、 世界の魔導理論さえ揺るがしていく。 これは―― 魔法が使えない平民が、魔導の常識を塗り替える物語。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

処理中です...